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「わたしと別れたいけど、将来のため、チェルニー伯爵から罰を与えられないために、別れられない。そう言っていたとか」
「……し、知らない……」
「パティがわたしを悪女だと言っていたけれど、あなたもそう思っていたのね。もしかして、ずっとそう思っていたの? だとしたら、一緒に登下校するのも、デートも、さぞや苦痛だったでしょう? 気付かなくて、ごめんなさい」
「……ち、違う! 違うよ!! ぼくはきみと一緒にいるのは、心から楽しかった。それは本当なんだ……信じてくれ……っ」
リッキーが涙を浮かべ、訴える。
だが──。
「──そんなこと、どうだっていいのよ」
ふっ。
シャノンから、一切の作り笑いが消えた。
「……シャノン?」
「何が問題か。あなたが一番、わかっているはずでしょう?」
リッキーの顔から一気に血の気が引いていく。考えないようにしていた事実が、頭を駆け巡る。
『あのね、パティ。一つ、提案があるんだけど──』
「パティに一つ、提案を出したでしょう?」
「…………そ、それも、聞かれて、いた……?」
「あなたたち二人があの場から立ち去るまで、ずっと聞き耳を立てていたそうよ」
リッキーの膝が、がくがくと震え出した。それは、立っているのが不思議なぐらいだった。
「……し、知らない……」
「パティがわたしを悪女だと言っていたけれど、あなたもそう思っていたのね。もしかして、ずっとそう思っていたの? だとしたら、一緒に登下校するのも、デートも、さぞや苦痛だったでしょう? 気付かなくて、ごめんなさい」
「……ち、違う! 違うよ!! ぼくはきみと一緒にいるのは、心から楽しかった。それは本当なんだ……信じてくれ……っ」
リッキーが涙を浮かべ、訴える。
だが──。
「──そんなこと、どうだっていいのよ」
ふっ。
シャノンから、一切の作り笑いが消えた。
「……シャノン?」
「何が問題か。あなたが一番、わかっているはずでしょう?」
リッキーの顔から一気に血の気が引いていく。考えないようにしていた事実が、頭を駆け巡る。
『あのね、パティ。一つ、提案があるんだけど──』
「パティに一つ、提案を出したでしょう?」
「…………そ、それも、聞かれて、いた……?」
「あなたたち二人があの場から立ち去るまで、ずっと聞き耳を立てていたそうよ」
リッキーの膝が、がくがくと震え出した。それは、立っているのが不思議なぐらいだった。
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