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自分のための香りと運命の人
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タワーマンションの高層階にある誠の部屋にて。
紗江子はリビングに案内され、白い革張りのソファーにぼんやりと座っていた。
そこへ、炭酸水の注がれたグラスを手にした誠がやってきた。
「お待たせしました。、まずはこれをどうぞ」
「ありがとう、ございます」
グラスを受け取り中身を飲むと、酔いが少しさめた気がした。
いっそのこと、酔ったままの方が楽なのに。そんなことを考えていると、誠が穏やかに微笑みかけた。
「気分はどうですか?」
「おかげさまで、楽になりました」
「なら、よかった。それでは、さっそく間違いの訂正を始めましょうか」
その言葉に、紗江子はビクリと肩を跳ねさせた。しかし、そんな緊張をよそに、誠はリビングを出ていった。
呆気に取られていると、すぐに誠は戻ってきた。手には木箱が抱えられている。
「あの、神谷さん、それは?」
「香水のサンプルですよ」
「香水の、サンプル?」
「はい」
問い返す紗江子に向かって、誠は笑顔でうなずいた。
「さっき、言ったでしょう? 香水は、自分が心から気に入ったものを選んだ方がいいって」
「それは、そうですが……」
どちらかと言えば、魅力的だ、という方を行動で証明してほしかった。そんな思いをよそに、誠は木箱から次々と、ラベルのついた小さなスプレーボトルを取り出した。
「あの香水が苦手、という方が好みそうなものを持ってきましたので、どうぞご自由に試してください」
そう言いながら、今度は木箱からテスト用の厚紙を取り出す。紗江子はおずおずとスプレーボトルの一つの手に取り、テスト用紙に中身を吹きつけた。その途端、イチゴとモモが混ざったような、甘い香りが広がった。
「いい香り……」
それだけでなく、前にどこかで嗅いだことがある気がする。しかし、それがいつのことだったかは、思い出せない。多分、それほど昔ではなかったはず。
記憶を掘り返していると、誠が別のボトルを差し出した。
「それはよかったです。では、他のものもぜひ試してみてください」
「……はい」
紗江子は思い出すことを諦め、勧められるまま、次々と香水を試していった。
オレンジのような香りや、バラの香り、線香のような香りまで、様々な香りが広がる。
ひとしきり試すと、特に気に入った香りがいくつか見つかった。無意識のうちにそれらのボトルを手元に並べていると、誠がコクコクとうなずいた。
「なるほど、この三つが気に入ったんですね?」
「はい」
「そうですか……、それでは、シャワーを浴びてきてください」
「……え?」
突然の言葉に紗江子は戸惑った。
たしかに、何があってもいいという気持ちでここまできた。
それでも、このタイミングは、唐突すぎじゃない?
ムードもなにもあったのもじゃないし。
そんなことを考えていると、誠はニコリと笑った。
「香水はしばらく時間が経つと、香りが変化するんです」
「香りが……、変化する?」
「はい。紗江子さんが選んだものは、すべて三十分くらいで変化するものです」
「へえ……、どんなふうに変わるんですか?」
「それは三十分後のお楽しみです」
「そう、ですか」
「はい。たしかに、なにもせずに待つには長いかもしれませんが……、その間にシャワーを浴びれば、鼻もリフレッシュして、香りの変化をより楽しんでいただけるかと思いますよ」
「でも、着替えが……」
「ああ、それなら安心してください。来客用のパジャマがありますので。さすがに下着まではないですが」
「……ありがとうございます」
あまりにも色気のない展開に落胆しながらも、紗江子はバスルームへと向かった。
シャワーを浴びてバスルームを出ると、グレーのシワ一つないパジャマに着替えた。嫌な臭いはもちろんないが、柔軟剤の香りもない。
シャンプーやボディソープも無香料だったのも、香水職人だからだろうか?
そんなことを思いながらリビングへ戻ると、誠はソファーに腰掛けていた。
「お帰りなさい。どうぞ、こちらへ」
笑顔で隣に座るようにうながされ、紗江子は軽く頭を下げてソファーに向かった。腰をかけると、誠はテスト用紙を一枚差し出した。
「さあ、先ほど選んだ香りを、また確かめてみてください」
「分かりました」
うながされるまま受け取り、鼻先に近づける。
その途端――
「うぇ……」
――えずくような声が漏れた。
テスト用紙からは、ほのかに生臭い香りが漂っている。シャワーの前までは、たしかにバラの香りがしていたはずだった。
「お気に召しませんでしたか?」
「すみません、ちょっと……」
「では、こちらはどうでしょうか?」
差し出されたテスト用紙を受け取り、再び鼻先に近づけた。
「うっ……」
またしても、えずくような声がこぼれた。
テスト用紙は、古い胃腸薬のような渋い臭いを放っている。さきほどまでは、たしかにオレンジの香りがしていたはずだった。
「これも、ダメみたいですね?」
「……はい。せっかく、用意していただいたのに、すみません」
「いえいえ、謝ることではないですよ! それに、まだ最後の一つがあります」
「そう、ですね……」
そうは言っても、きっと次もおなじことになるんだろう。
どんなにいい香りでも、時間が経てば気に入らない臭いに変わってしまう。
そんな諦めを抱きながら、最後に残ったテスト用紙を受け取った。それは、最初に手に取ったイチゴとモモの香りがする香水を吹きつけたものだった。
薬臭さや焦げ臭さを想像しながら、テスト用紙を鼻先に近づけた。
しかし、鼻腔に広がったのは、予想と全く違う香りだった。
まるでシロップのような甘い香り。
紗江子は戸惑いながらも、うっとりと目を細めた。
「いい香り……、きゃっ!?」
不意に肩を抱き寄せられ、短い悲鳴とともに、テスト用紙が手からハラリと落ちた。
「あの……、神谷、さん?」
「やっぱり、これを選んでくれた……、貴女は俺の運命の人だ」
「やっぱりって、いったい……、んむっ!?」
問いかける紗江子の唇を、誠の口がふさいだ。そのまま、熱を持った舌が唇を割り開き、口内に侵入してくる。
「んーっ……」
抗議するように、身をよじったが誠は唇を離さなかった。それどころか、さらに深く口づけ、口内の敏感な部分を器用に刺激してくる。
「ん……、うっん……」
舌をキュッと吸われたり、上顎をねっとりと舐められたりするたびに、紗江子は短いうめき声を漏らし、背筋を走るゾクゾクとした快感に身を震わせた。
「ん……」
次第にうめき声も小さくなり、舌が絡まる水音だけが響いていった。
身をよじるわずかな抵抗すらできなくなったころ、唇はようやく離れた。浅い呼吸を繰り返しながら見つめる先では、誠が恍惚とした表情を浮かべていた。
「ふふふ、とても愛らしい表情ですね」
そんな言葉とともに、骨張った指が半開きの唇をなでる。
「二つ目の間違いも……、これから正していいですか……?」
艶っぽくささやかれる言葉に小さくうなずくと、指は唇を離れて肩に添えられた。そのまま、ソファーに押し倒され、再び唇を奪われる。
「もう、離してあげませんからね……」
そんな言葉を耳元でささやかれながら、紗江子はリンゴに似た香水の香りに身を任せた。
紗江子はリビングに案内され、白い革張りのソファーにぼんやりと座っていた。
そこへ、炭酸水の注がれたグラスを手にした誠がやってきた。
「お待たせしました。、まずはこれをどうぞ」
「ありがとう、ございます」
グラスを受け取り中身を飲むと、酔いが少しさめた気がした。
いっそのこと、酔ったままの方が楽なのに。そんなことを考えていると、誠が穏やかに微笑みかけた。
「気分はどうですか?」
「おかげさまで、楽になりました」
「なら、よかった。それでは、さっそく間違いの訂正を始めましょうか」
その言葉に、紗江子はビクリと肩を跳ねさせた。しかし、そんな緊張をよそに、誠はリビングを出ていった。
呆気に取られていると、すぐに誠は戻ってきた。手には木箱が抱えられている。
「あの、神谷さん、それは?」
「香水のサンプルですよ」
「香水の、サンプル?」
「はい」
問い返す紗江子に向かって、誠は笑顔でうなずいた。
「さっき、言ったでしょう? 香水は、自分が心から気に入ったものを選んだ方がいいって」
「それは、そうですが……」
どちらかと言えば、魅力的だ、という方を行動で証明してほしかった。そんな思いをよそに、誠は木箱から次々と、ラベルのついた小さなスプレーボトルを取り出した。
「あの香水が苦手、という方が好みそうなものを持ってきましたので、どうぞご自由に試してください」
そう言いながら、今度は木箱からテスト用の厚紙を取り出す。紗江子はおずおずとスプレーボトルの一つの手に取り、テスト用紙に中身を吹きつけた。その途端、イチゴとモモが混ざったような、甘い香りが広がった。
「いい香り……」
それだけでなく、前にどこかで嗅いだことがある気がする。しかし、それがいつのことだったかは、思い出せない。多分、それほど昔ではなかったはず。
記憶を掘り返していると、誠が別のボトルを差し出した。
「それはよかったです。では、他のものもぜひ試してみてください」
「……はい」
紗江子は思い出すことを諦め、勧められるまま、次々と香水を試していった。
オレンジのような香りや、バラの香り、線香のような香りまで、様々な香りが広がる。
ひとしきり試すと、特に気に入った香りがいくつか見つかった。無意識のうちにそれらのボトルを手元に並べていると、誠がコクコクとうなずいた。
「なるほど、この三つが気に入ったんですね?」
「はい」
「そうですか……、それでは、シャワーを浴びてきてください」
「……え?」
突然の言葉に紗江子は戸惑った。
たしかに、何があってもいいという気持ちでここまできた。
それでも、このタイミングは、唐突すぎじゃない?
