32 / 45
本編
28話 心配する王子様
しおりを挟む
森にある小屋。
手作りの簡易的な机とイスが置かれています。
「シルヴィア、どこに行くんだ」
私がイスから立ち上がると、レオン王子殿下が話しかけて来る。
「レオン様、少し外の空気でも吸おうと思いまして......」
「そうか。それなら俺もついて行こう」
レオン王子殿下は、私の後に続いて小屋の外へと出た。
外は、いつもと変わらない。ただただ草木が生い茂っているだけの森がある。
私は、ゆっくりと深呼吸をしてこの森の匂いをかいだ。
土の香り、草木の香り、流れる水の香り。
その他にも、たくさんの匂いがします。
「悪くないにおいだ」
「ええ......」
「そろそろ中に戻ろう」
私たちは、小屋の中へと戻りました。
「シルヴィア、どこに行くんだ」
「その......少しだけ外に行こうと思いまして」
私がイスから立ち上がると、またレオン王子殿下は声をかけて来る。
あの森での一件以降、レオン王子殿下は私がどこに行くのかをすごく気にするようになりました。
「それなら俺も行こう」
「いや、その......」
「ん? 何だシルヴィア。俺は絶対について行くからな」
なんでも、レオン王子殿下は、私が森の獣に襲われたのは、自分の責任だと思っているようです。
自分がしっかりと見ていれば、こんな目に合わせなくて済んだのに。
そう言っていました。
気持ちは嬉しいのですが、今回ばかりはついて来られると困ります。
「レオン様、その......」
「どうしたシルヴィア、声が小さくて聞こえないぞ」
私がもごもごと話していると、サラがこっちにやって来た。
「レオン様、シルヴィア様には私がついて行くので大丈夫ですよ」
「いや、だが......」
「もう、大丈夫ですよ!」
サラは、私の手を引っ張って小屋の外へと連れ出した。
「サラありがとう」
「良いんですよシルヴィア様」
私は、安心してトイレへと行くことが出来ました。
私とサラが戻ると、レオン王子殿下が落ち着きがない様子で、小屋の中を歩きまわっていました。
「シルヴィアっ! 大丈夫だったのか!」
そんな様子を見て、私たち二人は笑いました。
◇
「シルヴィアはどうして森になんか入ったんだ?」
「え?」
特にやることもないので、小屋でぼけっーとしているとレオン王子殿下から声をかけられた。
「いや、その、な。俺に何か問題があるのではないかと思ってな」
「そんなことはありませんわ!」
申し訳なさそうな顔をして言って来たので、しっかりと否定をする。
「それなら良いんだ。またシルヴィア辛い目に合わせてしまったのだと考えてしまったんだ」
また、とはやさぐれ王子のことを言っているのかもしれません。
私は、安心してもらえるためにも、素直に言うことにしました。
「レオン様のせいではありませんわ。皆が仕事をしているのを見て、私にも何か出来ることがないか探そうと思ったのですわ」
「それで森に?」
「ええ、毒キノコを思い出して、山菜でも採りに行こうと......」
レオン王子殿下とサラのことを思い出して、ふふっ、と笑いながら言う。
「そうだったのか......それはやはり私のせいだな」
レオン王子殿下は、何かを考えるようにしてそう言いました。
「そんなことありませんわ!」
「いや、私のせいだ。私がシルヴィアの身の安全だけを優先して、仕事も何も与えなかったから......」
「レオン様......」
そういえばたしかに、私には明確な役割は与えられませんでした。
「レオン様のその気持ちだけで、私は十分ですわ」
「すまないなシルヴィア。今度は、二人で......クライヴも連れて山菜でも採りに行こうか」
「ええっ!!」
レオン王子殿下は、どこか照れながらそう言った。
◇
日が落ち始めてきた頃。
小屋には、私とレオン王子殿下がいた。
机には、手紙が置かれています。
先程、新しく届けられたものです。
「それで、どうするつもりですか?」
「そうだな。領主の手紙には、王国の気になる情勢が書かれていたな」
「なんと書かれて?」
私は、レオン王子殿下に聞いた。
「アーヴァイン公爵領、シルヴィアの実家で何やらあやしい動きがあるらしい......」
「私の?」
「ああ、詳しいことは分かってはいないようだが、領民たちが何やら不審な行動をしているらしいんだ」
「そんな! すぐに戻って止めさせないと」
私は、アーヴァイン公爵領の領民たちを思い出した。
ボロボロの衣服にやせこけた身なり。
税金も安いとは言えず、いつ何かが起こってもおかしくはありません。
「それはダメだシルヴィア。今は耐えてくれと手紙にも書いてある」
「そんな、ひどいですわレオン様」
「領主が情報を知らせてくれると言っているんだ、しばらくは静観しよう。それに、今の俺たちに出来ることは何もない」
私は、レオン王子殿下に言われてはっとする。
今、私たちが出て行けば王国に捕まるだけです。
くやしいですが、ここは諦めて耐えるしかなさそうです。
私は、この森から領民たちのことを考えた。
いつか、絶対になんとかしてみせるから、もう少しだけ頑張ってください。
そんなことを考えながら、故郷のある方向を見つめた——。
手作りの簡易的な机とイスが置かれています。
「シルヴィア、どこに行くんだ」
私がイスから立ち上がると、レオン王子殿下が話しかけて来る。
「レオン様、少し外の空気でも吸おうと思いまして......」
「そうか。それなら俺もついて行こう」
レオン王子殿下は、私の後に続いて小屋の外へと出た。
外は、いつもと変わらない。ただただ草木が生い茂っているだけの森がある。
私は、ゆっくりと深呼吸をしてこの森の匂いをかいだ。
土の香り、草木の香り、流れる水の香り。
その他にも、たくさんの匂いがします。
「悪くないにおいだ」
「ええ......」
「そろそろ中に戻ろう」
私たちは、小屋の中へと戻りました。
「シルヴィア、どこに行くんだ」
「その......少しだけ外に行こうと思いまして」
私がイスから立ち上がると、またレオン王子殿下は声をかけて来る。
あの森での一件以降、レオン王子殿下は私がどこに行くのかをすごく気にするようになりました。
「それなら俺も行こう」
「いや、その......」
「ん? 何だシルヴィア。俺は絶対について行くからな」
なんでも、レオン王子殿下は、私が森の獣に襲われたのは、自分の責任だと思っているようです。
自分がしっかりと見ていれば、こんな目に合わせなくて済んだのに。
そう言っていました。
気持ちは嬉しいのですが、今回ばかりはついて来られると困ります。
「レオン様、その......」
「どうしたシルヴィア、声が小さくて聞こえないぞ」
私がもごもごと話していると、サラがこっちにやって来た。
「レオン様、シルヴィア様には私がついて行くので大丈夫ですよ」
「いや、だが......」
「もう、大丈夫ですよ!」
サラは、私の手を引っ張って小屋の外へと連れ出した。
「サラありがとう」
「良いんですよシルヴィア様」
私は、安心してトイレへと行くことが出来ました。
私とサラが戻ると、レオン王子殿下が落ち着きがない様子で、小屋の中を歩きまわっていました。
「シルヴィアっ! 大丈夫だったのか!」
そんな様子を見て、私たち二人は笑いました。
◇
「シルヴィアはどうして森になんか入ったんだ?」
「え?」
特にやることもないので、小屋でぼけっーとしているとレオン王子殿下から声をかけられた。
「いや、その、な。俺に何か問題があるのではないかと思ってな」
「そんなことはありませんわ!」
申し訳なさそうな顔をして言って来たので、しっかりと否定をする。
「それなら良いんだ。またシルヴィア辛い目に合わせてしまったのだと考えてしまったんだ」
また、とはやさぐれ王子のことを言っているのかもしれません。
私は、安心してもらえるためにも、素直に言うことにしました。
「レオン様のせいではありませんわ。皆が仕事をしているのを見て、私にも何か出来ることがないか探そうと思ったのですわ」
「それで森に?」
「ええ、毒キノコを思い出して、山菜でも採りに行こうと......」
レオン王子殿下とサラのことを思い出して、ふふっ、と笑いながら言う。
「そうだったのか......それはやはり私のせいだな」
レオン王子殿下は、何かを考えるようにしてそう言いました。
「そんなことありませんわ!」
「いや、私のせいだ。私がシルヴィアの身の安全だけを優先して、仕事も何も与えなかったから......」
「レオン様......」
そういえばたしかに、私には明確な役割は与えられませんでした。
「レオン様のその気持ちだけで、私は十分ですわ」
「すまないなシルヴィア。今度は、二人で......クライヴも連れて山菜でも採りに行こうか」
「ええっ!!」
レオン王子殿下は、どこか照れながらそう言った。
◇
日が落ち始めてきた頃。
小屋には、私とレオン王子殿下がいた。
机には、手紙が置かれています。
先程、新しく届けられたものです。
「それで、どうするつもりですか?」
「そうだな。領主の手紙には、王国の気になる情勢が書かれていたな」
「なんと書かれて?」
私は、レオン王子殿下に聞いた。
「アーヴァイン公爵領、シルヴィアの実家で何やらあやしい動きがあるらしい......」
「私の?」
「ああ、詳しいことは分かってはいないようだが、領民たちが何やら不審な行動をしているらしいんだ」
「そんな! すぐに戻って止めさせないと」
私は、アーヴァイン公爵領の領民たちを思い出した。
ボロボロの衣服にやせこけた身なり。
税金も安いとは言えず、いつ何かが起こってもおかしくはありません。
「それはダメだシルヴィア。今は耐えてくれと手紙にも書いてある」
「そんな、ひどいですわレオン様」
「領主が情報を知らせてくれると言っているんだ、しばらくは静観しよう。それに、今の俺たちに出来ることは何もない」
私は、レオン王子殿下に言われてはっとする。
今、私たちが出て行けば王国に捕まるだけです。
くやしいですが、ここは諦めて耐えるしかなさそうです。
私は、この森から領民たちのことを考えた。
いつか、絶対になんとかしてみせるから、もう少しだけ頑張ってください。
そんなことを考えながら、故郷のある方向を見つめた——。
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄のススメ!王子の「真実の愛」見つけて差し上げます
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢メロア・クレーベルの隣には、非の打ち所がない完璧すぎる婚約者、ジークハルト王子が君臨している。このまま結婚すれば、待っているのは「王妃教育」と「終わらない公務」という名の過労死コース……。
「嫌ですわ! わたくし、絶対に婚約破棄して隠居してみせますわ!」
決意したメロアは、入学したての学園で、王子の「真実の愛の相手(ヒロイン)」を見つけ出し、自分を捨ててもらうという作戦を開始する。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
婚約破棄された悪役令嬢、放浪先で最強公爵に溺愛される
鍛高譚
恋愛
「スカーレット・ヨーク、お前との婚約は破棄する!」
王太子アルバートの突然の宣言により、伯爵令嬢スカーレットの人生は一変した。
すべては“聖女”を名乗る平民アメリアの企み。でっち上げられた罪で糾弾され、名誉を失い、実家からも追放されてしまう。
頼る宛もなく王都をさまよった彼女は、行き倒れ寸前のところを隣国ルーヴェル王国の公爵、ゼイン・ファーガスに救われる。
「……しばらく俺のもとで休め。安全は保証する」
冷徹な印象とは裏腹に、ゼインはスカーレットを庇護し、“形だけの婚約者”として身を守ってくれることに。
公爵家で静かな日々を過ごすうちに、スカーレットの聡明さや誇り高さは次第に評価され、彼女自身もゼインに心惹かれていく。
だがその裏で、王太子とアメリアの暴走は止まらず、スカーレットの両親までもが処刑の危機に――!
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
悪役令嬢の断罪――え、いま婚約破棄と?聞こえませんでしたわ!
ちゃっぴー
恋愛
公爵令嬢アクア・ラズライトは、卒業パーティーの最中に婚約者であるジュリアス殿下から「悪役令嬢」として断罪を突きつけられる。普通なら泣き崩れるか激昂する場面――しかし、超合理的で節約家なアクアは違った。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる