49 / 84
三章 首無し騎士と幻想無し
健ヤカナル刻モ。病メル刻モ。
しおりを挟む
イオンの一撃により出来た隙を突き、俺達は逃げ出した。
負傷したイオンの身体を丁重に運びつつも、俺は廊下を全力で走り抜ける。その振動でイオンは苦しそうに呻き声を上げるが、今はとにかくデュラハンから離れ少しでも安全な場所を探す必要があった。
「そこの部屋に入るぞ!」
途中にある頑丈そうな扉の部屋を見つけると勢いそのままに飛び込み、転びかけながらも態勢を保ち止まる。
止まった時にイオンの身体が大きく揺れたのだがそれに対する反応は無く、ただ垂れてくる血が未だにイオンの負傷の度合いを物語っている。
「今助けるから、もう少しがんばってくれよ……」
俺はイオンが零した言葉が今ひとつ信じきれない。[不死者]という三文字は今の状況からすると喜んで良い点なのか悪い点なのか判断が付けられなかったのだ。
良い点だと思えるのは、もし本当に不死者なのだとしたら致命傷を負っているイオンはまだ助かる見込みがあるという事。そして、悪い点は……
「は、ハジメさん! 早すぎです! 階段降りるのも廊下走るのも。私、追いかけるのが……や、やっとです!」
遅れて部屋に入ってきた神官が不死者の事をどう思うかだ。
いくら不死者を疎んでいる教会に属するとはいえ、この状況でイオンが不死者だからと即座に消滅させる事はしないと思うが、もしなにかの気の迷いでエレットが良からぬ事を考えたとしたら俺はどうすれば良いのか考えてしまう。
イオンは勿論大切な仲間であるが、エレットも蔑ろにしてよい相手では無い。そもそもの話。俺によるこの夜間の単独行動は彼女が心配で行ったのだからこの期に及んで害となる行為はしたくない。
結論として俺は口をつぐみ、沈黙する事にした。
今は余計な事を考えずこの窮地を脱しなければならないのだ。
俺はイオンを床に下ろし状態を確認する。
大量出血、呼吸減弱、意識無し、手首に触れ脈を測ると限りなく弱い。身体中から汗を大量に噴き出しているのか血以外の液体で濡れている箇所ある。明らかなショック症状だ。
俺は上着を脱ぎイオンに被せる。血に塗れた迷彩服だがショックによる低体温を防ぐ為には仕方がない。
「これだけじゃヤバイ。エレット、何か使えそうな物を持ってきてくれ!」
「ハジメさん、私はどうすれば……?」
俺の言葉に困惑の表情で答え、手持ち無沙汰に剣を弄る。
そんな態度をエレットが取るのも致し方が無い。かつての俺のように、自分とは違う世界の言葉など通じる訳が無いのだ。
「クソッ、言葉が通じねぇか……ん? そうだっ!」
俺はハッとしてその事を解決する簡単な方法を思いつく。自分の胸元を探り、首元にぶら下がる蒼い宝石を無理矢理引き千切りエレットへ突き出す。
「こいつを持ってろ!」
「これ……は? ハジメさん、何ですか?」
困惑するエレットに半ば押し付けるような形で俺は幻想調査隊の必需品である藍色の宝石を渡す。戸惑いつつも受け取るエレットに俺は指を一本口に立て小声で話す。
「俺の言葉が分かったら頷いてくれ。いいな?」
「ツッ!?」
突然言葉が理解できた事に目を見開き、ひどく驚くエレット。咄嗟に俺が口を押さえていなければ声を上げていただろう。何度も首を縦に振るのを見て俺はひとまずの安心感を得る。
「エレット。色々と聞きたいことはあると思うけど……今は説明している時間が無い」
通じる言葉に動揺しつつも頷く様を見て、俺はそっと手を離す。そしてまだ戸惑いが残る瞳に向けさらなる指示を出す。
「イオンが危ないんだ。毛布でも焚き火に使える薪でもいい。とにかく身体を温められそうな物を探してきてくれ!」
「ア……アルル、ロイガハテ!」
返された言葉は既に俺にとっては理解不能の言語となったが、承知したとばかりに強い意志を持って立ち上がるのを見る限り俺の思いは通じたと思える。
