1 / 12
01 沈黙
しおりを挟む
公民館の近くの交差点の角に小さなラーメン屋がある。中は狭く、カウンター席と赤いテーブル席が二つあるだけだ。テレビが奥にあり、店主の一人だけ。夏は扇風機が回って、店の扉を開けっ放しにして乗り切っている。店主は夏の暑さと火の回りで汗を垂らしている。店に来る客は近所に住む常連だけ。
昼間は定年退職した男性客がいつもの奥の席で新聞を広げながらビールを飲む。これもいつもの光景だ。
店主は黒い半袖のシャツ姿で黙々と料理をしている。店主は日本人ではなく中国人だが、日本語は問題なく来る客も気にしない。
黒のハーフパンツに校章の入った名前入りの白い半袖姿の自分は、店に入るなり自分もいつものカウンター席へ座った。
ラーメンを頼み、その間はテレビを見た。テレビは相変わらずつまらなかった。
近くで車が走る音がし、入り口からは風が入ってくる。
店に冷房がないが、不思議と文句は出なかった。そういう店だと、むしろ昭和感があって好きだった。
少しすると自分のラーメンがきて、割り箸を割って食べ始める。
いつも醤油しか食べない。丁度よい太さで昔ながらって感じがした。細い麺は嫌いで、それはラーメンに限らなかった。
ラーメンを食べ終わると、食費を朝出ていく時に預かったお金をポケットから出し、お会計を済ませた。
店主は口数の少ない方だった。背は低く小太りで、髪は細い方だった。目も小さい。
店主と別れ赤い暖簾をくぐると、学校がある方向から此方へと二人の女子が自分と同じ格好で歩いていた。二人はバトミントンのラケットケースを肩に掛けていた。休みの日だというのに部活の為に学校に来て午前中で終えた自分と同じだ。
何故か部活は全員強制だった。正直、やる気はなかったし、休みの日まで学校に来るのは嫌だった。小学生の何もない頃が羨ましい。とは言え、休みで何をするわけでもなかったが。
中学はやたらと校則がうるさく、靴下まで色やら柄やら細かく決められ、小学生の自由さはなく、更に勉強が本格的になり、ますます学校というものが嫌になっていた。
二人の女子に興味なく背を向けると、一人の見覚えのある顔の女子に呼びかけられた。
「キシ君」
彼女はそう呼んだ。一人は違うが、自分を呼んだ女子は同じクラスだった。とは言え、付き合っている仲ではない。だからと言って声を掛けてはまずいというわけではないが、お互い呼び合うのは本来気まずい筈だ。なのに、あいつは俺を軽々しく呼んだ。
俺は面倒そうに振り返ると、彼女は走っていた。
ため息が漏れた。
その女の名は佐藤静香。印象は体育の授業の時に教師に靴下を指摘され、その場で没収されていた。彼女はその日素足に上履きという状態で一日を過ごし、教室では文句を女子同士で喋っていた。女子っていうのは何であんなに馬鹿みたいに声がでかいのか。それを廊下でたまたま耳にしていた学年主任の家庭科の先生が佐藤を注意し、放課後に担任にも注意され、入学してまだ一週間もたたないうちに一日に三人の先生に注意された子といったところか。
ポニーテールで、バトミントン部で、背は中学一年の女子の中では平均的。
もう一人の女子は橘桜。同学年だが違うクラスでおかっぱ頭で、クラスの学級委員長で、背は低くい。
「今、無視しようとしたでしょ?」
「なんか用?」
自分はそう言いながら目線を落としアスファルトを見た。視界には二人の白い靴のつま先部分だけが入る。
「キシ君も部活帰り? 一緒に帰ろうよ」
何故? と聞こうとしたが、咄嗟に頭の中の脳が回転し、彼女が質問に答えていないことに気づく。頭の中でさっき出た質問を取り消し、本来の質問に戻す。
「だから何の用?」
「キシ君冷たい」
彼女は怒っていた。激昂というほどではないが、怒っていた。
こんなことで怒るのか。
隣の学級委員長は沈黙している。
「俺に何か用があって声を掛けたんじゃないのか?」
「もう知らない」
佐藤はそう言って俺を置いて歩き出した。橘は沈黙したまま佐藤についていった。
佐藤が俺に対しどういうつもりなのかは知らないが、こうなるきっかけには心当たりがある。それは一ヶ月前のこと。
その日は酷い雨だった。
大抵はかえの靴下を用意して、下駄箱で濡れた靴下から履き替えるのだが、忘れたり考えもしなかった学生は裸足のまま上履きを履いていた。佐藤はその一人であり、内心これなら靴下でまた先生に注意されることもないなとせせら笑った。
一年の教室は三階にあり、毎日階段を登り降りするのが面倒ではあるが、慣れてしまえばどうってことない。
なんてことはない日常。学校に総理大臣が現れ、そこに銃を持ったテロリストが現れ生徒が人質になったりはしない。先生が突然猟銃を生徒に向け発泡したりしない。クラス同士の殺し合いやデスゲームが始まったりはしない。平凡な日常。学校の先生に言われた通りに従い、返事は「はい」のみで「いいえ」が存在しない日本のロボット工場のように、同調圧力社会で同調できる人間ぽいのをつくる。学校はこれを協調性だと語り、集団行動を徹底する。
ただ、この日は違った。
放課後、緊急の集会がおこなれた。体育館に全学年が集まり、体育座りをして校長先生の話しを聞く。通常なら、ほとんどの生徒は右から左に言葉は通過するが、今日は違った。
「皆さんに大変残念なお知らせがあります」
そう言って、一年の女子トイレに小型のカメラが見つかったことを話した。
全てのトイレを点検し、カメラが発見されたのはそこのトイレのみだった。
集会中は私語は厳禁で、皆黙って真剣に聞いてたが、本当は喋りたくてたまらない筈だ。
退屈な日常に事件が起きた。たった一つの話題で暫くはもちきりだろう。
だいたい予想出来るのは、犯人探しだ。誰が疑わしいか。まず、男性だろう。そして、一年生の女子トイレのみとなれば、一年生の男子か? だが、犯人はわざと一年のトイレだけにしたかもしれない。犯人は一年とは限らない。それに、生徒じゃないかもしれない。男の教師が逮捕される事件は続いており、ニュースでは教員免許を永久に剥奪させるべきだという論争が起きている。因みに俺は男だが、永久に剥奪するのに賛成派だ。
あと、考えられる可能性として外部という可能性もある。しかし、これは難しい。いつ、設置されたかにもよるが、数日カメラを設置したままにするだろうか? 犯人はおそらく当日に回収する筈だ。そう考えると、外部は学校に侵入する際にどうやったか? 学校は全て鍵がかけられ外には防犯カメラがある。カメラは校舎内部にはない為、トイレ前の出入りした人物を確認することは出来ない。
授業中にトイレに侵入し設置した可能性は限りなく低く。
学生でも同じだ。日中に仕掛けるのは目立つ。
トイレは教室のある同じ廊下だからだ。授業中も学生は当然不可解。
先生なら外部や生徒を疑うより可能にみえる。皆が授業中に仕掛けるとか。
今、思ったことはこの中にも何人かいてもおかしくはない。
だが、犯人探しは意外にも早くに解決した。
犯人はカメラを仕掛ける際に指紋を残さなかった。カメラも近くの電気屋さんでは扱ってはいないもので、しかし、決定的なミスを犯人はしていた。
それは、カメラの映像に犯人の顔が映り込んでいたからだ。
カメラをトイレにセットし電源を入れ確認した際に顔がバッチリと入り込んでいたのだ。
明らかに致命的なミスだ。だが、カメラという物証を残すようなまねをしている時点で、この犯人は最初から賢くはなかった。そもそも、盗撮をしようとする時点で例外なくそうなのだ。
予想外なのは、その犯人の正体だった。
皆の名推理はことごとくハズレた。男子生徒でも外部でも教師でもなかった。いや、そもそも男ではなかった。犯人は二年の女子生徒だった。
名前は阿部一人で、一年女子の説明によれば二年生の女子グループでは副リーダー的存在とのことらしい。部活動ではバスケで、一年はその先輩を恐れていた。怒らせないように気を配り、大きな挨拶をしないとビンタが飛んでくる。単なる部活熱血ではなかったその阿部は、一年を定期的に虐めも行っていた。躾と称して。躾と言えば家庭であれ学校であれ部活動であれ許される方便として便利な言葉と化している。俺はその様子を一度だけ目撃していた。
その被害者が佐藤静香だった。
体育館裏で上履きのまま阿部とその他の女子生徒が囲んでいた。俺は陸上部で外周という学校の周りを走っていた時にたまたま見えてしまったのだ。気になった俺は隠れてその様子を伺っていた。
「あんたの父親さ、捕まったことあるんだって?」
耳を疑う内容が阿部から語られる。
「しかも、女子高生を盗撮してたんでしょ」
佐藤は何も言い返せなかった。違うなら違うと言えばいい。でも、佐藤の足は震えていた。
「ねぇ、こんなことバレたら大変だよねぇ? どうしよっかなぁ?」
「え……」
佐藤はどうすることも出来なかった。まさか加害者の子どもだったとは知らなかったし気づかなかった。だが、その隠し事をあろうことかまずい奴に知られてしまった。こうなれば佐藤は阿部の言いなりだ。
「黙って欲しかったらお願いしてみろ!」
突然怒鳴る阿部。かと思ったら優しく佐藤にどうしたらいいか教え始めた。
「そうだな……とりあえず服脱げ」
「え?」
「え? じゃねぇよ! 全裸になって土下座してお願いしてみろって言ってんだよ。鈍臭いなぁ……とりあえずちゃっちゃとやって。そしたら考えるから」
面倒そうに言いながらも口元は笑っていた。周りの女子もそうだった。
子どもに罪はない。だが、世間はそれでは許してくれない。世界は冷たい。加害者の家族はいつも苦しめられる。何もしてないのに。
これ以上は見てられないなと思い、俺はその場から離れようとした。厄介なことに巻き込まれたくはなかったし、自分にはまず関係ないことだ。
踵を返そうとしたその時、佐藤は泣き出した。
「ほら、早く脱げよ」
周りの女子達が強引に佐藤から服を奪おうと手を出し服を掴むとそれを引っ張りだした。佐藤は思わず抵抗した。それに怒った女子達は今度は集団で暴行を始めた。
人間はこんなにもクソになれる。
気づけば俺は隠れるのをやめ、その一部始終へ踏み込んでいた。
「何?」
阿部は案外冷静だった。
「用がないならあっち行け」
周りの女子達も笑い出した。どうせ何も出来ずこいつは引き返すだろうと思い込んでいるのだろう。俺は指をポキポキ鳴らしてから「お前ら全員ブサイクだな」と言った。
「ブサイクなら顔面潰しても後悔ないな」
勿論男が女に手を出す筈がないと、これは挑発だと彼女らは瞬時にそう頭の中で言い聞かせたに違いない。それでも、彼女達が俺に対して何か出来るわけではない。むしろ、相手の反応次第では俺は次の行動を考える。例えば先生を呼ぶとか。
阿部はこの膠着状態に舌打ちして仲間に「行こ」と言った。阿部は俺とすれ違う際に睨みつけながら「ヒーローぶんな」と言って去って言った。
これが女子かよと思ってしまった。
佐藤は泣き止んでいた。佐藤と俺だけになり、気まずくなった俺は佐藤から目線を外した。
「女子ってこんなんなのかよ?」
「聞かれちゃったよね?」
やはり、そこが気になるか。
「俺は喋らないしどうでもいい。てめぇの親とか」
「あれ、本当なんだ」
何で喋るんだよ。
「父は事件を起こしてから離婚。でも、やっぱバレるんだ」
ネット社会の弊害。加害者は行き場をそれで失っている。どうして責られなければならないのか? どうして堂々と生きてはならないのか? 家族だからか? 家族というのはそれ程までに重い枷なのか?
「何度も言わせんな。てめぇの家族に興味なんてねぇよ」
「キシ君」
阿部はその後どうなったかは知らない。当然学校には来ていない。確かに、佐藤の父親は悪いことをしたんだろう。だが、それを知って馬鹿なことをしたのは阿部であり、阿部は一生後悔する人生を送るだろう。後悔できる頭があればだが。
阿部の動機が先生から説明されることはなかった。
佐藤にとっては阿部がいなくなってホッとしただろうし、バスケ部の一年も同様だろう。
しかし、問題はそう簡単なものではなかった。
これが単なるミステリーなら、犯人逮捕で幕引きなのだが、登場人物はその後も生き続ける。
佐藤にとって、まだ自分の父親のことを知っている二年はいた。佐藤は決断するだろう。
阿部が消えた二日後、案の定阿部の仲間達が教室に現れ「ちょっと来な」と言った。佐藤は席に座ったままだった。肩は震えていた。周りの女子だけでなく男子まで黙り込んだ。こんな奴らに怖がっているわけじゃない。ただ、二年に手を出すということは、他の二年生にとっては敏感に反応する。最近の後輩は生意気だと言って。だから、男子も今は様子を見ていた。
「来ないなら言っちゃおうか? ここであんたの秘密を」
佐藤は怯えて動けないでいた。
「あっそ。ねぇ皆知ってる? こいつの父親盗撮して捕まったんだよ」
全員の視線が佐藤に集まった。
「なんだ、あんた言ってなかったのかよ」
その女は俺を見てそう言った。覚えていたようだ。当然か。こいつらにとって楽しみを奪った男だから。
俺はそのブサイクに言った。
「こいつの家族に興味ねぇよ。それに父親は離婚してるらしいぜ。なら、関係ないだろ」
「は? 離婚したら関係無くなるの? こいつには父親の血が流れてんだよ」
血の話しか。馬鹿はその話しが好きだ。
「だならなんだよブサイク」
二年は怒って近くの机を蹴り飛ばした。机は教科書が入ったまま倒れた。
「またブサイクとか私達に言ったけどさ、あんた後輩だって分かってる?」
「年の差について議論でもしたいのかブサイク」
「てめぇ!」と声を荒らげた直後、野球部の男子がついにブチ切れその女に怒鳴った。
「てめぇじゃねぇよ! 一年の教室で二年が何の用だ」
気づけば、クラス全員がその二年を冷ややかな目で見ていた。中には睨んでいる者も。
「私達先輩なんだけど」
状況が理解出来ていない女はまだ引き下がろうとしなかった。
野球部の高田はイライラ度マックスに達していた。厳しい上下関係は一部の運動部に存在した。一年は能力問わず雑用や球拾いや筋トレばかりで常に隅っこに追いやられていた。それが慣例とされ正しいとされた。しかし、今年から新しい顧問となった野球部はその古き体制をぶち壊した。一年にもレギュラーのチャンスを与えた。先輩達は不満をもった。自分達が一年の頃は我慢してきたのが今年からいきなり何も知らない顧問によって変えられたのだから。野球部の先輩は嫉妬し八つ当たりを顧問のいないところで一年に対して行っていた。理不尽な理由で体罰を行い、虐めのようなことも平気で行われ、しまいには練習や練習試合では手加減するよう命令した。逆らえばどうなるかという脅迫を与えて。だが、顧問の目はそれを見抜き問題の部員をレギュラーにしないと宣告した。自業自得ではあるが、チャンスが無くなったその部員は怒り狂い、遂には部活に姿を現すことがなくなった。
高田は先輩から酷い虐めを受けた一人だ。高田は悪い奴じゃなかった。虐められるような奴では決してなかった。先輩という立場を悪用されただけだった。そんな理不尽も耐えれた高田が激怒しているのは、二年はそうとうまでに腐っていたからだ。
野球部の顧問が気に入らなかった二年の一部が顧問を集団で襲ったのだ。顧問は怪我を負ったが、命に別状なかった。高田は顧問が気に入っていた。それを集団で襲った先輩を酷く嫌うようになった。
高田が本気だと気づいた女子達は引き下がった。
周りの女子達は佐藤を囲った。
「私、気にしないから」
「そうだよ」
「静香は静香だよ」
佐藤は思わず泣き出した。
佐藤静香は加害者の家族としてそのレッテルがついてまわるだろう。それはどこへ逃げようと同じだ。そんなことよりも、佐藤静香に寄り添う彼女らの優しさを受け止めなければならない。もし、そこから逃げ出したら、こんなチャンスはもう二度とこないだろう。
佐藤静香は決断する。
佐藤静香は転校せずこの学校でやっていくことにしたようだ。
佐藤は立ち止まり振り返る。
「あの時はありがとう」
「は?」
「もう! まだお礼言えてなかったから、ありがとう」
ちょっと怒り気味の佐藤は少し照れてもいた。
俺はよく分からない顔をした。
橘桜は沈黙している。
昼間は定年退職した男性客がいつもの奥の席で新聞を広げながらビールを飲む。これもいつもの光景だ。
店主は黒い半袖のシャツ姿で黙々と料理をしている。店主は日本人ではなく中国人だが、日本語は問題なく来る客も気にしない。
黒のハーフパンツに校章の入った名前入りの白い半袖姿の自分は、店に入るなり自分もいつものカウンター席へ座った。
ラーメンを頼み、その間はテレビを見た。テレビは相変わらずつまらなかった。
近くで車が走る音がし、入り口からは風が入ってくる。
店に冷房がないが、不思議と文句は出なかった。そういう店だと、むしろ昭和感があって好きだった。
少しすると自分のラーメンがきて、割り箸を割って食べ始める。
いつも醤油しか食べない。丁度よい太さで昔ながらって感じがした。細い麺は嫌いで、それはラーメンに限らなかった。
ラーメンを食べ終わると、食費を朝出ていく時に預かったお金をポケットから出し、お会計を済ませた。
店主は口数の少ない方だった。背は低く小太りで、髪は細い方だった。目も小さい。
店主と別れ赤い暖簾をくぐると、学校がある方向から此方へと二人の女子が自分と同じ格好で歩いていた。二人はバトミントンのラケットケースを肩に掛けていた。休みの日だというのに部活の為に学校に来て午前中で終えた自分と同じだ。
何故か部活は全員強制だった。正直、やる気はなかったし、休みの日まで学校に来るのは嫌だった。小学生の何もない頃が羨ましい。とは言え、休みで何をするわけでもなかったが。
中学はやたらと校則がうるさく、靴下まで色やら柄やら細かく決められ、小学生の自由さはなく、更に勉強が本格的になり、ますます学校というものが嫌になっていた。
二人の女子に興味なく背を向けると、一人の見覚えのある顔の女子に呼びかけられた。
「キシ君」
彼女はそう呼んだ。一人は違うが、自分を呼んだ女子は同じクラスだった。とは言え、付き合っている仲ではない。だからと言って声を掛けてはまずいというわけではないが、お互い呼び合うのは本来気まずい筈だ。なのに、あいつは俺を軽々しく呼んだ。
俺は面倒そうに振り返ると、彼女は走っていた。
ため息が漏れた。
その女の名は佐藤静香。印象は体育の授業の時に教師に靴下を指摘され、その場で没収されていた。彼女はその日素足に上履きという状態で一日を過ごし、教室では文句を女子同士で喋っていた。女子っていうのは何であんなに馬鹿みたいに声がでかいのか。それを廊下でたまたま耳にしていた学年主任の家庭科の先生が佐藤を注意し、放課後に担任にも注意され、入学してまだ一週間もたたないうちに一日に三人の先生に注意された子といったところか。
ポニーテールで、バトミントン部で、背は中学一年の女子の中では平均的。
もう一人の女子は橘桜。同学年だが違うクラスでおかっぱ頭で、クラスの学級委員長で、背は低くい。
「今、無視しようとしたでしょ?」
「なんか用?」
自分はそう言いながら目線を落としアスファルトを見た。視界には二人の白い靴のつま先部分だけが入る。
「キシ君も部活帰り? 一緒に帰ろうよ」
何故? と聞こうとしたが、咄嗟に頭の中の脳が回転し、彼女が質問に答えていないことに気づく。頭の中でさっき出た質問を取り消し、本来の質問に戻す。
「だから何の用?」
「キシ君冷たい」
彼女は怒っていた。激昂というほどではないが、怒っていた。
こんなことで怒るのか。
隣の学級委員長は沈黙している。
「俺に何か用があって声を掛けたんじゃないのか?」
「もう知らない」
佐藤はそう言って俺を置いて歩き出した。橘は沈黙したまま佐藤についていった。
佐藤が俺に対しどういうつもりなのかは知らないが、こうなるきっかけには心当たりがある。それは一ヶ月前のこと。
その日は酷い雨だった。
大抵はかえの靴下を用意して、下駄箱で濡れた靴下から履き替えるのだが、忘れたり考えもしなかった学生は裸足のまま上履きを履いていた。佐藤はその一人であり、内心これなら靴下でまた先生に注意されることもないなとせせら笑った。
一年の教室は三階にあり、毎日階段を登り降りするのが面倒ではあるが、慣れてしまえばどうってことない。
なんてことはない日常。学校に総理大臣が現れ、そこに銃を持ったテロリストが現れ生徒が人質になったりはしない。先生が突然猟銃を生徒に向け発泡したりしない。クラス同士の殺し合いやデスゲームが始まったりはしない。平凡な日常。学校の先生に言われた通りに従い、返事は「はい」のみで「いいえ」が存在しない日本のロボット工場のように、同調圧力社会で同調できる人間ぽいのをつくる。学校はこれを協調性だと語り、集団行動を徹底する。
ただ、この日は違った。
放課後、緊急の集会がおこなれた。体育館に全学年が集まり、体育座りをして校長先生の話しを聞く。通常なら、ほとんどの生徒は右から左に言葉は通過するが、今日は違った。
「皆さんに大変残念なお知らせがあります」
そう言って、一年の女子トイレに小型のカメラが見つかったことを話した。
全てのトイレを点検し、カメラが発見されたのはそこのトイレのみだった。
集会中は私語は厳禁で、皆黙って真剣に聞いてたが、本当は喋りたくてたまらない筈だ。
退屈な日常に事件が起きた。たった一つの話題で暫くはもちきりだろう。
だいたい予想出来るのは、犯人探しだ。誰が疑わしいか。まず、男性だろう。そして、一年生の女子トイレのみとなれば、一年生の男子か? だが、犯人はわざと一年のトイレだけにしたかもしれない。犯人は一年とは限らない。それに、生徒じゃないかもしれない。男の教師が逮捕される事件は続いており、ニュースでは教員免許を永久に剥奪させるべきだという論争が起きている。因みに俺は男だが、永久に剥奪するのに賛成派だ。
あと、考えられる可能性として外部という可能性もある。しかし、これは難しい。いつ、設置されたかにもよるが、数日カメラを設置したままにするだろうか? 犯人はおそらく当日に回収する筈だ。そう考えると、外部は学校に侵入する際にどうやったか? 学校は全て鍵がかけられ外には防犯カメラがある。カメラは校舎内部にはない為、トイレ前の出入りした人物を確認することは出来ない。
授業中にトイレに侵入し設置した可能性は限りなく低く。
学生でも同じだ。日中に仕掛けるのは目立つ。
トイレは教室のある同じ廊下だからだ。授業中も学生は当然不可解。
先生なら外部や生徒を疑うより可能にみえる。皆が授業中に仕掛けるとか。
今、思ったことはこの中にも何人かいてもおかしくはない。
だが、犯人探しは意外にも早くに解決した。
犯人はカメラを仕掛ける際に指紋を残さなかった。カメラも近くの電気屋さんでは扱ってはいないもので、しかし、決定的なミスを犯人はしていた。
それは、カメラの映像に犯人の顔が映り込んでいたからだ。
カメラをトイレにセットし電源を入れ確認した際に顔がバッチリと入り込んでいたのだ。
明らかに致命的なミスだ。だが、カメラという物証を残すようなまねをしている時点で、この犯人は最初から賢くはなかった。そもそも、盗撮をしようとする時点で例外なくそうなのだ。
予想外なのは、その犯人の正体だった。
皆の名推理はことごとくハズレた。男子生徒でも外部でも教師でもなかった。いや、そもそも男ではなかった。犯人は二年の女子生徒だった。
名前は阿部一人で、一年女子の説明によれば二年生の女子グループでは副リーダー的存在とのことらしい。部活動ではバスケで、一年はその先輩を恐れていた。怒らせないように気を配り、大きな挨拶をしないとビンタが飛んでくる。単なる部活熱血ではなかったその阿部は、一年を定期的に虐めも行っていた。躾と称して。躾と言えば家庭であれ学校であれ部活動であれ許される方便として便利な言葉と化している。俺はその様子を一度だけ目撃していた。
その被害者が佐藤静香だった。
体育館裏で上履きのまま阿部とその他の女子生徒が囲んでいた。俺は陸上部で外周という学校の周りを走っていた時にたまたま見えてしまったのだ。気になった俺は隠れてその様子を伺っていた。
「あんたの父親さ、捕まったことあるんだって?」
耳を疑う内容が阿部から語られる。
「しかも、女子高生を盗撮してたんでしょ」
佐藤は何も言い返せなかった。違うなら違うと言えばいい。でも、佐藤の足は震えていた。
「ねぇ、こんなことバレたら大変だよねぇ? どうしよっかなぁ?」
「え……」
佐藤はどうすることも出来なかった。まさか加害者の子どもだったとは知らなかったし気づかなかった。だが、その隠し事をあろうことかまずい奴に知られてしまった。こうなれば佐藤は阿部の言いなりだ。
「黙って欲しかったらお願いしてみろ!」
突然怒鳴る阿部。かと思ったら優しく佐藤にどうしたらいいか教え始めた。
「そうだな……とりあえず服脱げ」
「え?」
「え? じゃねぇよ! 全裸になって土下座してお願いしてみろって言ってんだよ。鈍臭いなぁ……とりあえずちゃっちゃとやって。そしたら考えるから」
面倒そうに言いながらも口元は笑っていた。周りの女子もそうだった。
子どもに罪はない。だが、世間はそれでは許してくれない。世界は冷たい。加害者の家族はいつも苦しめられる。何もしてないのに。
これ以上は見てられないなと思い、俺はその場から離れようとした。厄介なことに巻き込まれたくはなかったし、自分にはまず関係ないことだ。
踵を返そうとしたその時、佐藤は泣き出した。
「ほら、早く脱げよ」
周りの女子達が強引に佐藤から服を奪おうと手を出し服を掴むとそれを引っ張りだした。佐藤は思わず抵抗した。それに怒った女子達は今度は集団で暴行を始めた。
人間はこんなにもクソになれる。
気づけば俺は隠れるのをやめ、その一部始終へ踏み込んでいた。
「何?」
阿部は案外冷静だった。
「用がないならあっち行け」
周りの女子達も笑い出した。どうせ何も出来ずこいつは引き返すだろうと思い込んでいるのだろう。俺は指をポキポキ鳴らしてから「お前ら全員ブサイクだな」と言った。
「ブサイクなら顔面潰しても後悔ないな」
勿論男が女に手を出す筈がないと、これは挑発だと彼女らは瞬時にそう頭の中で言い聞かせたに違いない。それでも、彼女達が俺に対して何か出来るわけではない。むしろ、相手の反応次第では俺は次の行動を考える。例えば先生を呼ぶとか。
阿部はこの膠着状態に舌打ちして仲間に「行こ」と言った。阿部は俺とすれ違う際に睨みつけながら「ヒーローぶんな」と言って去って言った。
これが女子かよと思ってしまった。
佐藤は泣き止んでいた。佐藤と俺だけになり、気まずくなった俺は佐藤から目線を外した。
「女子ってこんなんなのかよ?」
「聞かれちゃったよね?」
やはり、そこが気になるか。
「俺は喋らないしどうでもいい。てめぇの親とか」
「あれ、本当なんだ」
何で喋るんだよ。
「父は事件を起こしてから離婚。でも、やっぱバレるんだ」
ネット社会の弊害。加害者は行き場をそれで失っている。どうして責られなければならないのか? どうして堂々と生きてはならないのか? 家族だからか? 家族というのはそれ程までに重い枷なのか?
「何度も言わせんな。てめぇの家族に興味なんてねぇよ」
「キシ君」
阿部はその後どうなったかは知らない。当然学校には来ていない。確かに、佐藤の父親は悪いことをしたんだろう。だが、それを知って馬鹿なことをしたのは阿部であり、阿部は一生後悔する人生を送るだろう。後悔できる頭があればだが。
阿部の動機が先生から説明されることはなかった。
佐藤にとっては阿部がいなくなってホッとしただろうし、バスケ部の一年も同様だろう。
しかし、問題はそう簡単なものではなかった。
これが単なるミステリーなら、犯人逮捕で幕引きなのだが、登場人物はその後も生き続ける。
佐藤にとって、まだ自分の父親のことを知っている二年はいた。佐藤は決断するだろう。
阿部が消えた二日後、案の定阿部の仲間達が教室に現れ「ちょっと来な」と言った。佐藤は席に座ったままだった。肩は震えていた。周りの女子だけでなく男子まで黙り込んだ。こんな奴らに怖がっているわけじゃない。ただ、二年に手を出すということは、他の二年生にとっては敏感に反応する。最近の後輩は生意気だと言って。だから、男子も今は様子を見ていた。
「来ないなら言っちゃおうか? ここであんたの秘密を」
佐藤は怯えて動けないでいた。
「あっそ。ねぇ皆知ってる? こいつの父親盗撮して捕まったんだよ」
全員の視線が佐藤に集まった。
「なんだ、あんた言ってなかったのかよ」
その女は俺を見てそう言った。覚えていたようだ。当然か。こいつらにとって楽しみを奪った男だから。
俺はそのブサイクに言った。
「こいつの家族に興味ねぇよ。それに父親は離婚してるらしいぜ。なら、関係ないだろ」
「は? 離婚したら関係無くなるの? こいつには父親の血が流れてんだよ」
血の話しか。馬鹿はその話しが好きだ。
「だならなんだよブサイク」
二年は怒って近くの机を蹴り飛ばした。机は教科書が入ったまま倒れた。
「またブサイクとか私達に言ったけどさ、あんた後輩だって分かってる?」
「年の差について議論でもしたいのかブサイク」
「てめぇ!」と声を荒らげた直後、野球部の男子がついにブチ切れその女に怒鳴った。
「てめぇじゃねぇよ! 一年の教室で二年が何の用だ」
気づけば、クラス全員がその二年を冷ややかな目で見ていた。中には睨んでいる者も。
「私達先輩なんだけど」
状況が理解出来ていない女はまだ引き下がろうとしなかった。
野球部の高田はイライラ度マックスに達していた。厳しい上下関係は一部の運動部に存在した。一年は能力問わず雑用や球拾いや筋トレばかりで常に隅っこに追いやられていた。それが慣例とされ正しいとされた。しかし、今年から新しい顧問となった野球部はその古き体制をぶち壊した。一年にもレギュラーのチャンスを与えた。先輩達は不満をもった。自分達が一年の頃は我慢してきたのが今年からいきなり何も知らない顧問によって変えられたのだから。野球部の先輩は嫉妬し八つ当たりを顧問のいないところで一年に対して行っていた。理不尽な理由で体罰を行い、虐めのようなことも平気で行われ、しまいには練習や練習試合では手加減するよう命令した。逆らえばどうなるかという脅迫を与えて。だが、顧問の目はそれを見抜き問題の部員をレギュラーにしないと宣告した。自業自得ではあるが、チャンスが無くなったその部員は怒り狂い、遂には部活に姿を現すことがなくなった。
高田は先輩から酷い虐めを受けた一人だ。高田は悪い奴じゃなかった。虐められるような奴では決してなかった。先輩という立場を悪用されただけだった。そんな理不尽も耐えれた高田が激怒しているのは、二年はそうとうまでに腐っていたからだ。
野球部の顧問が気に入らなかった二年の一部が顧問を集団で襲ったのだ。顧問は怪我を負ったが、命に別状なかった。高田は顧問が気に入っていた。それを集団で襲った先輩を酷く嫌うようになった。
高田が本気だと気づいた女子達は引き下がった。
周りの女子達は佐藤を囲った。
「私、気にしないから」
「そうだよ」
「静香は静香だよ」
佐藤は思わず泣き出した。
佐藤静香は加害者の家族としてそのレッテルがついてまわるだろう。それはどこへ逃げようと同じだ。そんなことよりも、佐藤静香に寄り添う彼女らの優しさを受け止めなければならない。もし、そこから逃げ出したら、こんなチャンスはもう二度とこないだろう。
佐藤静香は決断する。
佐藤静香は転校せずこの学校でやっていくことにしたようだ。
佐藤は立ち止まり振り返る。
「あの時はありがとう」
「は?」
「もう! まだお礼言えてなかったから、ありがとう」
ちょっと怒り気味の佐藤は少し照れてもいた。
俺はよく分からない顔をした。
橘桜は沈黙している。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる