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受験生。その自覚なら私にもある。毎日、自宅では寝る前に勉強時間を設けてやっている。目標とする高校が具体的に決まれば、その学校の入試の過去問をやったりするんだろう。ただ、私には欲がない。とりあえず高校に行ければいいと思っていないわけでもない。勿論、それは最低条件だろう。だが、私には明確に名門の大学に向けてとか、なりたい職業があるとか、そういったものはなかった。自分がどんな大人になっているのかさえ想像がつかない。昔の私なら、ケーキ屋さんになりたいとか言ってた気がするが、世の中を、社会を知れば知るほど、なんだか夢から覚めていくみたいで、夢を見れないでいた。
そう言えば、学校には勉強会と呼ばれるものについて一切耳にしなかった。友達同士で連絡を取り合って一緒に勉強をという話しすらない。いや、誘われていないだけかもしれない。しかし、中には勉強は一人の方が集中するという意見もあるだろう。私も、今のクラスメイトで勉強するなら一人の方が集中するかも。色々と気を遣ってしまいそうで。だから、不満なんてなかった。
自分の机の上に勉強用のノートを開く。学校の授業用とわけており、勉強用のノートは自分で問題をつくっては、それを解くというのを何度も繰り返せるよう用として使っている。例えば、漢字とか。読みだけ書いて、その隣にその漢字を書く。
英語の単語については暗記カードを作って何度も繰り返した。
本当は家にコピー機があれば、沢山の練習問題を沢山コピーして、勉強したいものだ。金があれば、いろんな参考書とか買えただろう。
しかし、私には金もなければコピー機もない。
そもそも、自分のしている勉強方法が正しいのかどうかさえ分からない。皆はどのように勉強しているのか全く気にならなかったわけではない。
ただ、とりあえず分からない問題がないように覚えていく作業を繰り返していくしかなかった。
私に兄か姉さえいれば良かったのだが、この家では子供は私だけだ。
両親が私の勉強をどう思っているかというと、あまり感心がないようだった。試験の前も後も他の家庭に比べればうるさいという程ではなかった。いや、実際他の家庭がどうかは知らない。私の想像なんだけど。
とにかく、親は私に対しては放置型だと思う。しかし、学校行事には体育祭も文化祭も見に来るので、全く感心がないとまではならないと思う。
家庭環境が厳しいところだと、自由がなさそうで嫌だが、私の場合自由があっても特にすることがないので、大抵時間を無駄にしていた。
そんなこんなで、勉強を終え、歯を磨き、ベッドの中に入る。
そして目を瞑ると、あっという間に眠りに入った。
私の場合、だいたい夢のことは覚えていない時が多い。そもそも、夢を見ていたのだろうか。意識を失い、目覚ましで毎朝起こされる。そんな感じがする。
しかし、たまにだが、ごく稀に印象的な夢を見ることがある。その時だけは暫く記憶の中にあるのだが、今回、眠りに入った私はその印象深い夢を見た。
あろうことか、私は例の墓地に立っていた。パジャマ姿で。まだ、あの記憶から離れずについ夢の中にまで出てきたのなら、それは最悪だった。
風は冷たく、リアルに寒さを感じる。
「な、なによ……」
まさか、このまま幽霊とか出てこないだろうねと思っていると、どっからかサイレンが鳴り響いた。
なにごとかと思っていると、今度は空が騒がしくなった。
私は空を見上げてみると、そこには暗くてよく見えないが、なにかが空を飛んでいた。それも幾つもだ。
「飛行機?」
すると、少年の声が背後から「馬鹿! あれは戦闘機だろ」と怒鳴られてしまった。
振り返ると、そいつは下駄を履いており、制服を着ていた。
「あの……」
誰かも知らない顔が私の夢の中に現れた。
「なにしてる! 早く避難しろ」
「え?」
「聞こえないのか? 空襲だ」
その言葉でハッとする。あれが飛行機でなく戦闘機だというのが今理解した。あの人がわざわざそう教えてくれたにも関わらず、私はそれを素直に信じることが出来なかった。
その時既に、私はこれが現実でなく夢であることを忘れていた。
そう言えば、学校には勉強会と呼ばれるものについて一切耳にしなかった。友達同士で連絡を取り合って一緒に勉強をという話しすらない。いや、誘われていないだけかもしれない。しかし、中には勉強は一人の方が集中するという意見もあるだろう。私も、今のクラスメイトで勉強するなら一人の方が集中するかも。色々と気を遣ってしまいそうで。だから、不満なんてなかった。
自分の机の上に勉強用のノートを開く。学校の授業用とわけており、勉強用のノートは自分で問題をつくっては、それを解くというのを何度も繰り返せるよう用として使っている。例えば、漢字とか。読みだけ書いて、その隣にその漢字を書く。
英語の単語については暗記カードを作って何度も繰り返した。
本当は家にコピー機があれば、沢山の練習問題を沢山コピーして、勉強したいものだ。金があれば、いろんな参考書とか買えただろう。
しかし、私には金もなければコピー機もない。
そもそも、自分のしている勉強方法が正しいのかどうかさえ分からない。皆はどのように勉強しているのか全く気にならなかったわけではない。
ただ、とりあえず分からない問題がないように覚えていく作業を繰り返していくしかなかった。
私に兄か姉さえいれば良かったのだが、この家では子供は私だけだ。
両親が私の勉強をどう思っているかというと、あまり感心がないようだった。試験の前も後も他の家庭に比べればうるさいという程ではなかった。いや、実際他の家庭がどうかは知らない。私の想像なんだけど。
とにかく、親は私に対しては放置型だと思う。しかし、学校行事には体育祭も文化祭も見に来るので、全く感心がないとまではならないと思う。
家庭環境が厳しいところだと、自由がなさそうで嫌だが、私の場合自由があっても特にすることがないので、大抵時間を無駄にしていた。
そんなこんなで、勉強を終え、歯を磨き、ベッドの中に入る。
そして目を瞑ると、あっという間に眠りに入った。
私の場合、だいたい夢のことは覚えていない時が多い。そもそも、夢を見ていたのだろうか。意識を失い、目覚ましで毎朝起こされる。そんな感じがする。
しかし、たまにだが、ごく稀に印象的な夢を見ることがある。その時だけは暫く記憶の中にあるのだが、今回、眠りに入った私はその印象深い夢を見た。
あろうことか、私は例の墓地に立っていた。パジャマ姿で。まだ、あの記憶から離れずについ夢の中にまで出てきたのなら、それは最悪だった。
風は冷たく、リアルに寒さを感じる。
「な、なによ……」
まさか、このまま幽霊とか出てこないだろうねと思っていると、どっからかサイレンが鳴り響いた。
なにごとかと思っていると、今度は空が騒がしくなった。
私は空を見上げてみると、そこには暗くてよく見えないが、なにかが空を飛んでいた。それも幾つもだ。
「飛行機?」
すると、少年の声が背後から「馬鹿! あれは戦闘機だろ」と怒鳴られてしまった。
振り返ると、そいつは下駄を履いており、制服を着ていた。
「あの……」
誰かも知らない顔が私の夢の中に現れた。
「なにしてる! 早く避難しろ」
「え?」
「聞こえないのか? 空襲だ」
その言葉でハッとする。あれが飛行機でなく戦闘機だというのが今理解した。あの人がわざわざそう教えてくれたにも関わらず、私はそれを素直に信じることが出来なかった。
その時既に、私はこれが現実でなく夢であることを忘れていた。
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