エレットは部屋を見回し何も無いことを確認すると、剣を片手に恐る恐る廊下へ出ていきそのまま闇に消えていった。
後ろ姿を見送った俺はエレットを心配しつつも、自分がやらなければならない事を行う為にイオンへ向き直る。
「さて、初めての野戦救護だな。俺は医者じゃ無えから痛くても文句言うなよ?」
返事をしないイオンに言い訳をして、俺はチョッキに付けている救急品ポーチを開ける。中には消毒薬や包帯などが入っていて、俺はその中からビニールで封がされた包帯を取り出す。
「まずは服を脱がさないとな」
黒いコートは赤く湿り、今もなおその範囲を広げている。ここまでの負傷を包帯一つでどうにか出来るとは到底思えないが、何もやらないよりかはマシだと自分に言い聞かせる。
コートの留め具を外し左右に開くとインナーとして手触りの良いシルクのシャツを着ていた。もっとも今は血に染まり、半端に乾いた血は粘り気があって質感どころの話ではない。
次に俺は救急品ポーチの中から鋏を取り出し衣服を裂く。
「ウ、ウゥゥ……ステオペ……」
呻くような声を出したイオンだが、意識は未だに混濁《しているのか力が無い手で払いのけようとするだけだった。俺はそのままシャツを縦に切り裂く。
(あれ? なんか切ったな?)
俺が持っている鋏は分厚い布生地でも易々と切れる特注品なので、シルクのシャツはなんの抵抗感も無く切り裂けたのだが、傷口に近い胸の部分でシャツ以外の何かを切る感覚があり、俺は少しおかしいと思いながらも最後まで切り裂いた。
そして傷口を改めようとシャツに手をかけると、急にイオンが力を込め俺の手を握りしめる。
「……ヨォウ、ペロヴェロテ……ンオ……ンオ……」
息も絶え絶えな様子だが、俺の手を握る力は強い。
その手に俺は自分の手を重ね、そっと外す。するとまたもやイオンは俺の手を握り同じ事を繰り返した。何度やっても拒否の姿勢を崩さない事に俺は若干苛立ち始める。
「なんだよイオン? 何が嫌なんだよ!?」
「……ペロヴェロテ、ヨォウ、フゥ……シケ……」
俺の言葉にそれだけ答えるとイオンの手から力が抜ける。死んでしまったのかと思い俺は焦るが、上下する胸の動きにまだ息は続いてると分かり安堵の息を吐く。
「まずは胸の傷を塞がねえとな」
本来ならば綺麗な水で傷口を洗い流したい所だが、俺が持つ水筒は既に残り少ないうえに何度も口を付けているので清潔とは言えずまた洗い流せるような量でもない。仕方無しに俺はそのまま巻く事にしてイオンの身体を起こし座らせた状態にする。
血が止まってきたのか、それとも流せる血の量が少なくなって来たのか。先程までの勢いは無く血は皮膚を伝って垂れるだけだった。
「うっ……でも思った時より綺麗だな?」
胸の右側を貫いたデュラハンの剣は余程の切れ味と威力があったのだろう。刺突された部位は意外にも綺麗であり破壊されたと言うよりくり抜かれたと表現した方がいいかもしれない。
肋骨や胸の筋肉は抉り取る様に破壊されているが、幸いにも内臓は皮一枚で避けたのかの心臓や肺臓、背骨は傷がついてはいないようでありそれらしき痕跡も見つからない。
現代医療で無ければ対処出来無いレベルの損傷であれば諦めるしか無いが、これはまだギリギリの範囲である。これ以上悪化させなければまだ命の繋ぎようはある。俺はそのことに気休めとはいえ少しだけ安心した。
「ハジメ……ペロヴェロテ……ヨォウ……ペロヴェロテ……」
意識は既に無いというのに仮面の内側でブツブツと呟き続ける姿に若干気味悪く思いながらも、俺はイオンの身体に包帯を巻き付ける。背中側から腕を回し胸の前で一周巻いた所で何かに気付く。
「……はぁ?」
胸の前を通った際に俺の手は何かに触れた。それは小さいながらも確かに存在する膨らみだった。俺は背筋に冷たい物を感じつつさらにもう一周巻く。
「おいおいマジかよ?」
