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その後5
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俺たちのやり取りに気がついた警官が近づいて来た。
「何かありましたか?」
「…!」
「いえ、背後から彼女に向かって突然手が伸びて来たので、止めただけです。」
警官にそのままを答える。男の手は宙に浮いたままで、のろのろと何かを掴むような手をし、俺の言葉を肯定している。俺たちとは目を合わせず、でもせわしなく視線を動かし、見るからに挙動不審。奴が彼女を見ようと体をずらす。すかさず俺が彼女を隠す。警官が鋭い目つきで俺たちと男を見比べる。翠に向かって尋ねる。
「……知り合いですか?」
「…いいえ」
翠が背中から顔を出し男を見、きっぱりと答える。モブの一人を見るのと同じ、親しみも憎しみもない、ただ不審者を見る目だった。あまりに何の感慨もないので、こいつはあいつじゃなかったっけ? と、別人かと思ってしまった。
同時に警官の目線が翠に移った瞬間、男がパッと逃げ出した。人垣がギョッとして後ずさり、逃走を許した。
「あ」
「…何もされませんでしたから、大丈夫です。」
お騒がせしました、と軽く頭を下げてその場を後にした。
改札には向かわず、タクシーに乗り、帰宅した。後部座席に乗り込む時も、自宅に着いても翠は手を握ったままだった。
「大丈夫、俺がそばにいる。」
握ったまま離さない手を引き寄せ、そっと抱きしめる。微かに震えている。
あっけらかんと、ストーカーにならないように別れるのが面倒だったと話した彼女。でも実際それに近い状態になりかけているのを知ってしまい、怖かったのだろう。
5年も彼女を忘れることができずにいた俺、下手したら俺もああなり得た。彼女からしたら俺も同じなんじゃないか? みぞおちのあたりから力が抜け、背中が冷えていくのを感じ、翠を強く抱きしめた。
いや、俺は自分の行動範囲外にまで彼女を追いかけたりはしてない。あ、あのバーは後を追った。クリニック前で呼び止めた。いや俺は、違う。待ち伏せしてたわけでも、張り込んでたわけでもない。
彼女が好意を持ってくれたからこそ許された。不安にかられ翠の顔を覗き込む。いつもなら、こうして胸に抱いているうちにトロンとリラックスした表情になるのに今日はまだ固い。
「翠、一人にはしない。」
「…うん」
ゆっくり髪を撫でる。髪に額に頬にそっとキスをする。しばらくそうしてようやく少し固さが取れ、表情が柔らかくなる。
彼女をベッドに運ぶ。ゴロンと二人横になり手をつないだまま薄暗い天井を眺める。いつのまにか日も暮れ、部屋も冷え暗くなる。寒さで体を硬くしてるのかと今更気づいて慌てて暖房を入れ、翠を抱きしめる。しばらくして、震えは止まりとろんと体を寛げる。
「翠、抱いていい?」
「うん。……いつも聞かないのに、どうして?」
彼女の方に体を向け、頭の向こうに肘をつきキスをする。
「不安になった。」
「不安?」
「店の常連と、たまに店に顔を出すだけのマネージャー。直接言葉を交わす店員ですらない接点のない俺が5年も翠のこと思い続けて、下手したら、奴と変わらない。」
「そうかな?」
「5年も前から知ってたって言われて、怖いと思わなかったのか?」
「気がつかれないように付きまとってたなら怖いけど、そうじゃないでしょ?」
「まさか! でもそれと同じようなもんだと言われたら…」
「全然違います!」
思ったより強い語気で否定される。小さな華奢な手が頬に添えられる。
「そこに居る目的が違います。竜一さんは、仕事であの店、あの街にいたんでしょう? 」
「ああ。」
「私の姿を探すために店に来て、声を掛けることなく5年も通い詰めていたなら怖いです。」
「流石にそれはないな。」
「だから、竜一さんは怖いと思わない、気味悪いと思わない。」
翠が繋いでいた手を口元に引き寄せ、そっとキスをした。柔らかな唇の感触に心臓が跳ね上がる。
手を退かし、唇を唇で塞ぐ。甘い唇をはみ舌先で弄ぶ、リラックスして顎が緩んだ隙に潜り込み舌を絡ませる。ベッドに縫い付けるように体を押し付け、キスを深める。
「…ん、」
翠が鼻から甘えた声を漏らす。下半身の一部が張り詰めていく。翠が脚をモジモジさせているのに気がつき、スカートをまくりタイツとショーツを一気に引き下げた。前を寛げぎちぎちに張り詰めたものを出し先端をあてがう。
「あ……」
すでに十分蜜が溢れているそこに潜り込む。服を脱ぐのもまどろっこしく性急に突っ込んだ。翠の言葉を塞ぐ。
こんな慌ただしくても彼女はちゃんと受け入れてくれた。視線を絡め、そっと吐息を漏らした。
「翠…」
「ん…」
「好きだよ」
「…私も、竜一さん好きよ。」
きゅんっと翠のナカが締め付けて来た。一気に寸前まで来てしまい、彼女の敏感なところをピンポイントで撫でる、指と切っ尖で攻め立てる。
ビクンっと腰がはね、ナカがうごめき感じているのを確かめ一気に登りつめ、果てた。
服を汚さないよう肌を拭う。終わってから、今更ながら服を脱ぐ。
翠は俺にキスしてバスルームに行ってしまった。
「何やってんだ、俺…」
まるで嫉妬か八つ当たりか、不安の隙間を埋めるかのように翠を抱いた。独りよがりなセックスをされ、埋まらない溝がますます広がったと話した彼女の言葉を思い出した。
あんな前戯もおざなりで、乱暴にしたかったわけじゃない。ただ、早く翠に触れたかった、繋がりたかった。彼女も今日はそう望んでくれていたはず。
ギクリと胸が軋む。どんな表情をしていた? ああ、ちゃんと覚えてる。受け入れてくれたと分かって、体もそう反応してた。体の力を抜き、俺の背に腕を回し抱きしめてくれた。だから俺もますます夢中になったんだ。
性急で短すぎるセックスは、お互いじっくり確かめ合い感じ合う時間が短くて、だから終わってから不安になるんだ。初めて知った。
「…はぁ…」
俺もバスルームに向かう。
「翠、入るよ?」
扉を開けると、ちょうど洗った髪の水気を絞ろうと、両腕を上げた色っぽいポーズだった。翠がきょとん、とした顔で振り向く。
「もう入って来てるじゃないですか。」
「うん。だから拒否権なし、ノックもしなかった。」
バタタっと髪から水を落とし、クルクルッと手早く髪をまとめ、ヘアクリップで留める。露わになったうなじにキスを落とし、抱き寄せた。俺より少しだけ平熱の低い彼女にまだ火照っている俺の体温が移っていく。耳にキスをする。軽く肩を竦めるので、抱きしめる腕に少し力を入れた。翠が腕に手を添える。
「竜一さん? 今日はスキンシップ過多ですね。」
「ダメか?」
「いいえ。でもこう言う時って、竜一さん何か溜め込んでる時」
「奴と会ったから。不安。翠の気持ちは信じてる、それに不安はない。でも、翠の意思を無視して奴に翠が奪われたり、嫌な目にあったり怖い目にあったりしないか、それが不安。」
「大丈夫です。大人なんですから、思い通りでない、嫌な目、怖い目には多少なりともあって来てます。自分で対処できます。できないような目に遭わないよう避けて逃げて、竜一さんや然るべきところに頼ります。」
「うん…」
翠がクルッと回って俺に向き合い、俺の頭を引き寄せるとチュッと音を立ててキスをした。ニコッと笑う。
「竜一さん、体洗いましょう?」
「あ、うん」
「頭のてっぺんから、つま先までゴシゴシ洗ってピカピカにすればスッキリしますよ?」
「…そんな簡単なもん?」
「体洗うタオル、人と共用するのダメな人ですか?」
「…いや、翠なら平気。それおろしたてって知ってるし。」
「シルク100%で、お気に入りです。気に入ったら竜一さんのも買って来ますね。」
みるみるうちに、翠に体を洗われ頭皮マッサージに、垢すりをされた。
翠がうまいのかコツがあるのか、そんなに強くこすられている気はしないのにポロポロと垢が落ちていき、恥ずかしくなった。翠が楽しそうにぷるんぷるん胸を揺らしながら俺に触れて、いつもなら発情しそうなところ、あまりにごっそり垢が落ちるから恥ずかしくてそれどころじゃなかった。
文字通り全身洗われ、最後にシャワーで洗い流された。翠は満足気にドヤ顔してる。
確かにスッキリした。風呂上がり、翠のボディローションを全身に塗り込まれた。どこのアイドルだかモデルだというくらいスベスベになった。翠が楽しそうに、竜一さんスベスベと言いながら抱きついてすりすりして可愛いので、これはこれで良しとした。
「何かありましたか?」
「…!」
「いえ、背後から彼女に向かって突然手が伸びて来たので、止めただけです。」
警官にそのままを答える。男の手は宙に浮いたままで、のろのろと何かを掴むような手をし、俺の言葉を肯定している。俺たちとは目を合わせず、でもせわしなく視線を動かし、見るからに挙動不審。奴が彼女を見ようと体をずらす。すかさず俺が彼女を隠す。警官が鋭い目つきで俺たちと男を見比べる。翠に向かって尋ねる。
「……知り合いですか?」
「…いいえ」
翠が背中から顔を出し男を見、きっぱりと答える。モブの一人を見るのと同じ、親しみも憎しみもない、ただ不審者を見る目だった。あまりに何の感慨もないので、こいつはあいつじゃなかったっけ? と、別人かと思ってしまった。
同時に警官の目線が翠に移った瞬間、男がパッと逃げ出した。人垣がギョッとして後ずさり、逃走を許した。
「あ」
「…何もされませんでしたから、大丈夫です。」
お騒がせしました、と軽く頭を下げてその場を後にした。
改札には向かわず、タクシーに乗り、帰宅した。後部座席に乗り込む時も、自宅に着いても翠は手を握ったままだった。
「大丈夫、俺がそばにいる。」
握ったまま離さない手を引き寄せ、そっと抱きしめる。微かに震えている。
あっけらかんと、ストーカーにならないように別れるのが面倒だったと話した彼女。でも実際それに近い状態になりかけているのを知ってしまい、怖かったのだろう。
5年も彼女を忘れることができずにいた俺、下手したら俺もああなり得た。彼女からしたら俺も同じなんじゃないか? みぞおちのあたりから力が抜け、背中が冷えていくのを感じ、翠を強く抱きしめた。
いや、俺は自分の行動範囲外にまで彼女を追いかけたりはしてない。あ、あのバーは後を追った。クリニック前で呼び止めた。いや俺は、違う。待ち伏せしてたわけでも、張り込んでたわけでもない。
彼女が好意を持ってくれたからこそ許された。不安にかられ翠の顔を覗き込む。いつもなら、こうして胸に抱いているうちにトロンとリラックスした表情になるのに今日はまだ固い。
「翠、一人にはしない。」
「…うん」
ゆっくり髪を撫でる。髪に額に頬にそっとキスをする。しばらくそうしてようやく少し固さが取れ、表情が柔らかくなる。
彼女をベッドに運ぶ。ゴロンと二人横になり手をつないだまま薄暗い天井を眺める。いつのまにか日も暮れ、部屋も冷え暗くなる。寒さで体を硬くしてるのかと今更気づいて慌てて暖房を入れ、翠を抱きしめる。しばらくして、震えは止まりとろんと体を寛げる。
「翠、抱いていい?」
「うん。……いつも聞かないのに、どうして?」
彼女の方に体を向け、頭の向こうに肘をつきキスをする。
「不安になった。」
「不安?」
「店の常連と、たまに店に顔を出すだけのマネージャー。直接言葉を交わす店員ですらない接点のない俺が5年も翠のこと思い続けて、下手したら、奴と変わらない。」
「そうかな?」
「5年も前から知ってたって言われて、怖いと思わなかったのか?」
「気がつかれないように付きまとってたなら怖いけど、そうじゃないでしょ?」
「まさか! でもそれと同じようなもんだと言われたら…」
「全然違います!」
思ったより強い語気で否定される。小さな華奢な手が頬に添えられる。
「そこに居る目的が違います。竜一さんは、仕事であの店、あの街にいたんでしょう? 」
「ああ。」
「私の姿を探すために店に来て、声を掛けることなく5年も通い詰めていたなら怖いです。」
「流石にそれはないな。」
「だから、竜一さんは怖いと思わない、気味悪いと思わない。」
翠が繋いでいた手を口元に引き寄せ、そっとキスをした。柔らかな唇の感触に心臓が跳ね上がる。
手を退かし、唇を唇で塞ぐ。甘い唇をはみ舌先で弄ぶ、リラックスして顎が緩んだ隙に潜り込み舌を絡ませる。ベッドに縫い付けるように体を押し付け、キスを深める。
「…ん、」
翠が鼻から甘えた声を漏らす。下半身の一部が張り詰めていく。翠が脚をモジモジさせているのに気がつき、スカートをまくりタイツとショーツを一気に引き下げた。前を寛げぎちぎちに張り詰めたものを出し先端をあてがう。
「あ……」
すでに十分蜜が溢れているそこに潜り込む。服を脱ぐのもまどろっこしく性急に突っ込んだ。翠の言葉を塞ぐ。
こんな慌ただしくても彼女はちゃんと受け入れてくれた。視線を絡め、そっと吐息を漏らした。
「翠…」
「ん…」
「好きだよ」
「…私も、竜一さん好きよ。」
きゅんっと翠のナカが締め付けて来た。一気に寸前まで来てしまい、彼女の敏感なところをピンポイントで撫でる、指と切っ尖で攻め立てる。
ビクンっと腰がはね、ナカがうごめき感じているのを確かめ一気に登りつめ、果てた。
服を汚さないよう肌を拭う。終わってから、今更ながら服を脱ぐ。
翠は俺にキスしてバスルームに行ってしまった。
「何やってんだ、俺…」
まるで嫉妬か八つ当たりか、不安の隙間を埋めるかのように翠を抱いた。独りよがりなセックスをされ、埋まらない溝がますます広がったと話した彼女の言葉を思い出した。
あんな前戯もおざなりで、乱暴にしたかったわけじゃない。ただ、早く翠に触れたかった、繋がりたかった。彼女も今日はそう望んでくれていたはず。
ギクリと胸が軋む。どんな表情をしていた? ああ、ちゃんと覚えてる。受け入れてくれたと分かって、体もそう反応してた。体の力を抜き、俺の背に腕を回し抱きしめてくれた。だから俺もますます夢中になったんだ。
性急で短すぎるセックスは、お互いじっくり確かめ合い感じ合う時間が短くて、だから終わってから不安になるんだ。初めて知った。
「…はぁ…」
俺もバスルームに向かう。
「翠、入るよ?」
扉を開けると、ちょうど洗った髪の水気を絞ろうと、両腕を上げた色っぽいポーズだった。翠がきょとん、とした顔で振り向く。
「もう入って来てるじゃないですか。」
「うん。だから拒否権なし、ノックもしなかった。」
バタタっと髪から水を落とし、クルクルッと手早く髪をまとめ、ヘアクリップで留める。露わになったうなじにキスを落とし、抱き寄せた。俺より少しだけ平熱の低い彼女にまだ火照っている俺の体温が移っていく。耳にキスをする。軽く肩を竦めるので、抱きしめる腕に少し力を入れた。翠が腕に手を添える。
「竜一さん? 今日はスキンシップ過多ですね。」
「ダメか?」
「いいえ。でもこう言う時って、竜一さん何か溜め込んでる時」
「奴と会ったから。不安。翠の気持ちは信じてる、それに不安はない。でも、翠の意思を無視して奴に翠が奪われたり、嫌な目にあったり怖い目にあったりしないか、それが不安。」
「大丈夫です。大人なんですから、思い通りでない、嫌な目、怖い目には多少なりともあって来てます。自分で対処できます。できないような目に遭わないよう避けて逃げて、竜一さんや然るべきところに頼ります。」
「うん…」
翠がクルッと回って俺に向き合い、俺の頭を引き寄せるとチュッと音を立ててキスをした。ニコッと笑う。
「竜一さん、体洗いましょう?」
「あ、うん」
「頭のてっぺんから、つま先までゴシゴシ洗ってピカピカにすればスッキリしますよ?」
「…そんな簡単なもん?」
「体洗うタオル、人と共用するのダメな人ですか?」
「…いや、翠なら平気。それおろしたてって知ってるし。」
「シルク100%で、お気に入りです。気に入ったら竜一さんのも買って来ますね。」
みるみるうちに、翠に体を洗われ頭皮マッサージに、垢すりをされた。
翠がうまいのかコツがあるのか、そんなに強くこすられている気はしないのにポロポロと垢が落ちていき、恥ずかしくなった。翠が楽しそうにぷるんぷるん胸を揺らしながら俺に触れて、いつもなら発情しそうなところ、あまりにごっそり垢が落ちるから恥ずかしくてそれどころじゃなかった。
文字通り全身洗われ、最後にシャワーで洗い流された。翠は満足気にドヤ顔してる。
確かにスッキリした。風呂上がり、翠のボディローションを全身に塗り込まれた。どこのアイドルだかモデルだというくらいスベスベになった。翠が楽しそうに、竜一さんスベスベと言いながら抱きついてすりすりして可愛いので、これはこれで良しとした。
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