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12話
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舞花の装備を整え、S級ダンジョンに行ってから数日後。
俺は、また探索者ギルドの前に来ていた。
あの後、ダンジョンに行く予定を立てたのだ。
そして、今日がダンジョンに潜る予定の日。
今回は、見るだけではなくちゃんと中に入るつもりでいる。
待ち合わせ時刻になる前に舞花が来て、時刻丁度に師匠が来る。
いつも通りだ。
「待たせて悪かったな」
「悪かったわね透」
舞花と師匠は、今日はしっかりと装備を着ている。
師匠は前回と変わらずジャージのような格好。
舞花は、スカートにニーソとよく分からない格好をしていた。
「そんなに待ってないですよ」
「今日は探索者ギルドで受付をしてから、ダンジョンに行くぞ」
前回の探索では、師匠が予め受付を済ませてくれていた。
だけど今回は、探索者ギルドで受付をしてからダンジョンに行くみたいだ。
俺たちは、探索者ギルドの中へと入って受付へと向かう。
「こんにちは。本日はどのようなご用件ですか?」
「ダンジョン探索に行くんだ。どこか無いか?」
師匠は、受付の人にそう言った。
今日の受付の人は、瑞奈さんではない。
書類を取り出したり、パソコン画面を見ながら探しているようだ。
「これなんてどうですか?」
「どれどれ......。ここなら歩いて行けそうだな」
師匠はそう言うと、案内されたダンジョンに決めたみたいだ。
その後は、事務的な手続きを済ませて許可証を貰っていた。
「よし、行くか」
今回の流れを見て、未踏破ダンジョンに行く時に必要な手続きは分かった。
今後は、俺も一人で手続きが出来るだろう。
手続きを終えたので、ダンジョンへと向かうことにする。
◇
俺たちは歩いて、ダンジョン前へと来た。
スキルの【危機察知】が反応している。
しかし、先日見たS級ダンジョンほどの脅威を感じない。
目の前にあるダンジョンは、そこまで危険は無さそうだ。
「師匠、このダンジョンは大丈夫そうですよ」
「透がそう言うなら、そうなんだろうな」
「ん? また私だけ仲間外れなの?」
とりあえず舞花のことは無視して、ダンジョンに潜る。
ダンジョンに潜ると、先程よりもスキルが強く反応している。
ダンジョン内部は、別空間となっているから、中の方が【危機察知】が正確に反応するみたいだ。
それでも、そこまでの危険はないと感じる。
ダンジョンの中は、入ってすぐに分かれ道になっていた。
左右へと道が続いているけれど、スキルは特に反応しない。
「舞花、スキル使ってみろ」
「やっと私の出番ね。任せて、【探知】!」
師匠がそう言うと、舞花が何やらスキルを使う。
何をしているのか分からないけれど、舞花を中心として魔力が放射状に広がっていく。
俺は、スキルについてあまり詳しくない。
だから舞花のスキルもよく分からなかった。
「うーん、多分だけど左の方が良さそうね」
「なら左に行くぞ」
師匠は、舞花が言った道を選択した。
スキルで何が分かったのだろう。
気になったので、聞いてみることにする。
「師匠、舞花のスキルって何です?」
「舞花、教えてやれ」
「聞いて驚きなさい! 私のスキルは、モンスター感知が出来るのよ——」
舞花は、スキルについて説明をしてくれた。
スキル【探知】は、自身を中心として魔力波のようなものを飛ばすことで、周囲にいるモンスターを調べることが出来るらしい。
ただ、その精度は確実ではなく多少の誤差があるみたいだ。
それは、魔力波を飛ばすので物陰などにモンスターがいる場合には気付き難くなるのが理由らしい。
「ふーん。結構便利なスキルなんだね」
「私のスキルなんだから、あたりまえよ」
舞花は、自身のスキルが褒められたのが嬉しいみたいだ。
無い胸を張って、偉そうにしている。
胸を張っているけれど、無いものは無い。
見ているこっちが悲しくなって来た。
「ちょっと、何で悲しそうな顔してるのよ! 」
「いや、気にしないで......」
「何なのよ! ムカつくわね」
「舞花と透は面白いな」
そんな俺と舞花のやり取りを見て、師匠は笑いながらそう言う。
右の道を進んでいるけれど、モンスターと遭遇することは無かった。
舞花のスキルは、使い勝手が良いかもしれないな。
「舞花のスキルは凄いね。効果範囲ってどれくらいあるの?」
「あんまり広くないわよ。正確には分からないけど、半径10mくらいじゃない?」
「それだけ分かれば十分だ」
舞花のスキルを使えば、半径約10mにいるモンスターの位置が分かる。
これは、探索者としてやっていくならとても使えるスキルだろう。
探索者として、活躍している師匠が認めているほどだ。
「それと、私のスキルは任意発動型で魔力消費量も少なくないわ。使えるのは三回くらいよ」
「回数はちょっと問題だな」
「けど、うまく使えばかなり使えますよ」
「そ、そうよね。うん、そうに決まっているわね」
舞花の【探知】は三回しか使えないらしい。
低ランクダンジョンであれば、それでもあまり問題はないだろう。
けれど、高ランクダンジョンとなると、少し心許ない。
舞花は、また胸を張って嬉しそうにしていた。
それを見ると、また悲しくなる。
「ま、今後次第だな」
師匠は、あまり深く考えていないようでそう言う。
使えるのが、三回でもそれほど問題ではないみたいだ。
話をしながら歩いていると、また分かれ道が現れた。
今度は、三つの道に分かれている。
「回数制限はあるが、使って良いぞ舞花」
「任せて、【探知】!」
舞花は、またスキルを使う。
スキルを使った時に、エフェクトがあるのは良いな。
俺のスキルにはそんなものはなく、とても地味だ。
これが、任意発動型と常時発動型スキルの違いなのかもしれない。
任意発動型スキルは、回数制限や魔力消費量が少なくない代わりに、エフェクトなどがカッコいい。
常時発動型スキルは、回数制限もなく魔力消費量もそれほど多くない。だが、地味である。
詳しく調べれば違いはあるだろうけど、俺が分かる範囲ではこれだけの違いがある。
「今度は真ん中ね」
「よし、行くぞ」
「行きましょう!」
俺たちは、舞花のスキルを信頼して真ん中を進むことにした。
暫く歩き続けても、モンスターと遭遇することはない。
モンスターと遭遇せずにダンジョン探索が出来るのは、とても有り難い。
特に俺たちみたいな探索者では、一々モンスターを相手にしている訳にはいかない。
接敵回数を減らせるだけでも、体力面や資金面でも助かるのだ。
「またモンスターがいない、やっぱり凄いね」
「私のスキルだからね」
俺がそう褒めると、舞花はまた胸を張る。
そんなやり取りをしていると、師匠があることを言った。
「おい舞花、地図もちゃんと描いてるか?」
「描いてるわよ、はいこれ」
今回のダンジョン探索では、舞花が地図作成担当だ。
俺は前回経験したので、経験のない舞花がやることになった。
師匠は、舞花から地図を受け取る。
「何だこれ、ダメダメじゃないか」
「えっ......」
師匠は、受け取った地図を見てそう言った。
俺も横から覗き込んで見ると、それは酷い地図だった。
「おい透、お前が地図描け。舞花じゃダメだ」
「面倒ですけど、これじゃ仕方ないですね......」
「がーん......」
舞花の描いた地図は、線が曲がっていて何を描いているのかよく分からないものになっている。
これでは、探索者ギルドに提出することも出来ず、売るなんて到底無理な出来だ。
舞花のスキルはとても有能かもしれないけれど、考えてを改める必要なありそうだ。
本体は俺が思っていたよりも、ポンコツかもしれない。
舞花は、地図にも自身があったみたいだ。
俺と師匠にダメ出しをされて、かなり落ち込んでいる。
「先に進むぞ」
師匠は、そんな舞花を無視して先に進む。
俺は、また探索者ギルドの前に来ていた。
あの後、ダンジョンに行く予定を立てたのだ。
そして、今日がダンジョンに潜る予定の日。
今回は、見るだけではなくちゃんと中に入るつもりでいる。
待ち合わせ時刻になる前に舞花が来て、時刻丁度に師匠が来る。
いつも通りだ。
「待たせて悪かったな」
「悪かったわね透」
舞花と師匠は、今日はしっかりと装備を着ている。
師匠は前回と変わらずジャージのような格好。
舞花は、スカートにニーソとよく分からない格好をしていた。
「そんなに待ってないですよ」
「今日は探索者ギルドで受付をしてから、ダンジョンに行くぞ」
前回の探索では、師匠が予め受付を済ませてくれていた。
だけど今回は、探索者ギルドで受付をしてからダンジョンに行くみたいだ。
俺たちは、探索者ギルドの中へと入って受付へと向かう。
「こんにちは。本日はどのようなご用件ですか?」
「ダンジョン探索に行くんだ。どこか無いか?」
師匠は、受付の人にそう言った。
今日の受付の人は、瑞奈さんではない。
書類を取り出したり、パソコン画面を見ながら探しているようだ。
「これなんてどうですか?」
「どれどれ......。ここなら歩いて行けそうだな」
師匠はそう言うと、案内されたダンジョンに決めたみたいだ。
その後は、事務的な手続きを済ませて許可証を貰っていた。
「よし、行くか」
今回の流れを見て、未踏破ダンジョンに行く時に必要な手続きは分かった。
今後は、俺も一人で手続きが出来るだろう。
手続きを終えたので、ダンジョンへと向かうことにする。
◇
俺たちは歩いて、ダンジョン前へと来た。
スキルの【危機察知】が反応している。
しかし、先日見たS級ダンジョンほどの脅威を感じない。
目の前にあるダンジョンは、そこまで危険は無さそうだ。
「師匠、このダンジョンは大丈夫そうですよ」
「透がそう言うなら、そうなんだろうな」
「ん? また私だけ仲間外れなの?」
とりあえず舞花のことは無視して、ダンジョンに潜る。
ダンジョンに潜ると、先程よりもスキルが強く反応している。
ダンジョン内部は、別空間となっているから、中の方が【危機察知】が正確に反応するみたいだ。
それでも、そこまでの危険はないと感じる。
ダンジョンの中は、入ってすぐに分かれ道になっていた。
左右へと道が続いているけれど、スキルは特に反応しない。
「舞花、スキル使ってみろ」
「やっと私の出番ね。任せて、【探知】!」
師匠がそう言うと、舞花が何やらスキルを使う。
何をしているのか分からないけれど、舞花を中心として魔力が放射状に広がっていく。
俺は、スキルについてあまり詳しくない。
だから舞花のスキルもよく分からなかった。
「うーん、多分だけど左の方が良さそうね」
「なら左に行くぞ」
師匠は、舞花が言った道を選択した。
スキルで何が分かったのだろう。
気になったので、聞いてみることにする。
「師匠、舞花のスキルって何です?」
「舞花、教えてやれ」
「聞いて驚きなさい! 私のスキルは、モンスター感知が出来るのよ——」
舞花は、スキルについて説明をしてくれた。
スキル【探知】は、自身を中心として魔力波のようなものを飛ばすことで、周囲にいるモンスターを調べることが出来るらしい。
ただ、その精度は確実ではなく多少の誤差があるみたいだ。
それは、魔力波を飛ばすので物陰などにモンスターがいる場合には気付き難くなるのが理由らしい。
「ふーん。結構便利なスキルなんだね」
「私のスキルなんだから、あたりまえよ」
舞花は、自身のスキルが褒められたのが嬉しいみたいだ。
無い胸を張って、偉そうにしている。
胸を張っているけれど、無いものは無い。
見ているこっちが悲しくなって来た。
「ちょっと、何で悲しそうな顔してるのよ! 」
「いや、気にしないで......」
「何なのよ! ムカつくわね」
「舞花と透は面白いな」
そんな俺と舞花のやり取りを見て、師匠は笑いながらそう言う。
右の道を進んでいるけれど、モンスターと遭遇することは無かった。
舞花のスキルは、使い勝手が良いかもしれないな。
「舞花のスキルは凄いね。効果範囲ってどれくらいあるの?」
「あんまり広くないわよ。正確には分からないけど、半径10mくらいじゃない?」
「それだけ分かれば十分だ」
舞花のスキルを使えば、半径約10mにいるモンスターの位置が分かる。
これは、探索者としてやっていくならとても使えるスキルだろう。
探索者として、活躍している師匠が認めているほどだ。
「それと、私のスキルは任意発動型で魔力消費量も少なくないわ。使えるのは三回くらいよ」
「回数はちょっと問題だな」
「けど、うまく使えばかなり使えますよ」
「そ、そうよね。うん、そうに決まっているわね」
舞花の【探知】は三回しか使えないらしい。
低ランクダンジョンであれば、それでもあまり問題はないだろう。
けれど、高ランクダンジョンとなると、少し心許ない。
舞花は、また胸を張って嬉しそうにしていた。
それを見ると、また悲しくなる。
「ま、今後次第だな」
師匠は、あまり深く考えていないようでそう言う。
使えるのが、三回でもそれほど問題ではないみたいだ。
話をしながら歩いていると、また分かれ道が現れた。
今度は、三つの道に分かれている。
「回数制限はあるが、使って良いぞ舞花」
「任せて、【探知】!」
舞花は、またスキルを使う。
スキルを使った時に、エフェクトがあるのは良いな。
俺のスキルにはそんなものはなく、とても地味だ。
これが、任意発動型と常時発動型スキルの違いなのかもしれない。
任意発動型スキルは、回数制限や魔力消費量が少なくない代わりに、エフェクトなどがカッコいい。
常時発動型スキルは、回数制限もなく魔力消費量もそれほど多くない。だが、地味である。
詳しく調べれば違いはあるだろうけど、俺が分かる範囲ではこれだけの違いがある。
「今度は真ん中ね」
「よし、行くぞ」
「行きましょう!」
俺たちは、舞花のスキルを信頼して真ん中を進むことにした。
暫く歩き続けても、モンスターと遭遇することはない。
モンスターと遭遇せずにダンジョン探索が出来るのは、とても有り難い。
特に俺たちみたいな探索者では、一々モンスターを相手にしている訳にはいかない。
接敵回数を減らせるだけでも、体力面や資金面でも助かるのだ。
「またモンスターがいない、やっぱり凄いね」
「私のスキルだからね」
俺がそう褒めると、舞花はまた胸を張る。
そんなやり取りをしていると、師匠があることを言った。
「おい舞花、地図もちゃんと描いてるか?」
「描いてるわよ、はいこれ」
今回のダンジョン探索では、舞花が地図作成担当だ。
俺は前回経験したので、経験のない舞花がやることになった。
師匠は、舞花から地図を受け取る。
「何だこれ、ダメダメじゃないか」
「えっ......」
師匠は、受け取った地図を見てそう言った。
俺も横から覗き込んで見ると、それは酷い地図だった。
「おい透、お前が地図描け。舞花じゃダメだ」
「面倒ですけど、これじゃ仕方ないですね......」
「がーん......」
舞花の描いた地図は、線が曲がっていて何を描いているのかよく分からないものになっている。
これでは、探索者ギルドに提出することも出来ず、売るなんて到底無理な出来だ。
舞花のスキルはとても有能かもしれないけれど、考えてを改める必要なありそうだ。
本体は俺が思っていたよりも、ポンコツかもしれない。
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