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Two phrase.*・゚ .゚・*.
4rd
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登校初日・・・、うん。悪く無かった。
純白という元気な女の子。一緒にいるだけで元気が心の奥から湧くような。
使用人の車の窓から外を眺めながら、今日の出来事が頭の中を巡った。胸がきゅんと暖かくなる。
外の景色は学園から離れ、どんどん田舎らしく。いや、木が生い茂っていく。まるで、森にでも入って行くかのようだ。
「あの・・・、シェアハウスに向かっているのですよね?」
「えぇ」
使用人はいつもの笑顔で答える。しかし、私は気付いた。バックミラー越しに見たその後の使用人の表情は、明らかに何かを隠した戸惑いの色を浮かべた顔だったことに。
嫌な予感がしないでもない。
まぁでも、これは緊張してるからなんだ。初めての場所、初めての1人暮らし。仲間はいるけど、自分の事は自分で、の生活。
不安で嫌な方向に考えが行ってしまうのも、わからんでもない。
そう思うだけで心が落ち着いた。よく見れば綺麗な緑。怖くなんてない。私は、深く深呼吸をして、丁度着いたシェアハウスを見詰めた。
「・・・っお邪魔致しますわ」
思った以上にそこは古びた洋館のような造りで、現代のあのシェアハウスのイメージとはかけ離れていた。
重い扉を開けると、つい声が乱れる。開けただけで息が切れてしまいそうだった。
玄関ホールは、金色に光る蝋燭のシャンデリアが吊るしてあって、赤黒いカーペットが、その先の階段へ続く。左右にはそれぞれ二部屋あり、扉の横には、おばあちゃんの家のようにランタンが付いていた。
「なんか全体的に似てるかも」
そう呟くと、階段の上から人影が降りて来る。その姿は蝋燭に照らされて、段々と顕になった。
赤い髪の少年?青年?
琥珀色の目で、私を睨みつける。
その拍子、ビクッと恐怖で体が震えた。私も随分と弱くなってしまったものだ。
「お前、誰だよ」
怖くても無視は出来ない。無理やり捻り出した声で自己紹介する。
「枢壬 煽姫と申します。本日から此処でお世話になる事になっているはずなのですが」
持ってきたキャリーバッグを盾に相手と話している私はなんとも情けない。あの頃の尖った神経はすべてが死んでしまったようだ。
「は?知らねぇな、まぁいい。退けよ」
彼は段々と近付いてくる。怖い。
私は、自然と本能的に横へ退いた。彼は私に一瞥すると、出口の扉は自然と開き、平然と外へ出て行く。
・・・不思議で、怖い人。
「もしかして煽姫ちゃん?」
彼を追いかけて扉に向けていた視線は、その声に引かれ、自然と階段へ向いた。
そこには、階段の手すりに腰掛けた白髪の青年がいる。背がスラリと高くて、とても美形。その青年は、スタスタと降りてきて私の目の前で止まると、ニコリと微笑んだ。んん、ちょっと胡散臭いかもしれない。
「僕は白鈴 羽衣。羽衣って、呼んでね。このシェアハウスの管理人をしています。宜しく」
なんて紳士的。かつやっぱり胡散臭い。
羽衣君は、私のキャリーバッグを慣れた手付きで取った。
「女の子に荷物持たせっぱなしにしとけないしね。部屋まで案内するよ。さぁ、おいで」
ここまで羽衣君に向けて一言も発せてなかった私は、やっと声を出す。
「あ、有難う御座います」
いいえ、と彼は微笑んだ。キャリーバッグを簡単に持ち上げると、カーペットの敷かれた階段を上って、二階の突き当たりにある私の部屋の前に着く。二階は廊下一本で、その脇にそれぞれ右に二部屋。左に三部屋。
突き当たりの部屋が空いているなんて、珍しいな。
「疲れてるだろうし、夜皆が集まってから自己紹介しようか。取り敢えず、ゆっくりおやすみ」
「あっ、はい」
羽衣君は気を使ったのか、部屋には入ってこなかった。荷物を私に手渡して、その場を去っていく。
部屋の扉を開けると、豪華な家具が揃っていた。
此処のシェアハウス、安いから入ったはずなのに。またおばあちゃんが揃えてくれたのかな?
