わたしのことはお気になさらず、どうぞ、元の恋人とよりを戻してください。

ふまさ

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「…………でたらめだっっ!!」

 掠れた声で、リッキーは叫んだ。

「ぼくはそんなこと言ってない! だいたい、見知らぬ令嬢と、婚約者のぼく。どちらを信じるべきかなんて、考えなくてもわかるだろ!?」
 
「──そうね。その令嬢の証言だけでは、確かに不十分だったわ。だからわたしは、留学の許可証の書類にサインをしてもらいにいくため、実家に帰省したとき、お父様たちに全てを話し、後を託したの。わたしには時間がなかったから」
 
「は、なした……? 全て?」

「ええ。お父様は、力強く了承してくださった。だからわたしは、留学に集中することができたのよ」

 シャノンは目を細め、穏やかに微笑んだ。どうしていま、そんな表情をするのか。リッキーにはまるでわからなかった。

「帰国して真っ直ぐに、わたしはお父様たちの元に向かった。お父様は、はっきりおっしゃってくださったわ──全て、終わったと」

「……な、にが」

「何だと思う? 心当たりはない?」
 
「…………」

 リッキーはとうとう、口を閉ざしてしまった。シャノンは、淡々と続けた。

「お父様はまず、チェルニー伯爵にあなたのことを伝えた。チェルニー伯爵は最初、息子がそんなことを言うはずがないと信じなかったそうよ。なら、あなたの潔白を証明するためにも、こちらの使用人をリッキーの屋敷に潜りこませること。そして第三者の目として、探偵にあなたを見張らせること。これを了承してもらった──結果、あなたと婚約破棄できる証拠が出そろったの」

 シャノンはうつ向いてしまったリッキーを、呆れた双眸で見つめた。

「……あなたとの婚約が正式に破棄されたことを知って喜んだと同時に、忙しくもなって。学園がはじまる前にやれることはやっておこうと思って、屋敷に戻ってくるのが今日になってしまったの。だからとっくに、チェルニー伯爵から婚約破棄のこと、知らされているものだと思っていたわ。それに、パティとの密談が学園中に知れわたっていることも、まさかいまだに当事者のあなたが知らないなんて、思いもしなかった」

 そうか。と、ようやくリッキーは少し思考を動かすことができた。シャノンの屋敷の前で待ち構え、あまつさえパティの告白は断った。またデートしよう、などと言った自分を、心底驚いた表情で見ていたのは、そういうわけだったのかと。

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