『非正規社員 石田三成』~ショートストーリー集~

坂崎文明

文字の大きさ
89 / 98
第四章 日常編

メリカリ 南部鉄器急須

しおりを挟む
「メリカリの南部鉄器急須出品者に物申す!」

 パソコン画面を見つめていた織田信長が切れている。
 そこは東京目黒の三成の風呂なし安アパートである。
 真田幸村は大福を食べながら昆布茶をすすっている。

「信長様、どうしたんですか?」

 石田三成が心配そうに訊いた。

「わしは鉄分不足を補いたいので南部鉄器の急須が欲しいんだよ! 中がホーロー加工がどうか明記しろ!」

 織田信長が吼えている。

「うん、それは基本ですね」

 三成は同意する。

「大きさを書くのはいいのだが、お茶の作れる容量を明記しろ!」

「それはそうです。自分が買い手の気持ちになれば、当然、書かないといけないですね。全くです」

 三成はうんうんとうなづく。
 
「3000円の品を2000円に値切ったら素直に要望に応えろ! せめて間を取って2500円にしろ! 楽市楽座の基本だぞ!」

「確かに、1000円の値下げは痛いけど、500円なら大丈夫でしょう」

 三成が話を合わせる。

「2500円にして、さらに送料込みにすれば即決するぞ! それと茶こしも買ってきてサービスでつけろ!」

 信長は自分勝手な願望を叫ぶ。

「序・破・急! 急須だけに最後に畳み掛け欲しいですね。商売は勢いが大事です。値下げした上にサービス品を付けるのはテレビ通販では基本中の基本!」

 さすがに理財に明るい三成である。
 商売の機微がわかっている。
 テレビ通販もよく観てるようだ。

(――それはいくらなんでも合わせ過ぎだぞ、三成。妙な駄洒落が入ってるし。まあ、信長様には合わせないとやっていけないが)

 と心の中で真田幸村は思った。 










(あとがき)

 リアルのフリマで「南部鉄器急須」が3500~5000円(小、中サイズ)ぐらいであって、メリカリで「南部鉄器急須」で検索して探してたんですが、意外と安い。
 とはいえ、大体、相場は3000円ぐらいになっちゃう。
 2000円だとすぐ売れてしまいます。
 信長の言ってることが買い手の僕の要望なんですが、こういう顧客心理を把握すれば出品してもすぐに売れますね。
 3000円の品を2000円に値切ってきたら、惜しいと思っても、すぱっと売ってしまうのがいいですね。せめて500円引きにすれば売れるだろうし、送料込みにするのもいいですね。
 色々と質問するのも、めんどくさいので、これぐらいは明記、対応して欲しいな。というのがお菓子のセールスやってた僕の感想です。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

痩せたがりの姫言(ひめごと)

エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。 姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。 だから「姫言」と書いてひめごと。 別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。 語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転

小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。 人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。 防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。 どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

処理中です...