惚れた弱みにも、限度がありました。

ふまさ

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 ゴンザレス子爵が「馬鹿か、お前は」と舌打ちせんばかりに吐き捨てるが、まだパスカルはぴんときていないようで。「なにがですか」と、わからない不安と苛立ちで、問いかけた。

「マーシアは口をつぐんで当然。そう言わんばかりだが、どうしてそんな思考回路になるのか、理解に苦しむ。どこからくるんだ、その阿呆な自信は」

「あ、あほって……そんな言い方」

「マーシアが十日も学園を休んだ理由を、お前はどう考えていたのだ」

 ──ぼくが他の女を抱いたから。そのショックで。

 とは言えず、押し黙るパスカル。ゴンザレス子爵は苛ついたように右足のつま先を床に何度も上下させた。

「……マーシアはな。マケラ伯爵と私に、直接お前の愚行を伝えにきたのだ。そして、いますぐにお前との婚約を破棄させてくださいと、私たちに告げてきた」

「…………。…………?」

 パスカルは数秒の後。そんな馬鹿な、と薄く笑った。

「それこそ、嘘です。マーシアがぼくを裏切るはずありません。まして婚約破棄なんて。それって、ぼくと別れるってことでしょう? マーシアがそんなこと、望むはずないじゃないですか」

「なぜだ? お前の裏切りは、一度や二度ではないのだろう? 婚約破棄されても、なんら不思議なことはない。私には、お前が理解できん」

「父上は知らないのです。マーシアが、どれほどぼくを愛しているのかを」

 自信満々に言い切るパスカルに、ゴンザレス子爵は頭がどうにかなりそうだった。


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