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2学期が始まった。どうやらこの学校では2学期の前半に体育祭があるらしい。前の学校では1学期にあったのだけど。因みにこの学校での競技は前いた学校とあまり変わらなかった。
体育祭の練習という時間が増えたが、もう私にとっては問題ない。なんなら、その間にある小テストでも余裕。そうだ、この際に2学期中にあらゆる検定を受けまくって一級を制覇でもしようかな。
ああ、なんて楽しいんだろう。学校がワクワクしてまたらないよ。
これがチートを手にしてしまった時の感想なのか。なんなら、本当に東大を目指してしまうか。
しかし、そんなことを考えてしまうと、本当は自分は元の自分に戻りたいとは最早今は思っていないんじゃないかと。もし、元に戻れば当然このチートも消えるわけで、そうなれば私の夢みたいな現実も暗い現実に、いや、リアルに戻されてしまうのか。
本当のところ自分はどうしたいと思っているのだろう。
◇◆◇◆◇
「社長も凝りませんね。あれで流石に肝を冷やしたと思ったんですが」
「いや、和也君の言う通り肝は冷えたさ。しかしね、こんなに面白い話しがあるんだ。それに、この町を拠点にした以上、また七不思議絡みの依頼が来てもおかしくはないだろ?」
「七不思議絡みでも普通探偵に依頼しますか? 七不思議事態信じてもらえないたぐいでしょ。探偵事務所に持ち込んでも、受けてもらえないと最初から相手は諦めるものじゃないですかね。それに、探偵に依頼するのには遠慮がある人もいるでしょう。法律事務所と違い探偵事務所はあまり世間一般的とは言えないんじゃないですか? それこそワケありがくるみたいな。ミステリーの中でこそ一般的ですが」
「現実は小説のようにはいかない。知ってるよ、それくらい。しかしね、君も仕事をしているんだから分かるだろ? これでも需要はあるんだ。小説のようにはならないだけで。それに、七不思議こそワケありだろ?」
「まぁ、そうですね」
「なら、先回りしても罰当たりにはならないだろう」
「なったでしょう。それで住職に怒られたんですよ。神も僕らのせいで殺してしまったようなもの。多分、僕らは天国へは行けませんよ」
「天国か地獄か……そんな死後のことを気にするタイプだったとはね。私は死後のことなんて気にしたこともないよ。この世は生きるか死ぬか。それで全てが完結している。ああ、そうだ。君には七不思議の一つを早速調査して欲しい」
「それは誰からの依頼ですか?」
「私だ」
「……」
「安心しろ。報酬はちゃんと出す」
もう何を言ってもこの人には無駄だと諦めた和也は「それで、どの七不思議ですか?」と聞いた。
「市役所前の公衆電話だ」
「あれですか」
公衆電話と聞くと今では数を減らし絶滅寸前で、本当に絶滅すると思っていたものだが、中々にしぶとくその存在は数を大幅に減らしても絶滅に至っていない。
昔の自分はまだテレフォンカードというものを持っており、小学生の頃は使ったものだ。そんな懐かしい思い出はさておき、七不思議の公衆電話というのは、公衆電話妖精と言われており、どういう方法でかは謎だが、あの世と繋がることができるという噂だ。怪談としては全く怖くなく、好きだった人、大切な人、失った後でも会話をしたいと強く願う人達にとってはまさに奇跡のようなもの。なんだか、それだけで一本の物語が出来てしまいそうだが、この七不思議には他にも色々な噂がある。それが妖精だ。そもそも、死後の人と会話できるものなのかという謎だが、実は妖精が声を真似てなりきって演じているだけではないかという話だ。何故、そんな噂まで出ているのかは知らないが。多分、それも含めての調査ということになるんだろう。
地縛霊、神ときて今度は妖精ときた。全く、この町はなんでもいるんだな。都会のようになんでもはないが、なんでもいる。
この情報に飢えた、好奇心旺盛な社長にはこの町は退屈はさせないだろう。そもそも、社長は何故この町へやって来たんだ?
