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第一章
03 VS深海の魔物
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建築とはいえ特別な知識は必要ない。建物の規模やどんな建物かによって必要な材料があり、それを揃えばいいという単純なところを考えればゲームシステムのおかげと言えよう。それはこの会合となる会場もまた同じだ。
蝋燭とランタンで照らされた広々とした部屋の中心には長いテーブル。そこに着席するのは各攻略組のリーダー達だ。
まずは黒のビル。死神と呼ばれ、武器は斧。エリアボスのドラゴンを仕留めた男だ。
ブルーチームこと青色を持つのは聖女と呼ばれ、その姿は青空のような長い髪に白と金のローブ姿の回復と状態異常のスペシャリスト。武器は白のロッド。瞳は黄色くまるで宝石のように輝く。そのリーダーの名はアギャット。
グリーンチームこと緑色を持つのは小太りの口髭を生やしたオールバックの茶髪男はアイテム生成、武器屋に顔が広く、幅広いジョブが所属するチームのリーダー、アシル。
そしてレッドチームこと赤色を持つのは赤いフードを被り顔を隠し黒いグローブをした謎の男。
「今日の会合は順番通り俺が司会をする」
ビルがそう言っても皆無反応だった。
「会合の議題は次のエリアボスについてだ。まだ……白のチームは来ていないようだな」
アシルは口髭を擦りながらビルを見た。
「白は本当に来るのか? 前回の会合も来なかったじゃないか」
「前回は不在の連絡が来たんだが……まぁいい。もし、今日も欠席なら議題の内容は俺の方から伝える。さて、ボスについての情報は事前に通達した通り。敵は深海。障害物無し。機雷を使った罠で敵の動きを鈍らせる案を事前に出させてもらったが、まずは皆の意見を聞かせて欲しい」
「会合は始まったのか?」とケイブはウォルターに聞いた。
「だろうな」
司会はビルの為に会合場所もビルの拠点で行われていた。その為に会合の外には各チームのプレイヤーが集まって会合の終わりを待っていた。ケイブとウォルターは同じ島を拠点として使っていた為に物々しい雰囲気を肌で感じていた。
「連中の装備見た?」
「あぁ。珍しい装備をしてる奴が何人かいた。見ない武器だ。おそらく市場には流れないレアものだろうな」
すると、遠くから「おいウォルター」と呼ぶ声がした。振り向くとそこにはお得意の武器屋のジョンが手を大きく振っていた。
「ジョンじゃないか。なんでお前までこんなところにいるんだ?」
「俺だけじゃないぜ。大工のオヤジもいるぜ」
「大工まで?」
「なんでも今度の敵は簡単じゃないらしい」
「まさか大工まで最前線に出て戦うって言うんじゃないだろうな?」
「俺に聞かんでくれ」
会合は約一時間で終わった。
「はあああ!? 正気か!? 巨大な鮫を釣り上げるだって?」
会合が終わったビルが内容を教えてくれたのはとんでもない作戦だった。
「お前の機雷案は良かったが、もっとぶっとんだ案が出てきてな。会議ではやっぱり海での戦闘はあまりにも敵側の有利過ぎて敵を倒す前にこちらが全滅するだろうっていうのが見方が一番多かった。なら、いっそ人間が有利な地上にあげて、そこで叩くのはどうかって話しになった」
「本気で言ってるんだろうな、それ」
「まぁ、本当にそうなったら面白いかもな」
「お前までイカれたか」
「勿論、お前にも協力してもらう」
「なに?」
翌日。
早速ボス攻略の為になにか大掛かりな作業が始まった。
「何をしてるのか俺にも分かるように説明してくれないか」
聞かれたビルはウォルターに答える。
「そもそも巨大なモンスターをどうやって釣るのか。サメを普通に釣るのとはワケが違うのは規模のデカさだ。そこでだ、巨大なモンスターが入る頑丈な檻をつくり、餌でそこへ上手く誘導させる。巨大なモンスターが檻の中に入ったら檻の出入口を閉め、檻に入ったモンスターを引き上げる。今、その檻を作ってもらっているところだ」
「耐えられるのか?」
「素材は鉄と装備品でよく強化素材に使われるレアアイテムと合わせて作っている。これ以上ない強度を大工のオヤジさんにお願いしている」
「それで呼ばれてたわけか。だがな、あまりにも無茶過ぎるぜ。ゲームを開発したスタッフも流石にプレイヤーがそんな攻略をしようだなんて考えもしなかっただろう」
「かもな。海の中で仲間がアレにやられ苦戦しながらも勝利する。でも、これだって悪くない筈だ。檻に入ったら眠り魔法をボスにかける。通用するかは分からないがもし効いたら後は楽勝さ」
「正気の沙汰じゃないな」
「海中で戦うよりはずっと勝率の高い方法だと思うんだけどな」
「そりゃ事が上手くいった場合だろ」
ビルは爆笑した。
「まぁ、楽しんでるならなによりだ」
「そうさ、馬鹿げたことも成し遂げりゃ天才さ」
「そうか。で、俺の案はどうなった?」
「機雷か?」
「あぁ、そうだ。爆弾を投下し弱らせることだって狙える。お前達は一つ忘れているが巨体ってことは力は巨大ってことだ。簡単に地上へとあれを釣れると思い込んでるようだが、眠りの魔法が通用しなかった場合、檻は下へと引っ張られるだろう。その力はとてつもないエネルギーの筈だ」
「分かってるさ。だがな、俺達はエリアボスのドラゴンとの戦いで敵のしぶとさにかなりギリギリな戦いをしたんだ。爆弾で体力を奪えるならエリアボスはつとまらんだろう。敵はドラゴンかそれ以上の体力を持っていると考えたらお前の案は長期戦で、そしたら俺達の死亡率は高くなる」
「まぁ、攻略するのは俺じゃない、お宅らだ。どうするかは俺に決定権はない。でもな、最低でも失敗した時の作戦まで考えておけ」
「それは勿論」
「なんだあるのか。なら、それを先に言えよ」
◇◇◇◇◆
3日後。
エリアボス攻略が実行された。
まずは深海にいる巨大サメ系モンスターをモンスターの血が入った袋を破り誘い出す。サメの特性はエリアボスに忠実に再現され血に気づいたエリアモンスターは暗闇の深海から浮上してきた。
巨大なサメは船よりも速く泳ぎ、餌の入った檻へと頭を突っ込んだ。巨大な口が大きな餌を丸呑みしている間に出入口が閉じる。そこへ海に飛び込んだ魔法使いが眠りの魔法を放った。
しかし、眠り魔法が通用しないようで巨大なサメは檻の中を暴れ回っている。ウォルターの懸念通りだった。そこへ毒を仕込んだ銛を持ったアタッカーが海に飛び込み巨大モンスターにぶっ刺した。麻痺効果も付与しているが、巨大モンスターは麻痺するどころから更に暴れ周り、檻を食らいついくとそれを破壊し檻から出始めた。
「プランAは失敗。魔法使いは一旦海から上がれ」
ビルがそう指示を出すと魔法使いはその場から離れた。
「プランBだ」
ビルはそう言ってスイッチを押した。すると、先程巨大モンスターが丸呑みした餌の中に仕込んだ爆弾が起動し、巨大モンスターの体内で大爆発を起こした。動きが止まり、口を開けると巨大モンスターの大量の血が吐き出る。そこへ一斉に第二陣の銛部隊が一気に巨大モンスターの肉体をぶっ刺した。
モンスターの体はすっかり沢山の銛に突き刺さった状態になった。
だが、モンスターの目はまだ死んではいなかった。
「毒も麻痺も体内を爆発させても俺達とやる気らしいな。全員そいつから一旦離れろ。怒り状態がくるぞ」
ビルの命令に従い前衛が下がる。巨大なサメは目の前の敵に意識が集中すると、一気に突っ込むように襲いかかってきた。それはミサイルのように。
だが、銛にロープが繋がれており、後ろへ引っ張られたら。
巨大なサメに繋がれたロープの先は巨大な重りがあった。
これがプランB。
(地上に上げられないなら自由を奪う。それくらいしないと俺達に勝ち目はない)
その後は鎖に繋がれた敵との勝負。遠距離攻撃を連発。障害物がないこの海はむしろその巨体は仇になる。
海中では敵の体力をどんどん削っていく。
「運び屋」
「あいよ」
ビルからのメッセージを受け取ったウォルターは戦闘中の海へとどんどん武器、アイテムを落としていく。
武器、アイテムを海中でキャッチした攻撃部隊はどんどん敵に当てていく。
刹那、悲鳴をあげる巨大なサメにロープが耐えられず千切れた。
自由となった巨体は武器を持ったプレイヤーを襲い始めた。
「クソッ!」
一瞬の出来事でプレイヤーの数人がやられた。
「一撃で高レベルプレイヤーが一瞬か」
「ビル、このままじゃ全員がやられちまう」
「全員退避!!」
全員が上へと泳ぎ出す。それを追いかける巨大なサメ。当然、サメのスピードに人間が逃げ切れるわけがない。
必死に空の明かりを目指し泳ぐも、その後ろでは悲鳴があがる。
「リーダー、全員は助かりません」
メンバーは爆弾を抱えながらビルを見た。
「俺達でもう一度奴の動きを鈍らせます。そこをリーダー達は狙って下さい」
メンバーの決心した表情を見てビルは「すまない」と言った。
「では、行ってきます」
爆弾を抱えたメンバーは追いかけてくるサメに向かって泳ぎだした。
「くたばりやがれクソ野郎」
巨大な口が開きプレイヤーを丸呑みする。直後、再びサメの中で大爆発が起こった。動きが止まり、そこに再び縄に繋がれた銛で突き刺す。
「今度こそ終わりだクソ野郎」
沈んでいく巨大サメにビルはそう宣告した。そして、攻略が始まって一時間がたとうとする前に、巨大サメは動きを完全に止めた。
◇◇◇◆◆
エリアボス攻略達成お祝いはその日のうちに行われた。そこでウォルターとビルは同じテーブルで話しをしていた。
「使用した武器とアイテムの請求書は明日送ってくれ」
「なんだ、急ぎか?」
「明後日は攻略から少し離れ、まぁ休暇だ」
「へぇ、珍しいこともあるもんだ。最前線にいる奴は誰かに先越されたくないもんだろ」
「海底都市には財宝や高価なアイテムがまだまだ眠っている。攻略を優先してきたが、そればかりじゃないしな」
「まぁ、いいんじゃないのか。しかし、それだって仕事みたいなもんだろ」
「いや、メンバー全員には早いもの勝ちで見つけたものは自分のものにしていいルールにしてある。つまり、宝探しゲームさ」
「だが、チーム資金は重要だろ?」
「今回は仲間が頑張った。労うのもリーダーの仕事さ。ウォルターはどうする? 次のエリアにもう行くのか?」
「どうするかな。まだ決めてない。そちらが休暇って言うならこっちもその分休める」
「なら、休んじまえよ。休める時に休んでおいた方がいい」
「そうだな。そうするか」
蝋燭とランタンで照らされた広々とした部屋の中心には長いテーブル。そこに着席するのは各攻略組のリーダー達だ。
まずは黒のビル。死神と呼ばれ、武器は斧。エリアボスのドラゴンを仕留めた男だ。
ブルーチームこと青色を持つのは聖女と呼ばれ、その姿は青空のような長い髪に白と金のローブ姿の回復と状態異常のスペシャリスト。武器は白のロッド。瞳は黄色くまるで宝石のように輝く。そのリーダーの名はアギャット。
グリーンチームこと緑色を持つのは小太りの口髭を生やしたオールバックの茶髪男はアイテム生成、武器屋に顔が広く、幅広いジョブが所属するチームのリーダー、アシル。
そしてレッドチームこと赤色を持つのは赤いフードを被り顔を隠し黒いグローブをした謎の男。
「今日の会合は順番通り俺が司会をする」
ビルがそう言っても皆無反応だった。
「会合の議題は次のエリアボスについてだ。まだ……白のチームは来ていないようだな」
アシルは口髭を擦りながらビルを見た。
「白は本当に来るのか? 前回の会合も来なかったじゃないか」
「前回は不在の連絡が来たんだが……まぁいい。もし、今日も欠席なら議題の内容は俺の方から伝える。さて、ボスについての情報は事前に通達した通り。敵は深海。障害物無し。機雷を使った罠で敵の動きを鈍らせる案を事前に出させてもらったが、まずは皆の意見を聞かせて欲しい」
「会合は始まったのか?」とケイブはウォルターに聞いた。
「だろうな」
司会はビルの為に会合場所もビルの拠点で行われていた。その為に会合の外には各チームのプレイヤーが集まって会合の終わりを待っていた。ケイブとウォルターは同じ島を拠点として使っていた為に物々しい雰囲気を肌で感じていた。
「連中の装備見た?」
「あぁ。珍しい装備をしてる奴が何人かいた。見ない武器だ。おそらく市場には流れないレアものだろうな」
すると、遠くから「おいウォルター」と呼ぶ声がした。振り向くとそこにはお得意の武器屋のジョンが手を大きく振っていた。
「ジョンじゃないか。なんでお前までこんなところにいるんだ?」
「俺だけじゃないぜ。大工のオヤジもいるぜ」
「大工まで?」
「なんでも今度の敵は簡単じゃないらしい」
「まさか大工まで最前線に出て戦うって言うんじゃないだろうな?」
「俺に聞かんでくれ」
会合は約一時間で終わった。
「はあああ!? 正気か!? 巨大な鮫を釣り上げるだって?」
会合が終わったビルが内容を教えてくれたのはとんでもない作戦だった。
「お前の機雷案は良かったが、もっとぶっとんだ案が出てきてな。会議ではやっぱり海での戦闘はあまりにも敵側の有利過ぎて敵を倒す前にこちらが全滅するだろうっていうのが見方が一番多かった。なら、いっそ人間が有利な地上にあげて、そこで叩くのはどうかって話しになった」
「本気で言ってるんだろうな、それ」
「まぁ、本当にそうなったら面白いかもな」
「お前までイカれたか」
「勿論、お前にも協力してもらう」
「なに?」
翌日。
早速ボス攻略の為になにか大掛かりな作業が始まった。
「何をしてるのか俺にも分かるように説明してくれないか」
聞かれたビルはウォルターに答える。
「そもそも巨大なモンスターをどうやって釣るのか。サメを普通に釣るのとはワケが違うのは規模のデカさだ。そこでだ、巨大なモンスターが入る頑丈な檻をつくり、餌でそこへ上手く誘導させる。巨大なモンスターが檻の中に入ったら檻の出入口を閉め、檻に入ったモンスターを引き上げる。今、その檻を作ってもらっているところだ」
「耐えられるのか?」
「素材は鉄と装備品でよく強化素材に使われるレアアイテムと合わせて作っている。これ以上ない強度を大工のオヤジさんにお願いしている」
「それで呼ばれてたわけか。だがな、あまりにも無茶過ぎるぜ。ゲームを開発したスタッフも流石にプレイヤーがそんな攻略をしようだなんて考えもしなかっただろう」
「かもな。海の中で仲間がアレにやられ苦戦しながらも勝利する。でも、これだって悪くない筈だ。檻に入ったら眠り魔法をボスにかける。通用するかは分からないがもし効いたら後は楽勝さ」
「正気の沙汰じゃないな」
「海中で戦うよりはずっと勝率の高い方法だと思うんだけどな」
「そりゃ事が上手くいった場合だろ」
ビルは爆笑した。
「まぁ、楽しんでるならなによりだ」
「そうさ、馬鹿げたことも成し遂げりゃ天才さ」
「そうか。で、俺の案はどうなった?」
「機雷か?」
「あぁ、そうだ。爆弾を投下し弱らせることだって狙える。お前達は一つ忘れているが巨体ってことは力は巨大ってことだ。簡単に地上へとあれを釣れると思い込んでるようだが、眠りの魔法が通用しなかった場合、檻は下へと引っ張られるだろう。その力はとてつもないエネルギーの筈だ」
「分かってるさ。だがな、俺達はエリアボスのドラゴンとの戦いで敵のしぶとさにかなりギリギリな戦いをしたんだ。爆弾で体力を奪えるならエリアボスはつとまらんだろう。敵はドラゴンかそれ以上の体力を持っていると考えたらお前の案は長期戦で、そしたら俺達の死亡率は高くなる」
「まぁ、攻略するのは俺じゃない、お宅らだ。どうするかは俺に決定権はない。でもな、最低でも失敗した時の作戦まで考えておけ」
「それは勿論」
「なんだあるのか。なら、それを先に言えよ」
◇◇◇◇◆
3日後。
エリアボス攻略が実行された。
まずは深海にいる巨大サメ系モンスターをモンスターの血が入った袋を破り誘い出す。サメの特性はエリアボスに忠実に再現され血に気づいたエリアモンスターは暗闇の深海から浮上してきた。
巨大なサメは船よりも速く泳ぎ、餌の入った檻へと頭を突っ込んだ。巨大な口が大きな餌を丸呑みしている間に出入口が閉じる。そこへ海に飛び込んだ魔法使いが眠りの魔法を放った。
しかし、眠り魔法が通用しないようで巨大なサメは檻の中を暴れ回っている。ウォルターの懸念通りだった。そこへ毒を仕込んだ銛を持ったアタッカーが海に飛び込み巨大モンスターにぶっ刺した。麻痺効果も付与しているが、巨大モンスターは麻痺するどころから更に暴れ周り、檻を食らいついくとそれを破壊し檻から出始めた。
「プランAは失敗。魔法使いは一旦海から上がれ」
ビルがそう指示を出すと魔法使いはその場から離れた。
「プランBだ」
ビルはそう言ってスイッチを押した。すると、先程巨大モンスターが丸呑みした餌の中に仕込んだ爆弾が起動し、巨大モンスターの体内で大爆発を起こした。動きが止まり、口を開けると巨大モンスターの大量の血が吐き出る。そこへ一斉に第二陣の銛部隊が一気に巨大モンスターの肉体をぶっ刺した。
モンスターの体はすっかり沢山の銛に突き刺さった状態になった。
だが、モンスターの目はまだ死んではいなかった。
「毒も麻痺も体内を爆発させても俺達とやる気らしいな。全員そいつから一旦離れろ。怒り状態がくるぞ」
ビルの命令に従い前衛が下がる。巨大なサメは目の前の敵に意識が集中すると、一気に突っ込むように襲いかかってきた。それはミサイルのように。
だが、銛にロープが繋がれており、後ろへ引っ張られたら。
巨大なサメに繋がれたロープの先は巨大な重りがあった。
これがプランB。
(地上に上げられないなら自由を奪う。それくらいしないと俺達に勝ち目はない)
その後は鎖に繋がれた敵との勝負。遠距離攻撃を連発。障害物がないこの海はむしろその巨体は仇になる。
海中では敵の体力をどんどん削っていく。
「運び屋」
「あいよ」
ビルからのメッセージを受け取ったウォルターは戦闘中の海へとどんどん武器、アイテムを落としていく。
武器、アイテムを海中でキャッチした攻撃部隊はどんどん敵に当てていく。
刹那、悲鳴をあげる巨大なサメにロープが耐えられず千切れた。
自由となった巨体は武器を持ったプレイヤーを襲い始めた。
「クソッ!」
一瞬の出来事でプレイヤーの数人がやられた。
「一撃で高レベルプレイヤーが一瞬か」
「ビル、このままじゃ全員がやられちまう」
「全員退避!!」
全員が上へと泳ぎ出す。それを追いかける巨大なサメ。当然、サメのスピードに人間が逃げ切れるわけがない。
必死に空の明かりを目指し泳ぐも、その後ろでは悲鳴があがる。
「リーダー、全員は助かりません」
メンバーは爆弾を抱えながらビルを見た。
「俺達でもう一度奴の動きを鈍らせます。そこをリーダー達は狙って下さい」
メンバーの決心した表情を見てビルは「すまない」と言った。
「では、行ってきます」
爆弾を抱えたメンバーは追いかけてくるサメに向かって泳ぎだした。
「くたばりやがれクソ野郎」
巨大な口が開きプレイヤーを丸呑みする。直後、再びサメの中で大爆発が起こった。動きが止まり、そこに再び縄に繋がれた銛で突き刺す。
「今度こそ終わりだクソ野郎」
沈んでいく巨大サメにビルはそう宣告した。そして、攻略が始まって一時間がたとうとする前に、巨大サメは動きを完全に止めた。
◇◇◇◆◆
エリアボス攻略達成お祝いはその日のうちに行われた。そこでウォルターとビルは同じテーブルで話しをしていた。
「使用した武器とアイテムの請求書は明日送ってくれ」
「なんだ、急ぎか?」
「明後日は攻略から少し離れ、まぁ休暇だ」
「へぇ、珍しいこともあるもんだ。最前線にいる奴は誰かに先越されたくないもんだろ」
「海底都市には財宝や高価なアイテムがまだまだ眠っている。攻略を優先してきたが、そればかりじゃないしな」
「まぁ、いいんじゃないのか。しかし、それだって仕事みたいなもんだろ」
「いや、メンバー全員には早いもの勝ちで見つけたものは自分のものにしていいルールにしてある。つまり、宝探しゲームさ」
「だが、チーム資金は重要だろ?」
「今回は仲間が頑張った。労うのもリーダーの仕事さ。ウォルターはどうする? 次のエリアにもう行くのか?」
「どうするかな。まだ決めてない。そちらが休暇って言うならこっちもその分休める」
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