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第2章 ハルシュライン編
第37話 フェニックスの雛(神鳥)
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(足が痺れました。うぅ、動けないです)
「反省していますか。自分がしたことが、どれだけはしたないことか理解していますか。ましてや、女性騎士たちにそそのかされるとは何をしているのですか」
ウィルは怒り、アリスを正座させ説教しているが、船の端で大砲の球を3つ抱えたまま正座している女性騎士たちからすれば優しい方である。
「ウィルも悪いのですよ。男性なのに恋愛に消極的なのがいけないんです」
「それは、私も悪いと思っています。しかし、あなたには女王としての自覚が足りないのです」
ウィルの説教の中、背後から女性騎士のうめき声が聞こえてくる。
「お前たち、黙っていることもできないのか?」
ウィルはアリスに接するときは紳士で優しいが、騎士達には厳しく接しているのだ。
そのため、女性騎士たちは逆らえず、ウィルの言葉には首を横に振り怯える。
「次はないぞ。次に声を出したら足の下に角材を入れるぞ」
ウィルの態度の豹変に怯えるアリス。
アリスが怯えているのを感じた彼は、アリスを優しく椅子に座らせる。
「アリスはこれから少しずつ勉強していきなさい」
「はい、わかりました」
アリスが正直に反省するとウィルは優しくアリスの頭を撫でる。
これには、アリスもウィルに微笑みかけるのだった。
アリスはお昼を食べるために食堂に向かおうと立ち上がった瞬間、甲板の上に謎の生物が現れる。
(このプカプカ浮かんでいる丸っこい謎の生物はなんでしょうか?)
「まさか、フェニックスの雛……神鳥だと……バカな……アリス逃げろぉおおおお!!!」
ウィルは慌てた様にアリスに逃げるように叫ぶ。
だが、アリスには不思議と、この珍獣が恐ろしいもののように感じられなかった。
(なんかモフモフしていて、プニプニしていそうで可愛いですね)
「ほら、クッキー食べますか?」
フェニックスの雛は興味深そうに、アリスに近づいてくる。
「アリス、逃げなさい」
ウィルは、剣を抜きフェニックスの雛に切りかかろうとする。
「ウィル、ダメです。傷つけてはいけません」
ウィルはアリスに止められ固まる。
彼もアリスと雛が仲良く戯れているのを見て切りかかるのを止めて剣をしまう。
「ほら、可愛いですね」
アリスは雛を抱きしめるが重すぎて転んでしまう。
「キュイ、キュイイ?」
「大丈夫ですよ。怪我はしていません」
「キュイ」
アリスの胸に顔を埋め甘える雛。
「これ、食べますか?」
アリスは再度クッキーを差し出す。
すると、雛はおいしそうについばんでいく。
「美味しいですか。私の手作りなんですよ」
「キュイ……キュイン」
「名前を付けて欲しいのですか?」
「キュイ!」
雛はアリスのお腹の上で跳ねる。
(あの、雛さん。痛いので止めてくれますか。あなた40㎝くらいあって重いので。それにしても名前ですか。念のためにひっくり返して……雌ですかね。わかりません。では、どうしましょう。鳥なので天空の神の名をつけておきましょうか)
「あなたの、名前はアイテールです。いつか天空を支配する神鳥になってください」
アリスが名付けた瞬間、アリスの右手の人差し指の付け根に焼けるような痛みが走る。
「つぅ……ぐぅあぁああああ!!!」
「アリス、大丈夫ですか!!!」
自らの手を押さえうずくまるアリスに駆け寄るウィル。
「アリス、手を見せて!!!」
アリスは大人しくウィルに痛みのあった右手を差し出す。
すると、右手の人差し指の付け根から第一関節までに茨が絡みついたよう紋様が刻み込まれていた。
「なんですか、これ?」
「まさか……神鳥と……契約したのか?」
「キュイ!」
「そうだって言っていますよ」
「何を言っているのかわかるのか」
「いえ、感で何を言っているのか分かるだけです」
「アリス、あなたはとんでもないことをしたのですよ」
「そんなに、すごいことなんですか?」
アリスはよくわかっていないが神鳥や神獣と契約した人間は未だかつていない。
つまり、アリスが人類初の契約者である。
「アリスの重要性はアルストロメリア王国だけでなく世界的なものになってしまいましたね」
「つまり、私は狙われるということですか?」
「いえ、逆です。神鳥は一羽で国を亡ぼすほどの力を持ちますので、アリスに服従するものはいても逆らうものはいないでしょう」
「なるほど、安全ですね」
「アリス、ステータスを確認しませんか?」
「なぜ、ですか?」
「神鳥など神的な存在と契約すると、その者の魂に合わせたスキルを手に入れられるのです」
「それは素晴らしいですね」
アリスは、ことの重大さを考えていなかった。
今後、このことが世界に広まればアリスは、かつて神と契約し世界を救った少年と同等の存在と認識されてしまうのだ。
また、そんなアリスが世界を亡ぼさないとも限らない。
そのため、アリスとの深い繋がりを求め、王族に類する男性を送ってくる可能性もあるのだ。
そうすれば、身内に対しては攻撃しないだろうという安心が得られるのだ。
(それにしても、可愛いですねアイテール)
周りの人間は、世界を揺るがす事実に頭を悩ませるのだった。
「反省していますか。自分がしたことが、どれだけはしたないことか理解していますか。ましてや、女性騎士たちにそそのかされるとは何をしているのですか」
ウィルは怒り、アリスを正座させ説教しているが、船の端で大砲の球を3つ抱えたまま正座している女性騎士たちからすれば優しい方である。
「ウィルも悪いのですよ。男性なのに恋愛に消極的なのがいけないんです」
「それは、私も悪いと思っています。しかし、あなたには女王としての自覚が足りないのです」
ウィルの説教の中、背後から女性騎士のうめき声が聞こえてくる。
「お前たち、黙っていることもできないのか?」
ウィルはアリスに接するときは紳士で優しいが、騎士達には厳しく接しているのだ。
そのため、女性騎士たちは逆らえず、ウィルの言葉には首を横に振り怯える。
「次はないぞ。次に声を出したら足の下に角材を入れるぞ」
ウィルの態度の豹変に怯えるアリス。
アリスが怯えているのを感じた彼は、アリスを優しく椅子に座らせる。
「アリスはこれから少しずつ勉強していきなさい」
「はい、わかりました」
アリスが正直に反省するとウィルは優しくアリスの頭を撫でる。
これには、アリスもウィルに微笑みかけるのだった。
アリスはお昼を食べるために食堂に向かおうと立ち上がった瞬間、甲板の上に謎の生物が現れる。
(このプカプカ浮かんでいる丸っこい謎の生物はなんでしょうか?)
