麗しの王太子殿下の独占欲

束原ミヤコ

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隷属と混乱


 拒絶の言葉は、リュクシアスに唇を重ねられて奪われた。
 口腔にリュクシアスの舌を捩じ込まれ、シルフィはそれを受け入れるために大きく口を開く。
 
 ぬるりと舌が絡め取られ、擦り合わされる。
 唾液が混じり合う。体液の中に混じる魔力に、手の甲の印が反応をする。
 浮き出た印。親指の爪で優しく引っかかれると、シルフィのぬかるみはとめどなく涙をこぼした。

「ん、んぅ、ん……っ」

 口淫は深く激しい。シルフィは、そうされるのが好きだった。
 指や舌で一方的に高められるよりも、リュクシアスの感情がそこにはこもっているようで。

 より、愛情を感じられる気がした。リュクシアスもシルフィを欲してくれている。愛してくれている。許してくれている。
 それは懲罰の終わりであり、愛情の証である。

「ん、ん、ゃ、ぁ……や、め……っ、ん……む」

 呼吸の狭間に、小さく拒絶をする。
 再び唇が重なり、ぬりゅぬりゅと口の中をリュクシアスの長い舌が動き回る。
 苦しさの向こうに、なんともいえない甘美さがある。
 
 蜜口からさしいれられた長い指が、シルフィの恥骨の裏側のふくらみをとんとんと押しあげる。
 震える宝石では得られなかった的確で明確な快感が、シルフィを襲う。
 押しあげられる度に、びりびりと雷が腰に走るようだ。
 タイツに包まれた足がひくんと跳ねる。

「ん、あ……ぁ、あ、りゅあ……っ、お願いです、おたわむれは、もう……っ」
「フィー、君の口は私の指を美味しそうに咥えている。今、何本入っているかわかる?」
「わ、わからな……」
「答えて」

 唇が離されて、視界が開ける。
 薔薇の生垣の隙間から、こちらを見つめる瞳とはっきりと目が合った。
 ジェズが、見ているのだ。
 リュクシアスの膝に乗せられて、後ろから抱かれて足を大きく開いているシルフィの姿を。

 制服の前ボタンはいつのまにか開かれて、下着が降ろされ豊かな白い胸がまろび出ている。
 ひくひくと収縮する秘密の場所はリュクシアスの指を飲み込み、とろとろと喜びの雫を垂らし続けている。

 桃色の胸の突起をこねるようにしごかれると、シルフィの腰はいやらしく揺れる。
 誰にも見せてはいけない姿を、ジェズが見ている。

「フィー、答えて? きちんとあてられたら、もっといいものをあげる。指よりも奥まで届くよ。君の中を思いきり突き上げて、ぐちゃぐちゃにかき回してあげる」
「や、やだぁ……っ、ここじゃ、やぁ……っ」
「そう? じゃあやめようか」

 シルフィから興味を失ったような声音に、背筋に冷たいものが走る。
 失望されたくない。どんなにシルフィが恥ずかしがっても、リュクシアスは途中でシルフィを手放すことをしなかった。
 泣きじゃくるまで責めて、最後は優しいキスをしてくれる。

 その瞬間、シルフィはたまらなく幸せだと思えるのに。

「やだ、りゅあ、やだ……っ、お願い、ゆび、三本、私の中に……っ、あ……っ、そこ、きもちい、りゅあ……っ」

 離れて行こうとする腕を掴み、シルフィは甘えるようにリュクシアスの首に頬を寄せる。
 見られているのはわかっている。
 けれど、リュクシアスに失望されることの切なさで、他のことは考えられなくなってしまう。

 彼が怖いのに。彼に捨てられるのはもっと、怖い。

(どうして……? 私は、こんなこと、したくないのに……)

 本当に?
 視線があると思うと、背筋を走るぞくぞくがさらに肥大していく。
 それはリュクシアスに刻まれた印がとめどない快感をシルフィに与えてくるから。
 リュクシアスの指先から流れる微弱な魔力が、シルフィの身体を内側から支配して、身体の芯が蕩けるような気持ちよさを与えてくるから。

 でも、それだけじゃない。怖くて恥ずかしいのに、彼の暗く激しい感情が、その独占欲や支配欲が心地よいと感じてしまっている自分がいる。

「りゅ、あ、さま……っ、ゆび……っ、あ、あ、増えた……っ、そんなに、入らな……っ」
「私を君の中に入れるのだから、これぐらいは受け入れないといけないよ。フィー、正解したから約束通り、君を犯してあげる。ここで。不埒なものがろくでもない考えを起こさないように、君が誰のものか、誰に服従をして、誰を愛しているのか、わからせてあげる」

 シルフィの狭い溢路を広げるようにばらばらと中をかきまわしまさぐっていた指が引き抜かれる。
 その武骨で骨ばった指は、愛液に濡れている。
 それをリュクシアスは赤い舌で舐めた。

「フィーの味がする。いやらしい匂いも。君の勃起して寂しそうに震えているクリトリスを舐めて、君の中に舌を入れてあふれる蜜を飲んであげたいけれど、それはこのあとでゆっくりしてあげるね」
「ぁ……っ、あ……っ」

 それを想像しただけで、シルフィの身体は大きく震える。
 指を抜かれて何かを求めるように収縮を繰り返している蜜口はたらりと雫をこぼし、タイツをぐっしょりと濡らした。

 リュクシアスはシルフィの身体をガゼボのベンチへと横たえる。
 それから、いつもは着衣を乱すことない彼のズボンの前を寛げた。
 性欲など感じさせないほどに美しく、シルフィをどれだけ嬲っていても常に冷静な彼の中心が、驚くほどに猛っていた。
 それはとても逞しく、太く長い。筋の浮き出た裏側に浮き出る血管がどくどくと脈打っている。
 指とは比べ物にならないぐらいに大きな怒張を目にして、シルフィの心は恐怖ではなく歓喜で満たされる。

(わたし、どうして……っ)

 はじめて見るはずなのに、シルフィはそれが与えてくれる快感を知っている気がした。
 かわるがわる、何人もの怒張がシルフィを犯す。それをシルフィは時に笑い、時に乱されながら受け入れている。
 これは時々見る、はしたない夢だ。その夢の記憶が、現実とまぜこぜになっている。

「フィー、ここまで届くよ。君は小柄だから、私を受け入れきれないだろうけれど。指では届かない君のいい場所を、そうだね……君が、五回、イくまでぐちゃぐちゃに犯してあげる」

 リュクシアスは制服を捲りあげて、シルフィの臍の下に自身の先端を擦りつけた。
 その熱さに、芯をもつような硬さに、シルフィの腰は揺れる。まるで期待をしているように。
 
「嬉しい?」
「ぅん……りゅあ、嬉しいです……嬉しい、わたし、嬉しい……」

 拒絶は許されていないのだ。
 嫌だと言えば、リュクシアスはシルフィをこのままここに置き去りにするだろう。
 ジェズが見ている、この場所に。
 そうして、不貞を疑われる。疑われるだけならいい。
 仕置きをされるのなら、それでもいい。

 シルフィはなによりも、リュクシアスの無関心をおそれている。
 彼の長年の指導によりシルフィの身体は作り替えられてしまった。
 そして心も──リュクシアスよって、自分ではどうしようもないぐらいに彼に、支配されている。


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