「あの、今更なんですが聞いてもいいですか? 社長はこの町に事務所を構えたわけですが、社長はこの町の出身でも住人だったわけでもないんですよね。でしたら、何故この町に来たんです?」
「今更だし、聞いてもいいか聞いておきながら質問を始めるものじゃあない。しかし、まぁそれぐらいは大目に見よう。実は、例の女子高生、瑞希がこの探偵事務所を紹介した人物、あれは私の兄なんだ」
「え!?」
「そして、私にこの町を紹介したのも兄だ」
「ええっ!?」
「兄にまんまと操られている気分だが、その気分は最悪とまではいかない」
「いかないんですね」
「ああ、なにせ面白いものを見せてもらったからな。こんなこと、普通に暮らして会社と家を行き来している人生だけでは見ることが出来ない体験だ」
「確かにそうですが、それはいくらなんでもスリルを求め過ぎでは? それではいくら命があっても足りませんよ。実際、死にかけたわけですから」
「もう、あんなヘマはしないさ。あれは久しぶりのヘマなんだ。私でもそれぐらいはあるさ。それぐらいのリスクぐらい覚悟の上だ」
その覚悟に社員を巻き込むのはやめてもらいたいのだが。
「とにかく、よろしく頼むよ」
社長の命令だ。断る権利は社長に救ってもらった俺にはない。
ただ、返事するだけだ。
「分かりました」
体育祭の練習という時間が増えたが、もう私にとっては問題ない。なんなら、その間にある小テストでも余裕。そうだ、この際に2学期中にあらゆる検定を受けまくって一級を制覇でもしようかな。
ああ、なんて楽しいんだろう。学校がワクワクしてまたらないよ。
これがチートを手にしてしまった時の感想なのか。なんなら、本当に東大を目指してしまうか。
しかし、そんなことを考えてしまうと、本当は自分は元の自分に戻りたいとは最早今は思っていないんじゃないかと。もし、元に戻れば当然このチートも消えるわけで、そうなれば私の夢みたいな現実も暗い現実に、いや、リアルに戻されてしまうのか。
本当のところ自分はどうしたいと思っているのだろう。
◇◆◇◆◇
「社長も凝りませんね。あれで流石に肝を冷やしたと思ったんですが」
「いや、和也君の言う通り肝は冷えたさ。しかしね、こんなに面白い話しがあるんだ。それに、この町を拠点にした以上、また七不思議絡みの依頼が来てもおかしくはないだろ?」
「七不思議絡みでも普通探偵に依頼しますか? 七不思議事態信じてもらえないたぐいでしょ。探偵事務所に持ち込んでも、受けてもらえないと最初から相手は諦めるものじゃないですかね。それに、探偵に依頼するのには遠慮がある人もいるでしょう。法律事務所と違い探偵事務所はあまり世間一般的とは言えないんじゃないですか? それこそワケありがくるみたいな。ミステリーの中でこそ一般的ですが」
「現実は小説のようにはいかない。知ってるよ、それくらい。しかしね、君も仕事をしているんだから分かるだろ? これでも需要はあるんだ。小説のようにはならないだけで。それに、七不思議こそワケありだろ?」
「まぁ、そうですね」
「なら、先回りしても罰当たりにはならないだろう」
「なったでしょう。それで住職に怒られたんですよ。神も僕らのせいで殺してしまったようなもの。多分、僕らは天国へは行けませんよ」
「天国か地獄か……そんな死後のことを気にするタイプだったとはね。私は死後のことなんて気にしたこともないよ。この世は生きるか死ぬか。それで全てが完結している。ああ、そうだ。君には七不思議の一つを早速調査して欲しい」
「それは誰からの依頼ですか?」
「私だ」
「……」
「安心しろ。報酬はちゃんと出す」
もう何を言ってもこの人には無駄だと諦めた和也は「それで、どの七不思議ですか?」と聞いた。
「市役所前の公衆電話だ」
「あれですか」
公衆電話と聞くと今では数を減らし絶滅寸前で、本当に絶滅すると思っていたものだが、中々にしぶとくその存在は数を大幅に減らしても絶滅に至っていない。
昔の自分はまだテレフォンカードというものを持っており、小学生の頃は使ったものだ。そんな懐かしい思い出はさておき、七不思議の公衆電話というのは、公衆電話妖精と言われており、どういう方法でかは謎だが、あの世と繋がることができるという噂だ。怪談としては全く怖くなく、好きだった人、大切な人、失った後でも会話をしたいと強く願う人達にとってはまさに奇跡のようなもの。なんだか、それだけで一本の物語が出来てしまいそうだが、この七不思議には他にも色々な噂がある。それが妖精だ。そもそも、死後の人と会話できるものなのかという謎だが、実は妖精が声を真似てなりきって演じているだけではないかという話だ。何故、そんな噂まで出ているのかは知らないが。多分、それも含めての調査ということになるんだろう。
地縛霊、神ときて今度は妖精ときた。全く、この町はなんでもいるんだな。都会のようになんでもはないが、なんでもいる。
この情報に飢えた、好奇心旺盛な社長にはこの町は退屈はさせないだろう。そもそも、社長は何故この町へやって来たんだ?
「あの、今更なんですが聞いてもいいですか? 社長はこの町に事務所を構えたわけですが、社長はこの町の出身でも住人だったわけでもないんですよね。でしたら、何故この町に来たんです?」
「今更だし、聞いてもいいか聞いておきながら質問を始めるものじゃあない。しかし、まぁそれぐらいは大目に見よう。実は、例の女子高生、瑞希がこの探偵事務所を紹介した人物、あれは私の兄なんだ」
「え!?」
「そして、私にこの町を紹介したのも兄だ」
「ええっ!?」
「兄にまんまと操られている気分だが、その気分は最悪とまではいかない」
「いかないんですね」
「ああ、なにせ面白いものを見せてもらったからな。こんなこと、普通に暮らして会社と家を行き来している人生だけでは見ることが出来ない体験だ」
「確かにそうですが、それはいくらなんでもスリルを求め過ぎでは? それではいくら命があっても足りませんよ。実際、死にかけたわけですから」
「もう、あんなヘマはしないさ。あれは久しぶりのヘマなんだ。私でもそれぐらいはあるさ。それぐらいのリスクぐらい覚悟の上だ」
その覚悟に社員を巻き込むのはやめてもらいたいのだが。
「とにかく、よろしく頼むよ」
社長の命令だ。断る権利は社長に救ってもらった俺にはない。
ただ、返事するだけだ。
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