20 / 39
19
しおりを挟む
和也は自転車に跨り市役所へと向かった。その道中、色々と考える時間ができた。
例えば、妖精とはなにか。和也の中にあるイメージは、羽のついたファンタジー世界に登場する妖精だろうか。
妖精にも色んなものがいる。悪戯をする妖精、人間寄りの妖精、悪い妖精。では、七不思議の妖精の場合はどうだろうか。悪い妖精であるなら、悪い噂が出てもいい筈だ。だが、そんな話しは聞かない。せいぜい、妖精が死者のふりをしているんじゃないかという疑いぐらいで。それを騙していることが悪とするなら悪い妖精になるんだろうけど、そこまで人間に対して悪さをしているって感じはしない。俺的には悪い妖精ではない。
そもそも何故妖精なのか。誰かその姿を見たというなら分かるが、そんな話しはない。では、電話の相手がそう名乗ったのか。それも噂にはない。ただ、妖精という言葉だけが出ていて、そのきっかけが見えてこない。もしかすると、誰かのいい加減な発言が噂になってしまったのか。
とにかく情報が不足している。その為の調査であるんだけど、知ったところであの社長はどうしようというのか。なんなら、事務所を出る前に聞いておけばよかった。
いつも、肝心なことを聞き忘れてしまう。そして、社長はそんな俺を見て注意する。それでも探偵事務所の社員かと。
拾ってもらった身として努力はしているし、なんとかやってはいるが、探偵経験の浅い俺としてはまだまだ不十分なところがあるのは事実だった。
ともあれ、命令された以上はそれなりの収穫は得ないと。
そうなると、現物をまず見ないことには始まらない。
で、市役所前に到着した俺はその現物を見た。その感想なんだが、見た目からしてかなり古く使い込まれた感じだった。これがいつから設置されているのか気になる程にだ。七不思議らしい雰囲気はあるが、問題はどうやってあの世と繋がるのか。
ネットで一様検索したものの、この町の七不思議程度ではネットでは学校七不思議や他の七不思議が出てしまい、正直欲しい情報が見当たらなかった。
ただ、情報はネット以外でも得る方法がある。近くにスナックがある。その店には若い女性が働いており、その人達からなら情報を得ることができるかもしれない。となると、営業時間になるまで待たなければならない。
時間潰しに俺は一旦家に戻ることにした。
◇◆◇◆◇
そして、営業時間になり、俺は店を訪ねた。
まだ、開店したばかりなのか、客は他にまだ着ていなかった。
「あら、珍しい顔が来たよ」
そう喜んでくれたのはこの店の店主だ。名前は平田さんで、髪が長くスタイルもよかった。店主との関係はたまに遊びに此方が行く程度だけど。
「こんな早くに来てくれたの?」
とりあえずカウンターの席についた。
「なに飲む?」
「いつもの」
「あいよ」
「ああ、ママ。市役所の前にある公衆電話あるじゃん? あれの七不思議について調べてんだ」
「なに、仕事?」
「うちの社長がそれにハマってね。俺をこき使ってるの」
ママは早速店員の若いのに話しを振った。
「ねぇ、知ってる? 七不思議について?」
一人は「知ってますよ。七不思議ですよね? 公衆電話の話しですか? ええ、知ってますよ」と言ったので、どうやったらそのあの世の人と会話できるのか聞いたら、その子は「念じるんです。強く思わないと駄目みたいですけど、そうすると電話が鳴るみたいです。そしたらその受話器を取ってあとは会話するだけです」と答えた。
なるほど、念じるねぇ。
「それじゃ、なにか特別なことはいらないんだね」
「まぁ、いらないと思ったけど」
「分かった、ありがとう」
すると、ママは心配そうに俺の手を取った。
「あんまりそういうのに関わらない方がいいと思うよ」
それは長年の勘というものだろうか。ママの勘はよく当たるし、実際ママに相談をする者はママの忠告を守るようにしていた。そして、その忠告は既に当たっている。早くに聞きたかったことではあるが、だからといって引き下がらないのがうちの社長でもあった。
