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9.焔(ほのお)に包まれて
裏切り者の微笑
1
肉欲の狂宴が幕を閉じ、〝眠らない街〟東京にまた別の朝がやってくる。
客の居ないフロアは夜通しの熱気がまるで嘘のように静かで、明るいライトに照らし出されたコンクリート壁の冷たい灰色が、ただ憮然たる装いで狂乱の余韻を過去のものとしていた。
すっかり平静を取り戻した愛理は、恭子やケイ、綺羅とともにフロアのソファで顔を突き合わせていた。
愛理が話を切り出す。
「恭子とケイに聞かなきゃならない事があるわ。今、このサークルで何が起こっているか、ARISAと史織がなぜ対立しているのか……」
澱みなく、明瞭に話す愛理の力強い声が、広いフロアに反響する。
「……ケイ」
恭子はソファに脚を組んだまま、向かいに座るケイに目配せをする。
「恭子……こうなった以上、愛理にも説明しておいた方がいいわ。どのみちいつかは伝えなきゃいけないし、今のうちに現状を頭に入れておいた方が……」
「……そう、だね」
ケイのアドバイスに、恭子は小さく頷いて応えるが、その顔はどこか迷いを帯びていた。
そんな2人のやりとりに肝を焼き、愛理が割って入る。
「恭子、大事なコトならハッキリ言ってよ。私だって、このサークルの一員なんだから。それに……」
愛理は焦ったそうに髪を掻き乱しながら、ソファに座る姿勢を正す。
「あの〝紅花〟って女、一体何者なの?何かこう……かなりアブナイ匂いがするわ……」
「うん、それも含めて……すべて話すよ。このサークルのこと、すべて……」
2
慌ただしく人が行き交う正午前の繁華街。
メイン通りを一本離れた雑居ビルの入り口手前で、久美と夏樹は立ち止まる。
「ここで待っていてもらえます?開けてもらうので……」
そう言うと久美はスマホで誰かに連絡をする。
どうやら入り口のガラス扉はオートロック式らしく、内側の人間が操作して解除する仕組みのようだ。
夏樹は不思議そうに雑居ビルを見上げる。
マンションと高層ビルの間に挟まれたその小さなビルは、外壁は煤けて雨垂れに黒ずみ、所々に細かな亀裂の補修跡もある。
お世辞にも立派とは呼べないその佇まいの中で、入り口のガラス扉だけが妙に浮いて見えた。
(こんな古ぼけたビルが、随分と厳重なセキュリティ….…)
「あ、夏樹さん。開きましたよ」
「……あぁ」
久美は夏樹に呼び掛け、重たそうに入り口のドアノブを引く。
中に入ると、埃っぽいエントランスの天井から、監視カメラがこちらを睨んでいる。
物々しさを感じる異様な雰囲気に、夏樹は思わず久美に問い掛ける。
「……ここに史織が?」
「ええ……このビル、史織さんの所有なんです。今はここが、史織さんの根城ですね」
ガチャンッ
ドアが閉まると同時に、ロックの落ちる音が重く響く。
「行きましょう。6階です」
早口に急かす久美に促され、狭く暗いエレベーターに乗り込む夏樹。
密室に流れる無言の時間に、否が応でも緊張が昂まる。
(史織はここで何を……?)
謎が解けぬまま、エレベーターが止まりドアが開くと、薄暗い廊下の奥に扉が現れた。
防火扉も兼ねているようなその無機質で分厚い鉄製の扉に「映像企画 BETRAYER」という、ごく小さなアクリルの表札が掲げられている。
「さぁ、ここが史織さんの仮住まいの事務所です」
ギィィ……
久美がドアノブを握り重い扉を開けると、部屋の明かりが眩く溢れて夏樹の顔を照らした。
3
(Betrayer……か)
都心の繁華街にありながら、まるで光から身を隠すように佇む影。
社名も、存在も、すべてが今の史織自身を表すような事務所だった。
狭く薄暗いオフィスの空間に、ノートPCが置かれたデスクが2つと、応接用の革張りソファに長机。
主要な事務用品と呼べるものは、それだけだった。
「お疲れ様です史織さん。昨日お話した、夏樹さんをお連れしました」
「あら、久美ちゃんご苦労様♪そして、お久しぶりね夏樹ちゃん……❤︎」
その女はソファに腰掛けたまま、夏樹の姿を見てニッコリと笑う。
「史織……さん」
彼女に微笑みを向けられた者は、誰しもが同じ感情を抱く。
研いだ刃を喉元に突きつけられるが如くの、血も凍るような恐怖。
その女の微笑みは、親愛ではなく威圧のために用いられる。
サークルNo.2の地位を追放されて、およそ3ヶ月……。
史織の姿が、そこにあった。
4
夏樹が史織に会ったのは、El Doradoの舞台で愛理と闘った、あの夜以来。
「ふふっ、夏樹ちゃん、よく来てくれたわね❤︎もう二度と会えないかと思ってた……」
「えと……その節は……どうも」
冗談めかして笑う史織の顔を、夏樹はまともに見ることができない。
私怨で起こした騒動とその顛末。
夏樹は誰にも話してはいないが、史織にだけは〝ぜったいに見抜かれている〟という確信めいた強迫観念があった。
向かい合うようにソファに腰を下ろすと、史織は脚を組み替えながら訊ねる。
「あらかたの内容は久美ちゃんから聞いてるけど……夏樹ちゃん、サークルから離れたいんですって?」
「まぁ……そんな感じです。もういいかなー、って。今の上層部のやり方が不満というか……ARIRAの下でやりたくないって感じですね」
「で、私のトコに来たい……と」
「あのサークルは、史織さんが大きくしたんですよね?なのに用済みになったら追放して、自分の周り従順なヤツらで固めて……ありえなくないですか?それに……」
夏樹は語気を強めて現状の不満を訴え、その後も完全にARISAと袂を分かつ決意と、史織の下で働きたい旨を語る。
ナンパ師特有の、口八丁手八丁の熱弁。
史織は無言で小さく頷く。
「うん、夏樹ちゃんの想いは伝わったわ。ウチは来る者拒まずだから、歓迎するわ❤︎」
「あっ……ありがとうございます」
その言葉を聞き、安堵の表情を浮かべる夏樹だが、その後の史織の言葉に再び顔が強ばる。
「ただし……一個だけ条件があるの」
「え……条件……?」
5
「これを見てちょうだい」
史織は一枚のDVDを取り出して、ノートPCに挿し込む。
ライトに照らされたステージの上で女同士が取っ組み合い、舌を絡めてキスをしている動画。
愛情表現ではなく、互いにプレイの主導権を握ろうと、相手を屈服させる為の荒々しいキス。
その動画に映る片方の女に、夏樹は驚きの声をあげた。
「えッ……愛理ッ!?」
映し出されたのは、〝El Dorado〟の試合。
動画は時々左右に揺れて、雑音混じりの、いかにも素人が撮ったような映像だが、間違いなくEl Doradoを盗撮したものだった。
「なんでこんなものが……!?」
夏樹が驚くのも無理はない。
El Doradoが開催されるハプニングバー「DEEP LOVER」はそもそも完全会員制であり、El Doradoはその人気からサークル会員の中でも取り分けスタッフの関係者や常連の紹介など、「選ばれた人間」しか観覧できない特別なイベントだ。
もちろん、プライバシー秘匿のため盗撮や盗聴は禁止されているし、オフィシャルな映像記録も残していない。
「ふふっ、驚いたかしら?愛理ちゃんの〝スケベな勇姿〟が余す所なく映っちゃってるわよね❤︎これ、昨日やってたEl Doradoの映像よ?」
史織は得意げに話しながら、夏樹の横に座り直すと、動画のチャプター画面を操作する。
「ホラ、まだまだたくさん……♪」
女たちのあらゆる試合が多角度的に撮影されている事から、おそらく盗撮者は複数人いるのであろう。
(マジか……)
その事が意味するところを、夏樹はすぐに理解した。
史織はすでに、サークルの〝分裂〟を実行し始めている──!
6
サークル会員内に潜在する「史織派」の動きが、もはや実効力を持った脅威としてすでに暗躍している。
ARISAという巨獣の腹の中で、無数の小さな蟲たちが、臓腑を喰らい始めているのだ。
その事実を知った夏樹の額に、じんわりと汗が滲む。
(史織はサークルをマジで潰す気なんだ)
内心の動揺を悟られぬように、話を進める。
「……で?条件ってのは何ですか?アタシにもEl Doradoの試合を盗撮しろって話?」
「あは、そうだ忘れてた♪」
どうという事はない、という風にぶっきらぼうに話す夏樹に、史織は笑いながら先程の愛理の動画を再び見せる。
「この愛理ちゃんの相手の娘いるわよね?」
愛理と絡み合う、金髪黒ギャル風の女。
夏樹には見覚えがない。おそらく正規のサークル会員ではない、何らかの紹介や推薦で選ばれた出場者だ。
だが、愛理と真正面から立ち合い、性技で互角に渡り合っている。
夏樹の目にも分かる、なかなかの技巧者だ。
「夏樹ちゃん♪この娘誰だと思う?ビックリするわよ!」
もったいぶるような史織の物言いにやや苛立ちを覚えるが、空気を察して、投げやりに聞いてやる夏樹。
「……この女、誰ですか?」
史織の方を向かずにPCの画面を見たまま問うと、史織はさも楽しげにこの女の正体を明かした。
「ふふふっ、なんと……愛理ちゃんの〝元カノ〟なんだって!!スゴい偶然ってあるわよね❤︎」
7
「愛理の元カノ!?」
さすがに夏樹も仰天し、目を丸くして史織の顔を見る。
「この娘、綺羅って名前でウチのソープに在籍してる娘なんだけど、私が抜けたあとにNo.1になった娘らしいわ♪本名は〝美雪〟って言うみたい」
史織はA4コピー紙に印刷された一枚の履歴書をピラピラと夏樹に見せる。
この個人情報も当然、事務員の久美が横流ししたデータだ。
「で、ひとつね……悪いコト思いついちゃったんだけど……❤︎」
史織は手に持つ履歴書を机の上にトンと置き、綺羅の写真を人差し指でなぞりながら、上目遣いに夏樹を覗き込む。
「この……愛理ちゃんの元カノさん?どんな方法でもいいから、夏樹ちゃんに連れてきて欲しいなー、って❤︎」
「この女を連れてくる……?」
史織の突拍子もない提案に、夏樹は怪訝そうな顔を見せるが、この場における自らの立場も理解しており、断るという選択肢がない事も知っていた。
「なんでこの娘を連れてきて欲しいか……分かるわよね?」
「……!」
ニッコリと微笑んだ眼の奥に宿る、有無を合わせない残酷な本性。
夏樹はそれ以上何も聞かず、黙って小さく頷いた。
「ありがとう、夏樹ちゃん♪あなた、察しがいいから助かるわ❤︎恭子ちゃんとは違うもの❤︎」
8
夏樹の事務所での滞在時間は約1時間。
「眩しい……」
ビルから出た夏樹は、外の明るさに思わず目を細める。
陰々滅々とした雑居ビルの澱んだ空気から解放されたものの、史織からの指令を頭の中で反芻する。
(綺羅……愛理の元カノ……連れてくる……)
女を食うのはお手のものだが、相手が高級ソープのNo.1ともなると些か骨を折りそうだ。
史織は「やり方は夏樹に任せる」と言った。その意味も、夏樹は汲み取っている。
(やっぱり史織は、アタシが愛理を攫った事を知ってた……そんで、その件を許す代わりに、アタシにやれって言ってんだ)
「とりあえず、本人に会ってみないとね」
人混みの中に歩き出す夏樹。
その背中を、ブラインド越しに窓から見つめる2人。
「いいんですかぁ?夏樹さん、絶対ARISAさんと繋がってますよ?」
「しばらく好きにさせるわ。そのために弱いトコ握ってるんだから♪」
史織と久美はクスリと笑い合う。
「この状況で夏樹ちゃんがどう立ち回るか、そしてARISAちゃんが何を仕掛けてくるか……楽しみね❤︎」
(甘いわねARISA……あなたが送り込んだ爆弾で、あなた自身が身を焼くのよ……!)
9
ギシッ、ギシッ……
「お"ォォッ❤︎ん"ぅぅンッ❤︎あ"ッ❤︎あ"ッ❤︎あ"ッ❤︎」
ある日の午前7時。
キンと冷えた冬の朝の空気に差し込む、朝の陽射しの温もり。
カーテンに閉ざされたマンションの一室に、ベッドの軋む音と獣のような喘ぎが響く。
「はァッ……はァッ……ホラ、勝手に休むなッ❤︎もっとヤラしく腰振れッ❤︎」
ピシャンッ!
「はゥッ!?❤︎はッ、はいィッ❤︎もッ、申し訳ッ……ん"ォォォッ❤︎」
跨りながら吼える女は尻を打たれ、言葉にならない謝罪を口にしながら再び大きな叫びをあげた。
平手で何度も打たれたであろう尻や太ももは赤く腫れ、被虐の凄まじさを白い肌に刻みつけている。
それでも全身が小刻みに震えるのは、恐怖や苦痛に怯えている為ではない。
彼女は肉体の被虐を心から愉しみ、止め処ない快楽の波動に身を震わせているのだ。
「ぁッ……イクッ……紅花さんッ……私またイク……ッ❤︎❤︎」
荒々しく女を下から責めるのは、先日「El Dorado」のステージでケイを相手に勝利した「紅花」……。
絶頂の予感に、女は媚びるような目線で紅花を見つめる。
汗と涙と涎と鼻水、顔から噴き出すすべての体液。
それらを拭う手間さえ惜しいほど、女はセックスに没頭していた。
「はッ❤︎はッ❤︎いいぞイけッ❤︎イキ狂えッ❤︎お前が今晩、何回イッたか言ってみな?」
「んひィッ❤︎そんなッ❤︎わがらなぃッ❤︎もッ❤︎もうわがらないぐらいイッでるゥゥゥ……ッ❤︎❤︎」
「あはッ❤︎アタシもわかんないッ❤︎30回までは数えてたけどねッ❤︎」
パンパンパンパンパンパンパンパンッ❤︎❤︎
「お"ほォォ────ッ!?❤︎❤︎奥ッ!❤︎奥ゥゥッ!!❤︎トロトロ子宮にチンポパンチ打たれてるゥゥゥゥッ!?❤︎❤︎」
足首を掴んで下から手荒に突き上げてやると、女は上体を仰け反り一際大きな声で唾を飛ばしながら絶叫する。
「うるっせー……いくら防音でも限度があるだろ。お仕置きが必要かな……❤︎」
気の触れた狂乱を呆れられようと、猛り狂う女は無我夢中に腰を振り続ける。
「おッ❤︎お"ォッ❤︎お仕置きッ❤︎お仕置きくださいッ❤︎んぎィッ❤︎」
「ドMマンコの一番深いトコに、とびっきり濃いヤツ……たっぷり射精してやるッ❤︎気合い入れて一滴残らず搾り取れッ❤︎」
「はィィィッ❤︎紅花さんのザーメンッ❤︎強くて濃ゆいザーメンッ❤︎はるかのオマンコティッシュに全ッ部❤︎コキ捨ててくださいィィィィッ❤︎❤︎」
10
上で腰を振る女、「はるか」は全身を震わせてセックスの快感に陶酔しながら、一寸ばかりの理性を何とか保つ事が精一杯だった。
パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎
「イクッ❤︎はるかッ❤︎出すぞッ!❤︎クソッ❤︎おォイクイクイクッ❤︎……ヴゥンッ!❤︎❤︎」
ビュ───ッ❤︎ビュクンッ❤︎ビュルッ❤︎
紅花はその長いペニスではるかの膣内を抉るように腰を打ちつけるて、宣言通り「はるかの最も奥」で射精した。
「ほォッ!?❤︎❤︎❤︎膣内ッ❤︎出ッ……❤︎ぉぉ……お"ォ"ォ"イグゥゥゥゥゥゥゥッ!?!?❤︎❤︎❤︎」
紅花の射精を子宮口で真正面から受け止めたはるかは、それに応えるように震えていた肉体をギュッと硬直させて、今宵〝何度目か分からない〟性的絶頂に達した。
「イッ❤︎……ぉ……ぅ……❤︎❤︎❤︎」
ドサッ……
紅花の上で果てたはるかは、まるで墜落するかのようにそのまま後方に倒れ込み、白目を剥いたまま意識を失った。
倒れた反動でペニスが引き抜かれた膣内はぽっかりと拡がり、充血した陰唇から泡立った白濁液がドロリとシーツに垂れ落ちる。
「はぁッ❤︎はぁッ❤︎……ふふッ、はるか……また〝トンじゃった〟ね……❤︎」
天井を仰いでひっくり返るはるかを見ながら、紅花はゆっくり起き上がる。
すると、まだ意識の戻らないはるかの髪を掴み、無理矢理に顔を上げさせた。
グイッ
「ぁぅ……❤︎ぅ……?」
視点の定まらないトロンとした目線を中空に泳がせながら、はるかの意識は未だ天の上だ。
「何回言えば分かるんだよ、このバカマゾ女……膣内に注いでもらったら、自分から咥えてキレイにしろって言ってんだろッ❤︎」
ポカンと呆けたままのはるか口元に、紅花はいきなりペニスを捩じ込んだ。
ズルル……❤︎
「ぅッ……ぉ……ゴフッ!?ゴホォォッ!!」
凶暴なペニスで喉を塞がれたはるかは、呼吸困難による反射ですぐさま意識を取り戻したが、気付いた時にはすでに紅花の腰振りは始まっていた。
11
ゴッ❤︎ゴッ❤︎ゴッ❤︎ゴッ❤︎
「あ~❤︎……すっげキモチぃ……❤︎はるかの喉とベロ、ズルッズルで超ヤバイッ❤︎」
「お"ェ"ッ!?❤︎ん"ぶッ❤︎ん"ン"ッ❤︎お"ごッ❤︎ん"ん"~~~!!❤︎❤︎」
自らの意思とは無関係に〝性器〟にされてしまったはるかの喉。
抵抗する気力さえ叩き折るような、紅花の暴力的な腰使いに、はるかの胸元や太ももは吐瀉した粘液でみるみる汚れてゆく。
あまりの息苦しさに顔は真っ赤に紅潮し、涙に潤む目も充血していた。
強者に身体を好き勝手に弄ばれる、哀れで無様な人権のない〝肉便器〟──。
だが、はるかという女にとって、それこそが〝愛の証明〟だった。
グプッ❤︎ジュルッ❤︎ガポッ❤︎プブッ❤︎
「くォォ……❤︎あッ❤︎また出るッ❤︎あぁクソッ❤︎この全身マンコ女がッ……❤︎❤︎」
射精欲の昂まりに、紅花の腰の振りがさらに早まる。
はるかの髪を両手で掴み、まるでオナホールにするような無遠慮な射精に向けて欲望を全力で叩きつける。
「あ"ッ❤︎ゴッ❤︎ん"ゥ"ッ❤︎ぶはァッ❤︎」
喉奥を突かれるたびに、下唇から滝のような胃液をダラダラと垂れ流しながら、はるかの目がカッと大きく見開かれる。
「んぐッ❤︎ん"ォ"ッ❤︎ンゥッ❤︎❤︎」
はるかの腰がガクガクと揺れる。シーツに爪を立てて必死に快楽に抗いながらも、それが「無意味な抵抗」である事、そして何より「待ち望んでいた未来」である事は、はるか自身が知っていた。
「ほら、はるかッ❤︎出すぞッ❤︎喉マンコにッ❤︎ザーメンショットでッ❤︎撃ち殺してやるからッ❤︎あァッ❤︎あ"~~イクイクイクイクッ❤︎イクイクッ❤︎……あォォゥッ!!❤︎❤︎❤︎」
ビュルッ❤︎❤︎ドプッ❤︎❤︎❤︎
紅花は力任せにはるかの顔面に腰を押し付け、喉の奥深くに射精した。
「~~~~~~ッッ❤︎❤︎❤︎」
(臭ッ❤︎苦ッ❤︎❤︎温かァァ……❤︎❤︎❤︎)
勢いよく発射された精液が口内に注がれ気道を塞ぎ、鼻腔を、味蕾を犯し、はるかの五感を一瞬にして占領した。
「ん"ンッ!!❤︎❤︎……ん"くゥゥゥ────ッッ❤︎❤︎❤︎」
「!?」
口を塞がれたはるかが何と叫んだかは定かではない。
ただ、肉体の激しい痙攣とひん剥いた白目は、はるかが達した合図だった。
12
はるかはベッドに大の字に倒れたままピクリとも動かない。
精魂尽き果てたように満足げな顔をしながら、深く呼吸して眠りについた。
「……もしもし?おつかれー」
紅花はベッドから降りて、カーテンを開け放った窓から街の景観を眺めて電話をかける。
「史織さぁ、今日紹介してもらった女、しばらくこっちに置いといていい?うん……そ、アタリだわ。サイコー。8発出した」
ベッドで寝ているはるかを横目で見ながら、紅花はケラケラと笑った。
「うん、最後は喉奥だけでイキやがったよ。こいつ大学生だっけ?ハタチ?救いようのないド変態マゾだね❤︎」
紅花はテーブルの上のタバコを手に取り火を着けると、立ち上る紫煙を目で追いながら電話口で呟く。
「アイツも同じだよ。〝El Doradoの看板娘〟ちゃん……❤︎」
13
「ねぇ、なんか久しぶりじゃない?2人でこうして歩くのって……」
「うん……愛理がサークルに入った日以来かな?」
いつか見た光景だった。
愛理と恭子は、駅へと続く繁華街の道を、2人でゆっくりと歩いていた。
時刻は22時。
その日、恭子からの誘いで2人は夕食に出掛けていた。
「なんか珍しくない?恭子がデートに誘うなんて」
「デートって言うか……日頃の労いと、El Doradoの昇格祝いも兼ねて……かな?」
「もう、恭子ってナンパ師のクセに妙なところが真面目よね?素直に〝愛理ちゃんとデートがしたいです〟でいいのよ!」
酒も相まってか、2人は他愛のない話を繰り広げながら、互いに笑い合う。
だが、笑いはすぐに溜め息に変わった。
「……」
「……愛理?」
愛理は思い詰めたような表情で立ち止まる。
眠らない街のネオンの賑わいと行き交う人混みの中で、2人だけが仄暗い闇夜に溶けてゆくような錯覚。
「……私、やっぱりまだ……この前の話、分からないよ。サークルの分裂も……その原因に私が関係しているなんて言われても……私、分からない……」
怯えるように恭子を見つめる愛理。
愛理は、サークルの危機的状況を恭子から説明されていた。
ARISAと史織の対立、そしてその渦中に〝愛理の存在〟が関係していること。
だがそれは、El Doradoのステージで頂点を目指すという目標を掲げていた今の愛理にとって、極めて残酷な現実であった。
恭子やケイが、この重大な問題を極力愛理自身には言いたくなかった理由も、愛理は汲み取っていた。
「ごめん……私バカだから……2人の気持ちに気付けなくて……」
「愛理、違う……愛理は何も悪くない」
今にも泣き出しそうな愛理を、恭子は強く抱きしめて慰める。
「愛理は巻き込まれただけだよ。サークルの事なんて、愛理が気にかけるような事じゃない……何かあっても……私やケイがいるから……」
(ダメだ、私……)
恭子は愛理を慰めながら、自らの言葉の軽さ、覚悟の足りなさを嘆いた。
(今は私が、このサークルのNo.2なんだから……!)
14
愛理と恭子は手を繋ぎ、ゆっくりと、ゆっくりと歩みを進め、駅の改札前まで来た。
「愛理、今日はありがとね」
「……うん」
小さく頷く愛理だが、握った手を離そうとしない。
恭子もまた、言葉とは裏腹に手を握ったまま離さない。
大きな恭子の手にすっぽりと包まれる、愛理の小さな手。
「ぅ……」
愛理は何か言いたそうに、艶めく唇を緩めたり結んだりしていたが、ついに堪らなくなり、恭子の胸に飛び込んだ。
「恭子ッ……」
「愛理……」
恭子は愛理の肩を抱き留めて、その豊かな胸に愛理の顔をうずめてやる。
不器用な2人の、不器用な愛。
「……帰りたくない」
「……私も、離したくない」
腕の中で、愛理が顔を上に向ける。
猫目の潤んだ大きな瞳が、切なそうに見つめている。
「愛理……」
チュッ……❤︎
愛しさに、思わず唇を重ねる恭子。
愛理はつま先を伸ばして、恭子に身体を預けて応える。
構内を行き交う人の目線などまるで憚らず、何度も何度も互いの唇を求め合う。
「んむッ❤︎……ぷはッ❤︎恭子ぉ……」
「ふふっ、愛理……❤︎」
トロンとした甘えた声で名を呼ぶ愛理に、恭子は再び強いハグで応える。
「キスしてもらったら……帰ろうと思ったんだけど……やっぱりダメみたい……」
「……いいの?」
一応確認する恭子に、愛理は目元で笑う。
「うんっ……シたい……❤︎」
2人は再び手を握り合い、もと来た道を戻ってゆく。
(倒錯した〝肉欲の世界〟で生きる私たちが、表裏ない愛を求めるのは……許されないことなの……?)
日常が崩れてゆく音と、そこにただ茫然と佇む事しかできない女。
今はただ、愛する人との許されるべき「愛の契り」を、この静かな夜に……。
肉欲の狂宴が幕を閉じ、〝眠らない街〟東京にまた別の朝がやってくる。
客の居ないフロアは夜通しの熱気がまるで嘘のように静かで、明るいライトに照らし出されたコンクリート壁の冷たい灰色が、ただ憮然たる装いで狂乱の余韻を過去のものとしていた。
すっかり平静を取り戻した愛理は、恭子やケイ、綺羅とともにフロアのソファで顔を突き合わせていた。
愛理が話を切り出す。
「恭子とケイに聞かなきゃならない事があるわ。今、このサークルで何が起こっているか、ARISAと史織がなぜ対立しているのか……」
澱みなく、明瞭に話す愛理の力強い声が、広いフロアに反響する。
「……ケイ」
恭子はソファに脚を組んだまま、向かいに座るケイに目配せをする。
「恭子……こうなった以上、愛理にも説明しておいた方がいいわ。どのみちいつかは伝えなきゃいけないし、今のうちに現状を頭に入れておいた方が……」
「……そう、だね」
ケイのアドバイスに、恭子は小さく頷いて応えるが、その顔はどこか迷いを帯びていた。
そんな2人のやりとりに肝を焼き、愛理が割って入る。
「恭子、大事なコトならハッキリ言ってよ。私だって、このサークルの一員なんだから。それに……」
愛理は焦ったそうに髪を掻き乱しながら、ソファに座る姿勢を正す。
「あの〝紅花〟って女、一体何者なの?何かこう……かなりアブナイ匂いがするわ……」
「うん、それも含めて……すべて話すよ。このサークルのこと、すべて……」
2
慌ただしく人が行き交う正午前の繁華街。
メイン通りを一本離れた雑居ビルの入り口手前で、久美と夏樹は立ち止まる。
「ここで待っていてもらえます?開けてもらうので……」
そう言うと久美はスマホで誰かに連絡をする。
どうやら入り口のガラス扉はオートロック式らしく、内側の人間が操作して解除する仕組みのようだ。
夏樹は不思議そうに雑居ビルを見上げる。
マンションと高層ビルの間に挟まれたその小さなビルは、外壁は煤けて雨垂れに黒ずみ、所々に細かな亀裂の補修跡もある。
お世辞にも立派とは呼べないその佇まいの中で、入り口のガラス扉だけが妙に浮いて見えた。
(こんな古ぼけたビルが、随分と厳重なセキュリティ….…)
「あ、夏樹さん。開きましたよ」
「……あぁ」
久美は夏樹に呼び掛け、重たそうに入り口のドアノブを引く。
中に入ると、埃っぽいエントランスの天井から、監視カメラがこちらを睨んでいる。
物々しさを感じる異様な雰囲気に、夏樹は思わず久美に問い掛ける。
「……ここに史織が?」
「ええ……このビル、史織さんの所有なんです。今はここが、史織さんの根城ですね」
ガチャンッ
ドアが閉まると同時に、ロックの落ちる音が重く響く。
「行きましょう。6階です」
早口に急かす久美に促され、狭く暗いエレベーターに乗り込む夏樹。
密室に流れる無言の時間に、否が応でも緊張が昂まる。
(史織はここで何を……?)
謎が解けぬまま、エレベーターが止まりドアが開くと、薄暗い廊下の奥に扉が現れた。
防火扉も兼ねているようなその無機質で分厚い鉄製の扉に「映像企画 BETRAYER」という、ごく小さなアクリルの表札が掲げられている。
「さぁ、ここが史織さんの仮住まいの事務所です」
ギィィ……
久美がドアノブを握り重い扉を開けると、部屋の明かりが眩く溢れて夏樹の顔を照らした。
3
(Betrayer……か)
都心の繁華街にありながら、まるで光から身を隠すように佇む影。
社名も、存在も、すべてが今の史織自身を表すような事務所だった。
狭く薄暗いオフィスの空間に、ノートPCが置かれたデスクが2つと、応接用の革張りソファに長机。
主要な事務用品と呼べるものは、それだけだった。
「お疲れ様です史織さん。昨日お話した、夏樹さんをお連れしました」
「あら、久美ちゃんご苦労様♪そして、お久しぶりね夏樹ちゃん……❤︎」
その女はソファに腰掛けたまま、夏樹の姿を見てニッコリと笑う。
「史織……さん」
彼女に微笑みを向けられた者は、誰しもが同じ感情を抱く。
研いだ刃を喉元に突きつけられるが如くの、血も凍るような恐怖。
その女の微笑みは、親愛ではなく威圧のために用いられる。
サークルNo.2の地位を追放されて、およそ3ヶ月……。
史織の姿が、そこにあった。
4
夏樹が史織に会ったのは、El Doradoの舞台で愛理と闘った、あの夜以来。
「ふふっ、夏樹ちゃん、よく来てくれたわね❤︎もう二度と会えないかと思ってた……」
「えと……その節は……どうも」
冗談めかして笑う史織の顔を、夏樹はまともに見ることができない。
私怨で起こした騒動とその顛末。
夏樹は誰にも話してはいないが、史織にだけは〝ぜったいに見抜かれている〟という確信めいた強迫観念があった。
向かい合うようにソファに腰を下ろすと、史織は脚を組み替えながら訊ねる。
「あらかたの内容は久美ちゃんから聞いてるけど……夏樹ちゃん、サークルから離れたいんですって?」
「まぁ……そんな感じです。もういいかなー、って。今の上層部のやり方が不満というか……ARIRAの下でやりたくないって感じですね」
「で、私のトコに来たい……と」
「あのサークルは、史織さんが大きくしたんですよね?なのに用済みになったら追放して、自分の周り従順なヤツらで固めて……ありえなくないですか?それに……」
夏樹は語気を強めて現状の不満を訴え、その後も完全にARISAと袂を分かつ決意と、史織の下で働きたい旨を語る。
ナンパ師特有の、口八丁手八丁の熱弁。
史織は無言で小さく頷く。
「うん、夏樹ちゃんの想いは伝わったわ。ウチは来る者拒まずだから、歓迎するわ❤︎」
「あっ……ありがとうございます」
その言葉を聞き、安堵の表情を浮かべる夏樹だが、その後の史織の言葉に再び顔が強ばる。
「ただし……一個だけ条件があるの」
「え……条件……?」
5
「これを見てちょうだい」
史織は一枚のDVDを取り出して、ノートPCに挿し込む。
ライトに照らされたステージの上で女同士が取っ組み合い、舌を絡めてキスをしている動画。
愛情表現ではなく、互いにプレイの主導権を握ろうと、相手を屈服させる為の荒々しいキス。
その動画に映る片方の女に、夏樹は驚きの声をあげた。
「えッ……愛理ッ!?」
映し出されたのは、〝El Dorado〟の試合。
動画は時々左右に揺れて、雑音混じりの、いかにも素人が撮ったような映像だが、間違いなくEl Doradoを盗撮したものだった。
「なんでこんなものが……!?」
夏樹が驚くのも無理はない。
El Doradoが開催されるハプニングバー「DEEP LOVER」はそもそも完全会員制であり、El Doradoはその人気からサークル会員の中でも取り分けスタッフの関係者や常連の紹介など、「選ばれた人間」しか観覧できない特別なイベントだ。
もちろん、プライバシー秘匿のため盗撮や盗聴は禁止されているし、オフィシャルな映像記録も残していない。
「ふふっ、驚いたかしら?愛理ちゃんの〝スケベな勇姿〟が余す所なく映っちゃってるわよね❤︎これ、昨日やってたEl Doradoの映像よ?」
史織は得意げに話しながら、夏樹の横に座り直すと、動画のチャプター画面を操作する。
「ホラ、まだまだたくさん……♪」
女たちのあらゆる試合が多角度的に撮影されている事から、おそらく盗撮者は複数人いるのであろう。
(マジか……)
その事が意味するところを、夏樹はすぐに理解した。
史織はすでに、サークルの〝分裂〟を実行し始めている──!
6
サークル会員内に潜在する「史織派」の動きが、もはや実効力を持った脅威としてすでに暗躍している。
ARISAという巨獣の腹の中で、無数の小さな蟲たちが、臓腑を喰らい始めているのだ。
その事実を知った夏樹の額に、じんわりと汗が滲む。
(史織はサークルをマジで潰す気なんだ)
内心の動揺を悟られぬように、話を進める。
「……で?条件ってのは何ですか?アタシにもEl Doradoの試合を盗撮しろって話?」
「あは、そうだ忘れてた♪」
どうという事はない、という風にぶっきらぼうに話す夏樹に、史織は笑いながら先程の愛理の動画を再び見せる。
「この愛理ちゃんの相手の娘いるわよね?」
愛理と絡み合う、金髪黒ギャル風の女。
夏樹には見覚えがない。おそらく正規のサークル会員ではない、何らかの紹介や推薦で選ばれた出場者だ。
だが、愛理と真正面から立ち合い、性技で互角に渡り合っている。
夏樹の目にも分かる、なかなかの技巧者だ。
「夏樹ちゃん♪この娘誰だと思う?ビックリするわよ!」
もったいぶるような史織の物言いにやや苛立ちを覚えるが、空気を察して、投げやりに聞いてやる夏樹。
「……この女、誰ですか?」
史織の方を向かずにPCの画面を見たまま問うと、史織はさも楽しげにこの女の正体を明かした。
「ふふふっ、なんと……愛理ちゃんの〝元カノ〟なんだって!!スゴい偶然ってあるわよね❤︎」
7
「愛理の元カノ!?」
さすがに夏樹も仰天し、目を丸くして史織の顔を見る。
「この娘、綺羅って名前でウチのソープに在籍してる娘なんだけど、私が抜けたあとにNo.1になった娘らしいわ♪本名は〝美雪〟って言うみたい」
史織はA4コピー紙に印刷された一枚の履歴書をピラピラと夏樹に見せる。
この個人情報も当然、事務員の久美が横流ししたデータだ。
「で、ひとつね……悪いコト思いついちゃったんだけど……❤︎」
史織は手に持つ履歴書を机の上にトンと置き、綺羅の写真を人差し指でなぞりながら、上目遣いに夏樹を覗き込む。
「この……愛理ちゃんの元カノさん?どんな方法でもいいから、夏樹ちゃんに連れてきて欲しいなー、って❤︎」
「この女を連れてくる……?」
史織の突拍子もない提案に、夏樹は怪訝そうな顔を見せるが、この場における自らの立場も理解しており、断るという選択肢がない事も知っていた。
「なんでこの娘を連れてきて欲しいか……分かるわよね?」
「……!」
ニッコリと微笑んだ眼の奥に宿る、有無を合わせない残酷な本性。
夏樹はそれ以上何も聞かず、黙って小さく頷いた。
「ありがとう、夏樹ちゃん♪あなた、察しがいいから助かるわ❤︎恭子ちゃんとは違うもの❤︎」
8
夏樹の事務所での滞在時間は約1時間。
「眩しい……」
ビルから出た夏樹は、外の明るさに思わず目を細める。
陰々滅々とした雑居ビルの澱んだ空気から解放されたものの、史織からの指令を頭の中で反芻する。
(綺羅……愛理の元カノ……連れてくる……)
女を食うのはお手のものだが、相手が高級ソープのNo.1ともなると些か骨を折りそうだ。
史織は「やり方は夏樹に任せる」と言った。その意味も、夏樹は汲み取っている。
(やっぱり史織は、アタシが愛理を攫った事を知ってた……そんで、その件を許す代わりに、アタシにやれって言ってんだ)
「とりあえず、本人に会ってみないとね」
人混みの中に歩き出す夏樹。
その背中を、ブラインド越しに窓から見つめる2人。
「いいんですかぁ?夏樹さん、絶対ARISAさんと繋がってますよ?」
「しばらく好きにさせるわ。そのために弱いトコ握ってるんだから♪」
史織と久美はクスリと笑い合う。
「この状況で夏樹ちゃんがどう立ち回るか、そしてARISAちゃんが何を仕掛けてくるか……楽しみね❤︎」
(甘いわねARISA……あなたが送り込んだ爆弾で、あなた自身が身を焼くのよ……!)
9
ギシッ、ギシッ……
「お"ォォッ❤︎ん"ぅぅンッ❤︎あ"ッ❤︎あ"ッ❤︎あ"ッ❤︎」
ある日の午前7時。
キンと冷えた冬の朝の空気に差し込む、朝の陽射しの温もり。
カーテンに閉ざされたマンションの一室に、ベッドの軋む音と獣のような喘ぎが響く。
「はァッ……はァッ……ホラ、勝手に休むなッ❤︎もっとヤラしく腰振れッ❤︎」
ピシャンッ!
「はゥッ!?❤︎はッ、はいィッ❤︎もッ、申し訳ッ……ん"ォォォッ❤︎」
跨りながら吼える女は尻を打たれ、言葉にならない謝罪を口にしながら再び大きな叫びをあげた。
平手で何度も打たれたであろう尻や太ももは赤く腫れ、被虐の凄まじさを白い肌に刻みつけている。
それでも全身が小刻みに震えるのは、恐怖や苦痛に怯えている為ではない。
彼女は肉体の被虐を心から愉しみ、止め処ない快楽の波動に身を震わせているのだ。
「ぁッ……イクッ……紅花さんッ……私またイク……ッ❤︎❤︎」
荒々しく女を下から責めるのは、先日「El Dorado」のステージでケイを相手に勝利した「紅花」……。
絶頂の予感に、女は媚びるような目線で紅花を見つめる。
汗と涙と涎と鼻水、顔から噴き出すすべての体液。
それらを拭う手間さえ惜しいほど、女はセックスに没頭していた。
「はッ❤︎はッ❤︎いいぞイけッ❤︎イキ狂えッ❤︎お前が今晩、何回イッたか言ってみな?」
「んひィッ❤︎そんなッ❤︎わがらなぃッ❤︎もッ❤︎もうわがらないぐらいイッでるゥゥゥ……ッ❤︎❤︎」
「あはッ❤︎アタシもわかんないッ❤︎30回までは数えてたけどねッ❤︎」
パンパンパンパンパンパンパンパンッ❤︎❤︎
「お"ほォォ────ッ!?❤︎❤︎奥ッ!❤︎奥ゥゥッ!!❤︎トロトロ子宮にチンポパンチ打たれてるゥゥゥゥッ!?❤︎❤︎」
足首を掴んで下から手荒に突き上げてやると、女は上体を仰け反り一際大きな声で唾を飛ばしながら絶叫する。
「うるっせー……いくら防音でも限度があるだろ。お仕置きが必要かな……❤︎」
気の触れた狂乱を呆れられようと、猛り狂う女は無我夢中に腰を振り続ける。
「おッ❤︎お"ォッ❤︎お仕置きッ❤︎お仕置きくださいッ❤︎んぎィッ❤︎」
「ドMマンコの一番深いトコに、とびっきり濃いヤツ……たっぷり射精してやるッ❤︎気合い入れて一滴残らず搾り取れッ❤︎」
「はィィィッ❤︎紅花さんのザーメンッ❤︎強くて濃ゆいザーメンッ❤︎はるかのオマンコティッシュに全ッ部❤︎コキ捨ててくださいィィィィッ❤︎❤︎」
10
上で腰を振る女、「はるか」は全身を震わせてセックスの快感に陶酔しながら、一寸ばかりの理性を何とか保つ事が精一杯だった。
パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎パンッ❤︎
「イクッ❤︎はるかッ❤︎出すぞッ!❤︎クソッ❤︎おォイクイクイクッ❤︎……ヴゥンッ!❤︎❤︎」
ビュ───ッ❤︎ビュクンッ❤︎ビュルッ❤︎
紅花はその長いペニスではるかの膣内を抉るように腰を打ちつけるて、宣言通り「はるかの最も奥」で射精した。
「ほォッ!?❤︎❤︎❤︎膣内ッ❤︎出ッ……❤︎ぉぉ……お"ォ"ォ"イグゥゥゥゥゥゥゥッ!?!?❤︎❤︎❤︎」
紅花の射精を子宮口で真正面から受け止めたはるかは、それに応えるように震えていた肉体をギュッと硬直させて、今宵〝何度目か分からない〟性的絶頂に達した。
「イッ❤︎……ぉ……ぅ……❤︎❤︎❤︎」
ドサッ……
紅花の上で果てたはるかは、まるで墜落するかのようにそのまま後方に倒れ込み、白目を剥いたまま意識を失った。
倒れた反動でペニスが引き抜かれた膣内はぽっかりと拡がり、充血した陰唇から泡立った白濁液がドロリとシーツに垂れ落ちる。
「はぁッ❤︎はぁッ❤︎……ふふッ、はるか……また〝トンじゃった〟ね……❤︎」
天井を仰いでひっくり返るはるかを見ながら、紅花はゆっくり起き上がる。
すると、まだ意識の戻らないはるかの髪を掴み、無理矢理に顔を上げさせた。
グイッ
「ぁぅ……❤︎ぅ……?」
視点の定まらないトロンとした目線を中空に泳がせながら、はるかの意識は未だ天の上だ。
「何回言えば分かるんだよ、このバカマゾ女……膣内に注いでもらったら、自分から咥えてキレイにしろって言ってんだろッ❤︎」
ポカンと呆けたままのはるか口元に、紅花はいきなりペニスを捩じ込んだ。
ズルル……❤︎
「ぅッ……ぉ……ゴフッ!?ゴホォォッ!!」
凶暴なペニスで喉を塞がれたはるかは、呼吸困難による反射ですぐさま意識を取り戻したが、気付いた時にはすでに紅花の腰振りは始まっていた。
11
ゴッ❤︎ゴッ❤︎ゴッ❤︎ゴッ❤︎
「あ~❤︎……すっげキモチぃ……❤︎はるかの喉とベロ、ズルッズルで超ヤバイッ❤︎」
「お"ェ"ッ!?❤︎ん"ぶッ❤︎ん"ン"ッ❤︎お"ごッ❤︎ん"ん"~~~!!❤︎❤︎」
自らの意思とは無関係に〝性器〟にされてしまったはるかの喉。
抵抗する気力さえ叩き折るような、紅花の暴力的な腰使いに、はるかの胸元や太ももは吐瀉した粘液でみるみる汚れてゆく。
あまりの息苦しさに顔は真っ赤に紅潮し、涙に潤む目も充血していた。
強者に身体を好き勝手に弄ばれる、哀れで無様な人権のない〝肉便器〟──。
だが、はるかという女にとって、それこそが〝愛の証明〟だった。
グプッ❤︎ジュルッ❤︎ガポッ❤︎プブッ❤︎
「くォォ……❤︎あッ❤︎また出るッ❤︎あぁクソッ❤︎この全身マンコ女がッ……❤︎❤︎」
射精欲の昂まりに、紅花の腰の振りがさらに早まる。
はるかの髪を両手で掴み、まるでオナホールにするような無遠慮な射精に向けて欲望を全力で叩きつける。
「あ"ッ❤︎ゴッ❤︎ん"ゥ"ッ❤︎ぶはァッ❤︎」
喉奥を突かれるたびに、下唇から滝のような胃液をダラダラと垂れ流しながら、はるかの目がカッと大きく見開かれる。
「んぐッ❤︎ん"ォ"ッ❤︎ンゥッ❤︎❤︎」
はるかの腰がガクガクと揺れる。シーツに爪を立てて必死に快楽に抗いながらも、それが「無意味な抵抗」である事、そして何より「待ち望んでいた未来」である事は、はるか自身が知っていた。
「ほら、はるかッ❤︎出すぞッ❤︎喉マンコにッ❤︎ザーメンショットでッ❤︎撃ち殺してやるからッ❤︎あァッ❤︎あ"~~イクイクイクイクッ❤︎イクイクッ❤︎……あォォゥッ!!❤︎❤︎❤︎」
ビュルッ❤︎❤︎ドプッ❤︎❤︎❤︎
紅花は力任せにはるかの顔面に腰を押し付け、喉の奥深くに射精した。
「~~~~~~ッッ❤︎❤︎❤︎」
(臭ッ❤︎苦ッ❤︎❤︎温かァァ……❤︎❤︎❤︎)
勢いよく発射された精液が口内に注がれ気道を塞ぎ、鼻腔を、味蕾を犯し、はるかの五感を一瞬にして占領した。
「ん"ンッ!!❤︎❤︎……ん"くゥゥゥ────ッッ❤︎❤︎❤︎」
「!?」
口を塞がれたはるかが何と叫んだかは定かではない。
ただ、肉体の激しい痙攣とひん剥いた白目は、はるかが達した合図だった。
12
はるかはベッドに大の字に倒れたままピクリとも動かない。
精魂尽き果てたように満足げな顔をしながら、深く呼吸して眠りについた。
「……もしもし?おつかれー」
紅花はベッドから降りて、カーテンを開け放った窓から街の景観を眺めて電話をかける。
「史織さぁ、今日紹介してもらった女、しばらくこっちに置いといていい?うん……そ、アタリだわ。サイコー。8発出した」
ベッドで寝ているはるかを横目で見ながら、紅花はケラケラと笑った。
「うん、最後は喉奥だけでイキやがったよ。こいつ大学生だっけ?ハタチ?救いようのないド変態マゾだね❤︎」
紅花はテーブルの上のタバコを手に取り火を着けると、立ち上る紫煙を目で追いながら電話口で呟く。
「アイツも同じだよ。〝El Doradoの看板娘〟ちゃん……❤︎」
13
「ねぇ、なんか久しぶりじゃない?2人でこうして歩くのって……」
「うん……愛理がサークルに入った日以来かな?」
いつか見た光景だった。
愛理と恭子は、駅へと続く繁華街の道を、2人でゆっくりと歩いていた。
時刻は22時。
その日、恭子からの誘いで2人は夕食に出掛けていた。
「なんか珍しくない?恭子がデートに誘うなんて」
「デートって言うか……日頃の労いと、El Doradoの昇格祝いも兼ねて……かな?」
「もう、恭子ってナンパ師のクセに妙なところが真面目よね?素直に〝愛理ちゃんとデートがしたいです〟でいいのよ!」
酒も相まってか、2人は他愛のない話を繰り広げながら、互いに笑い合う。
だが、笑いはすぐに溜め息に変わった。
「……」
「……愛理?」
愛理は思い詰めたような表情で立ち止まる。
眠らない街のネオンの賑わいと行き交う人混みの中で、2人だけが仄暗い闇夜に溶けてゆくような錯覚。
「……私、やっぱりまだ……この前の話、分からないよ。サークルの分裂も……その原因に私が関係しているなんて言われても……私、分からない……」
怯えるように恭子を見つめる愛理。
愛理は、サークルの危機的状況を恭子から説明されていた。
ARISAと史織の対立、そしてその渦中に〝愛理の存在〟が関係していること。
だがそれは、El Doradoのステージで頂点を目指すという目標を掲げていた今の愛理にとって、極めて残酷な現実であった。
恭子やケイが、この重大な問題を極力愛理自身には言いたくなかった理由も、愛理は汲み取っていた。
「ごめん……私バカだから……2人の気持ちに気付けなくて……」
「愛理、違う……愛理は何も悪くない」
今にも泣き出しそうな愛理を、恭子は強く抱きしめて慰める。
「愛理は巻き込まれただけだよ。サークルの事なんて、愛理が気にかけるような事じゃない……何かあっても……私やケイがいるから……」
(ダメだ、私……)
恭子は愛理を慰めながら、自らの言葉の軽さ、覚悟の足りなさを嘆いた。
(今は私が、このサークルのNo.2なんだから……!)
14
愛理と恭子は手を繋ぎ、ゆっくりと、ゆっくりと歩みを進め、駅の改札前まで来た。
「愛理、今日はありがとね」
「……うん」
小さく頷く愛理だが、握った手を離そうとしない。
恭子もまた、言葉とは裏腹に手を握ったまま離さない。
大きな恭子の手にすっぽりと包まれる、愛理の小さな手。
「ぅ……」
愛理は何か言いたそうに、艶めく唇を緩めたり結んだりしていたが、ついに堪らなくなり、恭子の胸に飛び込んだ。
「恭子ッ……」
「愛理……」
恭子は愛理の肩を抱き留めて、その豊かな胸に愛理の顔をうずめてやる。
不器用な2人の、不器用な愛。
「……帰りたくない」
「……私も、離したくない」
腕の中で、愛理が顔を上に向ける。
猫目の潤んだ大きな瞳が、切なそうに見つめている。
「愛理……」
チュッ……❤︎
愛しさに、思わず唇を重ねる恭子。
愛理はつま先を伸ばして、恭子に身体を預けて応える。
構内を行き交う人の目線などまるで憚らず、何度も何度も互いの唇を求め合う。
「んむッ❤︎……ぷはッ❤︎恭子ぉ……」
「ふふっ、愛理……❤︎」
トロンとした甘えた声で名を呼ぶ愛理に、恭子は再び強いハグで応える。
「キスしてもらったら……帰ろうと思ったんだけど……やっぱりダメみたい……」
「……いいの?」
一応確認する恭子に、愛理は目元で笑う。
「うんっ……シたい……❤︎」
2人は再び手を握り合い、もと来た道を戻ってゆく。
(倒錯した〝肉欲の世界〟で生きる私たちが、表裏ない愛を求めるのは……許されないことなの……?)
日常が崩れてゆく音と、そこにただ茫然と佇む事しかできない女。
今はただ、愛する人との許されるべき「愛の契り」を、この静かな夜に……。
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