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第二章 フカフカな日々
ビックリな一日・その二
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はつ江によるダジャレを織り交ぜながらも、シーマ一四世殿下の朝食はつつがなく終わった。
「ごちそうさまでした。はつ江、今日も美味しかったぞ!」
「ごちそうさまでした。いつも、美味しい食事を用意してくれてありがとう」
シーマと魔王の言葉を受けて、はつ江はニッコリと微笑んだ。
「おそまつさまでした。二人が手伝ってくれたおかげだぁよ!」
そんなかんじで、食卓は笑顔に包まれた。しかし、突然魔王が表情を曇らせた。
「うん? 兄貴、大丈夫か?」
「お熱でも出てきちゃったのかい?」
二人に心配され、魔王はハッとした表情を浮かべた。それから、あー、と声をもらして、気まずそうに頬を掻いた。
「いや、別に体調に問題はないから、大丈夫だ」
「それなら、どうしたって言うんだよ?」
シーマが尻尾の先をクニャリと曲げると、魔王は小さくため息を吐いた。
「ちょっと、厄介な依頼が来ちゃってな……」
「厄介な依頼?」
「さっきの電話のことかね?」
二人が問い返すと、魔王はコクリとうなずいた。
「ああ、そうなんだ。次の魔王になるヤツから、急に連絡がきてな……」
「次の魔王っていうと、たしか……、鉱山の国のプルソン王だったよな?」
「その通りだ。なんか、召喚されたときにトランペットの演奏をする魔導機が、壊れちゃったらしくてな」
そう言うと、魔王は湯飲みをとって、緑茶を一口飲んだ。
「……それで、すぐに修理をしてほしい、って言われたんだ」
魔王の言葉に、はつ江はコクコクとうなずいた。
「ほうほう、ヤギさんはラッパも直せるんだぁね」
「あ、いや、今回の直すのはトランペットそのものじゃなくて、トランペットの音を出す魔導機で……」
「あれまぁよ、ラッパじゃないのかね?」
「ああ、えーとそっちの世界で言うところの、MP3プレーヤーみたいな……」
魔王のたとえに、はつ江はキョトンとした表情で首をかしげた。
「えむぴいすりい?」
「え、えーと……、じゃあ、MDプレーヤー……」
「えむでー?」
たとえ直した魔王だったが、はつ江は依然として首をかしげている。
「えーと……、あ! あれだ、ラジカセみたいなやつだ!」
魔王がナウなヤングに人気だった音楽プレーヤーの名を口にすると、はつ江は手をポンと打ってコクリとうなずいた。
「そうなのかい! カセットでラッパの音を流してるんだぁね!」
「ああ、仕組みはそんなかんじだ。音を魔力に変換して、変換した魔力をまた音に戻してるわけだから」
「ほうほう。カセットを直せるなんて、ヤギさんは器用なんだねぇ」
はつ江が感心したようにそう言うと、魔王は頬を赤らめて目を反らした。
「ま、まあ、これでも子供のころから、魔導機いじりをしてたからな」
魔王は再び緑茶を飲むと、コホンと咳払いをした。
「というわけで、その魔導機を直しにいくことになったんだ」
魔王の説明を聞いて、シーマは尻尾の先をクニャリと曲げた。
「事情はわかったけど、他の仕事の方は大丈夫なのか? 兄貴」
「うーん、まあ緊急でどうにかしなきゃいけないことは、昨日の緊急会議で一応は片付いたし……」
魔王はそこで言葉を止めると、ものすごくシワシワとした表情になった。
「それに、あいつ、頼みを放っておくと拗ねちゃって……、次の会合が非常にイザコザすることになるからな……」
「そ、そうか……、それは大変だな……」
シーマの言葉に、魔王は小さくうなずくと、シワシワした表情から元に戻った。
「とまあ、俺の方の仕事は、こんなかんじだ。それで、シーマは今日、どうするんだ?」
魔王が問いかけると、シーマは片耳をパタパタと動かした。
「うーん、それが入れていた仕事の予定が急遽キャンセルになっちゃって、朝ご飯の前に先方から謝りの連絡をもらったんだ」
シーマはそう言うと、尻尾の先をピコピコと動かした。
「他の仕事を引き受けてもいいんだけど……、急にボクが行くって話になったら、バタバタするところも多いだろうし……」
シーマの話を聞いて、魔王はコクリとうなずいた。
「そうか。それなら、今日は一緒に鉱山の国に来て、はつ江と観光でもするといい」
「え? でも、今日平日だし……」
「シーマは、民たちのためにいつも頑張ってるからな。一日くらい平日に休暇をとっても、民たちがなにか言うことなんてないさ」
魔王の言葉に、シーマは耳と尻尾をピンと立てて、フカフカの頬を掻いた。
「べ、べつに、王族が民のために動くのは、当たり前だからな」
テンプレートにツンデレてから、シーマははつ江に顔を向けた。
「じゃあ、はつ江、今日はボクが鉱山の国の観光名所を案内してやるからな!」
「そうかい! それは、とっても嬉しいだぁよ! ありがとうね、シマちゃん」
はつ江がニコリと微笑んで頭をなでると、シーマは耳と尻尾をピンと立ててソッポを向いた。
「べ、べに、従業員に福利厚生を用意するのは、雇用する側として当然のことなんだからな!」
シーマは再びテンプレートにツンデれながら、ものすごくホワイトなセリフを口にした。
はつ江と魔王は、慈しみに満ちた表情で、そんなシーマを見つめていた。
かくして、シーマ十四世殿下とはつ江ばあさんのもとに、突然の社員旅行みたいな休暇が訪れたのだった。
「ごちそうさまでした。はつ江、今日も美味しかったぞ!」
「ごちそうさまでした。いつも、美味しい食事を用意してくれてありがとう」
シーマと魔王の言葉を受けて、はつ江はニッコリと微笑んだ。
「おそまつさまでした。二人が手伝ってくれたおかげだぁよ!」
そんなかんじで、食卓は笑顔に包まれた。しかし、突然魔王が表情を曇らせた。
「うん? 兄貴、大丈夫か?」
「お熱でも出てきちゃったのかい?」
二人に心配され、魔王はハッとした表情を浮かべた。それから、あー、と声をもらして、気まずそうに頬を掻いた。
「いや、別に体調に問題はないから、大丈夫だ」
「それなら、どうしたって言うんだよ?」
シーマが尻尾の先をクニャリと曲げると、魔王は小さくため息を吐いた。
「ちょっと、厄介な依頼が来ちゃってな……」
「厄介な依頼?」
「さっきの電話のことかね?」
二人が問い返すと、魔王はコクリとうなずいた。
「ああ、そうなんだ。次の魔王になるヤツから、急に連絡がきてな……」
「次の魔王っていうと、たしか……、鉱山の国のプルソン王だったよな?」
「その通りだ。なんか、召喚されたときにトランペットの演奏をする魔導機が、壊れちゃったらしくてな」
そう言うと、魔王は湯飲みをとって、緑茶を一口飲んだ。
「……それで、すぐに修理をしてほしい、って言われたんだ」
魔王の言葉に、はつ江はコクコクとうなずいた。
「ほうほう、ヤギさんはラッパも直せるんだぁね」
「あ、いや、今回の直すのはトランペットそのものじゃなくて、トランペットの音を出す魔導機で……」
「あれまぁよ、ラッパじゃないのかね?」
「ああ、えーとそっちの世界で言うところの、MP3プレーヤーみたいな……」
魔王のたとえに、はつ江はキョトンとした表情で首をかしげた。
「えむぴいすりい?」
「え、えーと……、じゃあ、MDプレーヤー……」
「えむでー?」
たとえ直した魔王だったが、はつ江は依然として首をかしげている。
「えーと……、あ! あれだ、ラジカセみたいなやつだ!」
魔王がナウなヤングに人気だった音楽プレーヤーの名を口にすると、はつ江は手をポンと打ってコクリとうなずいた。
「そうなのかい! カセットでラッパの音を流してるんだぁね!」
「ああ、仕組みはそんなかんじだ。音を魔力に変換して、変換した魔力をまた音に戻してるわけだから」
「ほうほう。カセットを直せるなんて、ヤギさんは器用なんだねぇ」
はつ江が感心したようにそう言うと、魔王は頬を赤らめて目を反らした。
「ま、まあ、これでも子供のころから、魔導機いじりをしてたからな」
魔王は再び緑茶を飲むと、コホンと咳払いをした。
「というわけで、その魔導機を直しにいくことになったんだ」
魔王の説明を聞いて、シーマは尻尾の先をクニャリと曲げた。
「事情はわかったけど、他の仕事の方は大丈夫なのか? 兄貴」
「うーん、まあ緊急でどうにかしなきゃいけないことは、昨日の緊急会議で一応は片付いたし……」
魔王はそこで言葉を止めると、ものすごくシワシワとした表情になった。
「それに、あいつ、頼みを放っておくと拗ねちゃって……、次の会合が非常にイザコザすることになるからな……」
「そ、そうか……、それは大変だな……」
シーマの言葉に、魔王は小さくうなずくと、シワシワした表情から元に戻った。
「とまあ、俺の方の仕事は、こんなかんじだ。それで、シーマは今日、どうするんだ?」
魔王が問いかけると、シーマは片耳をパタパタと動かした。
「うーん、それが入れていた仕事の予定が急遽キャンセルになっちゃって、朝ご飯の前に先方から謝りの連絡をもらったんだ」
シーマはそう言うと、尻尾の先をピコピコと動かした。
「他の仕事を引き受けてもいいんだけど……、急にボクが行くって話になったら、バタバタするところも多いだろうし……」
シーマの話を聞いて、魔王はコクリとうなずいた。
「そうか。それなら、今日は一緒に鉱山の国に来て、はつ江と観光でもするといい」
「え? でも、今日平日だし……」
「シーマは、民たちのためにいつも頑張ってるからな。一日くらい平日に休暇をとっても、民たちがなにか言うことなんてないさ」
魔王の言葉に、シーマは耳と尻尾をピンと立てて、フカフカの頬を掻いた。
「べ、べつに、王族が民のために動くのは、当たり前だからな」
テンプレートにツンデレてから、シーマははつ江に顔を向けた。
「じゃあ、はつ江、今日はボクが鉱山の国の観光名所を案内してやるからな!」
「そうかい! それは、とっても嬉しいだぁよ! ありがとうね、シマちゃん」
はつ江がニコリと微笑んで頭をなでると、シーマは耳と尻尾をピンと立ててソッポを向いた。
「べ、べに、従業員に福利厚生を用意するのは、雇用する側として当然のことなんだからな!」
シーマは再びテンプレートにツンデれながら、ものすごくホワイトなセリフを口にした。
はつ江と魔王は、慈しみに満ちた表情で、そんなシーマを見つめていた。
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