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3 何かいい方法が
しおりを挟む翌朝、人が訪ねるには早い時間だったけれど、ダンジェロ伯爵家に手紙を送り、待てなくてすぐに向かった。
快く迎えてくれたステファニアの手をぎゅっと握って言う。
「ジュリオ・カプト様に相談しましょう」
「ジュリオ様に……? でも……」
ジュリオ様は宰相の御子息で、昨年一緒に生徒会活動を行った仲でもある。
私の目にはジュリオ様とステファニアは惹かれ合っているように見えた。
ジュリオ様は今も婚約者はいらっしゃらないし、ステファニアを助けてくれるかもしれない。
ダンジェロ伯爵は粛々と受け止めて、引っ越しの準備をしているという。
領民に何かあっては困るし、王家と揉めるくらいなら資産を持って、領地を王に返還して他国で悠々と暮らすと話していたらしい。
でも私はそれでは困る。
クレメンテ様は最初、私を置いて行ってしまうつもりでいた。今は彼も一緒に抗ってくださるって。
思慮深い方だから、きっと大丈夫。
クレメンテ様だもの!
「もう手紙は出しましたの。今日お会いしてくださるそうよ。何かいい案をお持ちかもしれませんわ」
昨夜はいろんなことを考えてしまって、あまり眠れなかった。
カッシオ殿下はこれまでも気まぐれに行動してきた。さすがに領地に火を放つなんてありえないけど、癇癪を起こしたら……わからない。
とにかく4日以内になんとかしなくては。
「2人とも久しぶりだね。話は聞いているよ。……それで、交換条件はなに?」
ジュリオ様は損得なしでは動かない方だった。
挨拶抜きで早速本題に入るのは、これまで交流があって、気のおけない関係だから?
「本日はお時間いただきありがとうございます。もうすでにいい案がありますの?」
ステファニアの言葉に2人が見つめ合う。
私がこの場にいるのは邪魔みたい。
「そうだね。実はすごく簡単にすみそうなんだ」
ジュリオ様のもったいつけた言い方にイライラして口を開きかけたけど、ステファニアに手を握られて黙る。彼女は落ち着いて訊いた。
「……ジュリオ様は何を望んでいるのですか?」
「俺と婚約してほしい。もういいだろう、ステファニア?」
「…………本当に解決するのなら、わかりましたわ。両親が頷けば」
「もちろん、頷くよ」
私は一体なにを見せられているの?
ここへ連れてきたことは多分、間違っていなかったようだけど。
「……それで。どうしたらいいのですか?」
待ちきれなくなった私が、2人に声をかけるとステファニアははっとして赤くなり。ジュリオ様はニヤリと笑う。
「ヴィンチェンツォ殿下から、ダンジェロ伯爵家の追放宣言のみ撤回させる」
婚約破棄はそのままなのだと。
それはもちろんいいとして。
第一王子のヴィンチェンツォ殿下は今は遠い島国にいると聞いている。
それならまだ隣国にいる国王夫妻に助けを求めたほうがいい気がした。
父からまだ連絡はない。祝賀ムードでたくさんの人が訪れて入国審査が厳しくなっているかも。
「それでは間に合わないのでは……?」
もう4日しかない。
私のつぶやきに、ジュリオ様は笑ってベルを鳴らす。
すぐに扉が開いて噂をしていたヴィンチェンツォ殿下が入ってきた。
「私をベルで呼び出すなんて、ジュリオくらいのものだな……やぁ。ステファニア嬢、ルフィナ嬢。災難だったね」
慌てて立ち上がる私達に、殿下は笑ってそのままでいいと言った。
「非公式だから。実は時々帰ってきてはここで息抜きをしているんだ。今回は両陛下が留守だから、ひそかに帰っていたんだけどね」
弟がなにするかわからないから、帰ってくるよう連絡があったと言う。
「3日後に公爵家で夜会がある。弟も参加するはずだ。その間に各方面に連絡を入れる。今回は1人で暴走しているようだから、わずかに残った第二王子派も消滅しそうだな」
第二王子派……学園にはもういない。
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