ムードもなにもあったのもじゃないし。
そんなことを考えていると、誠はニコリと笑った。
「香水はしばらく時間が経つと、香りが変化するんです」
「香りが……、変化する?」
「はい。紗江子さんが選んだものは、すべて三十分くらいで変化するものです」
「へえ……、どんなふうに変わるんですか?」
「それは三十分後のお楽しみです」
「そう、ですか」
「はい。たしかに、なにもせずに待つには長いかもしれませんが……、その間にシャワーを浴びれば、鼻もリフレッシュして、香りの変化をより楽しんでいただけるかと思いますよ」
「でも、着替えが……」
「ああ、それなら安心してください。来客用のパジャマがありますので。さすがに下着まではないですが」
「……ありがとうございます」
あまりにも色気のない展開に落胆しながらも、紗江子はバスルームへと向かった。
シャワーを浴びてバスルームを出ると、グレーのシワ一つないパジャマに着替えた。嫌な臭いはもちろんないが、柔軟剤の香りもない。
シャンプーやボディソープも無香料だったのも、香水職人だからだろうか?
そんなことを思いながらリビングへ戻ると、誠はソファーに腰掛けていた。
「お帰りなさい。どうぞ、こちらへ」
笑顔で隣に座るようにうながされ、紗江子は軽く頭を下げてソファーに向かった。腰をかけると、誠はテスト用紙を一枚差し出した。
「さあ、先ほど選んだ香りを、また確かめてみてください」
「分かりました」
うながされるまま受け取り、鼻先に近づける。
その途端――
「うぇ……」
――えずくような声が漏れた。
テスト用紙からは、ほのかに生臭い香りが漂っている。シャワーの前までは、たしかにバラの香りがしていたはずだった。
「お気に召しませんでしたか?」
「すみません、ちょっと……」
「では、こちらはどうでしょうか?」
差し出されたテスト用紙を受け取り、再び鼻先に近づけた。
「うっ……」
またしても、えずくような声がこぼれた。
テスト用紙は、古い胃腸薬のような渋い臭いを放っている。さきほどまでは、たしかにオレンジの香りがしていたはずだった。
「これも、ダメみたいですね?」
「……はい。せっかく、用意していただいたのに、すみません」
「いえいえ、謝ることではないですよ! それに、まだ最後の一つがあります」
「そう、ですね……」
そうは言っても、きっと次もおなじことになるんだろう。
どんなにいい香りでも、時間が経てば気に入らない臭いに変わってしまう。
そんな諦めを抱きながら、最後に残ったテスト用紙を受け取った。それは、最初に手に取ったイチゴとモモの香りがする香水を吹きつけたものだった。
薬臭さや焦げ臭さを想像しながら、テスト用紙を鼻先に近づけた。
しかし、鼻腔に広がったのは、予想と全く違う香りだった。
まるでシロップのような甘い香り。
紗江子は戸惑いながらも、うっとりと目を細めた。
「いい香り……、きゃっ!?」
不意に肩を抱き寄せられ、短い悲鳴とともに、テスト用紙が手からハラリと落ちた。
「あの……、神谷、さん?」
「やっぱり、これを選んでくれた……、貴女は俺の運命の人だ」
「やっぱりって、いったい……、んむっ!?」
問いかける紗江子の唇を、誠の口がふさいだ。そのまま、熱を持った舌が唇を割り開き、口内に侵入してくる。
「んーっ……」
抗議するように、身をよじったが誠は唇を離さなかった。それどころか、さらに深く口づけ、口内の敏感な部分を器用に刺激してくる。
「ん……、うっん……」
舌をキュッと吸われたり、上顎をねっとりと舐められたりするたびに、紗江子は短いうめき声を漏らし、背筋を走るゾクゾクとした快感に身を震わせた。
「ん……」
次第にうめき声も小さくなり、舌が絡まる水音だけが響いていった。
身をよじるわずかな抵抗すらできなくなったころ、唇はようやく離れた。浅い呼吸を繰り返しながら見つめる先では、誠が恍惚とした表情を浮かべていた。
「ふふふ、とても愛らしい表情ですね」
そんな言葉とともに、骨張った指が半開きの唇をなでる。
「二つ目の間違いも……、これから正していいですか……?」
艶っぽくささやかれる言葉に小さくうなずくと、指は唇を離れて肩に添えられた。そのまま、ソファーに押し倒され、再び唇を奪われる。
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