無聊

のらねことすていぬ

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ただ隣で眠るだけの夜を何度も過ごして分かったが___エリオスは見た目よりもずっと真面目な好青年だった。
浅黒く男らしい肌も、男らしく引き締まった体も、どこか彼に不遜な印象を抱かせていたが全くそんなことはない。

常に決まった時間きっちりにやってきて、その張りのある声で私を気遣い、身の回りの世話までしてくれる。
適当なところで金品を強請られると思っていたのにそれもない。

そんな風に、まるで献身的に尽くされるようなことをされると、また勘違いしてしまいそうだ。
本当なら一晩相手をしてもらった後は、金を渡して思い出にしてしまうつもりだったのに。
エリオスを毒牙に掛けるつもりだったと正直に言ったら、彼はどんな顔をするだろうか。
きっとまた不快感を露わにし、それでもまだ私に仕えるのかもしれない。

これほどまでに彼に奉仕させ、それでもまだ飽き足らない自分の欲深さに嫌気がさす。

大人しく彼のことは諦めたフリをして、彼の熱にありつける機会を虎視眈々と狙っていたんだろう。
だから___私の手当てをしていた彼の下肢が熱を持っていると気が付いた時に、自分を律することなんてできなかった。





「っ、王子!」

「……私がするから、寝ていてくれ」



戦場で、しかもずっと私の天幕で眠っているのだから処理する時間もなかったんだろう。
だから決して私相手に勃ったわけではないのは分かっていたし、むしろ彼が戸惑い、嫌がっているのは気が付いていた。

若い彼の陰茎は少し触れただけで熱く反り返っていたが、それに私の手が絡むのを見て、あからさまに視線を逸らしていた。
まるで、私の存在なんて見たくないとでも言うように。

彼のそんな仕草に心は凍るのに、それでも目の前に晒された性器に体は熱くなる。
目を瞑っていたら女と同じだなんて甘言で唆し、私の体が見えないように灯を落とした。

傷薬を後孔に塗り込めて、自分の指で乱雑に解す。
まだ慣らしたりないとは分かっていたけれど、時間をかけて彼が萎えてしまうのが怖くて、適当に指を引き抜く。
できるだけ体が触れ合わないように気を付けながら、無理やり寝台に寝かせた彼の体に跨った。


「……ぅ、あ、」


大きく太い陰茎を慣れない体に迎え入れる痛みに声が漏れそうになるが、必死に唇を噛んでやり過ごす。
萎えずに熱いままの性器がただ嬉しかった。

故郷の女のことでも思っていればいい。
それとも、こんな積極的に腰を振るなんて、どこぞの娼館でも思い出しているかもしれない。

どちらでも構わない。
ただ、彼がこの瞬間に快感を味わっているのなら。

いつ彼が途中で止めろと私の体を突き飛ばすかとひやひやしたが、なんとか射精させることができた。

自分で望んだことなのに、胸に寂寥感が押し寄せる。
これでこの穏やかだった関係は終わりだろう。
彼がこの天幕を訪れることはなくなるかもしれない。

あれほど嫌がっていた私に、隙に付け込まれるように体を蹂躙されたんだ。
せめて、欲をたまたま手近な存在で発散しただけだと割りきってくれたら。
そう思って体から彼の性器を引き抜く。

零れ落ちてしまう精液すら、私から逃げだそうとしているようで、唇を噛んだ。
だがエリオスは私が思っている以上に真面目な性格だったようで___彼の気が済まない、とその後も私を抱き続けてくれることになった。


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