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「これです」
警官から佳代子は例のペンダントを受け取った。
受け取って直ぐに分かった。このペンダントから流れてくる負の感情が、私の心に届いてくる。
十字架に救いを求め集まった教会は、戦争が激化していくにつれ、教会としての本来のあり方を維持することが困難になっていった。
教会は戦争中政府の言いなりになっていた。当然、反発もなかったわけではない。しかし、従わなければ拷問を受ける可能性があった。従わざるおえなかった。
悔いだ。
そうして生き延びてきた。
しかし、罪だ。
救われなかった宗教にこのペンダントは熱をおびて伝えてくる。
だが、その熱は徐々に冷めていき、徐々に取り込んでいった。
気づけば、私は涙を流していた。
六つの心は非常に重くのしかかる。
心に重さなんてあるのか。考えもしなかったことだ。
だが、確かに心に重さがあった。感じるのだ。
私は涙を拭った。
警官はまだ用があるようで立っていた。
「もう一つ、探していた佳代子さんのお墓を見つけました」
ビクン!
私の中にいた勝俣修が反応したのが分かった。
「そこに案内してちょうだい」
「分かりました」
◇◆◇◆◇
警官が案内した場所はなんとこの町の墓地だった。勝俣の墓地とは違うが、これなら距離もそこまで離れているとはいえそうになかった。
その佳代子さんの墓の前には一人の女性が立っていた。
女性がお辞儀をしたので、私も一礼した。
「佳代子は私の祖母になります」
女性はそう言って話しを始めた。
「祖母の話しは母から聞きました。祖母は戦後この町を出たようですが、母曰く祖母はまたこの町にまた戻ってきたいと言っていたようです。でも、それも叶わず、せめてお墓はこの町にしようと母が思ったようなんです。この町で本当なら祖母は夫の修さんと一緒になる筈でした。しかし、その二人を戦争が引き離したんです」
「夫の修さんのお墓はご存知なかったのですか?」
「母は知らなかったんです。墓があったのは後で知ったんです。修さんは戦争中にお亡くなりになりましたから……でも、祖母は町を出る前にお墓を用意していたんですね。お寺の人に私は戻ってはこれないからとお墓の掃除をお願いしていたみたいです。でも、考えてみたらそうですよね。愛していた夫のお墓ぐらいたてますよね?」
「あの、線香をあげてもいいですか?」
「ああ、はい。でも、どうしてですか? あなたと祖母はどんな関係なんですか」
「私も実は佳代子といいます」
「え!? 偶然?」
「そうですね、偶然です」
「あはは、私変なこと言いましたよね。すいません」
「いえ。 ……実は、私の方こそおかしな話しになるんですが」
私はそう言って、勝俣修の霊に出会い、佳代子さんを探していることを正直に話した。
「本当に!?」
「まぁ、そうなりますよね」
「いえ、信じていないわけじゃありません。ただ、驚いて……」
その後、私は佳代子さんの墓の前で線香をあげ、お祈りをした。
すると、私の体がみるみるうちに体が軽くなっていく感覚になった。
ああ、修さんが私から離れていくのが分かる。
墓石の周りをぐるぐると赤い線が囲み、やがて消えていった。
すると、天から修さんの声が私にだけ届いた。
「ありがとう。あなたのおかげで私は救われました。亡くなった場所ではないのに、私の魂はずっとこの町に取り憑いていました。自力ではどうすることも出来なかったでしょう。本当になんと申し上げたらよいのか……あなたに取り憑いた他のも一緒に連れてまいりたいと思います。短い間だったけれど、お世話になりました」
私は心の中でゆっくり休んで下さいと祈った。
警官から佳代子は例のペンダントを受け取った。
受け取って直ぐに分かった。このペンダントから流れてくる負の感情が、私の心に届いてくる。
十字架に救いを求め集まった教会は、戦争が激化していくにつれ、教会としての本来のあり方を維持することが困難になっていった。
教会は戦争中政府の言いなりになっていた。当然、反発もなかったわけではない。しかし、従わなければ拷問を受ける可能性があった。従わざるおえなかった。
悔いだ。
そうして生き延びてきた。
しかし、罪だ。
救われなかった宗教にこのペンダントは熱をおびて伝えてくる。
だが、その熱は徐々に冷めていき、徐々に取り込んでいった。
気づけば、私は涙を流していた。
六つの心は非常に重くのしかかる。
心に重さなんてあるのか。考えもしなかったことだ。
だが、確かに心に重さがあった。感じるのだ。
私は涙を拭った。
警官はまだ用があるようで立っていた。
「もう一つ、探していた佳代子さんのお墓を見つけました」
ビクン!
私の中にいた勝俣修が反応したのが分かった。
「そこに案内してちょうだい」
「分かりました」
◇◆◇◆◇
警官が案内した場所はなんとこの町の墓地だった。勝俣の墓地とは違うが、これなら距離もそこまで離れているとはいえそうになかった。
その佳代子さんの墓の前には一人の女性が立っていた。
女性がお辞儀をしたので、私も一礼した。
「佳代子は私の祖母になります」
女性はそう言って話しを始めた。
「祖母の話しは母から聞きました。祖母は戦後この町を出たようですが、母曰く祖母はまたこの町にまた戻ってきたいと言っていたようです。でも、それも叶わず、せめてお墓はこの町にしようと母が思ったようなんです。この町で本当なら祖母は夫の修さんと一緒になる筈でした。しかし、その二人を戦争が引き離したんです」
「夫の修さんのお墓はご存知なかったのですか?」
「母は知らなかったんです。墓があったのは後で知ったんです。修さんは戦争中にお亡くなりになりましたから……でも、祖母は町を出る前にお墓を用意していたんですね。お寺の人に私は戻ってはこれないからとお墓の掃除をお願いしていたみたいです。でも、考えてみたらそうですよね。愛していた夫のお墓ぐらいたてますよね?」
「あの、線香をあげてもいいですか?」
「ああ、はい。でも、どうしてですか? あなたと祖母はどんな関係なんですか」
「私も実は佳代子といいます」
「え!? 偶然?」
「そうですね、偶然です」
「あはは、私変なこと言いましたよね。すいません」
「いえ。 ……実は、私の方こそおかしな話しになるんですが」
私はそう言って、勝俣修の霊に出会い、佳代子さんを探していることを正直に話した。
「本当に!?」
「まぁ、そうなりますよね」
「いえ、信じていないわけじゃありません。ただ、驚いて……」
その後、私は佳代子さんの墓の前で線香をあげ、お祈りをした。
すると、私の体がみるみるうちに体が軽くなっていく感覚になった。
ああ、修さんが私から離れていくのが分かる。
墓石の周りをぐるぐると赤い線が囲み、やがて消えていった。
すると、天から修さんの声が私にだけ届いた。
「ありがとう。あなたのおかげで私は救われました。亡くなった場所ではないのに、私の魂はずっとこの町に取り憑いていました。自力ではどうすることも出来なかったでしょう。本当になんと申し上げたらよいのか……あなたに取り憑いた他のも一緒に連れてまいりたいと思います。短い間だったけれど、お世話になりました」
私は心の中でゆっくり休んで下さいと祈った。
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