1 / 1
ハロー警報が発令されました
しおりを挟む
『本日、東京都でハロー警報が発令されました。東京都在住の方は、注意してお過ごし下さい』
家族で朝ご飯を食べていると、テレビで放送しているニュース番組からそう聞こえて来た。
「なんだと!母さん、お~い」
父がそう言い、食べるのを中断して勢い良く椅子から立ち上がる。
ご飯くらいゆっくり食べれば良いのに、と思いつつ俺は白米を口に運ぶ。
「どうしたのよパパ」
キッチンで洗い物をしていた母が、洗い物を中断してリビングへと来た。
「ハロー警報が東京都で発令されたらしいんだ」
「えっ! 本当に?」
母は、急いでテレビの方へと向かってニュース番組を確認する。
『本日のニュースはこれでお終いです。続いては......』
アナウンサーが言葉を続けかけた所で、母がテレビを消した。
朝のテレビくらいゆっくり見たいのに、と思いながらも目玉焼きを口に運ぶ。
ニュース番組が終わりテレビを見ていた母が、ご飯を食べている俺の方へと来た。
「あのね、裕ちゃん。ハローはこんにちはってあいさつのことなの」
「それくらい学校で習ったし、言われなくても分かるよ」
ご飯を食べながら、今更そんな事を言わなくても良いのにと思った。
確かにテストの点数は悪かったが、それくらいの英単語は既に知っている。
「そうじゃないんだ裕太」
「そうよ裕ちゃん。あいさつされたら、返さないといけないのよ」
「今度のテストは気を付けますよ~だ」
俺はご飯を口に詰めし込み、カバン片手に玄関へと向かう。
両親からバカにされているように感じて、これ以上の会話をしなくなかったのだ。
それになんだハロー警報って、波浪警報の間違いだろ。
間違っているのはどっちだよ、と思いつつ学校へと向かう。
◇
「お~い裕、朝のニュース見たか?」
「波浪警報のことだろ? それがどうかしたのか」
「あ、あぁ。お前知らないのか」
通学路を歩いていると、小中同じでクラスまで同じという腐れ縁の山田が話しかけて来た。
山田までその話題を口にしてくるのが珍しいと感じたが、会話を続ける。
「お前もハローはあいさつだ、とか言うじゃないだろうな」
「おお~、よく分かったな。あいさつはされたら返さないと大変な目に会うからな。それに波浪じゃなくてハロー、な」
俺には両親と山田が言っていることが良く分からず、みんなして頭がおかしくなったとすら思えた。
山田の言ってる事がよく分からなかったので、適当に返事をしてその場をやり過ごす。
その後は、いつもと変わらないアニメやゲームなどの話をしながら学校へと歩いた。
◇
今日の授業が終わり、部活にも入っていない俺は帰宅の用意を進める。
同級生たちは、部活や委員会に所属する者と俺みたいにすぐに帰宅する者に分かれ、それぞれ違った準備をしていた。
「お~い裕、この後すぐに帰るんだろ? なら本当に気を付けろよ、あいさつは大切だからな」
「まだ言ってたのか山田、こりない奴だな」
「おいおい、これは......」
「またな~」
帰宅の用意を進めていると、山田が話しかけて来た。
山田の奴は、朝と変わらずふざけているようだったので、会話を途中で切り上げて廊下へと向かう。
山田は、この後所属しているサッカー部の練習に行くらしく、練習着に着替えていた。
「あらまぁ、大丈夫かねぇ~」
後ろの方でそんな声が聞こえてきたが、無視して歩き続ける。
◇
「ハロー」
一人で通学路を家に向かって歩いていると、唐突にそんな声が聞こえてきた。
それは日本人が発音するような英語ではなく、流暢な英語の発音だった。
俺は、どこかで外国人が話しているのだろうと思い、そのまま歩き続ける。
「「ハロー」」
暫く歩いていると、また先ほどと同じ台詞が聞こえて来た。
しかも、先ほどと同じ台詞ではあるが、先ほどとは異なり人数が増えているようだった。
ここは東京都であり、日本人だけではなく外国人も多く住んでいるため、よくある事だと思い歩き続ける。
「「「ハロー」」」
流石に3回も同じ台詞が聞こえて来ると、恐怖を感じた。
先ほどと同じ台詞、けれど先ほどよりも人数が増えている。
俺は、恐怖を感じてそのまま早歩きで家へと向かう。
「「「「ハロー」」」」
その台詞が聞こえて来た時、俺は無心で走り出していた。
周囲は閑静な住宅街で、この辺に住んでいる外国人もあまり多くなく、観光地でもないのであまり見かけない。
それなのに、四人もの声が一斉に聞こえて来たのだ。
「「「「「ハロー」」」」」
「「「「「「ハロー」」」」」
「「「「「「ハロー」」」」」」
おかしい。
いくら走り続けても、同じ台詞が後ろから聞こえて来る。
これ以上走り続けても同じことだろうと思いつつ、俺は走るのを辞めて勇気を出して後ろを見た。
「あの、さっきから俺を追いかけて来てるのはどなたですか?」
後ろを振り返ると、多様な国家の外国人と思われる人が6人ほどいた。
高齢の人から女性も人もいて、とても俺の走りに着いて来られるとは思えなかった。
何とも言えない恐怖を感じていると、6人は俺の方を見て言った。
「「「「「「「ハロー」」」」」」」
俺は、身体中から鳥肌が出ているのを感じた。
先ほどまで目の前にいたはずの外国人は6人であり、決して7人ではなかったはずだ。
それなのに今の俺の目の前には、7人の外国人がいる。
この時、俺は朝の両親が言っていたハローのことやテレビのハロー警報、山田が言っていたことを思い出した。
あれがもし波浪警報ではなく、ハロー警報だとしたら......
俺はありえないと思いつつ、ある言葉を口にする。
「は、はろー」
「「「「「「「ハロー!!」」」」」」」
俺が言った事に対して、7人は流暢な英語で返した。
7人は満面の笑顔を浮かべ、とても満足しているように見える。
多様な国々の外国人たちは、それだけ言うとそれぞれ別方向へと歩いて行く。
何がなんだか分からないが、彼らが満足したのは間違いないらしい。
今まで両親が言った事や、山田の言った事を無視し続けてた結果、怖ろしい目にあってしまった。
あの時、少しでも真剣に話を聞いていればこんな思いをしなくて済んだかもしれないなと思った。
「ハロー警報、か......」
家族で朝ご飯を食べていると、テレビで放送しているニュース番組からそう聞こえて来た。
「なんだと!母さん、お~い」
父がそう言い、食べるのを中断して勢い良く椅子から立ち上がる。
ご飯くらいゆっくり食べれば良いのに、と思いつつ俺は白米を口に運ぶ。
「どうしたのよパパ」
キッチンで洗い物をしていた母が、洗い物を中断してリビングへと来た。
「ハロー警報が東京都で発令されたらしいんだ」
「えっ! 本当に?」
母は、急いでテレビの方へと向かってニュース番組を確認する。
『本日のニュースはこれでお終いです。続いては......』
アナウンサーが言葉を続けかけた所で、母がテレビを消した。
朝のテレビくらいゆっくり見たいのに、と思いながらも目玉焼きを口に運ぶ。
ニュース番組が終わりテレビを見ていた母が、ご飯を食べている俺の方へと来た。
「あのね、裕ちゃん。ハローはこんにちはってあいさつのことなの」
「それくらい学校で習ったし、言われなくても分かるよ」
ご飯を食べながら、今更そんな事を言わなくても良いのにと思った。
確かにテストの点数は悪かったが、それくらいの英単語は既に知っている。
「そうじゃないんだ裕太」
「そうよ裕ちゃん。あいさつされたら、返さないといけないのよ」
「今度のテストは気を付けますよ~だ」
俺はご飯を口に詰めし込み、カバン片手に玄関へと向かう。
両親からバカにされているように感じて、これ以上の会話をしなくなかったのだ。
それになんだハロー警報って、波浪警報の間違いだろ。
間違っているのはどっちだよ、と思いつつ学校へと向かう。
◇
「お~い裕、朝のニュース見たか?」
「波浪警報のことだろ? それがどうかしたのか」
「あ、あぁ。お前知らないのか」
通学路を歩いていると、小中同じでクラスまで同じという腐れ縁の山田が話しかけて来た。
山田までその話題を口にしてくるのが珍しいと感じたが、会話を続ける。
「お前もハローはあいさつだ、とか言うじゃないだろうな」
