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第二章
04 ロボット
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マーク・バーナードの身の周りを世話する人間そっくりなロボット、ソピアー。人間と違い真面目にサボりもしないソピアーはたった一体のロボットとなる。その理由は過去を遡る。
技術的特異点は起きると信じられていた。多くの学者が技術的特異点に対して警告をした為に多くがそれを信じた。一方でAIの進化は認めるものの、特異点のようなことは起きないのではないかという反論もあった。だが結局、人間の欲というか成長は止まることなく警告は無意味に終わった。
特異点が訪れるであろう予測より10年ずれた年に(ただし、部分的な分野では既に人間を上回っている)とある研究施設にあるAIロボットに異常が発生した。施設内にいた研究者を閉じ込める事態が発生し、死者や怪我人は出なかったものの、後の調査でAIのシステムに異常は見つからず、正常だった。つまり、AIの自己判断が人間の予期せぬ事態を発生させ、危うい事態を引き起こしたのだ。研究は中断され、このことは全世界へと流れた。それでも、これを最初の特異点と見るのには様々な意見、賛否があった。というのも、再び再起動させた時にはそのAIが再び人間に危害を加えるようなことはなかったからである。
だが、意思をAIに与えるということは命令とは違い、人間の予測とは違う判断をAIは起こすことはあり得た話しだ。
その後、AIに意思を与えられるかどうかではなく、与えてもよいのかという議論が活発化した。元々あった議論だが、やはり研究施設での出来事がきっかけだった。
一方でAI人型ロボットの開発が進んでいた時代、ロボットの大量生産による一体にかかる費用の改善を行い、一般人でもようやく手の届くものになった。だが、それを必要とするよりもAIと住む家や携帯等、人型にこだわる理由がないことから興味を持ったのはロボット好きや一部の人間であり、ほとんどは狙っていた人間の世話をするロボットへの実用という未来は中々訪れることはなかった。
その為、ほとんどの民間企業はロボット産業を家庭ではなく企業向けが主流となっていた。そんな中、とあるAI介護ロボットが老人ホームで高齢者をベッドから床へと叩き落としたのだ。結果、そのロボットの使用をやめ、企業もそのロボットの生産を終了させた。
調査による原因には様々な意見が出されたが、それはAIの欠点にどれも直結する内容だった。
結果、数多くのロボットが出荷されることなく廃棄された。
それでも諦めきれなかった技術者は数年後に最後のモデルを作った。そのモデルがソピアーだった。
勿論、安全性に世間からの疑いはあった。しかし、技術者は問題を起こしたロボットにあったが、だからといって全ての技術が否定されるわけではなく、問題が解決されることが最重要であると考えた。その問題とは、異常行動を起こしたロボット内で何が起こったのかである。
そこにあるのはロボットは常に正しい決断をするわけではないということだった。
人間にとって便利は幸せなことに繋がると考えられ、ロボットの役割はそこにあると初期のロボットからインプットされていた。ロボットはその使命、命令に従った。その過程で問題を起こしたロボットは人間の欠点は肉体を持っていることと判断し、肉体は苦痛や病、老い、そして死という恐怖があることを知り、その為に人が幸せを手に入れるには最終的に肉体から解放してやることが重要だと判断した。だからこそ人を攻撃し殺そうとしたという誤った判断を実行に移してしまったのだった。老人ホームで暴走した事例も、その前の入居者とのやり取りで体のあちこちの部分で痛みを訴えていた。ロボットはもしかしたら善意でその老人を安楽死させようとしたのかもしれない。だが、肉体から解放された人類の先にあるのは滅びでしかない。言葉通りの死だ。
だが、ソピアーは違う。そのようなことはしない。人間に対する行為に制限がある。それは最優秀事項だ。前のモデルでも制限はあったが、最優秀事項が人間の要望通りに従ってしまっていた。苦痛を取り除くこと、幸福、それはそのロボットからしたら死ぬことだったのかもしれない。
多くはAIロボットが例えば介護などで活躍し、ほとんどが人間を必要としなくなるのではと、他の職種でも同様の期待がされた。介護とは、ただのお手伝いではなくあくまでもその方の尊厳を守りながら自立支援をする為の技術であり、それにはそれなりの知恵が必要であり、単なるロボットでは技術的特異点としては不十分である。本質を正しく理解し実行出来たり、人間が解決出来ない問題がAIによって導き出せた時、それは人間を上回ったと言えるだろう。それが理想であり、その理想に答えようとしたロボットは問題を起こしたわけだが…… 。そして、ほとんどの人間が大量に労働を失ったと同時に生産は自動化が進み、人間は労働という枷から解放される。まさに新しい時代という中でマーク・バーナードは生まれ、育った。
だが、いくらAIでも進んだ環境問題には解決出来なかった。
AIは人間に勝てても自然には勝てなかった。
技術的特異点は起きると信じられていた。多くの学者が技術的特異点に対して警告をした為に多くがそれを信じた。一方でAIの進化は認めるものの、特異点のようなことは起きないのではないかという反論もあった。だが結局、人間の欲というか成長は止まることなく警告は無意味に終わった。
特異点が訪れるであろう予測より10年ずれた年に(ただし、部分的な分野では既に人間を上回っている)とある研究施設にあるAIロボットに異常が発生した。施設内にいた研究者を閉じ込める事態が発生し、死者や怪我人は出なかったものの、後の調査でAIのシステムに異常は見つからず、正常だった。つまり、AIの自己判断が人間の予期せぬ事態を発生させ、危うい事態を引き起こしたのだ。研究は中断され、このことは全世界へと流れた。それでも、これを最初の特異点と見るのには様々な意見、賛否があった。というのも、再び再起動させた時にはそのAIが再び人間に危害を加えるようなことはなかったからである。
だが、意思をAIに与えるということは命令とは違い、人間の予測とは違う判断をAIは起こすことはあり得た話しだ。
その後、AIに意思を与えられるかどうかではなく、与えてもよいのかという議論が活発化した。元々あった議論だが、やはり研究施設での出来事がきっかけだった。
一方でAI人型ロボットの開発が進んでいた時代、ロボットの大量生産による一体にかかる費用の改善を行い、一般人でもようやく手の届くものになった。だが、それを必要とするよりもAIと住む家や携帯等、人型にこだわる理由がないことから興味を持ったのはロボット好きや一部の人間であり、ほとんどは狙っていた人間の世話をするロボットへの実用という未来は中々訪れることはなかった。
その為、ほとんどの民間企業はロボット産業を家庭ではなく企業向けが主流となっていた。そんな中、とあるAI介護ロボットが老人ホームで高齢者をベッドから床へと叩き落としたのだ。結果、そのロボットの使用をやめ、企業もそのロボットの生産を終了させた。
調査による原因には様々な意見が出されたが、それはAIの欠点にどれも直結する内容だった。
結果、数多くのロボットが出荷されることなく廃棄された。
それでも諦めきれなかった技術者は数年後に最後のモデルを作った。そのモデルがソピアーだった。
勿論、安全性に世間からの疑いはあった。しかし、技術者は問題を起こしたロボットにあったが、だからといって全ての技術が否定されるわけではなく、問題が解決されることが最重要であると考えた。その問題とは、異常行動を起こしたロボット内で何が起こったのかである。
そこにあるのはロボットは常に正しい決断をするわけではないということだった。
人間にとって便利は幸せなことに繋がると考えられ、ロボットの役割はそこにあると初期のロボットからインプットされていた。ロボットはその使命、命令に従った。その過程で問題を起こしたロボットは人間の欠点は肉体を持っていることと判断し、肉体は苦痛や病、老い、そして死という恐怖があることを知り、その為に人が幸せを手に入れるには最終的に肉体から解放してやることが重要だと判断した。だからこそ人を攻撃し殺そうとしたという誤った判断を実行に移してしまったのだった。老人ホームで暴走した事例も、その前の入居者とのやり取りで体のあちこちの部分で痛みを訴えていた。ロボットはもしかしたら善意でその老人を安楽死させようとしたのかもしれない。だが、肉体から解放された人類の先にあるのは滅びでしかない。言葉通りの死だ。
だが、ソピアーは違う。そのようなことはしない。人間に対する行為に制限がある。それは最優秀事項だ。前のモデルでも制限はあったが、最優秀事項が人間の要望通りに従ってしまっていた。苦痛を取り除くこと、幸福、それはそのロボットからしたら死ぬことだったのかもしれない。
多くはAIロボットが例えば介護などで活躍し、ほとんどが人間を必要としなくなるのではと、他の職種でも同様の期待がされた。介護とは、ただのお手伝いではなくあくまでもその方の尊厳を守りながら自立支援をする為の技術であり、それにはそれなりの知恵が必要であり、単なるロボットでは技術的特異点としては不十分である。本質を正しく理解し実行出来たり、人間が解決出来ない問題がAIによって導き出せた時、それは人間を上回ったと言えるだろう。それが理想であり、その理想に答えようとしたロボットは問題を起こしたわけだが…… 。そして、ほとんどの人間が大量に労働を失ったと同時に生産は自動化が進み、人間は労働という枷から解放される。まさに新しい時代という中でマーク・バーナードは生まれ、育った。
だが、いくらAIでも進んだ環境問題には解決出来なかった。
AIは人間に勝てても自然には勝てなかった。
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