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八十九話 古本屋 ③
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「リン、ミイナ何故ここに……」
古本屋へ入って来た客は二人が探していた人物の内の一人、コウジだった。
「師匠こそなんっ……」
「お前か?シバルト」
「いいえ。私は何も」
リンの言葉を遮るかのようにコウジは古本屋の店主へと詰め寄る。シバルトと呼ばれた店主はコウジの圧にも眉一つ動かすことなく冷静に答える。
「なら何故っ……」
「シオンに言われて来たんだけどっ!」
「……シオンボーイ? ……やはり面倒な奴だな」
そんなコウジに少しムッとし、今度はリンから割って入る。割って入り、声を荒らげた。
「そんなことより今までどこに行ってたの!? 探したんだよっ!?」
「……何処でもいいだろう」
「よくない! 行き先ぐらい言いなよ!」
「はあ。前に野暮用があると言っただろう。それだ」
「野暮用ってなに!?」
「……大人の世界のことだと言っただろう」
喰い付いてくるリンに対し、面倒くさそうに答えるコウジ。いや、面倒くさそうというより触れられたくないと言うべきか。
「……何。大人の世界って。昨日もそこに行ってたの」
「そうだ」
「どうせ風俗街とかでしょ」
「……そうだ。よく分かってるじゃないか」
「昨日ボクも風俗街に行ったんだけど」
「何!? 何をふざけたことを……」
「ふざけてんのはそっちでしょ!! 嘘付かないでよ!! 昨日師匠は風俗街なんか行ってない!! 行ってたら気付かないわけないもん!!」
リンの鎌にコウジがかかる。昨日二人は風俗街へ行き、騒ぎを起こした。あれ程の騒ぎをその場に居たのなら知らないはずがない。もし仮に騒ぎ自体には興味を持たず知らなくても、リンのあの殺気を達人であるコウジが気付かない訳がなかった。
「気付かな……お前、本当に風俗街なんかに行ったのか!?」
「そうだけどっ! なにかっ……」
「ふざけるな!! お前はどこ行っているんだ!!」
声を荒らげるリンよりも更に大きくコウジが声を荒らげる。
「は、はあ!? そっちが行き先も言わずどっか行っちゃうからでしょ!? だから、行きたくもない風俗街なんて行ったんだよ! 師匠を探しに!!」
「私を探しにだと!? 私があんなところに居ると思ったのか!? あんな汚らわしいところに! あそこがどう言う場所か分かってるいるのか!? みながあそこで望んで働いているとでも思っているのか!? あそこにいる者は金に苦しむ者、脅迫に怯える者、薬、魔法で無理矢理働かさせられる者ばかりだ! お前も一歩間違えば二度と出られなくなるところだったんだぞ!!?」
普段のコウジからは考えられない程怒りをあらわにする。いつも落ち着き紳士風なコウジが、今はツバが飛ぶのも気にせず大声で叫び歯をむき出しにし怒る。それは正に鬼の形相。
「分かっているのかっ!!?」
「……こ……、こんな時だけ父親面しないでよ!! ボクのことなんか本当はどうでもいいくせにっ!!」
「どうでもいいわけ……」
「だったらなんで教えてくれないのっ!! どこに行ってたの!? 何をしてたのっ!?」
そんなコウジの威圧に一瞬怯みはしたもののリンも黙ってはいられない。隠し事を暴かんと矢継ぎ早に問い詰める。
それに対し、コウジは
「……お前には関係の無いことだ」
秘密を貫き通した。
「っ! もういいっ! 師匠なんか知らないっ!!」
「リンさんっ!!」
コウジの返答を受けリンの顔が歪む。そして、勢いよく扉が開けられ、外へ出て行くリン。ミイナもそれを追い出て行き、店にはコウジとシバルトの二人が残された。
「……あなたも追わなくてよろしいのですか?」
「……私が行って何になる。……どうせもう会うこともあるまい」
「……そうですな」
残された二人は開けられた扉から走り去って行く二人の背中をただ見つめていた。
