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その名誉男性、女衒につき(5)
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香菜さんは、小さくため息をついて言った。
数年ぶりに急にこの女が訪ねてきたのにはこういう理由があるのだ。
祐介は香菜さんの表情から戸惑いというより、静かな怒りを感じていた。
「あら、なんで?勿体ないわよ!香菜ちゃん美人なのにインスタとかで顔出しもしてない
んでしょ?」
「うちは居酒屋なので。料理とお酒が主役です」
「そんな~。昔のよしみでお願い」
「ごめんなさい。お断りします」
香菜さんはぴしゃりと玉希さんを見て言った。
「あら、こわーい。香菜ちゃんは真面目だからね。これは失礼しました」
玉希さんが苦笑いを浮かべながら小さく頭を下げる。
「今の若い子って、香菜ちゃんみたいな真面目な子が多くてやり辛いのよー」
玉希さんはビールを勢い良く飲んだ。
「広告出してくれるスポンサーとの飲み会に連れていったら、ダブダブの黒いシャツと
ロングスカートとか履いてきて、愛想も悪ければお酌もしないの。後からに注意したら
『私の仕事は編集の見習いでラウンジ嬢じゃない』なんてこっちが怒られちゃうのよ。
私の時代は、察してノースリーブとか膝上のスカートとか履いて気に入られようとしたものよ。
ほんと話が通じなくて」
「え。そういうのって意図的なの?ノースリーブとか膝上スカートとか」
タクさんが思わず口を挟む。
「当然じゃない」
「それ、だって『気に入られる』ベクトルが違うんじゃないでしょうか。編集者の技術や
センスで気に入られるならともかく、女性の魅力でクライアントに気に入られても」
祐介がタクさんに加勢する。
「ちょっとちょっと、この能天気な道徳男子達は何?
編集者の技術も人脈も何もない若い娘がそのくらいやらなくてどうするのよ。
じゃなきゃ、広告料なんて引っ張ってこれないわよ」
玉希さんの語気が強くなって、二人を睨んできたのでタクさんと遼介は慌てて目をそらした。
「最近さあ、パパ活アプリっていうの?ああいうのが流行っちゃったおかげで、
飲み会に若い子連れていけないのよ。断られちゃうのよねえ。
ただでおっさんと飲み食いするの嫌ですなんて言う訳よ。
その辺の若い女の子がおやじとただお茶や食事をするのに対価を求める訳よ。
恐ろしい時代になったわよ」
「当然じゃないですか」
香菜さんが唖然とした表情で玉希さんに言った。玉希さんは「え?」と口の中でつぶやいた。
「女の二十代という貴重な時間を、恋愛対象でもない既婚者の男達の暇つぶしに付き合って、
欲望の視線を浴びてセクハラめいた質問を浴びせられる。
これは本来、水商売の女性がそれなりの高額な対価をもらって請け負う事です。
もし対価が支払われないのだとしたら、
搾取以外の何物でもない。
それを水商売を仕事にしていない若い女性達に気付かせのがパパ活アプリという訳です」
真顔で理路整然と説明する香菜さんを玉希さんがぽかんと口を開けてみつめている。
「あら、じゃあ香菜ちゃんは女の子がパパ活アプリやるの、賛成って訳?売春してる子もいるのよ」
「賛成な訳ないじゃないですか。
ただ若い女の子をクライアントやスポンサーの席に同席させてご機嫌をとって大きな仕事を受注する。
それ若い女の子にとって対価のないパパ活みたいなもんだって言ってるんです。
そういうの、若い女性を売っている『女衒』行為だって気付いた方がいいですよ」
数年ぶりに急にこの女が訪ねてきたのにはこういう理由があるのだ。
祐介は香菜さんの表情から戸惑いというより、静かな怒りを感じていた。
「あら、なんで?勿体ないわよ!香菜ちゃん美人なのにインスタとかで顔出しもしてない
んでしょ?」
「うちは居酒屋なので。料理とお酒が主役です」
「そんな~。昔のよしみでお願い」
「ごめんなさい。お断りします」
香菜さんはぴしゃりと玉希さんを見て言った。
「あら、こわーい。香菜ちゃんは真面目だからね。これは失礼しました」
玉希さんが苦笑いを浮かべながら小さく頭を下げる。
「今の若い子って、香菜ちゃんみたいな真面目な子が多くてやり辛いのよー」
玉希さんはビールを勢い良く飲んだ。
「広告出してくれるスポンサーとの飲み会に連れていったら、ダブダブの黒いシャツと
ロングスカートとか履いてきて、愛想も悪ければお酌もしないの。後からに注意したら
『私の仕事は編集の見習いでラウンジ嬢じゃない』なんてこっちが怒られちゃうのよ。
私の時代は、察してノースリーブとか膝上のスカートとか履いて気に入られようとしたものよ。
ほんと話が通じなくて」
「え。そういうのって意図的なの?ノースリーブとか膝上スカートとか」
タクさんが思わず口を挟む。
「当然じゃない」
「それ、だって『気に入られる』ベクトルが違うんじゃないでしょうか。編集者の技術や
センスで気に入られるならともかく、女性の魅力でクライアントに気に入られても」
祐介がタクさんに加勢する。
「ちょっとちょっと、この能天気な道徳男子達は何?
編集者の技術も人脈も何もない若い娘がそのくらいやらなくてどうするのよ。
じゃなきゃ、広告料なんて引っ張ってこれないわよ」
玉希さんの語気が強くなって、二人を睨んできたのでタクさんと遼介は慌てて目をそらした。
「最近さあ、パパ活アプリっていうの?ああいうのが流行っちゃったおかげで、
飲み会に若い子連れていけないのよ。断られちゃうのよねえ。
ただでおっさんと飲み食いするの嫌ですなんて言う訳よ。
その辺の若い女の子がおやじとただお茶や食事をするのに対価を求める訳よ。
恐ろしい時代になったわよ」
「当然じゃないですか」
香菜さんが唖然とした表情で玉希さんに言った。玉希さんは「え?」と口の中でつぶやいた。
「女の二十代という貴重な時間を、恋愛対象でもない既婚者の男達の暇つぶしに付き合って、
欲望の視線を浴びてセクハラめいた質問を浴びせられる。
これは本来、水商売の女性がそれなりの高額な対価をもらって請け負う事です。
もし対価が支払われないのだとしたら、
搾取以外の何物でもない。
それを水商売を仕事にしていない若い女性達に気付かせのがパパ活アプリという訳です」
真顔で理路整然と説明する香菜さんを玉希さんがぽかんと口を開けてみつめている。
「あら、じゃあ香菜ちゃんは女の子がパパ活アプリやるの、賛成って訳?売春してる子もいるのよ」
「賛成な訳ないじゃないですか。
ただ若い女の子をクライアントやスポンサーの席に同席させてご機嫌をとって大きな仕事を受注する。
それ若い女の子にとって対価のないパパ活みたいなもんだって言ってるんです。
そういうの、若い女性を売っている『女衒』行為だって気付いた方がいいですよ」
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