巻かれた包帯により少し潰れた膨らみは柔らかく、決して筋肉の硬さでは無かった。手に感じた感触を何度も反芻してから、イオンが黙り込んでいるのを確認して俺は恐る恐る仮面に手を伸ばす。本来ならそんな事はせずに治療を優先すべきなのだが、興味と好奇心が今の俺を支配していた。
紐で固定しているだけの仮面は、結び目に触れ少し弄ると意外と簡単に解く事が出来た。包帯を巻く手を一旦止め俺はゴクリと唾を飲み込み、両手でゆっくりとイオンの仮面を外す。
白い肌。青い髪色。以前に見た事がある金色の瞳は目を瞑っているせいで確認出来なかったが、まつ毛が綺麗である事は確認できた。口元は吐いた血の所為で赤黒くなっていたが、半開きになった小さな口から覗く綺麗な歯並びはとても綺麗で血に汚れてなければ真っ白な歯がそこにあっただろう。
右目の下にある涙ボクロが幼い見た目とは裏腹に色っぽさがある。初めて見たイオンの素顔はまさしく美というモノを体現していて、暗い室内にありながらもここだけ輝いているような錯覚すら覚えてしまう。
最後に。恐る恐る、まるで腫れ物を触るようにイオンの股間を軽く触る。そこには俺と同じモノは付いていなく、何も無かった。
「嘘だろ?」
俺は動揺する心を落ち着けるために大きく息を吐く。想定外の事実に頭を殴られたようなショックを受け、思わず額を手で押さえる。
「お前まさか、おん……」
「スィロ。シオムーエ、ハオムーエ」
「ワオッ!? ビックリさせんなよエレットォッ!」
後ろから声を掛けられ背筋が真っ直ぐに伸びるほど驚き、咄嗟にイオンの胸の前をシャツで隠し、仮面を押し付けるように装着させる。そして俺は首だけを後ろに向けてエレットを見る。
突然大声をあげた俺にエレットは驚いたのか目を丸くして困っているようで、胸の前に組んだ暖かそうな毛布をギュッと握り締める。
「ス、ス、スウロロヨォ……ムーロハジメ、スウロロヨォ……」
申し訳無さそうに頭を下げ、驚き過ぎたのか目にはうっすらと涙が浮かぶ。
「ごめんエレット。持ってきてくれてありがとうな」
俺は手早くイオンの身体に包帯を巻いて掛けていた上着をどかして毛布を被せる。傷口を塞いだ事により少しは楽になったのかイオンの呼吸が安定する。
「これで一安心。でも、早く治療しないといけねぇな」
エレットの魔法を大人しく受けてくれれば良いのだが、当のイオンは今もエレットが近付くと無意識に身体だけが起き、手で振り払おうとする。神官の魔法を拒む以上、今この場でイオンに出来る事はない。
残された希望は村にいるルチアが都合良くここに来てイオンを治療するか、イオンの言う不死者としての力に頼る他は無い。どちらにせよ俺にはどうする事も出来ないのだ。
~~ッ♪
「またラッパの音か……」
どこからとも無く聞こえてくる音色は依然としてデュラハンが俺達を殺す事を諦めていないという証拠だ。
助けを待つにせよ。イオンを安静にさせるにしても。あの首無し騎士をなんとかしなければならない。
「ムーロハジメ、テハイセ」
どうしたものかと悩む俺へエレットが瓶のような物を差し出す。受けとった俺はそれを見てみるが、ラベルに書いてある言葉は異世界の文字であり理解する事は出来なかった。だが、俺はその見た目の形でそれが何であるかを察することができた。
「酒か?」
「ヨェス。テハイセ、ワインエ」
そうだと言わんばかりに嬉しそうに頷くエレットへ俺は乾いた笑いを送る。
確かに俺は身体を温める物を探して来てほしいと言ったが、これはまた違う意味で温める物だ。
火酒として飲むのならば確かに良いが、傷を負ったイオンに飲ませてしまえばそれこそ烈火の如く血が吹き出てしまうだろう。
「はは、エレット。これは使えな……いや、待てよ?」
俺の頭の中に一つの手段が浮かぶ。頭の中で何度も反芻し、俺は口を開く。
「エレット? この酒はまだ沢山あったのか?」
暫し考えてからコクリと頷き、エレットは立ち上がり俺へ手招きをする。そのまま廊下を出て少し歩くとそこには大きな扉があり少しだけ開いていた。その中に入りエレットが光の球を出して照らすと部屋の様子が明らかとなった。
「これは食糧庫か?」
広い部屋の両側に棚が置かれそこには小麦の袋と思われる物や、近づくと異様な臭いを放つ干し肉の山が置かれていた。放置されて長い年月が経っているのだろう。全体的にカビ臭い。
そんな部屋の奥に積まれている木箱の中には大量の酒瓶が置かれていた。その中の一つを手に取り、注ぎ口を銃剣で叩き割って液体の匂いを直に嗅いでみる。
「ぐぉっ!? こ、これはヤバイ!」
度数の高いウオッカによく似たアルコールの刺激臭が鼻を突き刺し、思わず悶絶する。ゲホゲホと咳き込み、何度か嗚咽を漏らしつつも俺は目的のモノがある事に嬉しそうに笑った。
「ムーロハジメェ……」
その様を見ていたエレットが若干引き気味な視線を送ってくる事に気付いた俺は誤魔化すための咳払いを一つした。
「エレット。喜べ。あのデュラハンを倒す手段が見つかったぞ!」
「ロエアルルヨ!?」
信じられないとばかりに声を上げエレットは期待を込めた眼差しで俺を見つめる。
俺はその眼差しに少しドキドキと胸を弾ませながらもその続きを言う。
「その為には準備が必要だ。奴に見つかる前に済ませないといけないからさっさとやるぞ? いいな?」
「オケ!」
元気の良い短い返事を聞き、俺は満足気に頷く。そしてその作戦内容をエレットに伝える。
「じゃあ先ずはな。服を脱げ」
「……ワハテ?」
一瞬空気が静まり、食糧庫の中は酒の臭いと静寂に包まれる。
「ムーロハジメ。ワハテ?」
「エレット服を脱げ。俺も脱ぐからさ。ほら、早く!」
「……」
黙り込んでしまったエレットをおかしく思いながらも俺は急いで服を脱ぐ準備をする。ベルトを外し、手にズボンを引っ掛けた時にエレットが突如吼えた。
「ヨォウ、フゥッシケッ! ハジメ、ペロヴェロテッ!」
「ま、待てエレット! ヌッフゥ!?」
勢いそのままにエレットは剣の腹を思いっきり俺の頭に叩きつけると、自分の顔を両手で覆う。耳まで真っ赤に染め上げその場に蹲る。
「痛てて。頼むよエレット、早く服脱いでくれ!」
頭を押さえて急かす俺に、エレットは立ち上がり涙目で睨みつけてくる。
そこで俺はようやく自分が口にしている言葉がどれだけ変態的な事なのか気が付いた。
(やっちまったな……)
作戦の為とはいえ、いきなり脱げというのは流石に問題があった。その事を認識した俺はエレットに向け深々と頭を下げた。
涙目でそっぽを向くエレットが許してくれるまで俺はひたすらに謝り、何度も頭を下げる羽目になってしまった。
負傷したイオンの身体を丁重に運びつつも、俺は廊下を全力で走り抜ける。その振動でイオンは苦しそうに呻き声を上げるが、今はとにかくデュラハンから離れ少しでも安全な場所を探す必要があった。
「そこの部屋に入るぞ!」
途中にある頑丈そうな扉の部屋を見つけると勢いそのままに飛び込み、転びかけながらも態勢を保ち止まる。
止まった時にイオンの身体が大きく揺れたのだがそれに対する反応は無く、ただ垂れてくる血が未だにイオンの負傷の度合いを物語っている。
「今助けるから、もう少しがんばってくれよ……」
俺はイオンが零した言葉が今ひとつ信じきれない。[不死者]という三文字は今の状況からすると喜んで良い点なのか悪い点なのか判断が付けられなかったのだ。
良い点だと思えるのは、もし本当に不死者なのだとしたら致命傷を負っているイオンはまだ助かる見込みがあるという事。そして、悪い点は……
「は、ハジメさん! 早すぎです! 階段降りるのも廊下走るのも。私、追いかけるのが……や、やっとです!」
遅れて部屋に入ってきた神官が不死者の事をどう思うかだ。
いくら不死者を疎んでいる教会に属するとはいえ、この状況でイオンが不死者だからと即座に消滅させる事はしないと思うが、もしなにかの気の迷いでエレットが良からぬ事を考えたとしたら俺はどうすれば良いのか考えてしまう。
イオンは勿論大切な仲間であるが、エレットも蔑ろにしてよい相手では無い。そもそもの話。俺によるこの夜間の単独行動は彼女が心配で行ったのだからこの期に及んで害となる行為はしたくない。
結論として俺は口をつぐみ、沈黙する事にした。
今は余計な事を考えずこの窮地を脱しなければならないのだ。
俺はイオンを床に下ろし状態を確認する。
大量出血、呼吸減弱、意識無し、手首に触れ脈を測ると限りなく弱い。身体中から汗を大量に噴き出しているのか血以外の液体で濡れている箇所ある。明らかなショック症状だ。
俺は上着を脱ぎイオンに被せる。血に塗れた迷彩服だがショックによる低体温を防ぐ為には仕方がない。
「これだけじゃヤバイ。エレット、何か使えそうな物を持ってきてくれ!」
「ハジメさん、私はどうすれば……?」
俺の言葉に困惑の表情で答え、手持ち無沙汰に剣を弄る。
そんな態度をエレットが取るのも致し方が無い。かつての俺のように、自分とは違う世界の言葉など通じる訳が無いのだ。
「クソッ、言葉が通じねぇか……ん? そうだっ!」
俺はハッとしてその事を解決する簡単な方法を思いつく。自分の胸元を探り、首元にぶら下がる蒼い宝石を無理矢理引き千切りエレットへ突き出す。
「こいつを持ってろ!」
「これ……は? ハジメさん、何ですか?」
困惑するエレットに半ば押し付けるような形で俺は幻想調査隊の必需品である藍色の宝石を渡す。戸惑いつつも受け取るエレットに俺は指を一本口に立て小声で話す。
「俺の言葉が分かったら頷いてくれ。いいな?」
「ツッ!?」
突然言葉が理解できた事に目を見開き、ひどく驚くエレット。咄嗟に俺が口を押さえていなければ声を上げていただろう。何度も首を縦に振るのを見て俺はひとまずの安心感を得る。
「エレット。色々と聞きたいことはあると思うけど……今は説明している時間が無い」
通じる言葉に動揺しつつも頷く様を見て、俺はそっと手を離す。そしてまだ戸惑いが残る瞳に向けさらなる指示を出す。
「イオンが危ないんだ。毛布でも焚き火に使える薪でもいい。とにかく身体を温められそうな物を探してきてくれ!」
「ア……アルル、ロイガハテ!」
返された言葉は既に俺にとっては理解不能の言語となったが、承知したとばかりに強い意志を持って立ち上がるのを見る限り俺の思いは通じたと思える。
エレットは部屋を見回し何も無いことを確認すると、剣を片手に恐る恐る廊下へ出ていきそのまま闇に消えていった。
後ろ姿を見送った俺はエレットを心配しつつも、自分がやらなければならない事を行う為にイオンへ向き直る。
「さて、初めての野戦救護だな。俺は医者じゃ無えから痛くても文句言うなよ?」
返事をしないイオンに言い訳をして、俺はチョッキに付けている救急品ポーチを開ける。中には消毒薬や包帯などが入っていて、俺はその中からビニールで封がされた包帯を取り出す。
「まずは服を脱がさないとな」
黒いコートは赤く湿り、今もなおその範囲を広げている。ここまでの負傷を包帯一つでどうにか出来るとは到底思えないが、何もやらないよりかはマシだと自分に言い聞かせる。
コートの留め具を外し左右に開くとインナーとして手触りの良いシルクのシャツを着ていた。もっとも今は血に染まり、半端に乾いた血は粘り気があって質感どころの話ではない。
次に俺は救急品ポーチの中から鋏を取り出し衣服を裂く。
「ウ、ウゥゥ……ステオペ……」
呻くような声を出したイオンだが、意識は未だに混濁《しているのか力が無い手で払いのけようとするだけだった。俺はそのままシャツを縦に切り裂く。
(あれ? なんか切ったな?)
俺が持っている鋏は分厚い布生地でも易々と切れる特注品なので、シルクのシャツはなんの抵抗感も無く切り裂けたのだが、傷口に近い胸の部分でシャツ以外の何かを切る感覚があり、俺は少しおかしいと思いながらも最後まで切り裂いた。
そして傷口を改めようとシャツに手をかけると、急にイオンが力を込め俺の手を握りしめる。
「……ヨォウ、ペロヴェロテ……ンオ……ンオ……」
息も絶え絶えな様子だが、俺の手を握る力は強い。
その手に俺は自分の手を重ね、そっと外す。するとまたもやイオンは俺の手を握り同じ事を繰り返した。何度やっても拒否の姿勢を崩さない事に俺は若干苛立ち始める。
「なんだよイオン? 何が嫌なんだよ!?」
「……ペロヴェロテ、ヨォウ、フゥ……シケ……」
俺の言葉にそれだけ答えるとイオンの手から力が抜ける。死んでしまったのかと思い俺は焦るが、上下する胸の動きにまだ息は続いてると分かり安堵の息を吐く。
「まずは胸の傷を塞がねえとな」
本来ならば綺麗な水で傷口を洗い流したい所だが、俺が持つ水筒は既に残り少ないうえに何度も口を付けているので清潔とは言えずまた洗い流せるような量でもない。仕方無しに俺はそのまま巻く事にしてイオンの身体を起こし座らせた状態にする。
血が止まってきたのか、それとも流せる血の量が少なくなって来たのか。先程までの勢いは無く血は皮膚を伝って垂れるだけだった。
「うっ……でも思った時より綺麗だな?」
胸の右側を貫いたデュラハンの剣は余程の切れ味と威力があったのだろう。刺突された部位は意外にも綺麗であり破壊されたと言うよりくり抜かれたと表現した方がいいかもしれない。
肋骨や胸の筋肉は抉り取る様に破壊されているが、幸いにも内臓は皮一枚で避けたのかの心臓や肺臓、背骨は傷がついてはいないようでありそれらしき痕跡も見つからない。
現代医療で無ければ対処出来無いレベルの損傷であれば諦めるしか無いが、これはまだギリギリの範囲である。これ以上悪化させなければまだ命の繋ぎようはある。俺はそのことに気休めとはいえ少しだけ安心した。
「ハジメ……ペロヴェロテ……ヨォウ……ペロヴェロテ……」
意識は既に無いというのに仮面の内側でブツブツと呟き続ける姿に若干気味悪く思いながらも、俺はイオンの身体に包帯を巻き付ける。背中側から腕を回し胸の前で一周巻いた所で何かに気付く。
「……はぁ?」
胸の前を通った際に俺の手は何かに触れた。それは小さいながらも確かに存在する膨らみだった。俺は背筋に冷たい物を感じつつさらにもう一周巻く。
「おいおいマジかよ?」
巻かれた包帯により少し潰れた膨らみは柔らかく、決して筋肉の硬さでは無かった。手に感じた感触を何度も反芻してから、イオンが黙り込んでいるのを確認して俺は恐る恐る仮面に手を伸ばす。本来ならそんな事はせずに治療を優先すべきなのだが、興味と好奇心が今の俺を支配していた。
紐で固定しているだけの仮面は、結び目に触れ少し弄ると意外と簡単に解く事が出来た。包帯を巻く手を一旦止め俺はゴクリと唾を飲み込み、両手でゆっくりとイオンの仮面を外す。
白い肌。青い髪色。以前に見た事がある金色の瞳は目を瞑っているせいで確認出来なかったが、まつ毛が綺麗である事は確認できた。口元は吐いた血の所為で赤黒くなっていたが、半開きになった小さな口から覗く綺麗な歯並びはとても綺麗で血に汚れてなければ真っ白な歯がそこにあっただろう。
右目の下にある涙ボクロが幼い見た目とは裏腹に色っぽさがある。初めて見たイオンの素顔はまさしく美というモノを体現していて、暗い室内にありながらもここだけ輝いているような錯覚すら覚えてしまう。
最後に。恐る恐る、まるで腫れ物を触るようにイオンの股間を軽く触る。そこには俺と同じモノは付いていなく、何も無かった。
「嘘だろ?」
俺は動揺する心を落ち着けるために大きく息を吐く。想定外の事実に頭を殴られたようなショックを受け、思わず額を手で押さえる。
「お前まさか、おん……」
「スィロ。シオムーエ、ハオムーエ」
「ワオッ!? ビックリさせんなよエレットォッ!」
後ろから声を掛けられ背筋が真っ直ぐに伸びるほど驚き、咄嗟にイオンの胸の前をシャツで隠し、仮面を押し付けるように装着させる。そして俺は首だけを後ろに向けてエレットを見る。
突然大声をあげた俺にエレットは驚いたのか目を丸くして困っているようで、胸の前に組んだ暖かそうな毛布をギュッと握り締める。
「ス、ス、スウロロヨォ……ムーロハジメ、スウロロヨォ……」
申し訳無さそうに頭を下げ、驚き過ぎたのか目にはうっすらと涙が浮かぶ。
「ごめんエレット。持ってきてくれてありがとうな」
俺は手早くイオンの身体に包帯を巻いて掛けていた上着をどかして毛布を被せる。傷口を塞いだ事により少しは楽になったのかイオンの呼吸が安定する。
「これで一安心。でも、早く治療しないといけねぇな」
エレットの魔法を大人しく受けてくれれば良いのだが、当のイオンは今もエレットが近付くと無意識に身体だけが起き、手で振り払おうとする。神官の魔法を拒む以上、今この場でイオンに出来る事はない。
残された希望は村にいるルチアが都合良くここに来てイオンを治療するか、イオンの言う不死者としての力に頼る他は無い。どちらにせよ俺にはどうする事も出来ないのだ。
~~ッ♪
「またラッパの音か……」
どこからとも無く聞こえてくる音色は依然としてデュラハンが俺達を殺す事を諦めていないという証拠だ。
助けを待つにせよ。イオンを安静にさせるにしても。あの首無し騎士をなんとかしなければならない。
「ムーロハジメ、テハイセ」
どうしたものかと悩む俺へエレットが瓶のような物を差し出す。受けとった俺はそれを見てみるが、ラベルに書いてある言葉は異世界の文字であり理解する事は出来なかった。だが、俺はその見た目の形でそれが何であるかを察することができた。
「酒か?」
「ヨェス。テハイセ、ワインエ」
そうだと言わんばかりに嬉しそうに頷くエレットへ俺は乾いた笑いを送る。
確かに俺は身体を温める物を探して来てほしいと言ったが、これはまた違う意味で温める物だ。
火酒として飲むのならば確かに良いが、傷を負ったイオンに飲ませてしまえばそれこそ烈火の如く血が吹き出てしまうだろう。
「はは、エレット。これは使えな……いや、待てよ?」
俺の頭の中に一つの手段が浮かぶ。頭の中で何度も反芻し、俺は口を開く。
「エレット? この酒はまだ沢山あったのか?」
暫し考えてからコクリと頷き、エレットは立ち上がり俺へ手招きをする。そのまま廊下を出て少し歩くとそこには大きな扉があり少しだけ開いていた。その中に入りエレットが光の球を出して照らすと部屋の様子が明らかとなった。
「これは食糧庫か?」
広い部屋の両側に棚が置かれそこには小麦の袋と思われる物や、近づくと異様な臭いを放つ干し肉の山が置かれていた。放置されて長い年月が経っているのだろう。全体的にカビ臭い。
そんな部屋の奥に積まれている木箱の中には大量の酒瓶が置かれていた。その中の一つを手に取り、注ぎ口を銃剣で叩き割って液体の匂いを直に嗅いでみる。
「ぐぉっ!? こ、これはヤバイ!」
度数の高いウオッカによく似たアルコールの刺激臭が鼻を突き刺し、思わず悶絶する。ゲホゲホと咳き込み、何度か嗚咽を漏らしつつも俺は目的のモノがある事に嬉しそうに笑った。
「ムーロハジメェ……」
その様を見ていたエレットが若干引き気味な視線を送ってくる事に気付いた俺は誤魔化すための咳払いを一つした。
「エレット。喜べ。あのデュラハンを倒す手段が見つかったぞ!」
「ロエアルルヨ!?」
信じられないとばかりに声を上げエレットは期待を込めた眼差しで俺を見つめる。
俺はその眼差しに少しドキドキと胸を弾ませながらもその続きを言う。
「その為には準備が必要だ。奴に見つかる前に済ませないといけないからさっさとやるぞ? いいな?」
「オケ!」
元気の良い短い返事を聞き、俺は満足気に頷く。そしてその作戦内容をエレットに伝える。
「じゃあ先ずはな。服を脱げ」
「……ワハテ?」
一瞬空気が静まり、食糧庫の中は酒の臭いと静寂に包まれる。
「ムーロハジメ。ワハテ?」
「エレット服を脱げ。俺も脱ぐからさ。ほら、早く!」
「……」
黙り込んでしまったエレットをおかしく思いながらも俺は急いで服を脱ぐ準備をする。ベルトを外し、手にズボンを引っ掛けた時にエレットが突如吼えた。
「ヨォウ、フゥッシケッ! ハジメ、ペロヴェロテッ!」
「ま、待てエレット! ヌッフゥ!?」
勢いそのままにエレットは剣の腹を思いっきり俺の頭に叩きつけると、自分の顔を両手で覆う。耳まで真っ赤に染め上げその場に蹲る。
「痛てて。頼むよエレット、早く服脱いでくれ!」
頭を押さえて急かす俺に、エレットは立ち上がり涙目で睨みつけてくる。
そこで俺はようやく自分が口にしている言葉がどれだけ変態的な事なのか気が付いた。
(やっちまったな……)
作戦の為とはいえ、いきなり脱げというのは流石に問題があった。その事を認識した俺はエレットに向け深々と頭を下げた。
涙目でそっぽを向くエレットが許してくれるまで俺はひたすらに謝り、何度も頭を下げる羽目になってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
陸上自衛隊 異世界作戦団
EPIC
ファンタジー
その世界は、日本は。
とある新技術の研究中の暴走から、異世界に接続してしまった。
その異世界は魔法魔力が存在し、そして様々な異種族が住まい栄える幻想的な世界。しかし同時に動乱渦巻く不安定な世界であった。
日本はそれに嫌が応にも巻き込まれ、ついには予防防衛及び人道支援の観点から自衛隊の派遣を決断。
此度は、そのために編成された〝外域作戦団〟の。
そしてその内の一隊を押しつけられることとなった、自衛官兼研究者の。
その戦いを描く――
自衛隊もの、異世界ミリタリーもの……――の皮を被った、超常テクノロジーVS最強異世界魔法種族のトンデモ決戦。
ぶっ飛びまくりの話です。真面目な戦争戦闘話を期待してはいけない。
最初は自衛隊VS異世界軍隊でコンクエストをする想定だったけど、悪癖が多分に漏れた。
自衛隊名称ですが半分IF組織。
オグラ博士……これはもはや神話だ……!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる