5 / 13
「できるとこからヤってみる」っていう開拓精神 ①
しおりを挟む
引退がせまっていた。オレは生徒会を、大智はバスケ部の副主将を──とはいえ、ヤツはスポーツ推薦が決まっているしオレも推薦入試での大学進学を決めていた。違う大学への別れ道だ、卒業までの時間はそう長くもない。現実はそうなんだが……だからってべつに、もう勉強や練習をしなくていいわけでもないしヒマなわけでもねーんだよ、オレらは。
なのにいま、オレの部屋には普通に大智がいた。部活のエナメルバッグを肩から下げて、なんか不自然に上機嫌に見える。さすがに学ランは脱いで私服になってはいるが、こいつの普段着ってのはジャージばっかなんだよな。
「秋介、おまえんちっていいよなぁ。家は広いのに兄弟もいねーし、親父さんは海外出張、母ちゃんも夜勤とかはっきり予定決まっててさ?」
ここ一年ほど父親はカナダに単身赴任していて、たまに帰国するときはもちろん事前連絡がある。母親は大学病院の麻酔科医だ、勤務時間はバラバラだし家にいてもオンコールでの呼び出しだとかで、かなり忙しそうだった。
だからこそ、大学進学を契機にオレが家を出たところでべつに、あまりこの家は変わらないんだろうなと思う。そこに寂しさとか未練のようなものは特別ないけども。
「そんでさー、秋介。前来たときに言っただろおれ──『いろいろ次回は準備してくっから』ってさ」
「そうだっけ? ていうかおまえ、頭の中どうなってんだよ。バカとエロしかつまってないの──? 今からそんなんじゃマジでヤバくねえか、将来が」
立ち尽くしたまま大智がバッグから取り出した黒いポーチ、さらにそこから床にバラ撒まかれたいろいろなアイテムを見てオレは、思わず本気で大智のその手を払いのけた。
「バ、ババババカ野郎、なんだよそのヤバそうな一連の物体は!」
「え。なんだろプラグ? ディルドかな? バイブではねえよ?」
つやつやと黒光りする、おそらくシリコン製だろうか。ていうかとりわけ巨大で凶悪な数本があまりにも目立って際立っていて、オレにはガチの恐怖しかなかった。
「こんなんで何ができると思ってんだこの腐れ巨人が! アタマ湧いてんじゃねぇのか!?」
「秋介、待てって冷静になれよ。これとか、このへんとかさ、おれの指より短いし……」
確かに、大智が手にとった数本のそれは、大智の小指と同じサイズくらいではあったし、先端部はだいぶ細い──とはいえ、だ。
「なんなんだおまえ。これで一方的にオレのこと辱めようっつーのか、てかサイズの問題とかじゃねーわ、オレだけが恥ずかしーだろ!」
「え。けどさ、おれたち付き合ってんだろ? もっといろんなことしたいよな──?」
「う……」
そういや前回、なんとなくそんな感じのことを言ってしまったような気がする。
「他にもさ、ちゃんとした専用のローションもあるしな」
大智のカバンからはまた新たなアイテムが出てきた。今日はいったん家に帰ってからここに来たんで、当然これらのモノを学校に持ち込んでいるわけではないはずだが……、とオレはひそかに戦慄する。こいつは何をいろいろと買い込んでんだ、ネット通販か──?
