惚れた弱みにも、限度がありました。

ふまさ

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「申し訳ありませんが、いくら父上の言葉でも、ぼくはマーシアから直接聞いたことでなければ信じられません」

「それで納得すると?」

 パスカルが「はい」と、強く頷く。

「マーシアは、いまどこに。まだ地方にいるのですか」

「いいや。私と一緒に、王都に戻ってきたよ」

 パスカルは希望に満ちた目をした。

「ならば、王都の屋敷にいるのですね。ならば話がはやい。父上、急ぎマーシアの元に行きましょう」

「その前に、約束しろ。マーシアが貴様にはっきりと別れを告げたら、それを素直に受け入れると。嘘だなんだと、騒ぎ立てることは二度と許さん」

 パスカルの「わかりました、約束します」となんの迷いもない返答に心底呆れたゴンザレス子爵は、使用人に、馬車の用意を命じた。



 マケラ伯爵家の執事は、パスカルとゴンザレス子爵の訪問に特に驚いた様子もなく迎え入れ、二人を応接室に案内した。いつもと変わらぬ様子に、パスカルがそっと胸を撫で下ろす。

「メイドがマーシアお嬢様を呼びにいきましたので、少しだけお待ちくださませ」

 執事がゆるりと腰を折る。パスカルはご機嫌で、いくらでも待つよ、と笑った。これでもう大丈夫だと、安心しきっているかのようだった。


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