「まさか、フェニックスの雛……神鳥だと……バカな……アリス逃げろぉおおおお!!!」
ウィルは慌てた様にアリスに逃げるように叫ぶ。
だが、アリスには不思議と、この珍獣が恐ろしいもののように感じられなかった。
(なんかモフモフしていて、プニプニしていそうで可愛いですね)
「ほら、クッキー食べますか?」
フェニックスの雛は興味深そうに、アリスに近づいてくる。
「アリス、逃げなさい」
ウィルは、剣を抜きフェニックスの雛に切りかかろうとする。
「ウィル、ダメです。傷つけてはいけません」
ウィルはアリスに止められ固まる。
彼もアリスと雛が仲良く戯れているのを見て切りかかるのを止めて剣をしまう。
「ほら、可愛いですね」
アリスは雛を抱きしめるが重すぎて転んでしまう。
「キュイ、キュイイ?」
「大丈夫ですよ。怪我はしていません」
「キュイ」
アリスの胸に顔を埋め甘える雛。
「これ、食べますか?」
アリスは再度クッキーを差し出す。
すると、雛はおいしそうについばんでいく。
「美味しいですか。私の手作りなんですよ」
「キュイ……キュイン」
「名前を付けて欲しいのですか?」
「キュイ!」
雛はアリスのお腹の上で跳ねる。
(あの、雛さん。痛いので止めてくれますか。あなた40㎝くらいあって重いので。それにしても名前ですか。念のためにひっくり返して……雌ですかね。わかりません。では、どうしましょう。鳥なので天空の神の名をつけておきましょうか)
「あなたの、名前はアイテールです。いつか天空を支配する神鳥になってください」
アリスが名付けた瞬間、アリスの右手の人差し指の付け根に焼けるような痛みが走る。
「つぅ……ぐぅあぁああああ!!!」
「アリス、大丈夫ですか!!!」
自らの手を押さえうずくまるアリスに駆け寄るウィル。
「アリス、手を見せて!!!」
アリスは大人しくウィルに痛みのあった右手を差し出す。
すると、右手の人差し指の付け根から第一関節までに茨が絡みついたよう紋様が刻み込まれていた。
「なんですか、これ?」
「まさか……神鳥と……契約したのか?」
「キュイ!」
「そうだって言っていますよ」
「何を言っているのかわかるのか」
「いえ、感で何を言っているのか分かるだけです」
「アリス、あなたはとんでもないことをしたのですよ」
「そんなに、すごいことなんですか?」
アリスはよくわかっていないが神鳥や神獣と契約した人間は未だかつていない。
つまり、アリスが人類初の契約者である。
「アリスの重要性はアルストロメリア王国だけでなく世界的なものになってしまいましたね」
「つまり、私は狙われるということですか?」
「いえ、逆です。神鳥は一羽で国を亡ぼすほどの力を持ちますので、アリスに服従するものはいても逆らうものはいないでしょう」
「なるほど、安全ですね」
「アリス、ステータスを確認しませんか?」
「なぜ、ですか?」
「神鳥など神的な存在と契約すると、その者の魂に合わせたスキルを手に入れられるのです」
「それは素晴らしいですね」
アリスは、ことの重大さを考えていなかった。
今後、このことが世界に広まればアリスは、かつて神と契約し世界を救った少年と同等の存在と認識されてしまうのだ。
また、そんなアリスが世界を亡ぼさないとも限らない。
そのため、アリスとの深い繋がりを求め、王族に類する男性を送ってくる可能性もあるのだ。
そうすれば、身内に対しては攻撃しないだろうという安心が得られるのだ。
(それにしても、可愛いですねアイテール)
周りの人間は、世界を揺るがす事実に頭を悩ませるのだった。
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