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年下男子に手を出したら五年後に報いを受ける②[改稿版]※
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******
「お久しぶりです。おぼえてますか? 田中哉太です」
思いがけない再会は得意先の社長の息子としてやってきた。
うわー。
過去の汚点。
黒歴史。
「ひさしぶりだね……田中くん」
「そんな、よそよそしくしなくても。昔みたいに哉太でいいですよ」
にっこりと笑う顔は、以前よりも精悍でスーツのせいか洗練されているともいえる。
筋肉もついたのかな、身体がひと回り大きくなっていた。
これは、モテるだろうな。
うわぁ、彼の童貞奪っちゃったのか。
思い出してもぎりぎりの合意のような気がして、顔がひきつりそうになる。
「五年ぶりですね。会えてとても嬉しいです。この後、食事でもどうですか?」
色々話したいこともありますし、と彼に詰め寄られて私は頷いた。
あの朝、正気に戻った私はぐっすり眠る彼の腕の中からそっと抜け出して震える足で家に帰った。
ありえない。
やっちゃった。
もう、あのカフェもあのアパートの辺りも近づかない。
引越し決まっててよかった。
好みだったとはいえ、まだ大学生になる直前の初々しい男の子とヤりまくった。
三月中は高校生ということは考えないことにする。
あの日は、半年前に別れた一つ年上の男がデキ婚するって知り合いから聞いた後で、大変だね~って思ったくらいに他人事でどうでもよかったけど、実は半年くらい私と重なっていたらしく。
気持ちも残ってないしお互い冷めて別れた男だからどうでもいいんだけど、そう言いながらもやっぱりムカつくなぁと思って参加した歓送迎会だから、ハメを外した……全部言い訳だけど。
もう全部忘れよう。これからは仕事に力入れよう。
そう思って、今の仕事にも慣れてやりがいもでてきた五年目の再会。
連れてこられたのはホテルの中にある落ち着いた個室の和食処で、日本酒おいしいですよ、と勧められるままに冷酒をいただく。
料理もお酒も私好みでおいしい。
「ずっと気になっていました。どうしていなくなってしまったんですか?」
「恥ずかしくて……ごめんなさい。あの時は強引だったかな、と」
蒸し返して話すことが私にとって拷問だと、彼は気づいている。
「俺はずっと忘れられませんでした」
だから、会えなかった分の時間を取り戻したいんです、とじっとみつめて笑った。
あの時とは大きく違う。
彼は成長しているけど、私は恋愛面では止まったままだ。
そんなことを考えながらぼんやりとエレベーターに乗ったところまでは覚えている。
エントランスに向かわずに背中を押されるままに上階の客室のドアを潜った。
「他の男とはこんなことしないでくださいね」
抱きしめられて唇が重なる。
「この時を待ってました。ずっと……あのカフェで働くあなたが気になって、初めての相手もあなたで。だからあの夜好きになってしまったのに……」
角度を変えて啄みながら彼が囁く。
「前回は俺が貪られたので。今回は逆にしたらおあいこになりますよね?」
私が気にしていたことを言われてかぁっと赤くなる。
「待って! んっ」
首筋を舐められて背中の方からぞわぞわとして震えた。
「最初、から始めましょうか」
耳たぶを食まれ、ぬるりと舌が差し込まれた。
脳にまで響く水音に彼の腕をぎゅっと握って耐える。
「腕の中にあなたがいる……すごく、いいですね」
耳元で囁かれると弱い。
前回は私からしかけたから、今回のことで精算するしかないのかと覚悟を決めた。
もう一度軽く唇を合わせてから洋服を脱がされる。
「シャワー浴びたい……」
「風呂でするのと、このままベッドでするのとどっちがいいですか?」
「シャワー、浴びてから、がいい」
「一緒に入りますよ」
しぶしぶ頷いた私を抱き抱えて洗面台に下ろす。
ひんやりとした台の上でキスの合間に下着を剥ぎ取られる。
なんていうか……慣れてる?
「彼女とか?」
「いません」
「女の子と、遊んだり……?」
一瞬、顔をしかめてから私の目を覗き込む。
「あなた以外知りたくないです」
彼の言葉を理解するまでに時間がかかる。
嘘でしょ……? 五年も?
「あなただけいればいいんです」
全裸になった彼が私の太ももの間に入る。
煌々と明かりのついた場所であられもない貧相な姿をさらして顔が赤くなった。
彼は思った通り全体的に筋肉がついて、発達した上腕二頭筋に目を奪われる。
下半身はあえて見ない。
「痩せましたか? 折れてしまいそうだ」
「仕事が忙しくて。集中すると、食事忘れちゃうんだよね」
「では、俺が。たくさん食べさせてあげましょう」
「それは、どう、かな……」
私の背中にゆっくりと指を這わせて抱きしめる。
身体が見えなくなったことと高い体温にほっとした。
ゆったりと流れるこの時間、嫌じゃない。
むしろ、好き。
「さて、と」
そのまま持ち上げるから私は彼の腰に足を絡めて首に腕を回した。
首や肩にキスを受けながら浴室に向かう。
私の好きなややぬるめのシャワーと、同じボディソープでそれぞれ自分で身体を洗い同じ香りを纏う。
流れる空気がつき合ってしばらく経った二人、みたいなのはなんでだろう。
そんな関係ではないのに。
彼が蕩けるような目で私を見るからだろうか。
なんだかむずむずする。
「髪は後でもいいですか?」
「うん」
当たり前のように抱き上げる。
彼のアレが上を向き、私のお腹にこすられてぴくぴくと動いた。
それから洗面台に座らされて肩にタオルがかけられる。
ここに座らせるの、好きだなー、拭いてくれるのかなーとぼんやり考えているとひざまづいた彼に太ももを割られ、脚のつけ根を舐められた。
「えっ⁉︎ 待って! あっ……」
「シャワーの後まで待ちましたから」
彼の唇が襞を食み、開いて下から上に舐めあげる。
蜜口に舌を差し込んで刺激した後、突起に吸いついた。
私は後ろに手をついて身体を支える。
「んっ!」
「……ここ、いいですか?」
皮をめくり上げてちろちろと舌で舐め回す。
太ももはガッチリと押さえられ、逃れたいようなもっと身体を押しつけたいような欲に駆られて脚に力が入る。
イきそう、かも。
彼はつぷりと指を挿れて私が反応するところを探した。
もっと欲しい。
彼の目を見つめてそう言うと。
「あおいさん、きれいです」
突起を舐めながら指を増やして私の中をかき回す。
「かなたっ……!」
彼の名を呼んで私はイった。
***
side哉太
力の抜けた彼女をベッドまで運んで覆いかぶさる。
まだ全身愛せていない。
彼女が足りない。
首筋から鎖骨に舌を這わせ、甘噛みして強く吸いつくと、うっすらと痕が残る。
もっと強くてもいいのかと他の場所にも唇を寄せた。
小さく漏らす彼女の声に後押しされて、彼女の胸にも痕を残す。
だいぶ痩せて小ぶりに感じるけれど、代わりに浮き出た鎖骨が色っぽいし、感じやすくなっている気がする。
脇から集めるように胸を寄せただけでびくっと震えるから、先端に軽く歯を立て舌で舐め回してから強く吸いついた。
「やっ……っ……」
ちゅぽん、と音を立てて離れたところで彼女の指が先端を隠すように覆った。
そんな彼女の指ごと唇に含んで舐めた。
「指も……感じるんですね」
指の股に舌を這わせてねっとりと舐める。
ふるりと身体を揺らして俺を見上げた。
「嘘でしょ、私以外抱いてないって」
「そんなふうに思ってもらえるなら、今のところ上手くいってるってことですね。色々研究はしましたから」
「研究、だけ?」
「そうです、あとは……あおいさんの教え方がよかったんです」
そう言って笑うと、彼女は赤くなって目を伏せる。
今の顔は恥ずかしさだけではないはず。
少しは彼女の好みに寄せることができたのだろうか。
この数年、あおいさんと連絡を取り合っているというバイト仲間の情報を頼りに筋トレにも励んだし、趣味とか好きなものとか交友関係まで色々聞き出してもらった。
結局あのバイトは四年間続いた。
その間、祖父からもらった株を元手に貯蓄を増やし、その収入だけでも食べていけるくらいになったけれど、会社を継ぐ兄を支えるために父の会社に入った。
彼女を十分養えるくらい、準備は整っている。
あとは振り向いてもらえるように努力するだけ。
「俺のこと、好きになって欲しいです」
伸び上がって口づける。
戸惑った表情の彼女に、今はまだそれでいいと、受け入れてもらえることでよしとする。
「続けます」
長年待った彼女と深く繋がるその時を大切にしたい。
待つほどにご馳走だって知っている。
身体を撫で回しながら、薄い腹に口づけを落とし、それから彼女の秘めたる場所に、顔を近づけた。
「もう、いいよ!」
「いえ。もう少しだけ、愛させて下さい」
彼女の襞を左右に開き中を覗き込む。
蜜口がひくひくと動き、とろりと愛液が溢れた。
指にまとわせ全体を撫でる。
「見られると感じますか?」
「そ、んなこと、ない!」
「そう、ですか……」
彼女の嘘に小さく笑う。
二本の指を滑り込ませて探りながら動かした後、もう一本の指を加えて馴染ませる。
温かい。
内側から指を食べるようにパクパクと動くのを感じて、俺のものがこの中で締めつけられるのを思い描く。
彼女のおかげでかなりの我慢がきくようになった。
それから軽く指を曲げて反応するところをとんとんと刺激した。
「んっ……そこっ……」
背中を逸らして身をくねらせる様にこちらも昂ぶる。
同じところをとんとんと刺激しながら皮を押し上げむき出しにした陰核にしゃぶりついた。
「やっ! ああぁーーっ……」
身体をがくがくと震わせて達する彼女を眺めていたくて指で刺激しながら舐めるのもやめない。
ぎゅうぎゅうと指を締めつけてきて、中がきつく狭くなった。
「今挿れたら苦しいですよね、もう一回イきましょう」
俺の声に慌てて否定する声が聞こえた。
「むり……」
「恋人のお願いだったら俺も叶えるんですけど」
涙目でみつめてくる彼女の中に埋めたままの指をゆっくりと動かす。
手首のほうまで愛液が滴り、ぐちょぐちょと湿った音が俺を昂らせる。
「俺の、恋人に、なりますか?」
彼女の目を見ながら陰核に舌を伸ばす。
はっと短く息を吐いて、彼女の身体がこわばった。
どのくらいしたら、彼女の理性がなくなるのかな。
「じゃあ、もう一度」
もう一本の指を増やして、バラバラに動かす。
「ふあぁっっ……」
びくんと身体が跳ねた。
「これも好き、ですか?」
蜜口に埋められた指を時折見ながら彼女の紅潮した顔を、その変化を見逃さない。
多分、絶頂が近いように、みえる。
薄く開いた唇からちらちらとのぞく舌が俺を誘惑してきた。
そろそろ、終わりにしよう。
彼女の好きな浅いところをリズミカルにとんとんと叩く。
ちゃぷちゃぷと水音が大きくなる。
親指で陰核を押しながらやや強く刺激した。
「あっ、もうっ、はあっ、あっ、あーーっ!」
嬌声をあげる彼女の身体からぼたぼたと無臭の液体が滴った。
「これって……」
「もう、終わってっ」
シーツを濡らす体液に気をとられ、彼女のお願いが一瞬頭に入ってこなかった。
「あおいさん、潮吹き、したことあります?」
「そん、なの、知らない……」
「俺が初めてだったら、嬉しいです……。すぐ欲しいですか?」
「おねがい……つら、いっ」
一呼吸してから、濡れてひくつく蜜口に張り詰めた俺自身をこすりつけた。
亀頭をほんの少し埋めるとぬちゃりと音がした。
柔らかく熱くとろとろになって俺を迎え入れてくれる。
「はぁ……すご、い」
彼女の甘い声に欲が高まる。
「……気持ちいいです」
何度か浅く出し入れして彼女の柔らかさを味わった。
「ぜんぶ、おく、まで!」
「はい……全部あげます」
馴染ませながらゆっくり奥まで貫いた。
「ああぁっ……」
それだけで彼女が達してしまい、種を搾り取るような動きに俺は息を詰めて耐えた。
大きく息を吐いてからゆっくりと抽挿する。
以前の記憶より気持ちいい。
何も遮るものがないこと、彼女を孕ませるかもしれないことに、仄暗い喜びが沸き上がった。
「責任取りますから」
たくさんしましょう、と揺さぶり続ける。
「もう、むり、……おかしい、こんなのっ」
「もっと。おかしく、なって、いい、です、よ」
彼女の身体を起こし腿に乗せた。
あの時と同じ、対面座位で。
二つの胸に交互にむしゃぶりつく。
「やっ……!」
ぶるりと震えて後ろで倒れそうになるから、腰を押さえて下から突き上げる。
あの夜の彼女が教えてくれた好きなリズムや動きを覚えていたし、対面座位は実はあまり感じないことも聞いていたから対策は考えてきた。
この日のために。
「これ、やだっ……」
「前みたいに、騎乗位がいいですか?」
「でき、ないっ」
ぐずぐずにとけた彼女は、俺にされるがままで。
陰核に触れながら、もう片手は彼女をしっかりと支えた。
「恋人、いやですか?それなら婚約者、になりますか?」
「あっ、んんっ……」
「答える、まで……このまま、ですよ? 婚約者の、お願いなら、叶えますから」
なるべくですが、と小声でつけ加える。
「なるっ、なるからっ、もう、終わっ、てぇー!」
「はい、約束ですよ」
彼女を仰向けに倒して荒く腰を打ちつけて奥深くに向かって白濁を吐き出した。
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