赤いリボンに包まれた七不思議

アズ

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 新たに手に入れた能力によって警察や役所が私に協力的になってくれたおかげで、勝俣家の家系を知ることができた。
 その頃には既に学校では2学期が終わろうとしていた。
 とりあえず、私は学校へは通った。真面目に。私の将来がかかった話しだからだ。その間にも、色々な出来事があった。
 まず、五十嵐の兄を殺害した金髪の和也という男は警察に殺人の容疑で逮捕され、取り調べを受けている。そして、入れ違うように五十嵐は検察へと送られていた。
 多分、五十嵐より和也の方が刑期は長くなるだろう。
 七不思議は残るは2つとなった。それ以外の、地縛霊、神、妖精、柿の木、妖怪は私の中にある。ただ、残り2つは分かっていない。一つは悪魔と五十嵐兄は言っていたが。



◇◆◇◆◇



 送検された私は兄が死んだと聞かされてもショックは正直あまりなかった。家族としてどうなんだと言われたとしても、兄のことは嫌いだったのだから仕方がない。むしろ、ショックで心配になったのは和也の方だった。まさか、兄を殺した犯人の心配をすることになるなんてな…… 。
 担当検事の前に座らされた私はもう自分の罪を受け入れる覚悟をしていた。いや、あの銃を用意する段階からしていた。
 私の担当検事は若い男だった。私をジロッと見てから岩部検事は言った。
「五十嵐、お前に聞く。七不思議についてだ」
「!?」
 七不思議については警察の取り調べでは私の口からはいっさい出していない。もし、知っていたとしてもそれは小田刑事だけの筈だ。もし、小田刑事が他の人間に話しをしていたのなら別だが、小田刑事がオカルト話しを他にする筈がない。むしろ、警察としてはそのオカルトじみた話しを調査しなければならないハメになる。裁判でもそのおかしな話しを真面目にすることになる。私が黙っている以上、小田刑事から語られることはないだろうし、そもそも小田刑事は私の兄の事件を担当していて、私の方の捜査は加わってはいない筈だ。
 勿論、警察内での情報共有の可能性は否定できないが。
「誰からの話しだ」
「とある情報提供者からとしか言えんな」
 五十嵐は考えた。
 佳代子が喋ったのか。そう思った。勿論、こいつがそれを教えてくれるわけではない。
「悪魔と聞いてなにか心当たりはあるか?」
 悪魔だと!?
 五十嵐は思わず笑みがこぼれた。
「そうか。それが知りたかったのか。なら、伝えてくれ。悪魔とは、場所のことじゃない。物だ。それは十字架のペンダントだ。兄が最後まで持っていた筈だから遺留品にあるかもな」
「結構。では、お前はもう帰っていいぞ」
「どういう意味だ?」
「お前は不起訴になった」



◇◆◇◆◇



 検察庁支部から出てきた五十嵐はふと、見られている感じがした。
「これでも、隠れているつもりかねぇ。まぁ、いい。おかげで自由になれた」
 五十嵐はそういうと、タクシーをつかまえ、どこかへと向かった。
 木の影に隠れていたフードを深く被っていた佳代子は五十嵐が行ってしまうのをただ見届けていた。
 その後、佳代子が再び五十嵐を見かけることはなかった。



◇◆◇◆◇



 五十嵐はタクシーに乗ったその足でそのまま町を出た。
 町を出ることに心残りがないわけではないが、もうこの町に留まる理由がなくなった。というより、早く出たかった。
 あの探偵事務所はもうたたむことにした。荷物はそのままだが、警察が捜査で踏み込んでいたりして、しかも兄が殺された場所で、和也が犯人になってしまった場所に戻りたいとは思わなかった。荷物は問題ない。業者に頼んで中のものは処分してもらえばいい。
 私が自由になれたのは佳代子がまた取り込んで新たに手に入れた力のおかげだろう。だが、いくら佳代子でも和也を自由にすべきかは抵抗がある筈だ。なにせ、殺人を犯したのだから、能力で自由にしてあげようとは思わないだろう。かと言って、私がお願いするのも間違っている。
 私は望もうとは思わない。
 ただ、私がしてやれることは優秀な弁護士をあいつにつけてやることぐらいだ。
 さて、今頃佳代子は私の伝言を聞いた筈だ。そして、警察からペンダントを受け取るだろう。
 私の伝言に嘘はない。
 元々は古い教会が七不思議の場所であったのだが、それは既に取り壊されている。今は教会ではない別の建物にかわっている。
 ペンダントはその教会にあった物で、あとの教会にあった物は残っておらず、唯一教会との関連する品となった。
 だから、例え佳代子がそれを手にしたところで、アレに能力があるわけじゃない……と思って七不思議を回るに後回しにしてきたが、どうも教会にあった七不思議の力はそのペンダントに移ったらしい。
 佳代子がそれを手にすれば、それも取り込むだろう。
 これで、六つを彼女は取り込んだことになる。
 佳代子のことは申し訳ないと思っている。約束を結局果たすことが出来なかった。だが、もう彼女は私なしでもやっていけるだろう。
 こんな無責任な大人ですまなかった。
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