後ろ姿で番と気づいたけど相手はほぼゴリラだった

能登原あめ

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えんちょうせん ご

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* 少し♡飛びます。







******


「……作りすぎじゃないか?」

 ワタシが靴下にケープ、ベストを量産しているのをみてアルが言う。

「どこが?」

 ふわふわしたものに囲まれて嬉しいんだけどな。

「……疲れないのか? 無理してほしくない」
「アル優しい~! 嬉しい! あのね! やることなくて暇なの。それにね、この子、秋生まれになるでしょ?」
「ああ」
「つまり、生まれたてのちっちゃい子が寒ーい冬を乗り越えるの! たくさん必要でしょ? でも……アルに似たら、筋肉におおわれているのかなぁ?」
「……それはねぇだろ」

 アルが重くなったワタシを膝に乗せる。
 ぽこっと大きくなったお腹が動いた。

「アル……今動いたね! アルがパパってわかってるんだねぇ。どっちかな? パパ大好きな女の子かもしれない。それとも、男の子でパパと戦いごっこがしたいのかもしれないねぇ」

 アルの子だからか本当にお腹が大きくなった。

「どっちでもいい。どっちも、可愛いだろ」

 きゅうぅん。
 
「アルに似たら、男の子はカッコいいし! 女の子も、女の子にモテるようなカッコいい子になっちゃうねぇ!」
「……ねぇな。それはない」

 アルってばホントに謙虚なんだからぁ!
 大好き。
 なんて最高な番なんだろう!
 
「はぁ……♡ とりあえず、もう少し作るね。産まれたら編み物する時間もあまりなさそうだもん!」
「しかたねぇな。……疲れたら肩揉んでやる」

 アル、最高のダンナ様!









 そして産まれたのは、ワタシにそっくりな双子の男の子だった!

「意外。アルの子だからお腹がおっきいと思ったら、双子だったんだねぇ。……ほら、たくさん編んでよかった! 足りるかなぁ……」

 アルにはワタシの言葉が届いてないみたい。
 じーっと、双子を眺めては自分の手と見比べている。

「可愛い。俺の片手に乗るな……なんてちっちゃいんだ」
「すぐおっきくなるんだよ~。だからね、二人の成長から目が離せないよね!」
「……あぁ、そうだな。……キャット、お疲れ様。俺は幸せもんだな」

 アルの目に涙が溜まってる。
 
「アル、アルと出会えたから今があるんだね! ワタシの方が幸せ者だよ! もっともっと幸せを増やしていこうよ! ちょっと大変だったけど、たっくさんの子供に囲まれてワタシはアルと生きていきたい」
「…………」

 ワタシはそーっと、アルに手を伸ばした。
 アルが双子を潰さないようにそーっとワタシを抱きしめる。 
 シアワセ。

「名前は……ワタシが決めてもいい?」
「あぁ、もちろん」








「ゴンゾー! ちょっと待ってね! リュウベー! 大丈夫、慌てないで!」

 二人とも一歳を過ぎて、歩けるようになると、ヤンチャな面をみせるようになった。
 外で双子の名前を呼ぶと、振り返られるのはどうしてかなあ?

 異国の本で見た、カッコいい名前にしたんだけど新し過ぎたのかな。
 一瞬でも目を離すと、どこかへ飛び出すから本当に気が抜けない。
 見通しのいい広場で一緒に遊んだ後、仕事から戻ってきたアルと四人で昼ごはんを食べたら、双子は夢の中へ。

 そうっと起きて寝室を出る。

「アル、今日の午後はお休み?」
「あぁ。たまにはな」
 
 ソファに座るアルの膝にちょこんと座ってぎゅーっと抱きしめる。

「アルを独り占めだね。はぁ……♡ 最近忙しかったねぇ」
「そうだな」

 アルの手がワタシの背中を労るように撫でる。
 ほっとして、顔を上げると唇が重なった。
 
「アル、元気だね?」

 陰茎がお尻に当たって主張している。

「……しばらく起きないか?」
「多分?」

 正直わからないけど、たっぷり外遊びしたから、きっと……。
 そう思っていると、アルが慌ただしくワタシのスカートをまくり上げて下着をずらした。

「アルっ! ここで⁉︎」
「移動する時間も惜しい」

 そう言って蜜口に指を差し入れワタシから快楽を引き出す。
 子どもを産んでからのほうが丁寧な感じがするのは、産後に初めてした時、ものすごく痛がったからかもしれない。
 久しぶりすぎてアルの精液の効果が切れちゃったんだなぁ。

「キャット、腰を上げろ」
「んっ♡」

 アルをまたぐと、陰茎がワタシの中にずぷんとハマった。
 気持ちいい。

「ああっ♡」
「舌だせ」
「んんっ、アルッ。声漏れちゃうぅ♡」

 口は塞がっているような、そうでないような。
 これじゃあ、双子が起きちゃうかもしれない。

「しっかり塞いでやるから」

 下から押しつけるようにゆるりと動いてから、いきなり腰を持ってぱんぱんと突き上げられた。

「ん、だめっ、アルぅ♡」

 気持ちよくて、陰茎を締めつけちゃうし、声だって我慢できない。
 舌を絡め合っていたら口が開いちゃうと思うんだけど!

「しかたねぇな」

 いつの間にか天井を見上げていて。
 ソファに背中が沈み、アルが上からプレスするように腰を振る。

「あ、あぁ、んんっーー!」

 慌てて口を押さえる。
 アルのすること全部好きだし、さっきのも、これも気持ちいい。
 すぐ気持ちよくなっちゃってオカシイ。

 ワタシ、子どもを産んでもまだまだアルとしてたい。
 これって好きだからだよね。
 それともインランになっちゃった?

「アルっ! 出してっ……アルの、ちょうだい」

 アルの精液はお薬だもんね。
 アルから貰えばいつも落ち着くから。

「……キャットッ!」

 ウホ、って漏らした後、じわじわとワタシの中に広がって安心した。
 
「アル、大好き。はぁ♡シアワセ」
「俺もだ。もう一度できる時間あるか?」
「多分?」

 そうして再びワタシ達は新しい命を授かり、またしても!
 
 双子のワタシ似の男の子が誕生した!
 
 






「ゴンゾー! リュウベー! 弟達を一人ずつバディにして! クンペー! コジロー! お兄ちゃん達の言うこと聞くのよ!」

 ワタシの子供達はみんな可愛い。
 とってもとっても可愛い。
 見た目はワタシに似たけど、中身はそれぞれアルに似ているところがあって、それを見つけると嬉しくなってたまらない。

 アルが建ててくれた大きな家に、子ども達は一人部屋を持っているけど、なぜか順番に泊まりっこをしている。

 子ども達が赤ちゃんの頃は大変だったけど、今は子ども同士で遊べるようになってきたから、少し楽になってきたかな。

「ママ……」
「なぁに、フェリシエンヌ」

 息子達の名前はワタシが頑張ってつけたのだけど、続けて産まれた娘の名前はアルがどうしてもつけたいと言って、とてつもない幸運、みたいな意味らしい名前をつけた。

 アルのこだわりステキ!
 気持ちとしては、息子達と揃えた名前にしたかったけど、ま、いっか!

 みんながすくすく育つのを見ていると本当にシアワセ。
 フェリシエンヌ……こっそり、フェルと呼んでるけど……これまたワタシにそっくりだった!

 考えてみたら、アルは隔世遺伝だもんね。
 ワタシはアルそっくりの孫を見ることになるのかな。
 今から楽しみで仕方ないよ!








******


 お読みくださりありがとうございます。
 ちょうどこどもの日ですね。
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