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話をもとに戻そう、今のオレたちは高校の二年だ。
いきなりスマホで「家に来いよ」って呼び出されて、通されたのは奥の仏間だった。この部屋にはわりと大型の液晶テレビとかゲーム機なんかが置いてある。古い写真が何枚も飾ってあって、なんだか不思議な雰囲気の部屋だったのを覚えてる。
大学生になった兄貴とヒデはあいかわらず相部屋らしいけど、さいきん兄貴はほとんど家に帰ってこないらしい。まあ、そんなもんだよな、とはオレも思う。
「クリアしてくれ」と頼まれたのは、超有名なRPGだった──オレもわりとやりこんでたヤツだ。言われた通り勝手にセーブデータを開いてパーティーメンバーとかレベルとかスキルとか、いろいろ確認してるとヒデがペットボトルのコーラを二本、手にぶらさげて部屋に来た。裸足にハーフパンツ、タンクトップっていう夏らしい格好に着替えてる。
オレの方はジーパンにTシャツっていう雑な私服だった。
「で、どうよ。クリアできそうか──?」
「ぶっちゃけ厳しいってこれ。よくこれでラストダンジョンまで来れたよな」
「中ボスみたいなの全部スルーしたからな。ラスボスで完全に詰んだ」
そりゃそうだろ。てかRPGで逃げスキルばっかで最後まで行けても、正攻法で勝てるわけがないだろ。
「まぁ、わざわざ呼び出されて来たんだし。やるだけやってみるか」
そう言ってオレは、とりあえず最低限スキルの使えそうなメンバーでパーティー組んで、すぐに回収できそうな重要な武器防具なんかを地道に集めはじめた。
ヒデはというと、あぐらをかくオレの傍らに寝そべって、なぜかマンガ雑誌を読み始める。そりゃヒマかもしんないけど、なんだかなぁ……
「そういやヒデ。今日は兄貴、帰ってきたりしないの──?」
「あ? 帰るにしても夜だろーな、なんか用でもあんのかよ」
「いや。べつに……」
沈黙が気まずい。なんだろうな、この空気感は。
「おい、ダイキ……」
ヒデはコーラに口をつけると、感情の読めない表情で頬杖をついた。
「なんだよ」
「おまえ、童貞──?」
あまりにも脈絡のない質問に、オレは脱力する。
「あのさ。なに言ってんのおまえ?」
「いいから答えろよ」
ふざけているものだと思って見れば、ヒデの表情は怖いくらい真剣だった。
「まあ、普通にそうだけど……悪ィのかよ?」
「いや? べつに何も?」
「おい、ちゃんと見てろって。こっからラスボス戦だからさ」
ストーリーシーンが終わり、ついにバトルの開幕となる。
いきなりスマホで「家に来いよ」って呼び出されて、通されたのは奥の仏間だった。この部屋にはわりと大型の液晶テレビとかゲーム機なんかが置いてある。古い写真が何枚も飾ってあって、なんだか不思議な雰囲気の部屋だったのを覚えてる。
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「クリアしてくれ」と頼まれたのは、超有名なRPGだった──オレもわりとやりこんでたヤツだ。言われた通り勝手にセーブデータを開いてパーティーメンバーとかレベルとかスキルとか、いろいろ確認してるとヒデがペットボトルのコーラを二本、手にぶらさげて部屋に来た。裸足にハーフパンツ、タンクトップっていう夏らしい格好に着替えてる。
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「まあ、普通にそうだけど……悪ィのかよ?」
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ストーリーシーンが終わり、ついにバトルの開幕となる。
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