赤いリボンに包まれた七不思議

アズ

文字の大きさ
21 / 39

20

しおりを挟む
 私の中学校では体育祭前日は文化祭と決まっており、この学校の文化祭では各クラスが曲を選びステージの上で歌を歌うというもの。その他に吹奏楽部の演奏や、その日だけの軽音、ダンスなどが行われる。因みに歌は最後に順位が決められ、審査は音楽の先生と校長先生と数名の選ばれた先生によって審査されることらしい。まぁ、そこのところは私が前いた学校とたいして変わらないと思う。
 その歌の練習は音楽の授業以外に、放課後でも練習が行われ、部活のある生徒はその後になる。
 因みに、体育祭の各学年競技の練習は朝行われることとなり、皆早く登校しなければならなかった。
 その体育祭では最近、運動会でもそうだけど組体操が見られなくなり、安全性を求め変化していた。学校によっては騎馬戦なんかもやらないところもあるだとか。その辺りは詳しくないけど。
 前に、競技に順位をつけるのはどうかという議論もあった。最初聞いた時は「はい?」となったけど、この学校ではちゃんと各競技に順位がある。
 前までは体育祭は各学年で順位を争われたが、今年からは紅白でA組とB組が紅組でC組とD組が白組で競うことになったらしい。どうも、今年この学校に配属された先生が熱血系で、その辺りを変えていったらしい。
 今年からいきなり紅白になったことに三年生の中には不満を持つ子もいたが、それはあまり大きな声にはならなかった。不満を持つ子より、その熱血先生に従う子が大半だったからだ。
 確かに、熱血先生の授業には気合いの入り方が他の先生より違って、それが生徒の中では好印象に持たれているようだ。しかし、中には熱血嫌いもいるわけで、その子達からしてみれば不人気だろう。
 私はどちらかと言えば普通。
 ただ、紅白であろうとなかろうと私達にとっては中学校最後の体育祭、文化祭となるわけで、最後の思い出作りに皆気合いは入っていた。
 三年生のクラス対抗競技は体育祭の目玉とも言えよう。その競技は背渡り。端から端までを生徒の背中の上をタスキを持った生徒が渡っていく競技。
 上を走る生徒を二人決めて、スタートから端まで行くと、もう一人の子がそこで待っているからその子にタスキを渡し、二人目が先程スタートした場所へと背中を渡って戻る。つまり、スタートとゴールは同じ場所になる。
 勿論、上へは軽い子として一番背の低い子がクラスの中から2名選ばれた。
 私は身長が一番低いわけではないから当然、上は走らない。私はリレーを頑張ればいい。
 あと、ここでのルールとして、体育祭は全員参加、三年生クラス対抗戦とは別に必ず一つは競技に出ることが決められていた。
 運動が苦手な子にとっては体育祭は苦手だろうけど、これも思い出の為と思えばいいだろう。救いは、例え足を引っ張ることになろうと、誰かが責めるような子がクラスにはいなさそうであるということだ。
 まさに、平和だ。



◇◆◇◆◇



 急ではあるが、私の名は米倉だ。三年の担任だ。教師歴十年以上。男だ。そんな私がこれは遭遇したくないものがある。
 その一、学級崩壊。これはトップにくるだろう。今のところ、それに出あったことはないが、ずっとそうであって欲しい。
 そのニ、モンスターペアレント。これは二番目だ。たまに、それに近い親はいるがテレビドラマ程過激なものは今のところない。だが、出会いたくはない。
 その三、虐め問題。これは意外とある。ニュースにならないものなら全国にどこにでもあるだろう。特に中学生になると知性を身につけた虐めが起きるようになる。最近では、スマホを使った虐めがあったりするが、どうやって教師がそれに気づけと言うのか。無理無理無理。そんなの、スマホを与えた親の監督責任ではないのか。第一、学校の教師はそれだけが仕事ではない。授業の準備や自分が持つ科目の研究、時間外のつかない部活動。それ以外にも行事とか、進路相談とか。中にはその四で進路相談で志望校を聞いても、親と全く相談してこない生徒がいること。どうするつもりだ? どうしたいんだ? もうそれだけでも頭が痛くなる。それでいて見合った給料と言えるのか? 休みは部活動でしかも労働時間としてお給料が発生するわけでもない。
 それでも学校の教師になったのは、教師に憧れてたからだ。
 だから、文句はあるが、大きな問題さえとにかく起こらなければもうそれ以外の小さなことには目を瞑ることにした。
 そんな教師生活に突然おかしな奴が学校に現れた。佳代子とかいう女子である。
 最初は普通の学生が来たなと思っていたら、いきなり夜中に出歩いている噂が出るわ、転校してきて僅かで警察の厄介になるし、かと思えば入院するわ、退院したらしたで今度はテスト全教科満点とか。なんなんだ、あんな子初めてだぞ。ああ、嫌だ嫌だ。それに運動神経も一気にあがって。まるで、異世界に行ってチート手に入れて戻ってきた今どきの女子中学生とでも言うのか。まぁ、流石にないだろうが。そもそも、その子のクラス担任ではないし。隣のクラスだし。
 だが、理科の授業で隣のクラスもやるんだよなぁ。だから、無関係とは言えないし、俺のテストを満点とった。
 ああ、嫌だ嫌だ。不正を疑ってもよかったんでは? と今更思う。勿論、受験生もあって頑張ったかもしれない。いくら不正でも全教科満点はあり得ない。だが、普通に受けていきなり全教科満点もあり得ない。
 わけが分からない。ああ、嫌だ嫌だ。



◇◆◇◆◇



 その頃、学校の敷地からだいぶ離れた探偵事務所では社長が動きに出ようとしていた。
 金髪の部下に働かせておいて自分は動かないというわけにはいかない。いや、給料払っているのだから別にいいんだろうが。
 しかし、効率的にここはもう一つの七不思議について自分が調べておいた方がいいだろう。
 となると、柿の木の七不思議だろう。あの木には色んな噂があるが、七不思議として自分の中で信憑性があるのが、その木を見るとたまに歪んで見えるというもの。
 あの木には猿に共通した噂が出てくるのだが、どの猿にももう一つの共通としてかなりうぬぼれであるということ。そう聞くと、まるでなんだか七つの大罪のようだ。女子高生のあれは金欲。もしくは、恋を叶えるから、色欲。しかし、大罪の色欲のイメージと違うので、やはり金欲がピンとくる。それで、次はうぬぼれか。
 これは偶然だろうか。
 まぁ、いい。いずれ分かることだ。
 支度を済ませ外出をしようとした今、タイミングが悪く来客が現れた。
 ドアが開き、その人物は入ってくる。
「久しぶり」
 そう言ったのは客ではなかった。私の兄だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...