死路ノ化身〜a white incarnation〜

ひなしろ

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#004

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目をつけられるどころか賭けの対象にまでされていた僕はその頃、王城地下へと続く石造りの螺旋階段を延々と下っていた。

そのせいで、ちょいちょい出てくるセーブポイントみたいな扉も毎度お馴染みになって、取っ手の形や木の質感、止め具の数なんかも覚えつつある。

ぐるぐると回り下りるせいで酔って眩んでフラフラになって、ついに感覚がバグってしまったのか、異臭・汚臭・腐乱臭………いや、腐乱臭は言い過ぎだけど、とにかく変な臭いがするような気さえしている。

これはまずいので、とりあえず扉を開ける前に酔い覚ましも兼ねて、地下へ降りる前から振り返ってみよう。


門番兵に親切にしてもらう

人事部の人に会う

仕事内容の詳細を尋ねる

王城の地下で飼育している"ペット"の世話を泊まり込みでやるのが仕事と説明される

地下へ繋がる階段へ案内される

延々と階段を下っている   ←イマココ


ここからは僕の妄想と想像にお付き合いください。


『ペットをこんな地下で飼育しているなんて大丈夫なのか?』

『地下で飼育しなければならない理由わわけってなんだ?』

『ペットっていっても、ライオンやトラのような危険な動物とか?』

『もしかして、猛獣や道化師が芸をする……………えっと、たしか"サーカス"だったかな?そういうことをやるのかな?』

『仮のそうだとしたら、僕が雇われたことも少しは理解できるな。』


なんて、妄想想像に自問自答しながら扉を開けると、また扉が。しかも今までのものとは明らかに違った構造が、余計に重々しい雰囲気を醸し出させている。扉に近づくと、鼻が一瞬で終わりそうなくらいのひどい臭いが漂ってきて、

「うっ……。」

と声が漏れた。上で感じた異臭は感覚バグなんかじゃなくて、むしろ正解だったってことか。

ほんとはもう少し扉の前でウジウジしていたいところだけど、そういうわけにもいかないもんだから、とは思いつつも内心少しビビって、でもしっかりと取っ手を握って恐る恐る扉を開けた瞬間とき、僕はまた"嘘"をつかれたことに気づく。


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