例えば、妖精とはなにか。和也の中にあるイメージは、羽のついたファンタジー世界に登場する妖精だろうか。
妖精にも色んなものがいる。悪戯をする妖精、人間寄りの妖精、悪い妖精。では、七不思議の妖精の場合はどうだろうか。悪い妖精であるなら、悪い噂が出てもいい筈だ。だが、そんな話しは聞かない。せいぜい、妖精が死者のふりをしているんじゃないかという疑いぐらいで。それを騙していることが悪とするなら悪い妖精になるんだろうけど、そこまで人間に対して悪さをしているって感じはしない。俺的には悪い妖精ではない。
そもそも何故妖精なのか。誰かその姿を見たというなら分かるが、そんな話しはない。では、電話の相手がそう名乗ったのか。それも噂にはない。ただ、妖精という言葉だけが出ていて、そのきっかけが見えてこない。もしかすると、誰かのいい加減な発言が噂になってしまったのか。
とにかく情報が不足している。その為の調査であるんだけど、知ったところであの社長はどうしようというのか。なんなら、事務所を出る前に聞いておけばよかった。
いつも、肝心なことを聞き忘れてしまう。そして、社長はそんな俺を見て注意する。それでも探偵事務所の社員かと。
拾ってもらった身として努力はしているし、なんとかやってはいるが、探偵経験の浅い俺としてはまだまだ不十分なところがあるのは事実だった。
ともあれ、命令された以上はそれなりの収穫は得ないと。
そうなると、現物をまず見ないことには始まらない。
で、市役所前に到着した俺はその現物を見た。その感想なんだが、見た目からしてかなり古く使い込まれた感じだった。これがいつから設置されているのか気になる程にだ。七不思議らしい雰囲気はあるが、問題はどうやってあの世と繋がるのか。
ネットで一様検索したものの、この町の七不思議程度ではネットでは学校七不思議や他の七不思議が出てしまい、正直欲しい情報が見当たらなかった。
ただ、情報はネット以外でも得る方法がある。近くにスナックがある。その店には若い女性が働いており、その人達からなら情報を得ることができるかもしれない。となると、営業時間になるまで待たなければならない。
時間潰しに俺は一旦家に戻ることにした。
◇◆◇◆◇
そして、営業時間になり、俺は店を訪ねた。
まだ、開店したばかりなのか、客は他にまだ着ていなかった。
「あら、珍しい顔が来たよ」
そう喜んでくれたのはこの店の店主だ。名前は平田さんで、髪が長くスタイルもよかった。店主との関係はたまに遊びに此方が行く程度だけど。
「こんな早くに来てくれたの?」
とりあえずカウンターの席についた。
「なに飲む?」
「いつもの」
「あいよ」
「ああ、ママ。市役所の前にある公衆電話あるじゃん? あれの七不思議について調べてんだ」
「なに、仕事?」
「うちの社長がそれにハマってね。俺をこき使ってるの」
ママは早速店員の若いのに話しを振った。
「ねぇ、知ってる? 七不思議について?」
一人は「知ってますよ。七不思議ですよね? 公衆電話の話しですか? ええ、知ってますよ」と言ったので、どうやったらそのあの世の人と会話できるのか聞いたら、その子は「念じるんです。強く思わないと駄目みたいですけど、そうすると電話が鳴るみたいです。そしたらその受話器を取ってあとは会話するだけです」と答えた。
なるほど、念じるねぇ。
「それじゃ、なにか特別なことはいらないんだね」
「まぁ、いらないと思ったけど」
「分かった、ありがとう」
すると、ママは心配そうに俺の手を取った。
「あんまりそういうのに関わらない方がいいと思うよ」
それは長年の勘というものだろうか。ママの勘はよく当たるし、実際ママに相談をする者はママの忠告を守るようにしていた。そして、その忠告は既に当たっている。早くに聞きたかったことではあるが、だからといって引き下がらないのがうちの社長でもあった。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる