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第3章 パクス
03 フーリエ
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シェフェールの当選は国全体を驚かせた。それだけ平和への主張が大きくなったということだ。これは全国紙の一面にもなって拡散された。
そこには、シェフェールの生い立ちや活動、そしてこれまで主張してきたことまでが載ってある。特に、政府に対する要望として再度対話を試みるべきだという主張だろう。彼女がいきなり国の代表になれるわけではないと考えての今回の市長選。その市長の立場を利用して政府へ要望書を送ったのだ。勿論、政府がそれに応じるのは冷やかな見方が多い一方で、シェフェールに続く平和を訴える人々があちこちで拡大していけば、それもシェフェールの企み通りと言えよう。
戦争によって自由が奪われたのは確かだ。戦争によって奪われた若者の命、彼らに自由はあっただろうか?
戦争疲れだけでなく、多くの国民が実際に傷ついた。これ以上の犠牲は必要なのかという戦争に対する疑問を感じる人はいる。シェフェールの訴えは明らにそういった人達に響いただろう。
最後に、シェフェールの主張「戦争による正義から戦争放棄後の世界平和」へ実現するのか、新聞は期待の言葉で締め括っている。
イリゼでは街中が新市長の誕生を祝った。無論、それを喜べない者達もいる。
シェフェールは世界平和の実現には4大国のどの国が主権を持つことではなく、4大国とは中立的かつ強い力を持った組織の必要性を訴えている。つまり、そこに権力がいくのだ。そして法律をつくり、各国はそれに従わなければならない。シェフェールは他の国でも戦争による犠牲はあり、その賠償をどの国も主張せず、4大国の領土は戦前そのままという主張に他の国はのっかる以外にないと断言している。そして、それは対話によってなされる。そこに大国の一つでも欠けてはならず、法律は4大国が全会一致しなければならないとしている。これにより戦争は違法となり、4大国は戦争が出来なくなるということだ。
長年、シェフェールの秘書をしてきた女性フーリエはそんな彼女を支えてきたし、市長に当選が決まった時は一緒になって喜んだ。
だが、市長となって間もなくして、あの魔女が現れた。アウレリア。魔女のことは詳しくなくても、アウレリアという魔女くらいは知っていた。
シェフェールを外部から守るのもまた秘書の役割。怪しい人物や団体はチェックするし、問題ありの関係者と少しでも付き合いがあるとマスコミは面白がって騒ぎ立てる。情報は身を守る上でも重要なカギだ。
「市長、あの魔女は信用出来ません。魔女ですよ」
シェフェールと5歳下のフーリエはシェフェールにそう警告した。髪は団子で、丸いメガネをかけスーツを着ている。姿勢はどんな時も良かった。
「なんで、あろうことか魔女に協力を求むんです」
「私一人では成し遂げられないからよ」
「でも、あの魔女は」
「あなたは魔女にそう詳しくはないでしょ。アウレリアだけではないわ。魔女は。だからこそ、魔女は味方につけた方がいい」
「味方は信用出来る人物に限るべきです」
「あなたの警告はいつも当たる。頼りにしているわ」
シェフェールはそれだけ言った。つまり、譲る気はないということだ。そして、いざとなったら守って欲しいという意味。
「私はあなたの秘書です」
それが役目だと分かっている。シェフェールは満足な笑みをした。フーリエも表情を緩くした。しかし、警戒はより一層に。
そこには、シェフェールの生い立ちや活動、そしてこれまで主張してきたことまでが載ってある。特に、政府に対する要望として再度対話を試みるべきだという主張だろう。彼女がいきなり国の代表になれるわけではないと考えての今回の市長選。その市長の立場を利用して政府へ要望書を送ったのだ。勿論、政府がそれに応じるのは冷やかな見方が多い一方で、シェフェールに続く平和を訴える人々があちこちで拡大していけば、それもシェフェールの企み通りと言えよう。
戦争によって自由が奪われたのは確かだ。戦争によって奪われた若者の命、彼らに自由はあっただろうか?
戦争疲れだけでなく、多くの国民が実際に傷ついた。これ以上の犠牲は必要なのかという戦争に対する疑問を感じる人はいる。シェフェールの訴えは明らにそういった人達に響いただろう。
最後に、シェフェールの主張「戦争による正義から戦争放棄後の世界平和」へ実現するのか、新聞は期待の言葉で締め括っている。
イリゼでは街中が新市長の誕生を祝った。無論、それを喜べない者達もいる。
シェフェールは世界平和の実現には4大国のどの国が主権を持つことではなく、4大国とは中立的かつ強い力を持った組織の必要性を訴えている。つまり、そこに権力がいくのだ。そして法律をつくり、各国はそれに従わなければならない。シェフェールは他の国でも戦争による犠牲はあり、その賠償をどの国も主張せず、4大国の領土は戦前そのままという主張に他の国はのっかる以外にないと断言している。そして、それは対話によってなされる。そこに大国の一つでも欠けてはならず、法律は4大国が全会一致しなければならないとしている。これにより戦争は違法となり、4大国は戦争が出来なくなるということだ。
長年、シェフェールの秘書をしてきた女性フーリエはそんな彼女を支えてきたし、市長に当選が決まった時は一緒になって喜んだ。
だが、市長となって間もなくして、あの魔女が現れた。アウレリア。魔女のことは詳しくなくても、アウレリアという魔女くらいは知っていた。
シェフェールを外部から守るのもまた秘書の役割。怪しい人物や団体はチェックするし、問題ありの関係者と少しでも付き合いがあるとマスコミは面白がって騒ぎ立てる。情報は身を守る上でも重要なカギだ。
「市長、あの魔女は信用出来ません。魔女ですよ」
シェフェールと5歳下のフーリエはシェフェールにそう警告した。髪は団子で、丸いメガネをかけスーツを着ている。姿勢はどんな時も良かった。
「なんで、あろうことか魔女に協力を求むんです」
「私一人では成し遂げられないからよ」
「でも、あの魔女は」
「あなたは魔女にそう詳しくはないでしょ。アウレリアだけではないわ。魔女は。だからこそ、魔女は味方につけた方がいい」
「味方は信用出来る人物に限るべきです」
「あなたの警告はいつも当たる。頼りにしているわ」
シェフェールはそれだけ言った。つまり、譲る気はないということだ。そして、いざとなったら守って欲しいという意味。
「私はあなたの秘書です」
それが役目だと分かっている。シェフェールは満足な笑みをした。フーリエも表情を緩くした。しかし、警戒はより一層に。
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