常世封じ道術士 風守カオル

坂崎文明

文字の大きさ
1 / 26
第一章 柊の木の呪い

魔除け

しおりを挟む
 庭の木が伸びすぎて、せっかく植えたミカンの木が日陰になっている。

 母親からそんな話を聞いて、三本の庭木を切ることにした。

 要領が分からないので、とりあえず、枝を落としていって、2メートルぐらいの木を50センチぐらいにしてしまった。

 小さな庭の南西にあるひいらぎの木などは、みかんの木のすぐそばにあり、幹からバッサリ切ってしまい、枝一本を残してほとんどの枝を落とした。

 確かに、日当たりは良くなったが、ちょっとやり過ぎではと母親からも言われた。



 その日から、夢の中にそのひいらぎの木が出てくるようになった。

 耳を澄ますと気のせいか、イタイ、イタイという声が聞こえてきた。

 生きながら切れないノコギリで身体を切り刻まれたのだから、人間であれば失神しかねない重傷である。

 確かに、ひどいことをしてしまったと思った。


 翌朝、母親にその話をすると、まあ、あまり気にしないようにしなさいと言われた。

 もう切ってしまったのは仕方ないし、遅ればせながら剪定せんていの本などを読んだ。

 庭木の手入れは「 いみ えだ」というものを払う事によって、木の病気や発育を促すようにしないといけないらしい。

 二本、平行に生えている枝、根の近くから生えている枝、幹に絡んでる枝などの不要な枝を落としていって、散髪同様に枝をすいていくのが基本であるようだ。

 僕は柊ひいらぎの木の尊い犠牲のおかげで、隣のミカンの木を剪定せんていしていった。


 その日の晩もひいらぎの木の夢を見た。

 幹の切り口に小さな子供の顔が浮かび、その口がイタイ、イタイと言っていた。



 翌朝、この話を母親にしたところ、まあ、あまり気にしないように言われた。

 ただの夢なんだからと。 

 確かにそうである。 

 でも、柊の木について調べていたら、通常は北東の鬼門封じの魔除まよけの木らしいことが分かった。

 それが南西に植えられているというのは、少しおかしな気がした。

 普通、南西にはナンテンの木を植えて「裏鬼門封じ」とする。 

 節分の夜に、柊の枝、大豆の枝、イワシの頭を門の上におくと、悪鬼をはらえるという言い伝えもある。










-----------あとがき---------------------------------------------------

出だしはほとんど実話ですが、徐々に幻想世界の行ってしまうのが、伝奇SF小説のパターンです。ホラーというのは法螺ほらなのか?

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく… なお、スピンオフもございます。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...