上 下
4 / 12

ドケチな新たなる力

しおりを挟む
モンスターの討伐を終えた私たちは、ギルドに依頼達成の報告をした。

二人での依頼達成は初めてだ。
私たちは本当に嬉しかった。

報酬はガッポリ。経験値もガッポリ。
薬はケンジくんの奢りで、私はルンルンな気分だった。

そんな私とは裏腹に、また怪我をして、財布の中身も寂しくなってしまったケンジくんは、少し気の毒だったが…。まぁ、いいか…。

私はスキル鑑定を試みることにした。

スキル鑑定とは、モンスターを倒して、
経験値が溜まった時、自分の身に新たな力が宿ってないかを調べることを指す。
新しい魔法はもちろん、全く新しい、自分だけの能力なんて物も目覚める。

私は一人で、簡単な依頼をコツコツと数多くこなし、このスキル鑑定でフレイとフレイアを習得したのだ。

コツコツと積み上げるのは好きなので、特に大変なことではなかった。だが、簡単な依頼では得られる物が少ないので、相当な時間が掛かってしまう。

しかし、今回の依頼は難しかった。
強い中型のモンスターに加え、そのモンスターが呼び寄せた3匹も倒したのだ。
これは期待出来るのではと思った。

「お願いします…!」

私はドキドキしながら、鑑定士さんにお願いする。
鑑定士さんが私の頭に手をかざす。
もし何かスキルを習得していれば、私の頭の中に力のイメージが湧くのだ。

どんなスキルが手に入るかワクワクが止まらなかった。フレイアの上の呪文が手に入るか、はたまた、雷や氷の魔法を覚えるかもしれない…。
私は目を閉じて、スキルが浮かぶのをまだかまだかと待つ…。

『リサイクル』

そう頭の中に浮かんだ。
ん?リサイクル…?

え…?なにそれ…?

リサイクルとは、リサイクルのことだろうか…。
リサイクルとは、不用品を再資源化し、新たな製品として生まれ変わらせることを指す。

たとえば、私が昨日飲み干したガラスの空き瓶。
ドケチな私はこれを洗って、花瓶に再利用したりするが。しかし、これはリサイクルではない。再利用。リユースである。

リサイクルは一度使われたガラスを砕き、また新たなガラス製品に生まれ変らせることを言う。

えーっと…。それで…?
私はこれで何が出来るんだ…?

何かリサイクルのようなことが出来る。
そんな漠然としたイメージしか湧かなかった。

「そ…そんなぁ…!」

鑑定料損した!と私は叫びたくなったが、鑑定士さんが目の間にいるので、私はぐっと堪えた…。

あれだけ苦労したのに、特に新しい魔法も覚えず、よく分からない変なスキルしか習得出来なかったのだ…。
私は期待を裏切られたような気持ちになり、心底落ち込んだ…。

MPもそこまで増えず、相変わらず私が撃てる中級魔法が1日3発なのも変わらなかった。
全然パワーアップした感じがしない…。

一方ケンジくんも、力と防御が上がったくらいで、主人公のようなチート能力的な物を得ることは全くなかった…。

お金は手に入った。
だからこれで良しとしよう。

私たちは自分の身の程をわきまえ、これからも自分たちに出来る範囲の依頼を、コツコツとこなして行こうと決めた。

いつかは俺TUEEEな能力が目覚めるかもしれないと、そう夢見て…。
しおりを挟む

処理中です...