明日の夜、婚約者に捨てられるから

能登原あめ

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 スムーズに指を動かせるようになると、ジュリアンが陰核をぺろりと舐めた。

「……っ‼︎」

 あまりの刺激の強さに声を失う。

「イヴ、気持ちいい? すごいな、指が食べられているみたいだ」

 彼の指の動きを感じとれるくらい内壁がうねって奥へと誘う。
 初めてでこんなに感じてしまうなんて恥ずかしい。

「い、わないで……」
「イヴが蕩けて可愛いってことを? それは嫌だ。誰がイヴを抱いているか忘れてほしくない」
「ジュリアン……」

 彼の愛撫を受け続けて、ぷるぷると太ももが震えている。
 それを見てジュリアンは太ももを撫でながら笑った。

「いつものイヴもいいけど、今のイヴも全部可愛い。全部俺のもの、全部見せて」

 再度陰核を舌で舐め回し、私を絶頂へと追い上げる。

「あぁっっ……!」

 初めてで中も感じるはずないのに、彼の指先が私を高め続けて快感を引き伸ばした。
 生理的に流した涙も、ただ彼を奮い立たせるだけみたいで。

「可愛いな。本当に……可愛くてたまらない。イヴの全てに触れたい」

 彼がはしたなく音を立てながら指を動かし、荒く息を吐く私を見て満足気に喉奥で笑う。
 とてもさわやかなヒーローには見えない色を滲ませていて……。

「そのまま力を抜いていて」

 彼の指が抜ける時、どろりと何かがしたたる。
 それが何かなんて考えたくない。
 お尻の方まで湿って恥ずかしいのに、脚を閉じることもできずぼんやり彼の様子をうかがった。
 ジュリアンは腕で口を拭い、私の両脚を高く抱える。

「ぬるぬるで気持ちいい」
「……あっ、……んんっ」

 どっしりとした陰茎を秘裂にこすりつけるように動かして陰核を刺激する。
 初めて見た時は無理だと思ったのに、今は焦らさずに埋めてほしいと思った。

 そう思うなんて、おかしい。 
 彼が時間をかけてほぐしてくれたけど最初はきっとひどく痛むはず。
 それでも。

「ジュリアン」

 自分の甘えるような声に驚いて、口を閉じる。

「イヴ?」

 ジュリアンがじっと私を見つめる。
 乾いた唇を舐め、ささやいた。

「して……」

 彼は聞き返すこともなく、嬉しそうに笑って蜜口に亀頭を押しつけた。

「イヴェット、愛している」

 ずん、と一息に貫かれて息が止まる。
 もう少し躊躇ためらいがあると思ったから驚いてジュリアンを見つめ、吐息まじりにささやいた。

「痛いわ……」
「うん、初めてだもんね」

 そう言って、また深く侵入してこようとするから身をこわばらせる。

「全部、入ってないの?」
「あと少しだよ。なるべく痛くない方法と思ったんだけど……」

 浅く息を吐いて痛みを逃していると、ジュリアンが私に口づけしながら何度か腰を押しつけた。

「……これで全部だよ」

 まるで太い杭に穿たれたみたい。
 少しも隙間がなく私の中に存在している。

「イヴ、もう殿下のところへ行けないね。でも俺がたくさん愛して幸せにするから」

 ジュリアンが二人のつながりに手を伸ばす。

「あッ」

 陰核に触れられて体がのけ反り、ジュリアンに体を押しつけることになった。

「積極的だね」
「ちがっ……!」
「イヴ、ごめんね。焦ってまだ触れていなかった。全部触れるって決めたのにね」

 私の両胸を大きな手で包み込み、揉み込む。
 それから勃ち上がった先端を口に含んで舌で転がした。

「ん……っ」
「甘いな、イヴは全部甘くておいしい」

 謝まるのは結婚前のこの行為についてなんじゃないの?
 そう思ったのに胸への刺激が再び私の頭をぼんやりとさせる。

 ちゅう、と吸われるとお腹の中がきゅんとして、ジュリアンの陰茎を締めつけた。

「イヴ、吸われるの好き? これは?」

 私を見ながらじわじわと噛み、その後で優しく、というよりじっとりと舐める。

「いっ……! 痛いの、いや」
「そう、かな? 俺を誘うように動いているけど……もう一度ね」

 片方も吸って、噛んで、しつこく舐め回す。
 腰の辺りがぞわぞわして、お腹の中がきゅうっとなった。
 でも足りない。
 あともう少し強い刺激が欲しくなる。

「ジュリアン……っ」
「そろそろ動くよ」
 
 彼がゆっくり腰を引き、私はほっと息を吐いた。
 抜ける手前で今度はゆっくり押し入る。
 鈍い痛みが消えたわけではないけれど、長いストロークでまんべんなく内壁をこすられるとじわじわと快感が募った。

「……ん、ひぁっ! あ、あっ!」
「可愛い。イヴ、もっと聞かせて」
「あ、ああっ、待って!」

 角度を変えて浅いところをゆるゆる突く。
 これ、だめ。
 すぐ、きちゃう。

 強い快楽から逃れようと身をよじるのに、むしろそれが新たな刺激となって声が抑えられなくなった。

「これ、気持ちいいんだね。……イヴ、たくさん突いてあげる。……可愛いな」
「やっ、これ、へんっ……」

 今にも理性を失いそうなのにジュリアンは冷静で、巧みで。
 一つ年下だというのに、どうして。なぜ。
 私ばかり頭がおかしくなりそう。

「イヴ、絶対に離さないよ。いつだって俺が満たすから……っ、……く、そんなに締めないで」
「しめて、ない……! ああっ……」

 ジュリアンが私の脚を折りたたむようにして力強く律動した。
 肌を打ちつける乾いた音と、生々しく響く水音が大きくなる。
 目の前が白く霞み、絶頂へと向かった。

「……っ、あ、あ、あ――っ!」
「イヴ、ずっとッ……一緒だよ」

 私が達するのを待ってから、ジュリアンは陰茎を抜いて腹に白濁をかけた。
 ベッドサイドから布を取り簡単にお腹を拭う。少し色づいて見えるのは出血したからかもしれない。

 避妊としては不十分だけれど、中で出さないでくれたことにほんの少しほっとした……純潔は奪われてしまったわけだけど。

 思いを巡らす私を、ジュリアンが上から包み込むようにそっと抱きしめる。

「可愛いな……ようやく一つ夢が叶った」

 気だるくて指一つ動かすのが億劫で視線だけ動かす。

「一つ?」
「イヴの初めてをもらうこと」
「……他は?」
「イヴと結婚すること」
「…………」
「俺の世界はイヴを中心に回っているんだ」

 私を見て幸せそうに笑う。

「俺のイヴ、よそ見しちゃダメだよ。これからはちゃんと俺がそばにいるから」
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