ベッドも似たような天蓋付き。驚いたな、何処までお金持ちなんだろう。
私の足は自然とベッドへ進んだ。睡魔に負け、そのままベッドへ倒れ込む。羽衣君の言う通り、夜まで寝ておこう。そう考えると、自然と瞼は閉じた。
夢を見た。
血に濡れた私の夢を。
呼吸はどんどんとか細く、小さくなって行く。
即ち死を表した夢は、現実のように、目覚めた私の記憶に色濃く焼き付いていた。
純白という元気な女の子。一緒にいるだけで元気が心の奥から湧くような。
使用人の車の窓から外を眺めながら、今日の出来事が頭の中を巡った。胸がきゅんと暖かくなる。
外の景色は学園から離れ、どんどん田舎らしく。いや、木が生い茂っていく。まるで、森にでも入って行くかのようだ。
「あの・・・、シェアハウスに向かっているのですよね?」
「えぇ」
使用人はいつもの笑顔で答える。しかし、私は気付いた。バックミラー越しに見たその後の使用人の表情は、明らかに何かを隠した戸惑いの色を浮かべた顔だったことに。
嫌な予感がしないでもない。
まぁでも、これは緊張してるからなんだ。初めての場所、初めての1人暮らし。仲間はいるけど、自分の事は自分で、の生活。
不安で嫌な方向に考えが行ってしまうのも、わからんでもない。
そう思うだけで心が落ち着いた。よく見れば綺麗な緑。怖くなんてない。私は、深く深呼吸をして、丁度着いたシェアハウスを見詰めた。
「・・・っお邪魔致しますわ」
思った以上にそこは古びた洋館のような造りで、現代のあのシェアハウスのイメージとはかけ離れていた。
重い扉を開けると、つい声が乱れる。開けただけで息が切れてしまいそうだった。
玄関ホールは、金色に光る蝋燭のシャンデリアが吊るしてあって、赤黒いカーペットが、その先の階段へ続く。左右にはそれぞれ二部屋あり、扉の横には、おばあちゃんの家のようにランタンが付いていた。
「なんか全体的に似てるかも」
そう呟くと、階段の上から人影が降りて来る。その姿は蝋燭に照らされて、段々と顕になった。
赤い髪の少年?青年?
琥珀色の目で、私を睨みつける。
その拍子、ビクッと恐怖で体が震えた。私も随分と弱くなってしまったものだ。
「お前、誰だよ」
怖くても無視は出来ない。無理やり捻り出した声で自己紹介する。
「枢壬 煽姫と申します。本日から此処でお世話になる事になっているはずなのですが」
持ってきたキャリーバッグを盾に相手と話している私はなんとも情けない。あの頃の尖った神経はすべてが死んでしまったようだ。
「は?知らねぇな、まぁいい。退けよ」
彼は段々と近付いてくる。怖い。
私は、自然と本能的に横へ退いた。彼は私に一瞥すると、出口の扉は自然と開き、平然と外へ出て行く。
・・・不思議で、怖い人。
「もしかして煽姫ちゃん?」
彼を追いかけて扉に向けていた視線は、その声に引かれ、自然と階段へ向いた。
そこには、階段の手すりに腰掛けた白髪の青年がいる。背がスラリと高くて、とても美形。その青年は、スタスタと降りてきて私の目の前で止まると、ニコリと微笑んだ。んん、ちょっと胡散臭いかもしれない。
「僕は白鈴 羽衣。羽衣って、呼んでね。このシェアハウスの管理人をしています。宜しく」
なんて紳士的。かつやっぱり胡散臭い。
羽衣君は、私のキャリーバッグを慣れた手付きで取った。
「女の子に荷物持たせっぱなしにしとけないしね。部屋まで案内するよ。さぁ、おいで」
ここまで羽衣君に向けて一言も発せてなかった私は、やっと声を出す。
「あ、有難う御座います」
いいえ、と彼は微笑んだ。キャリーバッグを簡単に持ち上げると、カーペットの敷かれた階段を上って、二階の突き当たりにある私の部屋の前に着く。二階は廊下一本で、その脇にそれぞれ右に二部屋。左に三部屋。
突き当たりの部屋が空いているなんて、珍しいな。
「疲れてるだろうし、夜皆が集まってから自己紹介しようか。取り敢えず、ゆっくりおやすみ」
「あっ、はい」
羽衣君は気を使ったのか、部屋には入ってこなかった。荷物を私に手渡して、その場を去っていく。
部屋の扉を開けると、豪華な家具が揃っていた。
此処のシェアハウス、安いから入ったはずなのに。またおばあちゃんが揃えてくれたのかな?
ベッドも似たような天蓋付き。驚いたな、何処までお金持ちなんだろう。
私の足は自然とベッドへ進んだ。睡魔に負け、そのままベッドへ倒れ込む。羽衣君の言う通り、夜まで寝ておこう。そう考えると、自然と瞼は閉じた。
夢を見た。
血に濡れた私の夢を。
呼吸はどんどんとか細く、小さくなって行く。
即ち死を表した夢は、現実のように、目覚めた私の記憶に色濃く焼き付いていた。
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