赤いリボンに包まれた七不思議

アズ

文字の大きさ
36 / 39

35

しおりを挟む
 現実に戻った佳代子は駅近くの大通りの歩道にいた。
 周囲は佳代子が現実に戻ってきても気づいていない様子だった。皆、スマホ画面を集中して見ていたからだ。
 佳代子はその場所から歩きだした。まずは、家に戻らないと。
 そこに、制服警官の人が佳代子の進行方向からやって来て、佳代子に気づいた。
「あ、ちょっとすいません」
 警官は男だ。トゲもなくあくまでも優しそうに近づいてくる。
「お名前聞かせてもらってもよろしいですか? 学生証なんかもあったら見せて欲しいんだけど」
「私、急いでるんで」
「あ、なにに急いでいるのかな?」
「すいません」
 私はそう言ってその場から走った。警官も走って追いかけてきた。
 多分、警察は私を探していたんだ。
 私が探偵事務所から出てきたところを目撃でもされていたのかも。
 これでは家には帰れない。
 私の足は普通の女子中学生とは違う。
 徐々に警官から距離を離していく。
 警官はそれに驚いた。
「なんて速さ」
 仕方なく、追いかけるのをやめ無線を使った。
 佳代子はその間、大通りを避けるように細い道へと入っていった。
 いくら足が速いとはいえ、警察相手で本気で逃げられるとは思わない。でも、どうしたら…… 。
 すると、自分のスマホが鳴り出した。画面には母とあった。
「もしもし」
「あ! もしもし。佳代子、あなたいったいどこにいるの」
「私は大丈夫」
「本当なの? 家に警察が来てあなたを探していたわよ」
 やはり、警察は家に来ていたのか。
 しかし、あまりにも早い動きのようだが。
 そう言えば、五十嵐さんは前に知り合いの刑事がいたとか。まさか、その人なのか?
「私はなにもしてない」
「本当なのね。なら、今場所を教えて。私、迎えに行くから」
「いや、待って! お母さんを警察が尾行するかも」
「警察には行けないの?」
「私、殺人事件の現場に居合わせちゃって」
「え!? なにがあったの」
 電話の向こうではパニックになっている母の声が響いた。
 でも、とてもうまく説明できる自信がなかった。
「お母さんはどうしたらいいの」
 私ですら困惑している。とりあえず、勝俣修に言われた通り、彼が愛していたという佳代子さんを探したいのだが、その手段もない。
「とりあえず弁護士に連絡してもいい?」
 弁護士と聞くと頼りにできる安心感がわくが、そうではない。
 そもそもだ、私が逃げ出したのも殺人事件が起きて、まだ和也が銃を持っていたこと。その銃をまだ私に向けなかったから、チャンスだと思い逃げ出した。普通、殺人犯と同じ場所にいつまでも一緒にいようとは思わない。パニックって、とにかく逃げ出すだろう。そう、現場から離れたのにも説明はできる。なら、やはり警察に話しをするべきだろう。
 すると突然、私の腕が掴まれた。
 見ると、私服警官だ。
「見つけたぞ」
「痛い、離して!」
 すると、その私服警官は素直に従って手を離した。
「え?」
 私は警官を見た。直立不動で、まるで次の命令を待っているかのように待機していた。
 もしかして、私の言うことに今従った?
 まさか、私の中の地縛霊が七不思議の一つを取り込んだからか?
 だとしたら、今度の能力は洗脳か。
 なら、なんとかなるかもしれない。
 警察の人なら。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...