【完結】本物の聖女は私!? 妹に取って代わられた冷遇王女、通称・氷の貴公子様に拾われて幸せになります

Rohdea

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1. 崩壊する国と捨てられた王女



 ────その日、グォンドラ王国の王宮では、王に向かって臣下達が詰め寄っていた。

「陛下!  このままでは民衆の不満が爆発して暴動になりかねません!」
「いや、すでに暴動は起きている……!」
「王宮に乗り込んでくるのも時間の問題でしょう」

 臣下達に詰め寄られているグォンドラの国王は、先程から「うぅ……」と唸るばかり。

「この天変地異は、もはや神の怒りとしか思えません!」
「神は何にお怒りなのですか!?」
「早くマリアーナ様を呼んで神の声を聞いてもらって下さい!」


 ここ最近のグォンドラ王国は災害に見舞われていた。
 大雨により一部地域の川は氾濫し、村全体をまるまるのみこんだ。
 村人達はどうにか逃げていて助かったものの、大勢が住む場所と財産を失った。
 他にも止まない大雨のせいで作物が駄目になったという地域も多数報告されていた。
 しかし、こうなる前は逆に日照りが続いており、雨乞いの儀式なども行われ、ようやく雨が降ったと喜んだものの今度は一向に止まず、遂には災害まで引き起こした。
   
 ───これは何かがおかしい。
 神の怒りに違いない。
 という王家の“聖女”はいったい何をしているんだ!?
 王家は我々を見捨てるつもりなのか!
 そもそも、この国は神に護られているのでは無かったのか!?

 グォンドラの国民達がそう思うのも不思議ではなかった。

「あなた達!  落ち着きなさい!」
「そうだ!  今、マリアーナを呼んでいる。マリアーナが来れば神の真意も分かるし、この天変地異を鎮める方法も分かるはずだ!」

 王へと詰め寄る臣下たちにそう声をかけて宥めようとしているのは王妃と王子。
 そして、先程から名指しされている“マリアーナ”はこの国の第二王女。
 愛らしい容姿と明るく人懐こい性格で、もともと国民からも絶大な人気があり、王や王妃、兄王子からも常に可愛がられて来た華のような王女───……



 グォンドラ王国は神に護られた国。
 安定した気候に緑豊かな土地を有し資源も豊富に採れるとても豊かな国。
 遠い昔は、そんな豊かなグォンドラ王国を狙って侵略を考えた他国が神の怒りに触れて滅んだという話が残っている。
 その事から、今では他国からも警戒され攻めいられることもなくなった。
  
 そんなグォンドラ王国を守護する神と唯一繋がる事が出来るのが“聖女”という存在だった。
 代々、聖女は王家の女性から選ばれるという。
 よって、王家に生まれた王女達は18歳になると皆、“神の声”を聞くという儀式に臨む。
 そして、無事に神の声を聞けた王女は“聖女”となる───……

 しかし、ここ数年、王家に王女は生まれておらず、聖女不在の時期が続いていた。
 そんな中、現国王の元に二人の王女が誕生した。
 人々は歓喜にわいた。今代では遂に聖女様が誕生するぞ、と。

 そんなマリアーナは、つい最近18歳の誕生日を迎えて、儀式を経て神の声が聞ける事が判明し、この国の“聖女”となったばかりだった。
 マリアーナが神に愛された“聖女”と判明した時、誰もが納得した。
   
 ────あのとはやはり違った、と。



「……お父様、お母様、お兄様……」

 そして、ようやく件のマリアーナが姿を現した。
 これで、彼女に神の声を聞く儀式をしてもらえば、この天変地異の理由も分かり、暴動も収められるだろう……と誰もが思っていたが何故か、肝心のマリアーナの顔色が優れない。

「マリアーナ、どうしたのだ?」
「……」
「心優しいマリアーナの事だから、ここ数日の天変地異に気を病んでしまったのね?  大丈夫よ、あなたがいるんだから」
「……」
「そうさ、マリアーナ!  君は選ばれた聖女なんだから。さぁ、神の声を聞いてくるといい」

 王、王妃、王子と顔色の悪いマリアーナに向かって声をかけるがマリアーナの顔は沈むばかり。

「…………のよ」

 ようやくマリアーナが口を開いた。
 しかし、声が小さくてよく聞こえない。

「何と言ったんだ?  マリアーナ」
「…………だ、だから!  私は────」

 この時、マリアーナの口から語られた“言葉”を聞いたその場に居たもの達は、全員絶望の渦に堕とされる事になった。





 ──────その頃。
   
 自分の生まれた祖国でもあり、ゴミのように私を捨てたグォンドラ王国が、“そんな事”になっているとは知らない私。
 元グォンドラ王国の第一王女、リディエンヌは……

「お前は何者だ?  そこで、何をしている?  ここは我が家の庭だ。不法侵入か?」
「……」
「答えろ!  答えないと憲兵に突き出すぞ!?」
「……!」

(ひぃっ!)

 捨てられた先の国でから、迷い込んでしまった屋敷の庭で、ものすごーーく美形なのに、ものすごーーく冷たい眼差しをした男の人に詰め寄られていた。
   
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