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本編
19話 幸せの誓い
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レオン王子殿下の屋敷を追い出されてから、数日。
私は、意外と落ち込むこともなく、ここでの生活を満喫し始めていました。
婚約者となった、やさぐれ王子のレオン王子殿下と仲良くなるのことに、失敗してしまいました。
その結果、私はこの別邸へと追いやられることになってしまったのです。
だけど、ここでの生活はそう悪いものではありませんでした。
アーヴァイン公爵家にいた頃のように、家族から何か言われることもありません。
やさぐれ王子から、何か文句を言われることもありません。
なぜか、この屋敷にいるセバスチャンが私の身の回りのお世話もしてくれます。
そのおかげもあって、苦労することもなく自由気ままに過ごしています。
このままこの屋敷で、一生を過ごすことになってしまうかもと考えると、少しだけ寂しい気持ちになりますが、悪くはないかもしれません。
ここ数日、この屋敷で生活をして来て、そんなことを思い始めていました。
「い、いけませんわ! このままでは、セバスチャンにぐーたら令嬢にさせられてしまいますわ」
自室のベッドで、ゴロゴロとしながら言いました。
この屋敷では、何不自由なく、全てをセバスチャンがやってくれます。
何かしなけらば、と考えていると外から馬車の音が聞こえて来ました。
こんな王都の外れにある屋敷に、一体誰が来たのでしょうか。
◇
屋敷の入り口へと向かうと、そこには一台の馬車が停まっていた。
馬車には、王家の家紋があって王族が乗っているのが分かります。
「レオン様、足元に気をつけてください」
「すまないセバス」
馬車からは、レオン王子殿下とそれにセバスチャンが当たり前のように降りて来ました。
へっ!?
あなた、少し前まで昼飯をつくっていなかった?
それが、何当たり前のように馬車から降りてくるんですか。
私の疑問に誰も答えるわけもなく、レオン王子殿下が歩いてこっちに来ました。
「シルヴィア公爵令嬢! なんだあの手紙は、あの部屋は」
「手紙? 部屋?」
レオン王子殿下は、私の元にやって来たと思うと、何やら怒っている様子です。
「も、もしかして部屋を見たのですか? 恥ずかしいですわ、何も変なものがなければ良いのだけど」
「シルヴィア様、ご安心ください。事前にサラに片付けさせてあります」
私の心配に対して、セバスチャンが言った。
な、ナイスですセバスチャン。
いくら婚約者とは言え、下着なんかを見られるわけにはいきません。
「おまえには悪いと思うが、手紙を見た」
「そ、そうでしたの......」
「どうしてあんな扱いをされていて、笑っていられるのだ」
レオン王子殿下は、真剣な顔つきで私のことを見てきます。
その表情は少し、怒っているようにも見えました。
「どうしたと言うのですか、レオン様」
「あんなものは実の娘に書くような内容ではない」
「そ、そうでしたの?」
私には、アーヴァイン公爵家でのことしか分かりません。
セレナとお父様としか関わることもなかったので、他家のことは分からないのです。
だから、今までのことが普通だと思っていました。
私が、なんとも言えない表情をしていると、レオン王子殿下が言ってくる。
「おまえは、もっと自分というものを大切にしろ。もっとわがままを言って良いし、役を出しても良いんだ」
ここで、セバスチャンがフォローをしてくれた。
レオン王子殿下は、私の部屋を見てアーヴァイン公爵家での扱いを知ったこと。
とてもひどい扱いをされて来たことを知って、後悔したのだと。
そして、私がつくった料理についても語ってくれた。
「そういうことだったのですね」
私は、ようやくレオン王子殿下が来た理由が分かりました。
「けど、欲と言われても困りますわ」
「何かほしいものはないのか」
私は、うーんと考える。
今までは、そんなことを考えたことすらありませんでした。
お父様は、私には何も買ってはくれず、自然と欲もなくなっていたのです。
セレナから、おこぼれはもらえていたから着るものに困ったこともありません。
「はぁ、おまえと言うやつは。俺もひねくれ者だが、おまえもよっぽどだな」
レオン王子殿下は、笑いながら言った。
「シルヴィア公爵令嬢、いやシルヴィア」
「はい、レオン様」
少し経って、レオン様が真剣な表情で言って来た。
「今更謝ることで、許してもらえるとは思ってはいないが。今まで、すなかった」
「あ、頭をあげてください」
レオン王子殿下は、頭を下げながら言って来た。
「シルヴィアの真意が分からず、自分勝手な理由で追い出してすまなかった。この屋敷が気に入ったのなら、住んでもらっても構わない」
レオン王子殿下は、言葉を続ける。
「だが、少しでも許してもらえるのなら、また屋敷に戻って来てはくれないか? もちろん、虫が良い話なのは分かっている......」
私は、少し考える。
セバスチャンが、全てをやってくれる今の生活も良いかもしれません。
だけど、一生それで終わるのだとしたら退屈かもしれない。
それに、私はあることを思い出した。
私は、幸せになりたかったのだと。
「レオン様、私は戻りますわ」
「そ、そうかっ!」
レオン王子殿下は、嬉しそうな表情をしている。
「ただし、条件がありますわ!」
「ああ、シルヴィアの言うことは全て聞こう」
「私を幸せにしてください」
レオン王子殿下は、驚きの表情を浮かべる。
「ああ、今度こそシルヴィアを幸せにすると誓おう」
レオン王子殿下は、顔を真っ赤にしながら言って来た。
こうして、私は屋敷へと戻ることになりました——。
私は、意外と落ち込むこともなく、ここでの生活を満喫し始めていました。
婚約者となった、やさぐれ王子のレオン王子殿下と仲良くなるのことに、失敗してしまいました。
その結果、私はこの別邸へと追いやられることになってしまったのです。
だけど、ここでの生活はそう悪いものではありませんでした。
アーヴァイン公爵家にいた頃のように、家族から何か言われることもありません。
やさぐれ王子から、何か文句を言われることもありません。
なぜか、この屋敷にいるセバスチャンが私の身の回りのお世話もしてくれます。
そのおかげもあって、苦労することもなく自由気ままに過ごしています。
このままこの屋敷で、一生を過ごすことになってしまうかもと考えると、少しだけ寂しい気持ちになりますが、悪くはないかもしれません。
ここ数日、この屋敷で生活をして来て、そんなことを思い始めていました。
「い、いけませんわ! このままでは、セバスチャンにぐーたら令嬢にさせられてしまいますわ」
自室のベッドで、ゴロゴロとしながら言いました。
この屋敷では、何不自由なく、全てをセバスチャンがやってくれます。
何かしなけらば、と考えていると外から馬車の音が聞こえて来ました。
こんな王都の外れにある屋敷に、一体誰が来たのでしょうか。
◇
屋敷の入り口へと向かうと、そこには一台の馬車が停まっていた。
馬車には、王家の家紋があって王族が乗っているのが分かります。
「レオン様、足元に気をつけてください」
「すまないセバス」
馬車からは、レオン王子殿下とそれにセバスチャンが当たり前のように降りて来ました。
へっ!?
あなた、少し前まで昼飯をつくっていなかった?
それが、何当たり前のように馬車から降りてくるんですか。
私の疑問に誰も答えるわけもなく、レオン王子殿下が歩いてこっちに来ました。
「シルヴィア公爵令嬢! なんだあの手紙は、あの部屋は」
「手紙? 部屋?」
レオン王子殿下は、私の元にやって来たと思うと、何やら怒っている様子です。
「も、もしかして部屋を見たのですか? 恥ずかしいですわ、何も変なものがなければ良いのだけど」
「シルヴィア様、ご安心ください。事前にサラに片付けさせてあります」
私の心配に対して、セバスチャンが言った。
な、ナイスですセバスチャン。
いくら婚約者とは言え、下着なんかを見られるわけにはいきません。
「おまえには悪いと思うが、手紙を見た」
「そ、そうでしたの......」
「どうしてあんな扱いをされていて、笑っていられるのだ」
レオン王子殿下は、真剣な顔つきで私のことを見てきます。
その表情は少し、怒っているようにも見えました。
「どうしたと言うのですか、レオン様」
「あんなものは実の娘に書くような内容ではない」
「そ、そうでしたの?」
私には、アーヴァイン公爵家でのことしか分かりません。
セレナとお父様としか関わることもなかったので、他家のことは分からないのです。
だから、今までのことが普通だと思っていました。
私が、なんとも言えない表情をしていると、レオン王子殿下が言ってくる。
「おまえは、もっと自分というものを大切にしろ。もっとわがままを言って良いし、役を出しても良いんだ」
ここで、セバスチャンがフォローをしてくれた。
レオン王子殿下は、私の部屋を見てアーヴァイン公爵家での扱いを知ったこと。
とてもひどい扱いをされて来たことを知って、後悔したのだと。
そして、私がつくった料理についても語ってくれた。
「そういうことだったのですね」
私は、ようやくレオン王子殿下が来た理由が分かりました。
「けど、欲と言われても困りますわ」
「何かほしいものはないのか」
私は、うーんと考える。
今までは、そんなことを考えたことすらありませんでした。
お父様は、私には何も買ってはくれず、自然と欲もなくなっていたのです。
セレナから、おこぼれはもらえていたから着るものに困ったこともありません。
「はぁ、おまえと言うやつは。俺もひねくれ者だが、おまえもよっぽどだな」
レオン王子殿下は、笑いながら言った。
「シルヴィア公爵令嬢、いやシルヴィア」
「はい、レオン様」
少し経って、レオン様が真剣な表情で言って来た。
「今更謝ることで、許してもらえるとは思ってはいないが。今まで、すなかった」
「あ、頭をあげてください」
レオン王子殿下は、頭を下げながら言って来た。
「シルヴィアの真意が分からず、自分勝手な理由で追い出してすまなかった。この屋敷が気に入ったのなら、住んでもらっても構わない」
レオン王子殿下は、言葉を続ける。
「だが、少しでも許してもらえるのなら、また屋敷に戻って来てはくれないか? もちろん、虫が良い話なのは分かっている......」
私は、少し考える。
セバスチャンが、全てをやってくれる今の生活も良いかもしれません。
だけど、一生それで終わるのだとしたら退屈かもしれない。
それに、私はあることを思い出した。
私は、幸せになりたかったのだと。
「レオン様、私は戻りますわ」
「そ、そうかっ!」
レオン王子殿下は、嬉しそうな表情をしている。
「ただし、条件がありますわ!」
「ああ、シルヴィアの言うことは全て聞こう」
「私を幸せにしてください」
レオン王子殿下は、驚きの表情を浮かべる。
「ああ、今度こそシルヴィアを幸せにすると誓おう」
レオン王子殿下は、顔を真っ赤にしながら言って来た。
こうして、私は屋敷へと戻ることになりました——。
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