「……あと二週間ですか」
扉はまた閉まった。
古本屋へ入って来た客は二人が探していた人物の内の一人、コウジだった。
「師匠こそなんっ……」
「お前か?シバルト」
「いいえ。私は何も」
リンの言葉を遮るかのようにコウジは古本屋の店主へと詰め寄る。シバルトと呼ばれた店主はコウジの圧にも眉一つ動かすことなく冷静に答える。
「なら何故っ……」
「シオンに言われて来たんだけどっ!」
「……シオンボーイ? ……やはり面倒な奴だな」
そんなコウジに少しムッとし、今度はリンから割って入る。割って入り、声を荒らげた。
「そんなことより今までどこに行ってたの!? 探したんだよっ!?」
「……何処でもいいだろう」
「よくない! 行き先ぐらい言いなよ!」
「はあ。前に野暮用があると言っただろう。それだ」
「野暮用ってなに!?」
「……大人の世界のことだと言っただろう」
喰い付いてくるリンに対し、面倒くさそうに答えるコウジ。いや、面倒くさそうというより触れられたくないと言うべきか。
「……何。大人の世界って。昨日もそこに行ってたの」
「そうだ」
「どうせ風俗街とかでしょ」
「……そうだ。よく分かってるじゃないか」
「昨日ボクも風俗街に行ったんだけど」
「何!? 何をふざけたことを……」
「ふざけてんのはそっちでしょ!! 嘘付かないでよ!! 昨日師匠は風俗街なんか行ってない!! 行ってたら気付かないわけないもん!!」
リンの鎌にコウジがかかる。昨日二人は風俗街へ行き、騒ぎを起こした。あれ程の騒ぎをその場に居たのなら知らないはずがない。もし仮に騒ぎ自体には興味を持たず知らなくても、リンのあの殺気を達人であるコウジが気付かない訳がなかった。
「気付かな……お前、本当に風俗街なんかに行ったのか!?」
「そうだけどっ! なにかっ……」
「ふざけるな!! お前はどこ行っているんだ!!」
声を荒らげるリンよりも更に大きくコウジが声を荒らげる。
「は、はあ!? そっちが行き先も言わずどっか行っちゃうからでしょ!? だから、行きたくもない風俗街なんて行ったんだよ! 師匠を探しに!!」
「私を探しにだと!? 私があんなところに居ると思ったのか!? あんな汚らわしいところに! あそこがどう言う場所か分かってるいるのか!? みながあそこで望んで働いているとでも思っているのか!? あそこにいる者は金に苦しむ者、脅迫に怯える者、薬、魔法で無理矢理働かさせられる者ばかりだ! お前も一歩間違えば二度と出られなくなるところだったんだぞ!!?」
普段のコウジからは考えられない程怒りをあらわにする。いつも落ち着き紳士風なコウジが、今はツバが飛ぶのも気にせず大声で叫び歯をむき出しにし怒る。それは正に鬼の形相。
「分かっているのかっ!!?」
「……こ……、こんな時だけ父親面しないでよ!! ボクのことなんか本当はどうでもいいくせにっ!!」
「どうでもいいわけ……」
「だったらなんで教えてくれないのっ!! どこに行ってたの!? 何をしてたのっ!?」
そんなコウジの威圧に一瞬怯みはしたもののリンも黙ってはいられない。隠し事を暴かんと矢継ぎ早に問い詰める。
それに対し、コウジは
「……お前には関係の無いことだ」
秘密を貫き通した。
「っ! もういいっ! 師匠なんか知らないっ!!」
「リンさんっ!!」
コウジの返答を受けリンの顔が歪む。そして、勢いよく扉が開けられ、外へ出て行くリン。ミイナもそれを追い出て行き、店にはコウジとシバルトの二人が残された。
「……あなたも追わなくてよろしいのですか?」
「……私が行って何になる。……どうせもう会うこともあるまい」
「……そうですな」
残された二人は開けられた扉から走り去って行く二人の背中をただ見つめていた。
「……あと二週間ですか」
扉はまた閉まった。
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