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一つ上の先輩方がこの春卒業してから大学の方も休みが出来て、その間に私は実家へと戻った。正直、引っ越そうかと思っているけど、解せないことがある。なんで私だけの部屋だったのか。他の部屋では私のような騒ぎが起きてはいなかった。まるで私だけが取り憑かれたみたいに。でも、きっかけは心当たりが全くなかった。
そんな中、テレビをつけ冷えた麦茶を冷蔵庫から取り出しグラスに注いでいると速報が流れた。
「先程、〇〇市〇〇アパートで腹部に刃物によって刺されその後死亡したと思われる遺体が発見された事件で、警察は犯人を逮捕したとの」
男性アナウンサーの速報に私は麦茶を台所に置いてダッシュでテレビ前へ駆け寄る。
「なになに」
確認すると犯人は菅原という男性38歳で被害者とは昔の同僚という接点がありとどんどん報じられていく。
「お母さん、あのアパートでの殺人事件なんだけど犯人逮捕だって」大声で母に聞こえるように言った。母はキッチンから「あらそうなの」と返事が返った。
「それじゃもう帰るの?」
母はそう訊いた。私は恐ろしい体験をしたことは両親にはまだ話してはいなかった。両親はオカルトとかそういった類を信じない現実主義? なところがある。だからこっちに来たのも事件と近くてまだ犯人が捕まっていないという理由をつけてのことだった。両親もその方がいいと言ってくれたが、その理由も今消えてしまった。でも、犯人逮捕であの夜の恐怖も消えたんじゃないかと少しだけ期待もしていた。
私は少し悩んでから「うん、そうだね」とようやくその言葉を絞り出した。
昼のたらこスパゲッティを食べてから家に帰ると、久しぶりの自分の部屋に戻った。
部屋のカーテンは閉まったままで、私は玄関の鍵を閉めてチェーンをつけると靴を脱いでまず部屋のカーテンを開けた。太陽の光が入り部屋を明るくした。それから部屋を見渡す。出て行く時となにも変わった様子はない。ふと、実家を出て初めて独り暮らしをする初日を思い出した。胸が少し躍るのと心細い不安が入りまじる感覚だ。そんな時、外の方からどん、どん、という鈍い音が続いて聞こえてきた。
「え、なに?」
私は忍び足で玄関に向かい小さな窓を覗いた。玄関前通路にはなにもない。でも、音はまだ消えていない。どん、どん。なにかぶつかる音。いや、鍵のかかったドアを開けて引っ掛かる音だ。でも、自分のドアではない。流石に昼間で幽霊なんて出ないだろう。私は意を決して鍵とチェーンをあけて外に出た。すると、隣の部屋のドアを何度も開けようとしている赤いワンピースの女がいた。高いヒールに長い黒髪。凄く不気味に感じたのと、そもそもあなた誰? と思った。女はずっとドアを開けようとしている。でも鍵が閉まっていてどん、どんという音を出していた。私は直ぐに怖くなって自分の部屋に戻り急いで鍵を掛けチェーンをつけた。そして、もう一度小さな窓から外を覗いた。
「きゃああああああ」
悲鳴をあげた。ドアの外にあの女が立っていた。前髪が長く垂れ下がっていて顔が見えない。
ドアノブが回る。
どん、どん、どん、どん。
「け、警察呼びますよ!」
どん、どん、どん、どん。
「なんですか! 何の用ですか」
その時、ドアノブがガチャガチャと動く。
私は悲鳴をあげながら「やめてー」と叫ぶ。私は急いでポケットからスマホを出しお母さんに電話しようとした。でも、その前に電話が鳴った。
着信のメロディーが流れる。知らない音楽だ。自分が設定した音楽じゃない。
なにこれ!?
電話番号はなく非通知とある。
絶対出ちゃ駄目なやつだ。私はそう直感した。
私は小さな窓から外をもう一度確認する。まだあの女はいる。そして、ドアの向こうから女の唸り声が聞こえてきた。そして、ドアになにかぶつかる音がした。とん、とん。それは鋭利なものがドアにぶつかるような音。なんでそう思ったのか自分でも分からない。ただ、咄嗟に刃物、刃先がドアに当てられているイメージがわいた。
「ううぅ……」
ガチャガチャガチャガチャ。
「やめて! やめてください!!」
私は必死に訴えた。
すると、音は止んだ。唸り声も聞こえなくなった。もう一度外を見ると、あの女はいなくなっていた。
私はその場で崩れるように尻もちをつき、両手をついた。
「な、なんなのよいったい……」
とにかく終わってはいなかった。早くこんなところから出ないと。
そんな中、テレビをつけ冷えた麦茶を冷蔵庫から取り出しグラスに注いでいると速報が流れた。
「先程、〇〇市〇〇アパートで腹部に刃物によって刺されその後死亡したと思われる遺体が発見された事件で、警察は犯人を逮捕したとの」
男性アナウンサーの速報に私は麦茶を台所に置いてダッシュでテレビ前へ駆け寄る。
「なになに」
確認すると犯人は菅原という男性38歳で被害者とは昔の同僚という接点がありとどんどん報じられていく。
「お母さん、あのアパートでの殺人事件なんだけど犯人逮捕だって」大声で母に聞こえるように言った。母はキッチンから「あらそうなの」と返事が返った。
「それじゃもう帰るの?」
母はそう訊いた。私は恐ろしい体験をしたことは両親にはまだ話してはいなかった。両親はオカルトとかそういった類を信じない現実主義? なところがある。だからこっちに来たのも事件と近くてまだ犯人が捕まっていないという理由をつけてのことだった。両親もその方がいいと言ってくれたが、その理由も今消えてしまった。でも、犯人逮捕であの夜の恐怖も消えたんじゃないかと少しだけ期待もしていた。
私は少し悩んでから「うん、そうだね」とようやくその言葉を絞り出した。
昼のたらこスパゲッティを食べてから家に帰ると、久しぶりの自分の部屋に戻った。
部屋のカーテンは閉まったままで、私は玄関の鍵を閉めてチェーンをつけると靴を脱いでまず部屋のカーテンを開けた。太陽の光が入り部屋を明るくした。それから部屋を見渡す。出て行く時となにも変わった様子はない。ふと、実家を出て初めて独り暮らしをする初日を思い出した。胸が少し躍るのと心細い不安が入りまじる感覚だ。そんな時、外の方からどん、どん、という鈍い音が続いて聞こえてきた。
「え、なに?」
私は忍び足で玄関に向かい小さな窓を覗いた。玄関前通路にはなにもない。でも、音はまだ消えていない。どん、どん。なにかぶつかる音。いや、鍵のかかったドアを開けて引っ掛かる音だ。でも、自分のドアではない。流石に昼間で幽霊なんて出ないだろう。私は意を決して鍵とチェーンをあけて外に出た。すると、隣の部屋のドアを何度も開けようとしている赤いワンピースの女がいた。高いヒールに長い黒髪。凄く不気味に感じたのと、そもそもあなた誰? と思った。女はずっとドアを開けようとしている。でも鍵が閉まっていてどん、どんという音を出していた。私は直ぐに怖くなって自分の部屋に戻り急いで鍵を掛けチェーンをつけた。そして、もう一度小さな窓から外を覗いた。
「きゃああああああ」
悲鳴をあげた。ドアの外にあの女が立っていた。前髪が長く垂れ下がっていて顔が見えない。
ドアノブが回る。
どん、どん、どん、どん。
「け、警察呼びますよ!」
どん、どん、どん、どん。
「なんですか! 何の用ですか」
その時、ドアノブがガチャガチャと動く。
私は悲鳴をあげながら「やめてー」と叫ぶ。私は急いでポケットからスマホを出しお母さんに電話しようとした。でも、その前に電話が鳴った。
着信のメロディーが流れる。知らない音楽だ。自分が設定した音楽じゃない。
なにこれ!?
電話番号はなく非通知とある。
絶対出ちゃ駄目なやつだ。私はそう直感した。
私は小さな窓から外をもう一度確認する。まだあの女はいる。そして、ドアの向こうから女の唸り声が聞こえてきた。そして、ドアになにかぶつかる音がした。とん、とん。それは鋭利なものがドアにぶつかるような音。なんでそう思ったのか自分でも分からない。ただ、咄嗟に刃物、刃先がドアに当てられているイメージがわいた。
「ううぅ……」
ガチャガチャガチャガチャ。
「やめて! やめてください!!」
私は必死に訴えた。
すると、音は止んだ。唸り声も聞こえなくなった。もう一度外を見ると、あの女はいなくなっていた。
私はその場で崩れるように尻もちをつき、両手をついた。
「な、なんなのよいったい……」
とにかく終わってはいなかった。早くこんなところから出ないと。
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