【完結】転生したら悪役令嬢になったようですが、肝心のストーリーが分かりません!!

Rohdea

文字の大きさ
2 / 19

私達の関係は、真実の恋にはならないのだ

しおりを挟む


「こんにちは、殿下」
「ようこそ、キャロライン嬢。今日も来てくれてありがとう!」

  シュナイダー殿下の元を訪ねると、今日も殿下はとても嬉しそうに私を出迎えてくれた。
  今のところ、その顔に俺様とか腹黒の気配は感じられない。


  殿下と私の婚約が正式に決まってから、私は王宮に行く事が増えた。
  お妃教育と殿下との交流を深める時間が設けられているのだ。

「キャロライン嬢、大丈夫?  無理してない?」
「ふふ。ご心配ありがとうございます。大丈夫です!  いつも大変有意義な時間を過ごさせて頂いておりますわ」

  お妃教育が始まった私の事を心配そうに様子を伺ってくる殿下に私は笑顔で答える。

  教養にマナーにダンス、果ては楽器演奏まで。
  シュナイダー殿下は、王太子でもあるので、その妃に求められるものは多いのだそう。
  だから、妃教育の為にこんなに早くに婚約者を決めたのだとも聞いている。

  (そうよね……たいていどの話の悪役令嬢も婚約者の王子の為に幼少期をお妃教育に捧げていたわ。なのに待ってる未来は婚約破棄って。今、思うとだいぶ理不尽な話ばかりよねー……)

「なら良かった。あ、ねぇ?  まだ時間あるかな?」
「はい。迎えの時刻まではまだ少しあります」
「そっか!  良かった。じゃあ、もう少し僕に付き合って?」

  そう言って殿下は私を外に連れ出した。

「ーーっ!  殿下、ここは?」
「王宮の裏庭だよ。誰もが入れる中庭と違って、ここは王族の許可が無いと入れない」
「まぁ!」

  連れてこられた場所は、王宮の裏庭だった。
  色とりどりの花で埋め尽くされていて、とても綺麗な場所だった。

「代々の王妃が管理してるんだよ。もちろん、世話は庭師もするけどね」
「そうなのですね!  殿下連れてきてくださり、ありがとうございます!!」

  中庭の花達も綺麗だが、ここは中庭とはまた違って、何と言うか圧巻の一言に尽きる。
  王妃の管理と言うのも納得だ。

「……っ!  うん、どういたしまして。キャロライン嬢が気に入ってくれたなら僕も嬉しい」

  私が笑顔でお礼を伝えれば、殿下も少し照れた顔で微笑んだ。

「嬉しい?」
「そうだよ?  だって、この場所は将来の王妃ーーつまり、行く行くはキャロライン嬢が管理する事になる場所だからね。早く知っておいて欲しかったんだ」
「……あ」

  そうだったわ。
  私は王太子でもあるシュナイダー殿下の婚約者。
  このままいけば王太子妃となり、後に王妃となる存在ーー。

  そう、このままいけば、ね。

  今、目の前で優しく微笑んでいる殿下が、本当に将来、私と婚約破棄をするのかは分からないけれど、可能性はゼロではない。
  だって、やっぱり殿下には、心から好きになった人と結婚して欲しいとも思うし。
  そして、その相手が私ではしっくり来ないのもまた事実。

  そもそも私達は政略結婚の為に結ばれた婚約だからね。
  私達の関係は、真実の恋にはならないのだ。
  ……少し寂しいけれど。


  そんな事を考えたからか、私の表情が暗くなった事に気付いた殿下が、少し落ち込んだ様子で口を開いた。

「……ごめん、もしかしてプレッシャー与えちゃった?  そんなつもりは無かったんだけど……」
「い、いえ!!  そんな事ありません!  私、ここをもっと素敵な場所に出来るように頑張りますね!!」
「キャロライン嬢……」

  私の言葉に殿下は安堵した様子を見せた。
  そう。今はまだ私が殿下の婚約者なのだから、しっかりしないといけない。

  そう考えていると、殿下が徐に私の前に一輪の花を差し出した。

「……殿下?」
「キャロライン嬢に似合いそうだと思って。髪にさしても?」

  私が頷くと、殿下が優しい手付きでその花を私の髪にさした。
  その仕草に胸がドキドキしてしまう。
  全然、心臓の音が治まってくれないわ!!

「うん、やっぱり君には赤い花が似合う」
「そ、そうですか?」
「とっても似合ってる。それに僕は君にその色が似合ってくれる事が何よりも嬉しいんだ」
「ーー?  何故ですか?」

  私は意味が分からず首を傾げると、殿下が微笑みながら耳元に口を寄せて小声で囁いた。

「だってねー……」
「!!」

  その言葉に、一瞬で顔が真っ赤になったのが自分でも分かった。
  殿下はそんな私の様子を見てクスリと笑った。

  “赤は、僕の瞳の色だから”

  シュナイダー殿下は確かにそう言ったのだけど、
  私はドキドキし過ぎていて、その言葉の持つ意味を深く考える事は出来なかった。

しおりを挟む
感想 73

あなたにおすすめの小説

君を自由にしたくて婚約破棄したのに

佐崎咲
恋愛
「婚約を解消しよう」  幼い頃に決められた婚約者であるルーシー=ファロウにそう告げると、何故か彼女はショックを受けたように身体をこわばらせ、顔面が蒼白になった。  でもそれは一瞬のことだった。 「わかりました。では両親には私の方から伝えておきます」  なんでもないようにすぐにそう言って彼女はくるりと背を向けた。  その顔はいつもの淡々としたものだった。  だけどその一瞬見せたその顔が頭から離れなかった。  彼女は自由になりたがっている。そう思ったから苦汁の決断をしたのに。 ============ 注意)ほぼコメディです。 軽い気持ちで読んでいただければと思います。 ※無断転載・複写はお断りいたします。

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を

さくたろう
恋愛
 その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。  少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。 20話です。小説家になろう様でも公開中です。

私が彼から離れた七つの理由・完結

まほりろ
恋愛
私とコニーの両親は仲良しで、コニーとは赤ちゃんの時から縁。 初めて読んだ絵本も、初めて乗った馬も、初めてお絵描きを習った先生も、初めてピアノを習った先生も、一緒。 コニーは一番のお友達で、大人になっても一緒だと思っていた。 だけど学園に入学してからコニーの様子がおかしくて……。 ※初恋、失恋、ライバル、片思い、切ない、自分磨きの旅、地味→美少女、上位互換ゲット、ざまぁ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうで2022年11月19日昼日間ランキング総合7位まで上がった作品です!

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

伯爵令嬢の婚約解消理由

七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。 婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。 そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。 しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。 一体何があったのかというと、それは…… これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。 *本編は8話+番外編を載せる予定です。 *小説家になろうに同時掲載しております。 *なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。

「ばっかじゃないの」とつぶやいた

吉田ルネ
恋愛
少々貞操観念のバグったイケメン夫がやらかした

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

処理中です...