「あとコレな。大事だぞ、絶対」
大智がさらに取り出したポンプ式の何かを見てオレは今度こそ、それを全力で払い落とした。
「な、なな何だよそれ、怖ぇよ……!」
「ああ、たしか『多目的洗浄器』ってヤツだっけな。これで何の不安もなくおまえも『開拓』に専念できるだろ──?」
なにが開拓だ、こいつにはデリカシーとか遠慮とか、未知のものに対する恐れみたいな概念はないのか。どうせ未開発だよオレは、だけどその何が悪いってんだよ。
「──ッざけんな、これざっくりいえば『浣腸』じゃねーのかよ!」
「あーあ、おれあえてその単語使わないようにしてたのにな。秋介にはデリカシーってないのかよ」
「てめーが言うんじゃねェわぁああ! このバカチンがァ!!」
はぁ、はぁ、とオレは呼吸を荒くする。そんなオレの背中を大智はぽん、と叩いた。
「まぁコレとコレ持って風呂でも入ってこいよ、きっちりキレイにしときゃお互い恥ずかしいこともねーだろ?」
「一方的にオレだけが恥ずかしいだろがよ!」
「けどさ、こういうとこからちゃんと始めないと、おまえと先には進めないんだよ。秋介」
なんなんだろう、こういうステップは世の「男同士」ってのは必ず踏み越えているものなのか──?
「それに、おれのためにおまえがこうして準備してくれたら、それだけでおれけっこう幸せだ。おれは家でシャワー浴びて来たからさ、ゆっくり待ってるよ。どうしてもやり方わかんねえなら呼んでくれ、な?」
そう言って大智は、ジャージの上をインナーごと脱ぎ捨てて上半身裸になる。くそっ、こいつ確信犯だな──オレが、こいつのその筋肉にけっこう弱いってことをもう熟知してやがる。
「あークソ、いいか大智! おまえ、オレが『これ以上やるな!』ってことはすんじゃねーぞ!」
そう言い残してオレは階下の浴室へと向かう。鏡を見るとオレの顔は真っ赤で、心臓の鼓動もやたらと早くて。
あいつの半裸を見ただけで軽く欲情してんじゃねーかよオレ、これじゃ何も否定できねえぞ。
さすがに浴室でオレが何をどうしたのか、なんてことは「細かく説明しない権利」を発動させてもらうとしよう。
まぁ、大智に渡されたアイテムを駆使してとりあえず「そのへん」を徹底的に洗った。最初は痛そうだな、と思ってたけど意外と慣れちまえばそうでもなかったような──あとは全身をふつうに洗っただけだった。
髪型をまた整えんのは面倒だったんでそこはそのままで、べつに冷える季節でもなかったしバスタオルでざっくり全身の水を拭って、ただ下着だけは未開封だった水色のローライズボクサーを履いてから、ちんポジを整えた。それっていわゆる「勝負下着」ってヤツじゃねーの──って言われると否定はできないな。ダメだ、オレもあの日の、大智との「エロ行為」から、どっかバカになっちまってる。
だってあいつがあまりにエロいから、オレだって頑張ればそれなりにエロく見えんだよ!──なんて思ってたのかもしれない。
上半身にはスポーツブランドの、筋トレに使うような半袖のウェアだけを着て階段を上がる。そして勢いよくドアを開けると、さっきと変わらず上半身だけ裸の大智が振り向いて、ものすごく驚いたような顔をしてオレの全身を舐め回すようにして凝視した。
「なんだよ、──なんか言えよ、くそ」
「秋介、おまえなんか……すっげエロいな。どうした」
「ど、どうだよクソ。オレだってチビだけどある程度は鍛えてんだ、すこしはマシだろ」
挑発するようにして正面に立って見上げると、大智の顔が赤く染まっていくのがわかる。意外と正攻法には弱いのか──?
「いきなり犯したくなった……」
「サイテーかよ!!」
あーだめだこいつ。やっぱポンコツ巨神兵だわ。
「まぁ、そのための準備期間だしなぁ……けど、あの『門司クン』がこんなエロいとは誰も思ってねえだろうなぁ……すげぇ、おれいま幸せかもしんない」
「こんなんで幸せになれるんなら安いヤローだな、おまえは」
「鼻血出そうだよ、てかこれ見ろよ……」
下半身の白のジャージを、またしても突き上げる巨根。それをオレに見せつけても恐怖心しか与えないって、そこはやっぱわかってねーんだなこいつ、基本はバカだから。
「で。どーすりゃいいんだよ、オレは」
いちいち考えるのも怖ぇから、開き直って聞いてみる。
「……ベッドに寝てくれ、両膝は立てて、あとは任せろ。絶対におまえがイヤだってんなら、そこで止めるからさ」
ここまで来て、もうこいつを焦らしたりしてもしょうがない──ていうか、素直に身を投げだしたほうが安全なような気さえするな。
「わかった。もう裸んなったほうがいいのか?」
「お、おれが脱がしてぇってのは当然あるけどよ、おれの理性のためにも秋介が自分で脱いでくれると助かる、かな……」
言われてウェアはさっさと床に脱ぎ捨てる。下着は……まぁ、なんか大智には刺激が強かったみたいだからとりあえず失敗でもなかったんかな。と思いつつ、あえてゆっくり両脚を抜いて同じく床に投げ捨てた。
「ほい。これでオッケー?」
「ああ、うん……」
大丈夫かこいつ──? オレは別にまだ動揺してもいないけど、大智はどうみても赤面したまんまで危なっかしい。
それから数ある道具のなかでもいちばん先端部が細くて、長さもどんくらいだろう、10センチもないくらいのシリコン製のプラグ? に大智は手に取ったローション容器の中身をやたらと丁寧に塗りまとわせた。
「秋介、入り口あたり、ちょっとだけ濡らすぞ……?」
「ああ。もうそのへんは任せるよ、おまえに」
なんだか急に立場が逆転したみたいだった。身を投げだして両膝立てて、何もかも任せきりのオレに対して大智はやたらと慎重だった。大智は人差し指にのせたローションを、オレのケツ穴あたりに塗りつける。壊れ物でも扱うような、やけに遠慮がちな感じで、そっと。
「いいか、挿れるぞ……」
何かがあてがわれたのは分かった。だけど、それがオレの内側まで入ってきそうな感じはしない。生理的な反発感が勝手に生じている。
「秋介、まだ全身にチカラ入ってる。ここで無理に挿れちまうと痛ぇから、今後のためにも大事なんだよ」
「つっても、どうすりゃいいのかわかんねーよ……?」
「とりあえず深呼吸してくれ、目は開けてなくていい、状況を意識しなけりゃ身体も自然とユルくなるから……」
あぁ、信頼感つーのかな、そういうの大事なんだろうな──すぐそこにいる大智が、どんなにバカでかくてバカでも、オレに痛ぇことはしないっていう信頼、かな。とりあえず深く息を吸う、そして吐く。それからまた吸って──そのときにケツになんか入ってきたのを感じた。なにしろ細いんで痛みはなかったけど、強烈な違和感だけはある。
「大丈夫か? いま先端の3センチくらいだけ入ってる感じだけど」
「……あぁ、違和感ハンパねーけど痛くはねーよ?」
「そっか。そのまま、今のペースで深呼吸しててくれ」
先端部だけが入ったという異物よりも、オレの両脚の最奥部に、大智のデカい手が触れていることのほうを強く意識しちまう。目を開けて、こいつがどんな顔してんのか見てみたい──なんてことを考えてたら、なんかズルっと一気に異物感は奥まで来た。
「う──ッ?」
「プラグだからな。こんくらいの太さなら一気に入っちまうし、ストッパーがあるからこれ以上は奥まで入んねーよ。大丈夫か、秋介──?」
「……ああ、痛くはねーよ。全然」
侵入してくるモノの違和感、異物感が止まり、オレの中で静止している。こうしていると、すぐにそれも感じなくなった。プラグの出っ張りの部分だろうか、ローションに濡れたそれがオレの睾丸の部分にピタッとあたっていて、それが少しくすぐったい。そのまま大智は様子を見ていたようだったが、今度は冷静に告げた。
「秋介、分かるか──?」
「え。何がだよ」
「おまえいま、半勃ちくらいにはなってきてんぞ」
「マジか」
大智は、オレのちんこにローションを塗り込めた。やめろ、と言う代わりにオレは両腕で自分の表情を大智から隠す。それは紛まぎれもなく強すぎる快感で、オレはいまケツにプラグ挿入されたままで勃起した状態だった。
なのにいま、オレの部屋には普通に大智がいた。部活のエナメルバッグを肩から下げて、なんか不自然に上機嫌に見える。さすがに学ランは脱いで私服になってはいるが、こいつの普段着ってのはジャージばっかなんだよな。
「秋介、おまえんちっていいよなぁ。家は広いのに兄弟もいねーし、親父さんは海外出張、母ちゃんも夜勤とかはっきり予定決まっててさ?」
ここ一年ほど父親はカナダに単身赴任していて、たまに帰国するときはもちろん事前連絡がある。母親は大学病院の麻酔科医だ、勤務時間はバラバラだし家にいてもオンコールでの呼び出しだとかで、かなり忙しそうだった。
だからこそ、大学進学を契機にオレが家を出たところでべつに、あまりこの家は変わらないんだろうなと思う。そこに寂しさとか未練のようなものは特別ないけども。
「そんでさー、秋介。前来たときに言っただろおれ──『いろいろ次回は準備してくっから』ってさ」
「そうだっけ? ていうかおまえ、頭の中どうなってんだよ。バカとエロしかつまってないの──? 今からそんなんじゃマジでヤバくねえか、将来が」
立ち尽くしたまま大智がバッグから取り出した黒いポーチ、さらにそこから床にバラ撒まかれたいろいろなアイテムを見てオレは、思わず本気で大智のその手を払いのけた。
「バ、ババババカ野郎、なんだよそのヤバそうな一連の物体は!」
「え。なんだろプラグ? ディルドかな? バイブではねえよ?」
つやつやと黒光りする、おそらくシリコン製だろうか。ていうかとりわけ巨大で凶悪な数本があまりにも目立って際立っていて、オレにはガチの恐怖しかなかった。
「こんなんで何ができると思ってんだこの腐れ巨人が! アタマ湧いてんじゃねぇのか!?」
「秋介、待てって冷静になれよ。これとか、このへんとかさ、おれの指より短いし……」
確かに、大智が手にとった数本のそれは、大智の小指と同じサイズくらいではあったし、先端部はだいぶ細い──とはいえ、だ。
「なんなんだおまえ。これで一方的にオレのこと辱めようっつーのか、てかサイズの問題とかじゃねーわ、オレだけが恥ずかしーだろ!」
「え。けどさ、おれたち付き合ってんだろ? もっといろんなことしたいよな──?」
「う……」
そういや前回、なんとなくそんな感じのことを言ってしまったような気がする。
「他にもさ、ちゃんとした専用のローションもあるしな」
大智のカバンからはまた新たなアイテムが出てきた。今日はいったん家に帰ってからここに来たんで、当然これらのモノを学校に持ち込んでいるわけではないはずだが……、とオレはひそかに戦慄する。こいつは何をいろいろと買い込んでんだ、ネット通販か──?
「あとコレな。大事だぞ、絶対」
大智がさらに取り出したポンプ式の何かを見てオレは今度こそ、それを全力で払い落とした。
「な、なな何だよそれ、怖ぇよ……!」
「ああ、たしか『多目的洗浄器』ってヤツだっけな。これで何の不安もなくおまえも『開拓』に専念できるだろ──?」
なにが開拓だ、こいつにはデリカシーとか遠慮とか、未知のものに対する恐れみたいな概念はないのか。どうせ未開発だよオレは、だけどその何が悪いってんだよ。
「──ッざけんな、これざっくりいえば『浣腸』じゃねーのかよ!」
「あーあ、おれあえてその単語使わないようにしてたのにな。秋介にはデリカシーってないのかよ」
「てめーが言うんじゃねェわぁああ! このバカチンがァ!!」
はぁ、はぁ、とオレは呼吸を荒くする。そんなオレの背中を大智はぽん、と叩いた。
「まぁコレとコレ持って風呂でも入ってこいよ、きっちりキレイにしときゃお互い恥ずかしいこともねーだろ?」
「一方的にオレだけが恥ずかしいだろがよ!」
「けどさ、こういうとこからちゃんと始めないと、おまえと先には進めないんだよ。秋介」
なんなんだろう、こういうステップは世の「男同士」ってのは必ず踏み越えているものなのか──?
「それに、おれのためにおまえがこうして準備してくれたら、それだけでおれけっこう幸せだ。おれは家でシャワー浴びて来たからさ、ゆっくり待ってるよ。どうしてもやり方わかんねえなら呼んでくれ、な?」
そう言って大智は、ジャージの上をインナーごと脱ぎ捨てて上半身裸になる。くそっ、こいつ確信犯だな──オレが、こいつのその筋肉にけっこう弱いってことをもう熟知してやがる。
「あークソ、いいか大智! おまえ、オレが『これ以上やるな!』ってことはすんじゃねーぞ!」
そう言い残してオレは階下の浴室へと向かう。鏡を見るとオレの顔は真っ赤で、心臓の鼓動もやたらと早くて。
あいつの半裸を見ただけで軽く欲情してんじゃねーかよオレ、これじゃ何も否定できねえぞ。
さすがに浴室でオレが何をどうしたのか、なんてことは「細かく説明しない権利」を発動させてもらうとしよう。
まぁ、大智に渡されたアイテムを駆使してとりあえず「そのへん」を徹底的に洗った。最初は痛そうだな、と思ってたけど意外と慣れちまえばそうでもなかったような──あとは全身をふつうに洗っただけだった。
髪型をまた整えんのは面倒だったんでそこはそのままで、べつに冷える季節でもなかったしバスタオルでざっくり全身の水を拭って、ただ下着だけは未開封だった水色のローライズボクサーを履いてから、ちんポジを整えた。それっていわゆる「勝負下着」ってヤツじゃねーの──って言われると否定はできないな。ダメだ、オレもあの日の、大智との「エロ行為」から、どっかバカになっちまってる。
だってあいつがあまりにエロいから、オレだって頑張ればそれなりにエロく見えんだよ!──なんて思ってたのかもしれない。
上半身にはスポーツブランドの、筋トレに使うような半袖のウェアだけを着て階段を上がる。そして勢いよくドアを開けると、さっきと変わらず上半身だけ裸の大智が振り向いて、ものすごく驚いたような顔をしてオレの全身を舐め回すようにして凝視した。
「なんだよ、──なんか言えよ、くそ」
「秋介、おまえなんか……すっげエロいな。どうした」
「ど、どうだよクソ。オレだってチビだけどある程度は鍛えてんだ、すこしはマシだろ」
挑発するようにして正面に立って見上げると、大智の顔が赤く染まっていくのがわかる。意外と正攻法には弱いのか──?
「いきなり犯したくなった……」
「サイテーかよ!!」
あーだめだこいつ。やっぱポンコツ巨神兵だわ。
「まぁ、そのための準備期間だしなぁ……けど、あの『門司クン』がこんなエロいとは誰も思ってねえだろうなぁ……すげぇ、おれいま幸せかもしんない」
「こんなんで幸せになれるんなら安いヤローだな、おまえは」
「鼻血出そうだよ、てかこれ見ろよ……」
下半身の白のジャージを、またしても突き上げる巨根。それをオレに見せつけても恐怖心しか与えないって、そこはやっぱわかってねーんだなこいつ、基本はバカだから。
「で。どーすりゃいいんだよ、オレは」
いちいち考えるのも怖ぇから、開き直って聞いてみる。
「……ベッドに寝てくれ、両膝は立てて、あとは任せろ。絶対におまえがイヤだってんなら、そこで止めるからさ」
ここまで来て、もうこいつを焦らしたりしてもしょうがない──ていうか、素直に身を投げだしたほうが安全なような気さえするな。
「わかった。もう裸んなったほうがいいのか?」
「お、おれが脱がしてぇってのは当然あるけどよ、おれの理性のためにも秋介が自分で脱いでくれると助かる、かな……」
言われてウェアはさっさと床に脱ぎ捨てる。下着は……まぁ、なんか大智には刺激が強かったみたいだからとりあえず失敗でもなかったんかな。と思いつつ、あえてゆっくり両脚を抜いて同じく床に投げ捨てた。
「ほい。これでオッケー?」
「ああ、うん……」
大丈夫かこいつ──? オレは別にまだ動揺してもいないけど、大智はどうみても赤面したまんまで危なっかしい。
それから数ある道具のなかでもいちばん先端部が細くて、長さもどんくらいだろう、10センチもないくらいのシリコン製のプラグ? に大智は手に取ったローション容器の中身をやたらと丁寧に塗りまとわせた。
「秋介、入り口あたり、ちょっとだけ濡らすぞ……?」
「ああ。もうそのへんは任せるよ、おまえに」
なんだか急に立場が逆転したみたいだった。身を投げだして両膝立てて、何もかも任せきりのオレに対して大智はやたらと慎重だった。大智は人差し指にのせたローションを、オレのケツ穴あたりに塗りつける。壊れ物でも扱うような、やけに遠慮がちな感じで、そっと。
「いいか、挿れるぞ……」
何かがあてがわれたのは分かった。だけど、それがオレの内側まで入ってきそうな感じはしない。生理的な反発感が勝手に生じている。
「秋介、まだ全身にチカラ入ってる。ここで無理に挿れちまうと痛ぇから、今後のためにも大事なんだよ」
「つっても、どうすりゃいいのかわかんねーよ……?」
「とりあえず深呼吸してくれ、目は開けてなくていい、状況を意識しなけりゃ身体も自然とユルくなるから……」
あぁ、信頼感つーのかな、そういうの大事なんだろうな──すぐそこにいる大智が、どんなにバカでかくてバカでも、オレに痛ぇことはしないっていう信頼、かな。とりあえず深く息を吸う、そして吐く。それからまた吸って──そのときにケツになんか入ってきたのを感じた。なにしろ細いんで痛みはなかったけど、強烈な違和感だけはある。
「大丈夫か? いま先端の3センチくらいだけ入ってる感じだけど」
「……あぁ、違和感ハンパねーけど痛くはねーよ?」
「そっか。そのまま、今のペースで深呼吸しててくれ」
先端部だけが入ったという異物よりも、オレの両脚の最奥部に、大智のデカい手が触れていることのほうを強く意識しちまう。目を開けて、こいつがどんな顔してんのか見てみたい──なんてことを考えてたら、なんかズルっと一気に異物感は奥まで来た。
「う──ッ?」
「プラグだからな。こんくらいの太さなら一気に入っちまうし、ストッパーがあるからこれ以上は奥まで入んねーよ。大丈夫か、秋介──?」
「……ああ、痛くはねーよ。全然」
侵入してくるモノの違和感、異物感が止まり、オレの中で静止している。こうしていると、すぐにそれも感じなくなった。プラグの出っ張りの部分だろうか、ローションに濡れたそれがオレの睾丸の部分にピタッとあたっていて、それが少しくすぐったい。そのまま大智は様子を見ていたようだったが、今度は冷静に告げた。
「秋介、分かるか──?」
「え。何がだよ」
「おまえいま、半勃ちくらいにはなってきてんぞ」
「マジか」
大智は、オレのちんこにローションを塗り込めた。やめろ、と言う代わりにオレは両腕で自分の表情を大智から隠す。それは紛まぎれもなく強すぎる快感で、オレはいまケツにプラグ挿入されたままで勃起した状態だった。
応援ありがとうございます!
12
お気に入りに追加
17
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる