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第23話 折られた心
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第23話 折られた心
「……お願いカレンさん。この子の為に死んでください」
その言葉はカレンの心を抉った。
「……冗談…ですよね?」
カレンの心は激しく動揺する。
今まで辛く苦しい凌辱や激しい苦痛に耐えて戦ってきたのはみんなの為なのに。
その人たちが自分に死ねと言っている。
だが頭を下げる母親たちの心に嘘偽りはない。
皆我が子を助けたい一心でカレンに死んでと懇願しているのだ。
「お母さんどうして泣いてるの?」
5歳くらいの女の子が泣き崩れる母親を見て不思議そうに問うと母親はしっかりとその子を抱きしめていた。
皆我が子を助けたいのだ。
その母親の手を抱きしめるのは父親だろうか。
皆一様に苦悩に満ちた目でカレンを見ている。
「みんなおかしいよ。ダークネスシャドーがそんな約束を守る筈がないじゃないですか!!」
カレンは叫ぶ。
ダークネスシャドーがいかに残虐な組織かはカレンが一番よく知っている。
だが群衆に見せられた動画はいかにカレンがギリギリの戦いを強いられたのかだけを強調して編集しているのだ。
カレンが華麗に戦闘員や怪人を倒したシーンはカットされていた。
「そんな事しなくてもボクは必ず勝ちます!!ボクを信じてください!!」
カレンの叫びに耳を傾ける人は少ない。
実はコウモリ怪人ケットの残した超音波光線の技術でこの場所にいる群衆の脳裏には自分が残酷に殺されるというイメージが植え付けられているのだが群衆が知るはずもない。
(カレンさん駄目です!!みんな集団心理効果でまともな判断力がありません!!)
AI・マシロがカレンに警告するが、カレンにはそれを聞く余裕は無い。
正義のヒロインとして人一倍献身的で自己犠牲もいとわない性格が裏目に出ている。
ダークネスシャドーはそこをついてきた。
レッドバスターカレンを直接殺すのではなく、雛月カレンの心を攻めてきたのだ。
「麗しい親子愛じゃのう。よしよし。幼い子供がいる親子には優遇して生存権を与えてやろう」
空中から発せられた声に人々が上を向くとそこにはバラをあしらった白を基調としたドレスに金髪紅眼の20代女性が映し出されていた。
慈愛に満ちた神々しい女性はこの世の物とは思えない美しい顔立ちをしている。
「わが名はアイズ。ダークネスシャドーの首領アイズじゃ。これからお前たち人類の主人となる名じゃ。魂に刻んでおくが良い」
そう女性が語り掛けると群衆が膝をつく。
古代の聖王でさえ持ちえぬ気品と武王でさえ得ないであろう武威。
歴史上いつの時代にも存在しえなかったカリスマ。
人外のカリスマにあてられて平伏しない者などいない。
その姿は皇帝に屈した平民そのものだった。
「みんな!!みんな正気に戻って!!あいつは敵だよ!!人類全ての敵なんだよ!!」
カレンの必死の呼びかけにも群衆は反応しない。
戦う力を失った正義のヒロインと新たなる支配者のカリスマのせめぎあいは新たなる支配者の勝ちのようだ。
強者に媚びへつらうのは人のサガともいえる。
そして一人の男性が最悪の反応をした。
「うるせえぞ淫乱ヒロイン!!お前なんか怪人にレイプされて喘いでいただけじゃないか!!」
「……なっ」
「そうだそうだ!!大体もうお前に戦う力なんか残ってないじゃないか!!どうやってこんな敵に勝てるって言うんだよ!!」
今まで人々の為に必死で戦ってきた少女にとって耐え難い罵倒が浴びせられる。
カレンは媚薬に惑わされた事はあったが自分からレイプを望んだ事は無い。
そして言われる通りもはやカレンにはバスタースーツの加護は無く、攻撃を直接受ければ死ぬ小娘にすぎない。
戦闘員と戦うだけでも危険なのだ。
ましてや怪人の媚薬に対して耐性のない状態では歯向かう事などできはしない。
「そんな……ボク…ボク」
カレンのエナジーは人々の希望とカレンの正義の心で出来ている。
その両方が急激に失われていきカレンは日ごろの苦戦で疲労した身体を支えるので必死だ。
そのカレンに追い打ちの一言が叩きつけられる。
「もうお前には俺たちの為に死ぬ以外の価値は無いんだよ!!」
その言葉に心を折られそうなカレンは電柱にもたれかかってなんとか膝を屈するのに耐えた。
正義のヒロインが悪の首領に膝を屈する訳にはいかない。
人々の罵倒によって自分の子宮で生成されるエナジーが弱まっているのがわかる。
今まで受けたエナジードレインと違うのは自然回復しないということ。
カレンの心が折れかかっている事と人々の希望が失われた事が原因だ。
「ボクは死んだほうがいいのかな」
(カレンさん駄目です!!ここにいたら駄目!!逃げましょう!!)
AI・マシロは必死になってカレンの心を支えようとする。
その間に群衆の声は大きくなって行く。
「カレンさんお願い!!この子の為に死んで!!」
「そうだそうだ死ね!!死ねよ淫乱バスター!!」
「私たちはまだ生きたいのよ!!」
今まで正義の為に戦ってきたカレンの心が折れていく。
人々の希望とカレンの正義の心が脆くも崩れ去っていく。
(酷いよ!!みんな酷いよ!!ボク…ボクはみんなの為に必死になって頑張ってきたのに!!)
何度激しく痛めつけられても耐えてきた。
激しい凌辱にも辱めにも耐えてきた。
その結果がこれなのか。
自分が守ってきた、守りたかった人々はこんな人たちなのか!!
どんな攻撃にも性技にも屈しなかった正義のヒロインがついに膝をついて耳を押さえる。
どんなに強く耳を塞いでいても聞こえてくる罵倒の声。
悔しくて悲しくて。
カレンは涙を流しながら俯く事しか出来ない。
このままだと群衆にリンチされて殺されると判断したAI・マシロは非常手段に出る。
緊急時にカレンの身体を強制的に動かすという禁忌を使ってでも少女を守らなければ。
(カレンさんごめんなさい!!身体借ります!!)
そう言ってAI・マシロは残りのエナジーを使ってカレンの身体を動かしこの場から逃走する。
背中からカレンを罵倒する声がする。
一刻も早く怨嗟の罵倒からこの少女を守らないといけない。
AI・マシロはそう思ってカレンを走らせ続けた。
逃走するカレンに向かって背後から聞くに堪えない罵声と投擲された石が飛んできてカレンの身体に当たる。
身体に石を叩きつけられて転びそうな身体で必死に走り続ける少女の瞳から光が失われつつあった。
「……お願いカレンさん。この子の為に死んでください」
その言葉はカレンの心を抉った。
「……冗談…ですよね?」
カレンの心は激しく動揺する。
今まで辛く苦しい凌辱や激しい苦痛に耐えて戦ってきたのはみんなの為なのに。
その人たちが自分に死ねと言っている。
だが頭を下げる母親たちの心に嘘偽りはない。
皆我が子を助けたい一心でカレンに死んでと懇願しているのだ。
「お母さんどうして泣いてるの?」
5歳くらいの女の子が泣き崩れる母親を見て不思議そうに問うと母親はしっかりとその子を抱きしめていた。
皆我が子を助けたいのだ。
その母親の手を抱きしめるのは父親だろうか。
皆一様に苦悩に満ちた目でカレンを見ている。
「みんなおかしいよ。ダークネスシャドーがそんな約束を守る筈がないじゃないですか!!」
カレンは叫ぶ。
ダークネスシャドーがいかに残虐な組織かはカレンが一番よく知っている。
だが群衆に見せられた動画はいかにカレンがギリギリの戦いを強いられたのかだけを強調して編集しているのだ。
カレンが華麗に戦闘員や怪人を倒したシーンはカットされていた。
「そんな事しなくてもボクは必ず勝ちます!!ボクを信じてください!!」
カレンの叫びに耳を傾ける人は少ない。
実はコウモリ怪人ケットの残した超音波光線の技術でこの場所にいる群衆の脳裏には自分が残酷に殺されるというイメージが植え付けられているのだが群衆が知るはずもない。
(カレンさん駄目です!!みんな集団心理効果でまともな判断力がありません!!)
AI・マシロがカレンに警告するが、カレンにはそれを聞く余裕は無い。
正義のヒロインとして人一倍献身的で自己犠牲もいとわない性格が裏目に出ている。
ダークネスシャドーはそこをついてきた。
レッドバスターカレンを直接殺すのではなく、雛月カレンの心を攻めてきたのだ。
「麗しい親子愛じゃのう。よしよし。幼い子供がいる親子には優遇して生存権を与えてやろう」
空中から発せられた声に人々が上を向くとそこにはバラをあしらった白を基調としたドレスに金髪紅眼の20代女性が映し出されていた。
慈愛に満ちた神々しい女性はこの世の物とは思えない美しい顔立ちをしている。
「わが名はアイズ。ダークネスシャドーの首領アイズじゃ。これからお前たち人類の主人となる名じゃ。魂に刻んでおくが良い」
そう女性が語り掛けると群衆が膝をつく。
古代の聖王でさえ持ちえぬ気品と武王でさえ得ないであろう武威。
歴史上いつの時代にも存在しえなかったカリスマ。
人外のカリスマにあてられて平伏しない者などいない。
その姿は皇帝に屈した平民そのものだった。
「みんな!!みんな正気に戻って!!あいつは敵だよ!!人類全ての敵なんだよ!!」
カレンの必死の呼びかけにも群衆は反応しない。
戦う力を失った正義のヒロインと新たなる支配者のカリスマのせめぎあいは新たなる支配者の勝ちのようだ。
強者に媚びへつらうのは人のサガともいえる。
そして一人の男性が最悪の反応をした。
「うるせえぞ淫乱ヒロイン!!お前なんか怪人にレイプされて喘いでいただけじゃないか!!」
「……なっ」
「そうだそうだ!!大体もうお前に戦う力なんか残ってないじゃないか!!どうやってこんな敵に勝てるって言うんだよ!!」
今まで人々の為に必死で戦ってきた少女にとって耐え難い罵倒が浴びせられる。
カレンは媚薬に惑わされた事はあったが自分からレイプを望んだ事は無い。
そして言われる通りもはやカレンにはバスタースーツの加護は無く、攻撃を直接受ければ死ぬ小娘にすぎない。
戦闘員と戦うだけでも危険なのだ。
ましてや怪人の媚薬に対して耐性のない状態では歯向かう事などできはしない。
「そんな……ボク…ボク」
カレンのエナジーは人々の希望とカレンの正義の心で出来ている。
その両方が急激に失われていきカレンは日ごろの苦戦で疲労した身体を支えるので必死だ。
そのカレンに追い打ちの一言が叩きつけられる。
「もうお前には俺たちの為に死ぬ以外の価値は無いんだよ!!」
その言葉に心を折られそうなカレンは電柱にもたれかかってなんとか膝を屈するのに耐えた。
正義のヒロインが悪の首領に膝を屈する訳にはいかない。
人々の罵倒によって自分の子宮で生成されるエナジーが弱まっているのがわかる。
今まで受けたエナジードレインと違うのは自然回復しないということ。
カレンの心が折れかかっている事と人々の希望が失われた事が原因だ。
「ボクは死んだほうがいいのかな」
(カレンさん駄目です!!ここにいたら駄目!!逃げましょう!!)
AI・マシロは必死になってカレンの心を支えようとする。
その間に群衆の声は大きくなって行く。
「カレンさんお願い!!この子の為に死んで!!」
「そうだそうだ死ね!!死ねよ淫乱バスター!!」
「私たちはまだ生きたいのよ!!」
今まで正義の為に戦ってきたカレンの心が折れていく。
人々の希望とカレンの正義の心が脆くも崩れ去っていく。
(酷いよ!!みんな酷いよ!!ボク…ボクはみんなの為に必死になって頑張ってきたのに!!)
何度激しく痛めつけられても耐えてきた。
激しい凌辱にも辱めにも耐えてきた。
その結果がこれなのか。
自分が守ってきた、守りたかった人々はこんな人たちなのか!!
どんな攻撃にも性技にも屈しなかった正義のヒロインがついに膝をついて耳を押さえる。
どんなに強く耳を塞いでいても聞こえてくる罵倒の声。
悔しくて悲しくて。
カレンは涙を流しながら俯く事しか出来ない。
このままだと群衆にリンチされて殺されると判断したAI・マシロは非常手段に出る。
緊急時にカレンの身体を強制的に動かすという禁忌を使ってでも少女を守らなければ。
(カレンさんごめんなさい!!身体借ります!!)
そう言ってAI・マシロは残りのエナジーを使ってカレンの身体を動かしこの場から逃走する。
背中からカレンを罵倒する声がする。
一刻も早く怨嗟の罵倒からこの少女を守らないといけない。
AI・マシロはそう思ってカレンを走らせ続けた。
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