「おお~、よく分かったな。あいさつはされたら返さないと大変な目に会うからな。それに波浪じゃなくてハロー、な」
俺には両親と山田が言っていることが良く分からず、みんなして頭がおかしくなったとすら思えた。
山田の言ってる事がよく分からなかったので、適当に返事をしてその場をやり過ごす。
その後は、いつもと変わらないアニメやゲームなどの話をしながら学校へと歩いた。
◇
今日の授業が終わり、部活にも入っていない俺は帰宅の用意を進める。
同級生たちは、部活や委員会に所属する者と俺みたいにすぐに帰宅する者に分かれ、それぞれ違った準備をしていた。
「お~い裕、この後すぐに帰るんだろ? なら本当に気を付けろよ、あいさつは大切だからな」
「まだ言ってたのか山田、こりない奴だな」
「おいおい、これは......」
「またな~」
帰宅の用意を進めていると、山田が話しかけて来た。
山田の奴は、朝と変わらずふざけているようだったので、会話を途中で切り上げて廊下へと向かう。
山田は、この後所属しているサッカー部の練習に行くらしく、練習着に着替えていた。
「あらまぁ、大丈夫かねぇ~」
後ろの方でそんな声が聞こえてきたが、無視して歩き続ける。
◇
「ハロー」
一人で通学路を家に向かって歩いていると、唐突にそんな声が聞こえてきた。
それは日本人が発音するような英語ではなく、流暢な英語の発音だった。
俺は、どこかで外国人が話しているのだろうと思い、そのまま歩き続ける。
「「ハロー」」
暫く歩いていると、また先ほどと同じ台詞が聞こえて来た。
しかも、先ほどと同じ台詞ではあるが、先ほどとは異なり人数が増えているようだった。
ここは東京都であり、日本人だけではなく外国人も多く住んでいるため、よくある事だと思い歩き続ける。
「「「ハロー」」」
流石に3回も同じ台詞が聞こえて来ると、恐怖を感じた。
先ほどと同じ台詞、けれど先ほどよりも人数が増えている。
俺は、恐怖を感じてそのまま早歩きで家へと向かう。
「「「「ハロー」」」」
その台詞が聞こえて来た時、俺は無心で走り出していた。
周囲は閑静な住宅街で、この辺に住んでいる外国人もあまり多くなく、観光地でもないのであまり見かけない。
それなのに、四人もの声が一斉に聞こえて来たのだ。
「「「「「ハロー」」」」」
「「「「「「ハロー」」」」」
「「「「「「ハロー」」」」」」
おかしい。
いくら走り続けても、同じ台詞が後ろから聞こえて来る。
これ以上走り続けても同じことだろうと思いつつ、俺は走るのを辞めて勇気を出して後ろを見た。
「あの、さっきから俺を追いかけて来てるのはどなたですか?」
後ろを振り返ると、多様な国家の外国人と思われる人が6人ほどいた。
高齢の人から女性も人もいて、とても俺の走りに着いて来られるとは思えなかった。
何とも言えない恐怖を感じていると、6人は俺の方を見て言った。
「「「「「「「ハロー」」」」」」」
俺は、身体中から鳥肌が出ているのを感じた。
先ほどまで目の前にいたはずの外国人は6人であり、決して7人ではなかったはずだ。
それなのに今の俺の目の前には、7人の外国人がいる。
この時、俺は朝の両親が言っていたハローのことやテレビのハロー警報、山田が言っていたことを思い出した。
あれがもし波浪警報ではなく、ハロー警報だとしたら......
俺はありえないと思いつつ、ある言葉を口にする。
「は、はろー」
「「「「「「「ハロー!!」」」」」」」
俺が言った事に対して、7人は流暢な英語で返した。
7人は満面の笑顔を浮かべ、とても満足しているように見える。
多様な国々の外国人たちは、それだけ言うとそれぞれ別方向へと歩いて行く。
何がなんだか分からないが、彼らが満足したのは間違いないらしい。
今まで両親が言った事や、山田の言った事を無視し続けてた結果、怖ろしい目にあってしまった。
あの時、少しでも真剣に話を聞いていればこんな思いをしなくて済んだかもしれないなと思った。
「ハロー警報、か......」
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
次回は波狼警報かな?(未読)