最強師匠ズ、才能なしチートなしの私を育てる

ノミ

文字の大きさ
87 / 100

八十五話 探し出せ!馬鹿師匠ズ! ②

しおりを挟む
「……居そうだよね……」
「た、確かに居そうですが駄目です! こんなところ私達がいちゃ駄目です! こんな、風俗街なんて!」

 街の入口で全力で引き止めるミイナ。ここは正しく大人の世界。女性二人しかも未成年が居ていい場所な訳がない。大人の男の為の街、風俗街。

「で、でもぉ……。師匠もだけど、シオンもいるかもしれないよ……?」
「え、シ、シオンさんも……?」

 否定していたミイナの勢いが弱まる。でも、だってなどとグダクダするのはいいが、入口とは言えここはもう既に風俗街だ。

「……いくらだ?」
「え? なに?」
「二人でいくらだ?」
「え、え、なにが?」
「……五万でいいか?」
「ご、五万?」
「リ、リンさん! 行きますよ!」

 入口でグダる二人に男が声をかけてきた。突然の当然の結果にうろたえるリン。予想出来た結果に対応出来ないリンに呆れつつリンを引っ張りミイナは走り出した。

「ハァハァ……」
「い、いたいミッちゃん……」
「ご、ごめんなさい。でも、駄目ですよ。あんなところ」 

 ミイナに引っ張られ二人は風俗街から離れていく。だがしかし、まだリンの目は向こうから離れない。

「だ、だっていそうじゃん。二人共男だし……」

 確かに二人共性別は男性である。居てもおかしくはない。それに一日中探し回って見つからなかったということはこういう探していない所に居るということ。可能性があるぶん諦めきれないのはミイナも理解している。

「いや、そうですけど……。……分かりました。じゃあ、私が行ってきますから。リンさんはここで待っていて下さい」
「ええ!? ミッちゃん一人なんて危ないよ!」

 未成年の女性が一人だろうが二人だろうがここではほぼ危険度など変わらなそう、むしろより注目を集めて危険かもしれない。
 年齢的にも色々と一番危ないリンがミイナを心配する。ありがた迷惑な感じもしなくはないが、幼くとも彼女は師匠なのだ。

「やっぱりボクも行く! 大丈夫! 何かされそうになったらチョン斬ればいいんでしょ?」
「……いや、平和に行きましょうね」

 未成年で女性でも戦力的には問題無い二人は覚悟を決め戻って行った。



「すいません! チョビ髭でデッカくて変な服着た人と真っ黒の人見ませんでしたか!」
「あん? いや、見てねえけど」
「ありがとう! よし、次!」

 覚悟を決めた二人は早速聞き込みを開始する。ここでは自慢の目や耳も逆効果。見ざる聞かざる余計なことを言わざるで突き進む。とはいかなかった。

「いやいや、ちょっと待てよお嬢ちゃん。人に聞くだけ聞いといてそれで終わりか?」
「え? ありがとうって言ったよ?」
「ここじゃ感謝は言葉じゃなく行動で示すんだよ。ほら、脱げ」
「は? 何言ってんの?」

 聞き込み一人目から面倒事に絡まれてしまう。

「女だからって手出されねえと思ってのか? 俺は気が短えんだ。さっさとしねえと殺すぞ」
「は?」

 男はリンをただの少女と思っているのだろう。だが、よく見るべきだった。顔や体だけでなくもっと細部を。腰に得物がぶら下がっているのを。
 そして、苛ついたリンの手が腰へと向かうその時、

「よーほぉ。お? なんだ? 喧嘩か? やれやれぇ! いいぞぉ~やっちまえー! 喧ウヒぃく! かはいあはははははっ! どばならうぃほへへへへぇ!」
「な、何この人!?」

 奇人が割って入ってきた。

「てめえ……、レオニクス。何の用だ?」
「よぉー? よーよおー知らねえよー!! よぉーYo! んははははあ!」
「うっ、くさっ。酒くさっ」

 見ても聞いても嗅いでもどれでも分かるまさに酔っ払い。典型的な酔っ払いに敵も味方もない。自由に暴れて自由に荒らして場を乱す。

「……チッ。シラケたぜ」
「い、行きましょうリンさん……」

 だが、今回はそれが良い方向へ。酒臭い乱入者により場の空気も変わり、男も二人も足早に場を離れようとする。酔っ払いには絡まないのが一番と判断したのだろう。賢明な判断だ。

「あ、おーい! 待て待てぇ! まだ俺のYo!が終わってねえよぉ!?」
「は?」

 だが、それを許さない酔っ払い。そして、呼び止めて振り向いたリンへYoを。

「カワイイ子にはパイTouch!」
「へ?」

 ペタッと酔っ払いの両手がリンの両胸へ。予想だにしなかった出来事。されたリンも見ていたミイナも絡んできた男も呆気にとられ固まった。

「Yo!が済んだから帰るヨウ! グッバイィー!!」

 そんな中一人元気な酔っ払い。ヒュンッと颯爽に走り出し、千鳥足なのにあっという間に消え去ってしまった。

「………………な、な……、なんなのあいつーーー!!!?」

 突然の予想外過ぎることに呆気に取られていたリンがようやく叫ぶ。だが、時すでに遅し。あいつはもう居なくなっていた。

「な、あ、あいつボクの、む、胸触って、は、な、なんなのあいつーーー!!!」

 混乱のあまり同じことを叫び続けるリン。甲高い叫び声が辺りに響き渡る。その声に多くの人が引き寄せられ、なんだなんだとちょっとした騒ぎになり出している。

「リ、リンさん、落ち着い……」
「ぎゃあぎゃあうるせぇ! そんなに殺されてえのかクソガキ!!」
「なんっ、…………………………は?」

 叫ぶリンへさっきの男が怒鳴つける。なんとか落ち着かせようとしていたミイナの顔がそれを聞いて歪む。それは怒りの矛先が自分に向くだけの愚かな行為になるだけだと。

「…………そう言えばさっきからボクのこと殺すとかどうとか言ってたね。いいよ。お望み通りやってみなよ。……やれるならね」

 場の空気が一気に凍り付く。凍てつくリンの威圧にこの三人の場だけではなく、辺り一帯の異様な艶めいた空気全てが凍り、全ての人の目がリンへと釘付けになる。それから目が離せず、指一本たりとも動かせぬ凍てつく世界へ。

「リ、リンさん……。駄目ですっ…………」

 自分に向けられた訳ではないのに声を絞り出すので精一杯なミイナ。そんなものを向けられた男はどうだろうか。結果は見ての通り息一つ出来ない様子で凍りついている。

「……なにミッちゃん。誰の味方してんの?」

 怒りで頭がいっぱいの今のリンにはミイナですらもその対象に。向けられた冷たき威圧にミイナも声すら出せなくなり凍り付く。まるで刃が全身に突きつけられているかのように指一本動かせず、呼吸すらもまともに出来ない。

 親しき仲であるミイナですら止められる様子の無いリン。
 遂にその手が腰に下げた刀へと向かう。最早この場でリンを止められる者はいない。
 
 哀れな男の死を誰もが覚悟したその時、

「なーにやってんだか。ここはそういう場所じゃねえっての。お子様は帰った帰った。お義父さんが心配してるぜ?」

 凍った空気なんて一切意に介さない影が現れた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転

小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。 人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。 防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。 どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...