君と詠う歌

いつもの日々

思い出を
思い出せなく
なる前に
君との日々を
詠い残そう





餌運ぶ
脚にまとわりつく君の
その柔らかさ
その温かさ



膝の上
手を伸ばす君
抱えれば
手からヌルリと
逃げて睨んで



膝の上
乗る乗らないの
イザコザを
最低二度は
繰り返す朝



膝に乗る
君撫でながら
雑誌読む
視界の端を
行く黒い虫



衝撃と
痛みで起きる
夜明け頃
飛び込んできた
肩口に猫



コタツで寝
うなされてから
目覚めると
胸に座った
君と目が合う



部屋の隅
見つめる君の
目の先に
ウネウネ進む
謎の幼虫



得意げに
虫を捕まえ
小走りに
ベッドに向かう
君に困った



窓の外
眺める君に
「何か居る？」
そう尋ねれば
「ううん」と鳴いて






愛猫を
だしに自撮りを
することは
あまりいい気が
していなかった






さよならを
君にいうのは
ずっと先
そう信じたい
そう信じよう