レトロゲーと思ったらクソゲーどころかエロゲーでした

白玉しらす

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大神くん編

ここまではまだクソゲー

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 私達の前にはでかでかと『REPAIR QUEST』の文字が浮いていた。完全に某RPGのロゴをパクっている。

「うわー。安易ー」
 宇佐美くんが呆れた声で、宙に浮くロゴをつつこうとしている。映像だけなのか触れないみたいだ。
「早く終わらせて戻らないと、僕達の体が危ない」
 180cmオーバーの恵まれた身体を持つ大神くんは、見た目に反して大人しい性格をしている。
 初見でつけられた『オオカミ』の愛称も、人となりが分かった今では誰も呼ばなくなった。
「そうだな。俺に何かあったら、俺のPCフォルダがヤバイ」
 可愛らしい見た目の宇佐美くんは見た目に反して肉食系だ。名字も相まって、誰もがウサギを連想するけど、言うと凶暴化するのでもう誰も言ったりしない。

 見た目通りの名字を持つ二人は仲が良く、見た目に反した性格をしていることから、よく中身を入れ替えろと言われている。
「江崎さん大丈夫?」
 大神くんが心配そうな顔をして声をかけてくれた。席があいうえお順だった時に、宇佐美くんと大神くんの間に座っていたので、二人とは少しだけ仲が良い。
「うん、ありがとう。大丈夫だから先を急ごう」
 足を引っ張らないようにがんばらないと。
 
 
『よくきたゆうしゃよ。まおうのしろへむかうなら、まずはこのしろでやすんでいくがよい』
 玉座に座る王様風のドット絵の頭上に、テキストが表示されている。
「昭和か!」
 レトロなゲームスタイルに、宇佐美くんがツッコミを入れた。
「このゲームを進めていけばいいってことだよね」
「魔王を倒しに行けばいいんだろうけど、いきなり行って勝てるかな。死んだ時の扱いもわからないし」
 大神くんは相変わらず慎重だ。
「とりあえず、外出ようぜ」
 大雑把な宇佐美くんが扉を開けると、周りの景色が一転した。
 
 
「大きいベッドだね」
 どうやらこはこは寝室のようだ。
「王様も城で休むように言っていたから、ここで休めってことかな」
「いきなり休めって、クソゲーかよ」
 宇佐美くんがまたもや扉を開けようとしたけど、今度は開かなかった。
 部屋の中には窓がなく、奥にもう一つドアがあるだけだ。
「こっちは……風呂みたいだな」
 宇佐美くんは警戒することなく、もう一つのドアもあっさりと開けた。
「窓もないし、外には出られないし、どうしたらいいんだろうね」
 部屋の中をキョロキョロ見渡しても、ベッド以外何もない。
「ベッドに入らないとだめなのかな」
 大神くんが巨大なベッドを押したり、布団をめくったりして何か確認している。

「よーし。じゃあ寝ようぜ江崎」
 お風呂を確認していたはずの宇佐美くんにグイっと手を引っ張られ、ベッドに連れ込まれた。
「え?え?あの、引っ張らないで。んん?なんで腰を抱くのかな?」
 なんか首筋をクンクンされている気がする!
「いーい匂い。……たっちゃいそう」
「やめ、んんっ」
 何がだよ!とツッコむ間もなく、首筋を舐められて変な声が出てしまった。
「やめろ」
 反対側からベッドにあがった大神くんが、宇佐美くんの腕をひき、すごい顔をして睨みつけていた。普段優しい大神くんの鋭い目つきに、宇佐美くんも手を緩める。
 その隙に私は宇佐美くんの腕の中から這い出て、大神くんの後ろに移動した。

「少しぐらいいいだろ」
「よくない!」
 悪びれない宇佐美くんに、大神くんの身体を盾にしながら顔だけ覗かせて睨みつけると、何だかニヤニヤしている。視線をたどると大神くんの顔を見ているようだ。
 後ろからだと顔は見えないけど、耳が真っ赤になってる。気がつけば大神くんの腰にしがみつくような格好になっていた。
「あわわ。ごめんね」
 慌てて手を離すと、大神くんはモソモソと布団の中に入っていき、顔を隠すようにシーツを引っ張り上げた。
「とりあえず、寝よう」
 シーツの中からくぐもった声が聞こえてきた。
 
 
「チャララララララン♪」
 しばらく三人とも大人しくベッドに横たわってみたけど、何も起こらなかった。
 痺れを切らした宇佐美くんが、宿屋お馴染みの効果音を口ずさみながら立ち上がる。
「俺ちょっとシャワー浴びてくるわ」
 さすが宇佐美くん、自由人だ。
「そもそも、風呂に入る前は布団に入りたくない派なんだよなー。二人きりだからっておっ始めるなよ」
 余計な情報と余計な一言を残して、宇佐美くんはお風呂に入りに行った。

「宇佐美くんって何であんなんなんだろうね。将来セクハラで訴えられないか心配だよ」
「『俺にはイタリア人の血が入っている』って言ってた」
「え?そうなの?」
 ハーフなのかクオーターなのか。どちらにしても初耳だ。
「いや、嘘だった」
「巻き込まれたイタリア人がかわいそうだよ」
 危うくセクハラの責任をイタリア人に負わせるところだった。
「見た目で許されてる部分も大きいんじゃないかな」
「くっ、可愛いは正義なのか」
 そう、宇佐美くんは下手な女子より可愛いのだ。だからといってセクハラが許されるわけじゃないけど、シャレで済んでしまっている。
「……江崎さんも……」 
 大神くんが何やらつぶやいたけど、あまりの声の小ささに、名前を呼ばれたことしか聞き取れなかった。
「何?」
「……何でもない。宇佐美が戻って来るまで、先の進め方でも考えよう」
 
 
「はー。サッパリしたー」
 頭をガシガシ拭きながら宇佐美くんが戻ってきた。
 なぜか学校の半袖ジャージを着ている。
「どうしたんだ。そのジャージ」
「風呂から出たらこれに変わってた。中世風の世界かと思ったけど、風呂は思いっきり現代的だった。適当な世界観だよなー」
 言っている間に頭は拭き終わったのか、宇佐美くんがベッドに腰を下ろした。
「江崎さんと先の進め方を考えていたんだけど、打つ手なしだ」
「そうかー。……よし、じゃあ次、大神風呂入ってこい」
「なんでだよ」
「イベントを進めるためには、フラグをたてなきゃだろ。この部屋でできることなんて、風呂ぐらいしか残ってないじゃん」
 呑気にお風呂に入っている場合ではないような気もするけど、宇佐美くんの言うとおり他にやれることはない。
「分かった、けど……」
 大神くんが私を心配そうな顔で見ている。
 確かに、宇佐美くんと寝室二人きりはちょっと警戒してしまう。
「二人きりになったからって、先におっ始めたりしないから安心しろよ」
 その言い方は全く安心できない。
「心配なら二人で入ってきてもいいんだぜ」
 宇佐美くんがニヤリと笑って言うと、大神くんの顔が赤くなった。
 純情少年か。
「いざとなったら大声出すから助けに来て」
「すぐに戻る」
 宇佐美くんを睨みつけながら、大神くんはお風呂場に向かった。


「大神と二人で、何やってた?」
「どうしたら先に進めるか考えてたよ」
「真面目か。甘い雰囲気にはならなかったのか?」
「宇佐美くんじゃないからね」
「え、何?俺となら甘い雰囲気になっちゃう?」
 宇佐美くんから離れた位置に座っていたのに、瞬時に距離を詰められた。
「……お巡りさん。この人です」
 握られた手を持ち上げ、静かにつぶやく。
「ヒドい。まだ何もしてないのに」
「宇佐美くん、何か変じゃない?今まで私にこう言うことしたことないよね」
 ナンパをした話はよく聞いたけど、私にどうこうしてきたことは一度もない。

「あー、ほら。精神世界ってことは夢みたいなもんだろ。そう考えると試さずにはいられないって言うか」
 押し倒された!
「中出しし放題だと思うと、ガマンできないって言うか」
 とんでもないことを囁かれた!
 これはもう事案ってことで、大声出しちゃっていいんじゃないかな。
「ぐえっ」
 と思っていたら、髪から水を滴らせた大神くんがベッドに立ち、宇佐美くんを服ごと引っ張り上げていた。

「大神くん、頭ベタベタだよ」
 大神くんが首にかけていたタオルを抜き取って、急いで頭をワシャワシャ……しようとして、背伸びしないと手が届かないことに正気を取り戻した。
 年の離れた弟がいるので、濡れた頭を見たら拭かずにはいられなかったけど、クラスメイトにすることではなかった。
 背伸びしてタオルを頭に乗せた所で動きを止めていると、大神くんがぎこちない動きで頭を下げてきた。拭いていいってことかなあ。
 弟にするように、ガシガシと頭を拭いてあげながら、急いで出てきてくれたんだなと、宇佐美くんの信用のなさに笑ってしまった。実際は想像以上の危険人物だったんだけど。
「く、くるしい」
 宇佐美くんはまだぶら下げられたままだった。少しは反省するといい。
 
 
 結局私もお風呂に入ることになった。他にできることがないから仕方がない。
 お風呂は宇佐美くんが言った通り、極めて現代的だった。プラスチック製品は見当たらず、海綿のスポンジに石鹸と木製の桶が用意されている所に、辛うじて中世らしさを見い出せ……ないか。蛇口をひねるだけでお湯が出る時点で、オーバーテクノロジーだ。

 身体だけ洗い脱衣所に戻り、私は愕然とした。宇佐美くんも大神くんも夏用ジャージ姿で出てきたから、てっきり私にもジャージが用意されていると思っていたのだ。
 しかし、そこにあったのは紐パンと生地のうっすいベビードールだけだった。
 裸でいるわけにもいかないのでとりあえず着てみたけど、鏡に映るその姿は、人前に出ていいものではない。
 タオルで隠す事も考えたけど、気がついた時にはもうなくなっていた。

「おーい。江崎大丈夫かー?」
 脱衣所でオロオロしていたら、扉をガチャガチャさせながら宇佐美くんが声をかけてきた。
 鍵があってよかった。なかったら絶対開けられている。
「大神くんいる?」
 宇佐美くんは無視して、扉を閉めたまま大神くんを呼ぶ。
「江崎さんどうかした?」
「宇佐美くんの目を塞いで、大神くんも目を閉じててもらえる?」
「人前に出られないような格好なのか!?」
 さすが宇佐美くん、勘が鋭い。
「待て待て、大神痛い痛い!」
「もういいよ」
 大神くんの声にドアをそっと開けると、宇佐美くんの目を腕で塞ぐ形で、頭をガッチリ固定した大神くんが、壁を向いているのが見えた。
 素早くベッドに向かい、布団に潜り込む。
 何の解決にもなってないけど、恥ずかしい姿を人目に晒す危険は回避できた。
 
「もういいよ」
 私の声に、戒めを解かれた宇佐美くんが、瞳をギラつかせながら近づいてきた。
「何があった?」
「無かったんだよ……ジャージが」
「裸か!?」
 宇佐美くんのがっつき具合が怖い。
「着てはいるけど……大神くん、宇佐美くんが布団をめくらないよう、わあっ」
 手遅れだった。目にも止まらぬ早業で布団を剥ぎ取られ、私はあられも無い姿を晒してしまった。
 は、恥ずかしがったら負けだ。

「宇佐美くん、上の服を脱ごうか」
 なるべく平静を装って上体を起こし、宇佐美くんの手から布団を奪い返す。
 私の恥ずかしい姿がよっぽど衝撃だったのか、宇佐美くんは思いの外あっさりと布団を離した。
 布団で前を隠しながら、宇佐美くんに手を差し出すと、ゴクリと喉を鳴らしてから、素早く上着を脱いで手渡してきた。ギラつく瞳が怖い。
「大神くん、宇佐美くんを確保して」
 今にも飛びかかろうとする勢いの宇佐美くんを、大神くんがさっきと同じように目隠しをしながら固定した。
「止めるな大神、って痛い痛い!」
「大神くんも目を閉じて」
 私の言葉に、顔を赤くしながら目をギュッと閉じた大神くんはなんだか可愛かったけど、この反応はバッチリ見られてるな。
 ため息をつきながら、モソモソと宇佐美くんの上着を着る。
 宇佐美くんはそんなに背が高いわけではないので、下は全く隠せなかった。しかもジャージを着たところでノーブラはノーブラだ。
 再びため息をつきながら、私は布団に潜り込んだ。
 
 
 結局、お風呂に入っても扉が開くことはなく、他にできることもないので、王様の言った通り休むしかないと、三人並んで布団に入ることになった。 
 私のすぐ隣には大神くんがいる。最初はかなり距離を取ってくれていたけど、隙間があると宇佐美くんが入り込もうとするので、なるべく近くに寄ってもらったのだ。
「大神ズルい」
「早く寝ろ」
「俺も江崎の身体を弄りたい」
「も、って何だよ!」
「絶対ノーブラだった」
「いいから寝ろって」
「乳首立ってた」
 そして訪れる沈黙。泣いてもいいかな。
「お前だって見ただろ」
「み、見てない」
 嘘でもそう言ってくれる優しさ。宇佐美くんにも見習って欲しい。
「あ、やべ。思い出したらたってきた」
 宇佐美くん、何て危険人物なんだ。
 直接的な言葉に、思わず大神くんの背中のジャージをギュッと握ってしまった。
 ビクリとしてこちらに顔を向けた大神くんと目があう。
「ご、ごめん」
 慌てて手を離したけど、大神くんはじっと私を見つめていた。
 何だか恥ずかしくて反対側を向こうとした瞬間、大神くんが布団を捲りあげ、私に覆いかぶさってきた。
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