赤いリボンに包まれた七不思議

アズ

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「随分急にやって来るんだな」
「連絡しようと思ったんだけどさ、いきなりやって来た方がサプライズ感があっていいじゃん?」
「お前は幾つだ」
「そう言わずにさ、今どうしてるか兄なりに気になって様子を見に来たんだよ。もう少し兄貴を慕ってもいいんじゃないのか?」
「いつまでも兄を慕う妹でいるつもりはないな」
「そりゃ残念だ。せっかく情報に飢えた好奇心旺盛の妹にこの町を紹介してやったって言うのに」
「ああ、兄のおかげで普通から脱しているよ。この町は本当に面白い。だが、気に食わん。お前がこんな面白い話しを何故私にわざわざ提供したのか。こんな面白いことがあるなら、お前が一人で堪能たんのうすればよかっただろう。どういう心変わりだ?」
「随分、一人しかいない兄に対して疑いをかけるもんだな。俺は傷つくぜ」
「嘘つけ。とっとと本音を言ったらどうだ」
「本音ね……まぁ、いいさ。それじゃ遠慮なく言おう。七不思議全てにある女性に関わってもらう」
「まさか、それは佳代子じゃないよな」
「ピンポンピンポンピンポーン! 正解」
「理解できないな。目的はなんだ」
「知ってるくせに。いや、直接見てもいたな」
「まさか、キューピット同様にあの佳代子の中にいる地縛霊に食わせるって言うのか」
「妹はさ、まだまだだよな。その好奇心旺盛もそれじゃいつまでたってもこの俺には勝てないな」
「お前の好奇心旺盛はいつも度が過ぎる。忘れたのか? お前はそれで捕まったことがあっただろ。いつまでも兄は変わらないんだな」
「なに? 怒ってるの? 僕のせいで君の人生を、いや、家族を滅茶苦茶にしたことを」
「元々うちは家庭崩壊していただろ」
「言っとくけどさ、女子高生は結果的に救ったかもしれないけどさ、キューピットを地縛霊に食わせたのは君だからね。僕がそう誘導したわけでもないから」
「本当にそう言いきるつもりか? お前が女子高生にこの事務所を紹介したくせに」
「嫌だなぁ。兄として妹を紹介しただけさ。それに、困っていた彼女を救おうとしたんだよ」
「白々しい。そんなことを言いに来たのか?」
「やれやれ……さっきも言っただろ? 俺は兄として妹がうまくやっているか見ただけだって」
「私には、自分が考えた通りに妹が動いているかわざわざ見に来たように見えるが」
「全く、俺ってそんなに信用されないもんかねぇ」
「私を利用してなに言ってるんだクソ兄貴」
「今のは聞かなかったことにしてあげる。だけどさ、偽善ぶるのはよせよ妹。お前も一線を越えないだけでやってることはお互い似てるんだからさ」
「似てるだけで同じじゃないだろ」
「言うねぇ。まぁ、いい。妹の元気な姿を見たところだし、俺はもう行くことにするよ。だけどさ、妹よ。お前は俺の企みに気づいても手をひかないあたり、やっぱりお前は同類だよ。それじゃあな」
 兄はそう言って、事務所を出た。
 本当にそれだけだったようだ。



◇◆◇◆◇



 急ではあるが私の名は米倉だ。私のクラスの生徒が一名行方不明になった。
 書き置きもなく、突然行方不明になった。
 それが発覚したのは昨日の夜だ。娘が帰ってこないという警察の通報で、捜索が行われたが結果見つからなかった。まだ、冬でなかったからよかったものの。翌日になっても見つからなかったらいよいよ彼女の身が心配される。
 誘拐という可能性は低く(理由は誘拐犯からの連絡がなかった為)となると、彼女の家出という可能性になるが、正直担任をやっている側からしてその子が家出をするような前兆らしきものはなかった気がした。普通に登校し授業も受けていた。なんなら、体育祭の練習を見ていても、皆と仲良くしていたし、虐めを受けている様子もなかった。両親も、自分の子供がよく友達付き合いある子だと知っていたので、その可能性も低く感じているようだが、となると誰かの家に泊まっているとか? しかし、それも否定できると思う。そんな親に知らせないで誰かの家に泊まるような雰囲気の子でなかったからだ。可能性を消去法で消していくと、ますますこの状況が謎だった。
 いったい、及川はどこへ消えたというのか。
 まるで、神隠しだ。
 いや、神隠しという言い方はよくない。この町にある七不思議の噂の影響か、思いがけないことを思ってしまった。
 だが、実際クラスではその七不思議の話題でもちきりだった。
 理由を一番親しかった子に訊くと、なんでも及川は七不思議の一つ、公衆電話で誰かと電話しようとしていたらしいという話しだ。
 電話に及川が吸い込まれたとでも言うのか。
 まさかな。俺はそんなオカルト話しを信じたりはしない。子どもだから信じられるのだ。
 しかし、もしそうだったら…… 。
「え? もし、そうだったらですか? そうですね……そんな噂は聞いたことないから分からないですけど、電話はあの世と繋がるって言うから、あの世とか?」
 縁起が悪かった。聞かなきゃよかった。
「あ、そう言えば噂では」
 また噂か。信憑性ほぼゼロ。
「駅前の噴水の七不思議で女子高生がキューピットに狙われて、探偵事務所に助けをお願いしたらその子は本当に助かったみたいですよ」
「なんだ、その探偵事務所は」
「それなら分かりますよ」
 別に場所を聞いたつもりはなかったのだが、そうとは気づかずに場所を教えてくれた。
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