赤いリボンに包まれた七不思議

アズ

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 私が質問したことに女子高生達はあっさりと抵抗なく素直に答えた。その情報の重要性をよく知らずに。いや、自分の命を天秤にかければ、情報の重要性は彼女達には関係なかったかもしれない。
 探偵をやっていると、情報がいかに大事かが分かる。情報には価値がつけられ、それは値段にすることができる。よく小説なんかで出てきそうな情報屋から裏の情報を買うとか。しかし、そんなことをせずとも一般人はお金で実は情報の売り買いをしている。例えば、本がそれだ。本の中にある情報を金で買っている。今では電子書籍があるように電子で情報の売り買いができるようになった。他にも例えを探せば色々と出てくるだろう。
「あの……それで引き受けてくれますか?」
「ああ、いいよ。情報を貰った以上は君達に協力しよう」
 私はそう言うと、自分の携帯から探偵事務所に所属する金髪に連絡をいれた。
「これでよし。あ、この写真は此方で預からせてもらうけど構わないね?」
「あ、はい。大丈夫です」
「それと、キューピットの話しだけれど私が知っている範囲で説明しよう。そもそも何故東京や大阪や京都といった有名どこになくて、こんな町に七つもおかしな場所があるのか。いや、実際ホラースポットも普通ではないが、それとは明らかに違うのがこの七不思議だ。君達が知っているように、私も七不思議を体験した身だ。人は長いこと生きているとその人生の間に奇妙な体験をするという。本当かどうかは知らないが、私達はその奇妙な体験をした仲間というわけだ。ただ、違うのは私の体験した七不思議がキューピットではなかったことだ。キューピットは君が言った通り愛の神だ。スマホで調べたらそんなことは直ぐに出る。問題は、その情報が本当かどうか。しかし、七不思議と噂されるぐらいなのだから、やはりあの場所には特別ななにかがあるのだろう。でなければ、あの噴水は駅近くの待ち合わせ場所の単なる象徴で終わっていた筈だ。わざわざおかしな話しをくっつける必要もない。なのに、噂になっているということは、必ず始まりがある筈なんだよ。そう噂になった原因がね。でも、それはどうでもいい情報だ。だって、それを知ったところで、その情報だけでは君は助からないからだ。助かるには、助かる方法という情報を得なければならない。君はその方法を見つけている。単純な話しだ。君が考えたように、不幸をそのもう一つの七不思議に吸収してもらえばいい。方法は分からないが、多分近づけばいい」
「近づいて大丈夫なんですか? 怖くて近づけなかったんです」
「それは保証できないね。もう少しだけ時間をくれれば、私の部下がこの写真に写っている子について調べてくれる筈だ。おそらく、家の範囲は絞られるだろうから、あとは見た目学生であることを考慮し、通学時間帯にその女の子を見つければ、学校が分かり、下校を尾行すれば住所も特定できる。あとは、うちの持っているネットワークを活用するだけだ。ただ、七不思議については私もこの町に来てから調べはしたが、キューピットを神とすると、あれは霊だ。神相手に霊が勝てるのかどうか」
 いざ、言葉にしてみると結果は見えてくる気がするが。いや、言葉にしなくても大抵は同じ答えを持つんじゃないのか。それこそ、帳尻合わせやテレパシーなんてしなくてもな。
「しかし、やってみるしかないだろう。とりあえず方法はそれぐらいしかないのだから」
 それに興味がある。霊より神が上だという常識的、当たり前みたいな決めつけが、ちゃぶ台返しされるかもしれない。だとしたら、面白いじゃないか。
 おっと、これは本気で悩む彼女には不謹慎であったかな。



◇◆◇◆◇



 そして、時は未来へ。
 金髪の青年の働きは優秀と褒めて良かった。しかし、それぐらいでボーナスは上げたりしないが。
 部下が持ってきた情報はメールによって私の携帯へ送られてきた。中身を見ると冒頭は名前、それから個人情報が流れている。だが、それはどうでも良かった。肝心な情報を知りたいのだ。
 簡潔にそこだけ抜き取り語ると、佳代子と呼ばれる中学生は真夜中に家の玄関から出てくると、墓地へと向ってそこでぶつぶつとなにか独り言を喋っているのだとか。医者がそれを聞いたらどう反応するのだろうか。精神的な病かと思われそうだが、金髪曰く、あれは眠ったままだったそうだ。
 つまり、夢遊病というやつか。
 問題は、何故毎度あの墓地へ行くのか。それは不気味で取り憑かれているようだが、実際彼女は呪われている。それは確信をもっていい。この状況だけでもそれを物語っている。
 さて、そうなると夢遊病の佳代子に此方から話しかけても、反応してくれるかどうか。かと言って起きている佳代子に話しかけても夢遊病なら本人に自覚はないだろう。そんな彼女にキューピットから女子高生を救ってくれと話しをしても変質者扱いされそうだ。
 どうしたものか。
 その答えは案外早くに見つかった。
 為せば成る。試しに、真夜中の佳代子とキューピットに狙われている女子高生をぶつけてみるか。
 なんとも無責任な大人なんだろう、私って。
 二人の身のことなんて全く考えてない。霊というエネルギーと神というエネルギーが二人のいる場所でぶつかればどうなるかなんて……全く心配にならない。何故なら、私が被害ならないのだからそれは私の問題ではないのだ。
 それに、無責任な大人は私だけではなかろう。
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