君と詠う歌

鯨井イルカ

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その後

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折に触れ
君がいないと
嘆く日々
いつまで続く
いつまで続く






君が去り
おいてきぼりの
日々の中
写真の中にだけ君が居る



フォルダーに
君の写真は
残っても
一枚もない
君との写真




愛情と
呼べる気持ちに
気づくのは
何故か全てが
終わった後だ



思い出す
小春日和の
モンキチョウ
去年と違い
寒すぎる秋



十五年ぶりのあなたがいない家
見慣れた庭に
真っ黒な猫




違う色
違う手触りの背中と
君によく似た
高い鳴き声



君を撫で
「じゃあね」と告げた
あの日から
少し進んだ
私の時間



黒猫は
時折私の肩見つめ
にゃあと鳴いたり
ムスッとしたり



哀しみが
少し遠くへ
行った秋
胸に戻ってきた温かさ



気のせいと
言われようとも
信じよう
君は今でも
すぐ傍に居る








いつまでも消えない愛をくれた君茶トラ模様の私の子猫
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みんなの感想(1件)

生津直
2019.08.13 生津直

特別猫好きというわけではないし、動物を飼ったこともない私ですが、泣かされちゃいました……。時間の経過や、一篇一篇の歌の間に存在したであろう出来事や場面が伝わってくるようでした。最後に温かさを取り戻してくれているのがまたミソですね☆

鯨井イルカ
2019.08.13 鯨井イルカ

感想をいただき、ありがとうございました!
何というか、諸々の感情がむき出しでお恥ずかしい限りですが……可愛い猫とバカな飼い主が、どこかで暮らしていたということが伝えられたのなら幸いです。

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